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IT企業としてのGEのゆくえ GE、AWS を推奨クラウドプロバイダーに選定 IIoT分野での存在感を高めるGEデジタル -- 買収や提携強化でエコシステム拡大 「なぜデジタル人材はウチに来ないのか」 --GE に学ぶ“採用ブランディング”のあり方 デジタル変革と企業が直面する現実

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IT企業としてのGEのゆくえ

GE、AWSを推奨クラウドプロバイダーに選定

IIoT分野での存在感を高めるGEデジタル-- 買収や提携強化でエコシステム拡大

「なぜデジタル人材はウチに来ないのか」--GEに学ぶ“採用ブランディング”のあり方

デジタル変革と企業が直面する現実

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IT企業としてのGEのゆくえ

こちらは、 2017/10/10 に公開された記事(https://japan.zdnet.com/article/35108494/)を再録したものです。仕様等は公開時点のものです。

 Amazon Web Services(AWS)は米国時間 10

月 5 日、General Electric(GE)が AWS を推奨ク

ラウドプロバイダーに選定したと発表した。

 GE は 2014 年に、AWS への移行を全社規模で

開始し、大量のコアアプリケーションをクラウドに移

行し続けてきている。現在既に、GE Power や GE

Aviation、GE Healthcare、GE Transportation、

GE Digital といった事業において、複数のクラウドア

プリケーションが AWS 上で稼働している。

 GE の最高技術責任者(CTO)兼コーポレートバイ

スプレジデントの Chris Drumgoole 氏は今回の発表

で、「AWS を利用したクラウドファースト戦略の採用

により、データセンターの構築と運用という作業から

IT チームが解放されるとともに、われわれが現在取り

組んでいる GE 史上最大かつ最も重要な変革の 1 つを

推し進めるなか、イノベーションに向けたリソースの

再集約化が促される」と述べるとともに、「業界をリー

ドしている AWS のクラウドサービスによって、GE

は限界を押し広げるとともに、野心的な発想を手にし、

より優れた成果をもたらせるようになるという理由か

ら、AWS を推奨クラウドプロバイダーに選定した」

と述べている。

GE、AWS を推奨クラウドプロバイダーに選定

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IT企業としてのGEのゆくえ

こちらは、2016/11/22 に公開された記事(https://japan.zdnet.com/article/35092389/)を再録したものです。仕様等は公開時点のものです。

 GE は米国時間 11 月 15 日、Bit Stew と Wise.io

の買収を発表した。この 2 社の買収は、GE の産業用

モノのインターネット(IIoT)分野の製品を、エッジで

の処理能力と機械学習の面で強化することになる。ど

ちらも、IIoT 分野の競争力を高める上では極めて重要だ。

 この買収に関する情報は、「Minds + Machines」

カンファレンスで発表されたものだ。同時に、GE の

IIoT プラットフォームである「Predix」に関する新情

報も発表された。また、Predix でアプリを開発する独

立系ソフトウェア開発会社向けの協力プログラムにつ

いても発表されている。このプログラムのスタート時

点でのパートナー企業には、Box、Pitney Bowes、

Ericsson などの名前が挙がっている。

 GE はこれらの買収や提携によって、Predix のエコ

システムを固め、デジタルインダストリアルの世界的

なリーダーとしての地位を盤石にすることを狙ってい

る。GE によれば、同社の産業用ソフトウェア分野での

事業は急速に成長しており、2016 年はソフトウェア

事業の売上 20%増が目標だという。

 GE Digital の最高経営責任者(CEO)Bill Ruh 氏

は、米 ZDNet に対して、GE はデジタル化に野心的に

取り組んでおり、世界のあらゆる場所を網羅している

と述べている。同社が関心を持っている地域には、米国、

欧州(特に英国、ドイツ、フランス)、中国、日本、シ

ンガポール、中東、インドが含まれる。

 「これは成熟産業か、新興産業かというような問題

ではない。どうすれば今より少しでもコストをかけず

に地中から石油を汲み上げられるか、どうすれば電気

を安定的に、最も安く供給できるかといった種類の問

題だ」と同氏と述べている。IIoT 市場の将来性は、単

純に「業務の生産性を向上させる必要性や、機械から

さらに多くの価値を引き出す必要性を反映したものだ」

と Ruh 氏は言う。

 GE は、産業機械の価値を最大限に引き出すための、

産業機械をエッジからクラウドに接続する製品の充実

を図っている。このような中、同社は資産集約型産

業向けデータ統合プラットフォームプロバイダー Bit

Stew の買収を発表した。Bit Stew の技術を GE の「ア

セット・パフォーマンス・マネジメント」(APM)ソ

リューションと Predix に統合することで、大量のデー

タを情報の発生源で組織化しようとする産業界の企業

を支援しやすくなる。

 また、予測的インテリジェンス技術プラットフォー

ムを提供している Wise.io の買収で、GE Digital は

Predix プラットフォームでの先進的な機械学習機能と、

データサイエンス機能の開発を加速できるようになる。

機械学習は、市場をリードする方法を模索する産業界

の顧客企業にとって「コアコンピタンス」になる、と

Ruh 氏は言う。

 企業が市場をリードするには、保有しているデータ

を組織化する必要があり、組織化されたデータは「そ

の企業にとって(それなしでは産業が成立しない)水

利権のようなものだ」と Ruh 氏は述べている。企業

は、そのデータから組織的能力を構築する必要がある。

Ruh 氏は、Wise.io のテクノロジを獲得し、プログラ

IIoT 分野での存在感を高める GE デジタル -- 買収や提携強化でエコシステム拡大

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IT企業としてのGEのゆくえ

こちらは、2016/11/22 に公開された記事(https://japan.zdnet.com/article/35092389/)を再録したものです。仕様等は公開時点のものです。

ム可能なインターフェースとして提供することで、GE

は顧客企業が独自の「秘密のソース」を加えるのを支

援できるようになると語る。「これにより、顧客は過去

を振り返って、これまでは見えなかった行動パターン

を発見する能力を得ることができる」(Ruh 氏)

 また機械学習の技術は、GE が提唱する「デジタル・

ツイン」(物理的な資産を仮想的に再現したもの)の展

開に必要なモデル化やシミュレーションにも、極めて

重要な役割を果たす。

 GE は、買収によってさまざまな組織的能力を獲得

するのと同時並行で、サードパーティーとの提携関係

構築も進めている。同社が新たに設けた独立系ソフト

ウェア開発会社(ISV)向けのプログラムは、パート

ナー企業がメンテナンスやコンテンツ開発、資産管理

などの新たな Predix 用産業アプリケーションを開発

するのを支援するものだ。スタート時点でのパート

ナ ー 企 業 に は、Box、Decisyon App Composer、

Entercoms、Ericsson、Mobideo、Nurego、

Pitney Bowes、OAG Analytics などの名前が挙がっ

ている。

 GE はこの ISV 向けプログラムの他にも、すでに「デ

ジタル・アライアンス・プログラム」と呼ばれる取り

組みを進めており、AT&T や Intel などの大手企業を

含む、270 社以上のグローバルパートナーを得ている。

 さらに同社は、2017 年中に ASEAN 地域と中東・

北アフリカ・トルコ地域にエコシステムの拠点である

「デジタルファウンドリー」を新設する予定であり、ド

イツにも欧州第 2 のデジタルファウンドリーを開設す

る。GE Digital は 2016 年にも、フランスのパリ、

中国の上海、米国のサンラモンの 3 カ所に同様の拠点

を開設している。

 GE は、プラットフォームの成功にはパートナーエ

コシステムの構築が必要不可欠であることを認めてい

るが、同社がその視点を取り込むには「まったく新し

い考え方を必要とした」と Ruh 氏は述べている。Ruh

氏によれば、GE がその観点を取り入れることができ

た理由の 1 つは、新たな人材を招いたことだったと

いう。例えば、Siri の開発者の 1 人である Darren

Haas 氏は、GE の Predix 構築を手伝っている。また、

Salesforce.com から GE Digital に加わった Denzil

Samuels 氏も、GE のエコシステム拡大に取り組んで

いる。

 「産業界の企業は伝統的に、このような形でエコシス

テムと関わることはなかった。産業界の企業はオープ

ンプラットフォームを持たず、専用の閉じたシステム

を所有している。GE Digital はエコシステムを新たな

形で説明しようとしている」と Ruh 氏は語った。

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IT企業としてのGEのゆくえ

こちらは、2017/08/24 に公開された記事(https://japan.zdnet.com/article/35105403/)を再録したものです。仕様等は公開時点のものです。

 現在、IT 部門にはデジタルビジネスへの対応が迫ら

れている。従来の IT 人材とは異なるデジタル人材(AI

/ IoT 人材など)が必要とされ、外部人材の採用と内

部人材の変革が喫緊の課題となっている。

 内部人材の変革には時間がかかる中、特効薬として

非常に重要なのが新卒も含めたデジタル人材の獲得(採

用)である。一方、旧来の通り一遍の採用方法では、

これまでとは価値観が異なるデジタル人材の採用は難

しく、企業にはデジタル起点での採用戦略の変革が求

められている。

 今回は、デジタル時代の新たな採用について、筆者が

必要と考える、“採用ブランディング”とそのポイントを、

グローバル先進企業の事例を交えながら紹介する。

新しい時代の到来?~デジタル時代における“採用”の重要性~

 世界的に労働人口は減少トレンドにあり、今後「人

材の獲得と確保」が経営の重要課題に押し上げられる

ことが予想される。

 人材の量的な課題の他にも、主要な労働力が“ミレ

ニアル世代”へとシフトしていることにより、労働人口

の職業選択の嗜好性が大きく変化しており、人材の質的

側面でも企業側の対応が迫られる時代になっている。

 IT 部門でも、デジタルビジネスへの対応が迫られ、

従来の IT 人材とは異なるデジタル人材(AI/IoT 人材

など)が必要とされているが、市場にこのような人材

は少なく、獲得競争は熾烈さを極めている。

「なぜデジタル人材はウチに来ないのか」--GE に学ぶ“採用ブランディング”のあり方

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IT企業としてのGEのゆくえ

こちらは、2017/08/24 に公開された記事(https://japan.zdnet.com/article/35105403/)を再録したものです。仕様等は公開時点のものです。

がより良い人材を獲得する時代が到来している。デジ

タル化とともに急速に進むグローバル化においても、

国境を越えられるデジタル(オンライン)のツールは

非常に有用であると考えられる。

新時代の最重要キーワード“採用ブランディング”戦略の構築

 このようなデジタル化により急速に変化する採用領

域でホットなキーワードの 1 つが“採用ブランディン

グ”である。

 「人材不足」「売り手市場」の時代、企業は「認知を

高め」、「採用候補者を引き寄せ」、最終的には「企業の

ファンになってもらう」ことが必要である。採用候補

者を、その企業の“ファン化”する活動が採用ブランディ

ングである。

 デロイトのグローバル・ヒューマン・キャピタル・

トレンド 2017 からも、実際に全世界の経営者・役員・

HR リーダーたちの 10 人に 8 人以上(約 83%)が「採

用」が重要(もしくは非常に重要)と考えていること

が分かる。

新時代の採用におけるトレンドの変化

 デジタル・ミレニアル人材は、従来の人材と比べ職業

に対する価値観が全く異なっている。旧来の通り一遍の

採用方法では、デジタル・ミレニアル人材の採用は難し

く、企業の採用戦略にも大きな変革が迫られている。

 そんな中、キャンパスリクルーティングやリクルー

ターの活用といった旧来の“対面型(オフライン)”採

用は終わり、デジタルツール(ウェブサイトや SNS、

動画など)を駆使し、ブランディングに成功した企業

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こちらは、2017/08/24 に公開された記事(https://japan.zdnet.com/article/35105403/)を再録したものです。仕様等は公開時点のものです。

 GE はこの GE Digital 立ち上げを契機に、徹底的

な採用ブランディング戦略を推し進めた。その結果と

して成功をおさめたのが、彼らが生み出した全く新た

な採用ブランディングキャンペーン“What’s the

matter with Owen”キャンペーンである。

 GE のエンジニアとして入社が決まった架空の人物

“Owen”君を題材にした 30 ~ 40 秒ほどのショート

ムービーがシリーズ化されテレビ CM や YouTube な

どで公開されると大きな話題となった。

 Facebook など SNS でも拡散された結果、「採用応

募者 800% 向上」と「自社の採用サイトへの流入が

66% 向上」という数字を出した。

 ストーリーもシンプルでストレートかつ自虐的な

ユーモアを含んでおり、つい誰かに教えたくなるよう

な中毒性をはらんだ拡散型コンテンツとなっている。

 採用候補者の職業選択の際の行動を見てみると、効

果的に採用ブランディング / マーケティングを実施で

きている企業においては、Attention(企業を認知する)

→ Interest(企業に興味を持つ)→ Search(企業を

調べる)→ Action(企業に応募する)→ Share(企

業を他者へ紹介する)の全てのプロセスにおいてその

企業のブランドイメージや好感度を高めることに成功

していることが分かる。

GE に学ぶ、徹底的な採用ブランディング戦略

 非常に難易度の高いデジタル・ミレニアル人材の採

用であるが、採用ブランディングによりこれを成功さ

せた先進企業の事例として今回は General Electric

(GE)を取りあげる。

 GE は事業戦略の変革を背景に、これまで全社横断

的に点在していたデジタル関連機能を 1 つに集約し、

2015 年新たに GE Digital を発足した。

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 反対に、どれだけクリエイティブを作りこんでも、

それを届けるターゲットや入念に紡ぎ出されたその企

業“らしさ”(Core Brand Essence)とリンクして

いなければ意味を持たない。WHO・WHAT・HOW

の統合的ブランド戦略の構築が重要である。

 先に紹介した GE は、Digital Industrial Company

への変革に向け、新たな採用ターゲットの策定・新た

な Core Brand Essence の定義・新たなチャネルの

活用を、統合的・一気通貫で実施していた。

 さらに、GE は「What’s the matter with

Owen」キャンペーンのような対外的なブランドコミュ

ニケーションだけでなく、内部の人事/採用施策につ

いても次々と新たなものを導入しており、名実ともに

徹底的なブランディング戦略を推進していると言える。

 懐疑的な嗜好性を持つと言われている現代のミレニ

アル世代にとって、“口先だけでない”ブランディング活

動も大きなポイントになってくるのではないだろうか。

 デジタル・ミレニアル人材採用の重要性・難易度が

高まる中、採用ブランディングの構築は、企業の規模

に関わらずデジタルビジネスを推し進める IT 企業全社

にとって取り組むべき一大アジェンダといえるだろう。

採用ブランディングのキーポイント

 魅力的なデジタル採用ブランディングに成功してい

る企業に共通しているポイントは、(1)採用ターゲッ

ト策定(WHO)、(2)Core Brand Essence の定義

(WHAT)、(3)クリエイティブ戦略 / 開発(HOW)

を一気通貫で、統合的に考えている点である。

WHO(誰に?) - 採用ターゲットの策定

• グローバル/ローカルで採用しようとしている候

補者を彼らの特徴・嗜好性も含めて把握し、採用

ターゲットとして可視化できるか

WHAT(何を?) - Core Brand Essence の定義

• その会社“らしさ”を、経営理念・使命・歴史・

現マネジメントや従業員の想いなどよりつむぎ出

し、Core Brand Essence (CBE) として定義で

きるか

• 加えて、その CBE は採用ターゲットに対して訴求

力が高いか、競合他社と比べて本当にユニークな

のかを分析し、煎じ詰めていく。

HOW(どのように?) - クリエイティブ戦略 / 開発

• Video・Game・Blog などのツール含め、ウェブ

サイト・SNS などチャネルのあり方が複雑化する

中で、それらの統合的・効率的な活用方法を戦略

として考えることができるか

• これまでの戦略も重要である一方、最終的に開発

するもの(ウェブサイト・Video など)の質の高さ、

洗練度が全てを決めると言っても過言ではないた

め、開発における適切なパートナー選定・投資等

も非常に重要なポイントとなる

 いくらきれいなブランド戦略を描いても、実際にそ

れを体現するクリエイティブ(ウェブサイトや SNS

など)が伴わないことには意味がない。

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IT企業としてのGEのゆくえ

こちらは、2017/07/06 に公開された記事(https://japan.zdnet.com/article/35103737/)を再録したものです。仕様等は公開時点のものです。

 デジタル変革にかかる費用は、安いものではない。

保守的な企業は、短期的な業績と未来への投資のバラ

ンスや、役員の交代に頭を悩ませている。デジタル変

革は素晴らしいものに見えるが、それも中核事業に減

速の兆しが見え始めるまでのことだ。

 この記事では、新たな指導者の下で、積極的に未来

への投資を進めている企業の例を紹介する。

 Mattel は子供の学びや発達を促し、将来科学や技術、

エンジニアリングの職に就くための準備ができるおも

ちゃを作ることに重点を置いた、デジタル変革の計画

を発表した。Mattelはまた、アナリティクスやユーザー

体験、デザインなどについても、昨今のテクノロジ企

業と似た主張をしている。

 しかし、それを実現するには費用がかかる。同社は

同時に、配当金をカットし、短期的な財務ガイダンス

を提供するのではなく、長期的な見通しに切り替える

ことも発表した。Mattel の最高経営責任者(CEO)

Margo Georgiadis 氏は、これまで配当に回していた

資金を、デジタル変革に投じる計画だ。同氏は次のよ

うに述べている。

 わが社は自社のパワーブランドを拡大し、ネットワー

クに接続された、全方位の遊びのシステムと体験を生

み出そうとしている。わが社は、デジタルファースト

ソリューションによって、新たな市場を拡大する。今

後はイノベーションのパイプラインを強化することに

力を入れると同時に、業務体制を見直し、より無駄が

なく、素早く、スマートな戦略を可能にする取り組み

を進めていく。また、企業文化と社内のチームの再活

性化を目指す。

 実際、6 月に開催された Mattel の投資家向けイベ

ントで行われた説明には、テクノロジや新時代のデザ

イン思考、プラットフォームに関する議論が多く盛り

込まれていた。明らかでないのは、Mattel に 2 月に

加わった Georgiadis 氏が、Mattel の再編を行い、イ

ンターネットに接続するおもちゃへと重心を移すため

に、何が必要になるかだ。Georgiadis 氏は、Google

で役員として米国の事業やさまざまな技術プロジェク

トを数年間担当した経歴を持つ。

 General Electric(GE)では、CEO の Jeffrey

Immelt 氏が退任して、GE Healthcare の CEO を務

めていた John Flannery 氏に交代することが決まり、

継承計画が発表された。GE はデジタル化に社運を賭

けており、「Predix」プラットフォームや、産業用イ

ンターネットに力を入れている。ただし、Immelt 氏

が率いる GE は、キャッシュフローや利益率の面から、

アナリストらには評判が悪かった。Flannery 氏は、デ

デジタル変革と企業が直面する現実

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IT企業としてのGEのゆくえ

こちらは、2017/07/06 に公開された記事(https://japan.zdnet.com/article/35103737/)を再録したものです。仕様等は公開時点のものです。

をどう好転させるのか、また電動化や新たな移動手段

に対してどのような戦略を持っているかが重要となる。

 また、Hackett 氏がデジタル化の動きを早めようと

する場合、Ford の株主はデジタル変革への投資をため

らう可能性がある。

 Nike や Taser、Campbells Soup、QVC などの企

業も、同様の問題を抱えている。今後数カ月間は、次

のようなポイントに注目していくべきだろう。

• デジタル変革の取り組みが成果を上げるには、数

四半期を必要とするが、変革に対して懐疑的な見

方が増えてくる。特に中核事業の業績が不調な場

合、「忍耐」とウォール街からの支持は両立しない。

• テクノロジ企業は、デジタル変革に関する議論を

ステップアップさせていく。IT ベンダーは、顧客

の改革を支援する魔法の弾丸を売り込もうとして

いる。エンタープライズテクノロジ市場ではすで

にこの考え方を売り込む声が強くなっているが、

今後はさらに強まっていく。急速な勢いで店舗を

閉鎖している小売業界が、エンタープライズテク

ノロジベンダーに人気がある理由を考えたことが

あるだろうか?小売業界は、生き残りのためにテ

クノロジに投資せざるを得ないからだ。テクノロ

ジベンダーは、それらの企業に夢を売りたいと考

えている。

• 今後は、IT ベンダーの売る魔法の弾丸と、デジタ

ル変革(あいまいな言葉だ)に対する忍耐が試さ

れる。この現実は、デジタル化の動きに対する反

動を生み出すだろう。もちろんほかに選択肢はな

いのだが、Gartner の言う「幻滅期」が来ること

は確実だ。

ジタル化と、デジタル変革に対する投資を重視してい

ると述べた。しかしその一方で、同氏は今後のデジタ

ル化の取り組みを見直すとも述べている。

 「これ(デジタル変革)が今後のわが社を決定づける

特徴だという見方は変わらない。デジタル変革は将来、

すべての産業を変容させる。そして、わが社はその分

野で勝利を収め、この分野をリードするための取り組

みを進めていく」と Flannery 氏は述べている。とは

いえ、デジタル化にはコストがかかる。Flannery 氏は、

収益、キャッシュフロー、そして人材を獲得しプラッ

トフォームを開発するのに費用がかかるデジタル事業

への投資のバランスを、どのように取るのだろうか。

ウォール街ではすでに、GE の各事業の評価が進めら

れており、GE Digital がスピンオフされるべきかどう

かを議論している。

 Ford でも最近、Mark Fields 氏が CEO を退任し、

Ford Smart Mobility の会長を務めていた James

Hackett 氏が就任すると発表した。Fields 氏は、同

社のデジタルプラットフォームと新しいビジネスモデ

ルに関して、積極的な取り組みを推進していた人物の

1 人だ。問題は、Ford もほかの自動車メーカーと同じ

ように、業績が悪化していることだ。新車販売におけ

る自動車リースの増加が、中古車販売市場へのリース

落ち自動車の流入を招いて時限爆弾になる可能性があ

る中、Ford は人事を大きく変更した。

 Evercore ISI のアナリスト George Galliers 氏は、

Hackett 氏には素早い対応が求められると述べている。

 新 CEO の Hackett 氏は、早めにメッセージを発信

する必要がある。投資家は Hackett 氏の今後の計画を

知る必要があり、特に、過去 12 カ月間の収益の低迷