経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of...

90
経済産業省 クールジャパン政策課 平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 (ボランティアを通じた共助社会の確立に係る調査研究) 報告書(別紙) 平成303

Transcript of 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of...

Page 1: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

経済産業省 クールジャパン政策課

平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

(ボランティアを通じた共助社会の確立に係る調査研究)

報告書(別紙)

平成30年3月

Page 2: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

1

1.本事業の背景と目的

2.企業ボランティアをめぐる背景

3.本調査における企業ボランティアの定義

4.今後想定される社会・企業の姿(シナリオ)とあるべき姿

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

6.地方創生への活用事例

7.アンケート調査結果

目次

Page 3: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

2

1.本事業の背景と目的

Page 4: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

3

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会をきっかけとして、ボランティア未経験者を含む多くの人がボランティア活動に関心を持ち、参加す

ることが期待されている。ボランティアの裾野が広がることにより、一過性のイベントボランティアにとどまらず、公的資源・支援に拠らない社会課題の解決手段としてのボランティア活用が現実化しうる。特に、「高齢者支援」「介護」「障がい者支援」「子育て支援」「災害」など、今後さらにニーズが高まる領域においてその可能性が期待される。

世界に目を向ければ、2008年のリーマンショック以降ESG投資が拡大を続けており、2014年に4.8兆ドルだった投資額は8.1兆ドルまで急増、グ

ローバル企業においては、持続可能性に配慮している企業であることを対外的に示す手段の一つとして、社会的な取組が必須となっており、社員のボランティア(以下、「企業ボランティア」という。)という形での社会貢献が価値向上の有力な方法として注目されている。

一方、国内においては、東日本大震災以降、企業の社会貢献活動は大きな変化を生んだものの、企業価値向上の一環としてのポジティブな取組としてまでは位置づけられづらく、概して「コスト」とみなされるケースが大半である。その理由として、企業ボランティア活動が社会や組織に対しどのような価値を生んでいるかについて、定性的な評価はあっても定量的に可視化できていないこと、国・地方公共団体・民間団体・企業・学校等の垣根を越えた安全・安心かつ社会的包容力のあるボランティア環境のあり方とその意味付けが未整備であること、等が挙げられる。

「まち・ひと・しごと創生基本方針2017」において、引き続き、国及び地方公共団体は地方創生に取り組むこととされているところ、財源や人材等が限られた地方公共団体における地方創生の取組に当たり、ボランティアの活用は有力な手段となる可能性がある。

これらの状況と問題意識を踏まえ、各種ボランティア主体の中でも企業ボランティアを中心として、研究会や各種調査等を用い、社会貢献活動や社会課題解決に係る活動を行う意義を整理するとともに、企業ボランティアの拡大・定着に当たっての課題を抽出し、求められる社会的機能の構築について検証する。

1.本事業の背景と目的

Page 5: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

4

「企業ボランティアを含む企業の社会貢献活動は、企業価値向上に向けたポジティブな取り組みである」との認識を広めるためには、何をすべきか? 何が障害になっているのか?

1.本事業の背景と目的

主な論点(1) 社会貢献活動に対する企業の認識について

(企業ボランティアを含む)

社会貢献活動は

“コスト”

(企業ボランティアを含む)

社会貢献活動は

“企業価値向上に向けたポジティブな取組”

現状(企業の一般的な認識) 目指したい姿(どう認識してほしいか?)

目指したい姿に移行するための課題は何か?

Page 6: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

5

「企業ボランティア」を狭く捉えるのではなく、従業員が企業を通じて社会貢献活動等に関わること全般を調査対象とする注1)。

その場合、ほとんどの場合において、企業と行政部門・NPO注2) 等との協働が想定されることになる。

したがって、前述から視点を変えた論点として、以下のとおり整理できる:「企業と行政部門・NPO等との協働がさらに増え、活性化していくためには、何をすべきか? 何が障害になっているか?」

1.本調査事業の目的、主要論点

主な論点(2) 企業と行政部門・NPO等の協働について

注1)調査のスコープは2.で後述注2)企業 :ここでは、本社部門(CSR担当部等)を示す(従業員と区別するため)

行政部門 :地方公共団体や学校などの行政主体を示すNPO等 :NPO法人、財団、社団、社会福祉法人等の、民間非営利・公益的組織(いわゆるソーシャルセクター)を示す

企業

行政部門

協働がさらに増え、活性化していくためには、何が必要か?

NPO等

Page 7: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

6

2.企業ボランティアをめぐる背景

Page 8: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

7

(1) 1995年、2011年、そして2020年

1995年:阪神・淡路大震災発生。多くの一般市民が災害ボランティアとして活躍した「ボランティア元年」

2011年: 東日本大震災発生。企業の支援は、単純な寄付から、「寄付+行動(企業ボランティア)」や、「自社の強みを生かした支援」へ

2020年:東京2020大会で、11万人以上のボランティアを募集予定。企業も様々なボランティア活動を実施

(2) 2000年代の「CSR」の浸透・定着。加えて、2010年代の「CSV」の考え方の広がり

企業が、「その本業を通じて社会的課題の解決と、経済的利益をともに追求する」というCSVの考え方の浸透

(3) 社会課題の多様化と、「コレクティブ・インパクト」の考え方の広がり

社会課題が複雑になり、かつ多様になっていく中で、行政やNPO等が個々に対応することが困難に

行政、企業、NPO等、地域など、立場の異なる組織が、組織の壁を越えてお互いの強みを出し合い、社会的課題の解決を目指すアプローチとして、コレクティブ・インパクトに注目が集まる

(4) SDGs採択とESG投資の拡大

2015年に採択されたSDGsでは、企業を主要な実施主体の一つと位置付けている

全世界のESG投資残高は過去2年間で25%増加。現在は約23兆ドル(約2600兆円、全世界の運用資産の3割)

→ (特に大企業に対して)社会課題解決へのコミットを求める傾向が強まる

(5) 「働き方改革」の進展

社員目線で見ると、生産性向上+副業解禁によって、余力や“越境”の増加が期待される

(6) 社会貢献意識の高まり

震災等を経てからの意識の変化

2.企業ボランティアをめぐる背景

押さえておくべき時代背景

Page 9: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

8

企業ボランティアの役割の拡大

2.企業ボランティアをめぐる背景

(1) 1995年、2011年、そして2020年

出所)兵庫県「ひょうご震災20年ボランタリー活動検証報告書」(2016年11月)、復興庁「民間企業による復旧復興支援活動」(2013年2月、2016年3月)、東京都・東京2020組織委員会「東京2020大会に向けたボランティア戦略」(2016年12月)、 オリンピック・パラリンピック等経済界協議会ウェブサイト、各種報道よりNRI整理

1995年の“ボランティア元年”、2011年以降の企業ボランティアの役割の拡大を経て、東京2020大会では11万人以上のボランティアが募集され、企業ボランティアも重要な役割を担うことになると見込まれる。

• 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020大会)では、11万人以上のボランティアを募集予定

• 経済界は、経団連・商工会議所・経済同友会を中心に「オリンピック・パラリンピック等経済界協議会」を組成し、ソフト

レガシー(文化・ムーブメント)と、ハードレガシー(科学技術・イノベーション)をテーマに、各種プログラムを推進・展開

• 特にソフトレガシー関連プログラムでは、多数の企業ボランティアを派遣中

• 2011年3月11日に東日本大震災が発生

• 企業による各種の寄付に加えて、企業としてのボランティア派遣や、自社の強みを活かした支援が増加

• 本業と密接に関係したボランティア活動として、自社サービス・専門スキルを提供するための社員派遣が行われた

• 復興に向けたボランティア活動を、社員研修に組み込む事例も見られた

• 1995年1月17日に阪神・淡路大震災が発生

• 震災後1カ月間は1日平均2万人、震災後1年間では137万7千人がボランティアとして活動

• 「過去にない多くのボランティアが駆け付けた」「学生や社会人等それまでボランティアの経験がなかった人が多数

参加した」「ボランティアが行政を補完する重要な役割を果たした」ことから、“ボランティア元年”と呼ばれる

“ボランティア元年”

テキスト

企業ボランティアをめぐる経緯:転換期を中心に

1995年

2011年

東京2020大会開催

2020年

Page 10: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

9

2000年代より、日本企業の間でCSRの概念が浸透し定着。加えて2010年代には、CSVの考え方が広がりつつある。

2.企業ボランティアをめぐる背景

(2) 2000年代の「CSR」の浸透・定着。加えて、2010年代の「CSV」の考え方の広がり

出所)経済産業省ウェブサイト(企業会計、開示、CSR政策)、東京財団「CSR白書2016」(2016年9月)、マイケル・E・ポーター、マーク・R・クラマー「共通価値の戦略」(2011年6月)、水尾順一「サスティナブル・カンパニー」(2016年8月)等よりNRI整理

CSRCorporate Social Responsibility

“企業の社会的責任”

• 企業が社会や環境と共存し、持続可能な成長を図るため、その活動の影響について責任をとる企業行動であり、企業を取り巻く様々なステークホルダーからの信頼を得るための企業のあり方を指す

• 2000年代初頭に相次いだ企業不祥事を受けて、大企業を中心にCSR専門部署を設置する動きが増加したことから、2003年が「CSR元年」と呼ばれる

CSVCreating Shared Value

“共通価値の創造”

• 企業が事業を営む地域社会の経済条件や社会状況を改善しながら、自らの競争力を高める方針とその実行を指す

• “長期志向”を取り入れて“経済価値と社会価値の両立”を目指す経営の枠組み、とも整理される

• マイケル・ポーターとマーク・クラマーが、2011年の論文(ハーバードビジネスレビュー掲載)で提唱したことを契機として、2010年代に日本企業で考え方が広がりつつある

CSRとCSVの概要

Page 11: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

10

CSRとCSVは、略称が類似しているが、その定義は全く異なる。

CSRは時代を超えた普遍的な概念であり、CSVはCSRのうち、時代の要請に応えるための重点課題であると考えられる。

2.企業ボランティアをめぐる背景

(2) 2000年代の「CSR」の浸透・定着。加えて、2010年代の「CSV」の考え方の広がり

CSRの4段階

出所)水尾順一「サスティナブル・カンパニー」(2016年8月)、水尾順一「戦略的CSRマネジメントと企業経営」(2004年6月)等よりNRI整理

社会貢献責任

経済的責任

倫理的責任

法的責任• 定められている法令を全て遵守して経営

すること

• 消費者やユーザー等が必要としている財やサービスを提供すること

• 法律の規制を超えた所での業界や企業独自の倫理観に基づく自主基準やガイドライン等を定め、遵守すること

• 慈善活動や文化支援活動への取り組み、地球環境保護への取り組み、従業員の働きやすい環境の整備など、「良き企業市民であること」を目指しての活動

攻めのCSR

守りのCSR

CSVは、CSRの重点課題(経済価値と社会価値の両立を

目指す“攻めのCSR”と位置づく)

CSVの位置づけ

Page 12: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

11

社会課題の多様化に伴い、多様な組織がセクターの壁を越えて共同で課題解決に取り組む「コレクティブ・インパクト」が注目を集めている。

2.企業ボランティアをめぐる背景

(3) 社会課題の多様化と、「コレクティブ・インパクト」の考え方の広がり

• コレクティブ・インパクトとは、複雑で込み入った

社会課題の解決に向け、行政、企業、NPO等の

市民社会、学校など多様なセクター注1)がそれぞ

れの強みやノウハウを活かしながら、協力するア

プローチである

• 2011年に学術論文注2)において定義された概念で、

全世界で急速に広まっている

• コレクティブ・インパクトが成果を出すために必要

な要件として、「共通のアジェンダ」、「共有された

評価システム」、「相互強化の取り組み」、「継続的

なコミュニケーション」、「取り組みを支える組織」の

5点が示されている

企業

行政部門

学校

NPO等

共同で課題解決に取り組む

注1)企業 :ここでは、本社部門(CSR担当部等)を示す(従業員と区別するため)行政部門 :地方公共団体などの行政主体を示すNPO等 :NPO法人、財団、社団、社会福祉法人等の、民間非営利・公益的組織(いわゆるソーシャルセクター)を示す学校 :幼稚園、小学校、中学校、高等学校、専門学校、大学などの教育機関を示す(国公立、私立を問わない)

注2)John Kania、Mark Kramaer “Collective Impact” 2011出所)各種公開情報よりNRI作成

コレクティブ・インパクトの概要

Page 13: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

12

2.企業ボランティアをめぐる背景

(4) SDGs採択とESG投資の拡大: SDGs

SDGsの概要

出所)国際連合広報センターウェブサイト、外務省ウェブサイト等よりNRI作成

国連でのSDGs (Sustainable Development Goals: 持続可能な開発目標)の採択など、国際的にも企業への期待が高まっている。

• 2015年9月の国連サミットにおいて全会一致で採択

• 国際社会全体の開発目標として、2030年までの包括的な17の目標を設定

• 政府、企業、市民社会を含む多様なアクター間の連携を重視

しているが、問題解決の主たる担い手として特に企業の役割

を重視している

(例)

ソーシャルビジネス、BOPビジネス等の活発化

貿易や投資で産業を興し、雇用の機会を確保 等

Page 14: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

13

2.企業ボランティアをめぐる背景

(4) SDGs採択とESG投資の拡大: ESG投資

ESG投資への注目度が高まっており、企業による社会貢献活動等が、資金調達にも影響を及ぼす可能性がある。

出所)GPIFウェブサイト、JICAウェブサイト、東京都ウェブサイト、各種記事よりNRI作成

事例

概要

• 環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)への配慮状況といった非財務情報が、財務情報に加えて投資先判断の検討要素となる

E: 気候変動等、地球環境問題への配慮 S: 多様な社会環境の改善への配慮 G: コンプライアンス遵守、情報開示等への配慮

• ESG投資残高は拡大傾向にあり、今後も持続的な成長が予想されている 全世界のESG投資残高は過去2年間で25%増加

現在は全世界の運用資産の3割を占める(約23兆ドル=約2600兆円)

• 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が1兆円規模のESG投資を開始 「FTSE Blossom Japan Index」、「MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数」、

「MSCI日本株女性活躍指数(WIN)」のESG指数を採用し、これらに連動したパッシブ運用を実施

• 国際協力機構(JICA)がJICA債をソーシャルボンドとして発行開始

• 東京都がグリーンボンドのトライアルとして「東京環境サポーター債」を発行

ESG投資の概要と事例

Page 15: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

14

2.企業ボランティアをめぐる背景

(5) 「働き方改革」の進展

出所)首相官邸ウェブサイト、厚生労働省ウェブサイト、各社ウェブサイト、各種記事よりNRI作成

一億総活躍社会の実現に向けて2016年に政府が「働き方改革」を提唱し、社会全体の共通認識になりつつある。

企業における取り組みも活発化しており、今後の企業ボランティアへの影響が期待される。

• 就業時間が削減され、ボランティア活動に充てる時間を捻出しやすくなる

• 企業に勤めながらNPO等にも勤めるような、副業やプロボノ活動等が行いやすくなる

• 長時間労働の是正、• 柔軟な働き方がしやすい環境整備

(テレワークや副業等)

【背景】• 急激な人口減少【目的】• 労働生産性の向上• 男性の家庭参加による出生率の向上

施策の方向性

背景と目的

期待される企業ボランティア

への影響

働き方改革の概要と企業ボランティアへの影響(抜粋) 企業における事例

• ロート製薬株式会社は2016年2月に「社外チャレンジワーク」制度を制定。就業時間外や休日を利用しての収入を伴う兼業を解禁

• 味の素株式会社は2017年4月に「どこでもオフィス」制度を導入。在宅勤務やサテライトオフィスの活用により、多様な働き方を推進

• 清水建設株式会社は、建設現場へAIロボットを導入。溶接や輸送等の一部作業を人ではなくロボットに行わせることで、長時間労働を是正

Page 16: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

15

「社会の一員として、何か社会のために役立ちたい」との社会貢献意識は長期的に上昇し、近年は65%前後で推移している。

2.企業ボランティアをめぐる背景

(6) 社会貢献意識の高まり

出所)内閣府「社会意識に関する世論調査」よりNRI整理

社会貢献意識の推移:「社会の一員として、何か社会のために役立ちたいと思っているか、それとも、あまりそのようなことは考えていないか」

65.4

32.1

10

20

30

40

50

60

70

80

2010年

2005年

2000年

1995年

1990年

1985年

2015年

1980年

1975年

(%)思っている

あまり考えていない

注)2016年度調査までは、20歳以上の者を対象として実施。2017年度調査から18歳以上の者を対象として実施。1994年度、1999年度、2001年度、2003年度のデータは確認できなかった。

(年度)

Page 17: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

16

3.本調査における企業ボランティアの定義

Page 18: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

17

一般的なボランティアの概念について、厚生労働省社会・援護局 地域福祉課は、下記の通り整理している。

3.本調査における企業ボランティアの定義

一般的なボランティアの概念

出所)厚生労働省「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」第5回資料(2007年12月)

• ボランティアについて明確な定義を行うことは難しいが、一般的には

• 「自発的な意志に基づき他人や社会に貢献する行為」を指してボランティア活動と言われており、

• 活動の性格として、「自主性(主体性)」、「社会性(連帯性)」、「無償性(無給性)」等があげられる。

「企業ボランティア」も、上記の考え方で整理できるか?

Page 19: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

18

一般的なボランティアの概念と、「企業ボランティア」と見なしうる活動には、ギャップが生じている。

例えば社員研修における復興支援への参加は「企業ボランティア」と見なしうるが、一般的な要件を満たさない可能性もある。

3.本調査における企業ボランティアの定義

一般的なボランティアの概念と、「企業ボランティア」が指し示す範囲の違い

「ボランティア」の一般的な要件

自主性(主体性)

自発的な意思に基づく

無償性(無給性)

報酬や金銭的な見返りを求めない

(実費等を得る有償ボランティアはありうる)

社会性(連帯性)

他人や社会に貢献する

いわゆる「企業ボランティア」と見なしうる活動とのギャップ

例: 新人研修で災害復興支援の活動に参加

→新人研修に組み込まれている時点で、企業から促されての活動であり、“自発的な意思に基づく”とは見なしにくい

→ボランティア活動と見なせるか?

例: 業務時間内に、地域奉仕活動に参加

→参加した従業員は、所属する企業から給与を得ているので、“無償の活動”とは見なしにくい

→ボランティア活動と見なせるか?

(社会性についてはギャップは見当たらない)

出所)「ボランティアを活用した共助社会の構築に向けた研究会」における議論よりNRI整理

Page 20: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

19

企業(法人)と、従業員については、分けて考える必要がある。

企業(法人)が、前述の3要件を満たしているのであれば、(たとえ従業員が満たしていなかったとしても、)企業が行うボランティア(=企業ボランティア)活動と見なせると考えられる。

3.本調査における企業ボランティアの定義

法人としての企業と、参加者たる従業員 ――― それぞれの視点での整理①

企業(法人として)

従業員(新入社員)

受益者(地域のNPO等)

(①相談)

新人研修のプログラムとして、業務時間内に、災害復興活動に新入社員を参加させることを決定した

↓自主性(主体性): ○ …企業の意思に基づく無償性(無給性): ○ …受益者から報酬を得ない社会性(連帯性): ○ …社会貢献活動の一環

②依頼

③活動参加

「新人研修で災害復興ボランティアに参加」の例

新人研修のプログラムとして、災害復興活動に参加

↓自主性(主体性): △ …企業から促されて参加無償性(無給性): × …給与を得る社会性(連帯性): ○ …社会貢献活動の一環

上の例は、(法人としての)企業が3要件を満たしているため、「企業ボランティア」と見なしてよいのではないか?

出所)「ボランティアを活用した共助社会の構築に向けた研究会」における議論よりNRI整理

Page 21: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

20

企業(法人)が、従業員に、業務時間外のボランティア活動を紹介し、参加するかしないかを従業員の判断に委ねる場合、従業員側が3要件を満たしているため、ボランティア活動と見なせると考えられる。

3.本調査における企業ボランティアの定義

法人としての企業と、参加者たる従業員 ――― それぞれの視点での整理②

企業(法人として)

従業員

受益者(地域のNPO等)

①紹介依頼

ボランティア活動を従業員に紹介(参加するかどうかの判断は従業員に委ねる)

↓自主性(主体性): △ …単なる紹介のみの場合も無償性(無給性): ○ …受益者から報酬を得ない社会性(連帯性): ○ …社会貢献活動の一環

②紹介

③活動参加

「企業(法人)が、従業員に、(業務時間外の)ボランティア活動を紹介」の例

会社からの紹介を受け、自らの意思で、業務時間外(休日など)に活動に参加

↓自主性(主体性): ○ …自身の意思に基づく無償性(無給性): ○ …業務時間外=給与なし社会性(連帯性): ○ …社会貢献活動の一環

上の例は、従業員が3要件を満たしており、また企業を通じて参加したため、「企業ボランティア」と見なしてよいのではないか?

出所)「ボランティアを活用した共助社会の構築に向けた研究会」における議論よりNRI整理

Page 22: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

21

3.本調査における企業ボランティアの定義

まとめ

• 「企業ボランティア」の定義は、一般的なボランティアの定義と同様に考えてよい

(自主性、社会性、無償性の3要素を満たしているかどうかで判断できる)

• 活動への実際の参加者たる従業員について、上記の3要素が満たされており、

かつ企業を通じて参加したのであれば、「企業ボランティア」と呼べる

(「企業が従業員にただ紹介しただけ」という場合も、ここでは「企業ボランティア」に含まれる)

• 従業員について上記3要素が満たされていなくとも、

法人としての企業が3要素を満たしていれば、やはり「企業ボランティア」と呼べる

(「新人研修にてボランティア活動を実施」は、この要件に従い「企業ボランティア」に含まれる)

本事業では、以上の考え方を基に、調査を実施

出所)「ボランティアを活用した共助社会の構築に向けた研究会」における議論よりNRI整理

Page 23: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

22

企業ボランティアの分類ならびにCSVとの関係性については、下記の2軸(2×2)で整理できる。

ただし、収益性、本業との関連性のいずれも、「あり・なし」の2元論ではなく、相対的かつ主観的な分類となりうる。

3.本調査における企業ボランティアの定義

企業ボランティアの分類と、CSVとの関係性

戦略的な企業ボランティア

活動収益性がない/低くボランティア活動と

みなすことができるが、本業との関連性

があり、長期的にはリターンがありうる

(CSVの準備・投資段階ともなりうる)

CSV活動本業との関連性が高く、

収益性も追求できている

(収益性があるので、

企業ボランティアとは整理されない)

狭義の社会貢献活動企業の社会的責任(CSR)の一つとして、

ボランティア派遣等を実施(本業との関連性が薄いとしても、

人材開発等の観点から利点がある。

知名度・イメージ向上等によっても、

企業価値向上につながりうる)

この領域は通常考えられない

その活動の収益性

その活動の本業との関連性

ない/低い ある/高い

高い

薄い

企業の社会貢献的な活動に関する分類

出所)「ボランティアを活用した共助社会の構築に向けた研究会」における議論よりNRI整理

Page 24: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

23

資生堂は、化粧行動を通じて社会課題の解決に資するという方針で、企業ボランティア活動を実施している。

3.本調査における企業ボランティアの定義

戦略的な企業ボランティア活動: 資生堂の取り組み

事例

出所)資生堂ジャパン株式会社へのインタビュー、同社ウェブサイトよりNRI整理

資生堂のボランティア活動への取り組み例

資生堂ライフクオリティー

メーキャップ

肌や外見上に深い悩み(がん治療の

副作用などによる外見上の変化やあ

ざ、傷あとや火傷あとなどの肌の凹

凸など)を持つ方へのメーキャップア

ドバイスを、全国約380ヶ所の化粧品

専門店、デパート、医療機関等で実

施。また、医療従事者のための外見

ケアセミナーを定期的に開催して情

報提供している

資生堂ライフクオリティー

ビューティーセミナー

介護施設、障害者施設、学校や企業、

病院、行政などからの多種多様な要

望に合わせ、スキンケアやメイク等に

関する講座を全国で開催。

社会人としての身だしなみや化粧行

動の心理的・身体的なエビデンスを

基にQOLの維持・向上、社会の抱え

る課題解決に貢献するサステナブル

な活動を展開している

出前授業

「資生堂子どもセミナー」

保健授業のサポートとして、肌が変わ

る思春期直前の主に小学校5・6年生

の男女児童を対象に、「肌」「清潔」

「紫外線」などについて伝えるとともに、

洗顔の実習などを含む体験型の出前

授業を実施

いずれも講師等として従業員を派遣し、自社事業に関連性の高い企業ボランティア活動を推進している

Page 25: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

24

味の素(株)は、財団法人を設立し、企業ボランティア活動の運営業務を移管することで、活動の継続性を高めている。

3.本調査における企業ボランティアの定義

戦略的な企業ボランティア活動: 味の素の取り組み

事例

出所)味の素株式会社へのインタビュー、同社ウェブサイト、公益財団法人味の素ファンデーション ウェブサイトよりNRI整理

味の素株式会社 公益財団法人味の素ファンデーション

• 2009年、事業を通じて解決を目指すべき「21世紀の人類

社会の課題」として「地球持続性」「食資源」「健康なこころ

とからだ」の3つの社会課題を発表

• 2014年、創業以来一貫した事業を通じての社会課題の解

決による経済価値の創造をASV(Ajinomoto Group Shared Value)と称し、事業活動そのものと位置づけ

• 「ASVを通じた価値創造ストーリー」を中軸にした中期経営

計画を作成し、「財務目標」と「非財務目標」が一体となっ

た「2020年度統合目標」を策定

• 2016年8月に一般財団法人として設立、2017年4月に公

益財団法人として認定

• 味の素(株)とは独立した財団とし、業績等による影響を減

らし、社会貢献活動の継続性を高めている

• 設立母体となった味の素(株)の強みや、それまでの活動

実績を活かし、国内においては「被災地復興応援 健康・

栄養セミナー事業」を実施している

(味の素(株)が運営していた事業を財団に移管。そのボラ

ンティア活動には味の素グループ社員が参加している)

ASV(CSV活動)に重点企業ボランティアを含む社会貢献活動に注力

運営主体を分けて役割分担

Page 26: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

25

4.今後想定される社会・企業の姿(シナリオ)とあるべき姿

Page 27: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

26

前述の背景および定義を踏まえると、今後の企業各社の対応は、2パターンに分かれていくのではないかと考えられる。

4.今後想定される社会・企業の姿(シナリオ)とあるべき姿

今後、想定される社会・企業の姿(シナリオ)

戦略的な企業ボランティア

活動CSV活動

狭義の社会貢献活動

その活動の収益性

ない/低い ある/高い

その活動の本業との関連性

高い

薄い

シナリオ1-①:企業が、本業と関連性のある社会課題の解決に向けた新たな取り組みを増やしつつ、自社も潤う。行政・NPO等との連携にも積極的に取り組む

シナリオ1-②:本業が何らかの社会課題解決に役立っていることをアピールしつつも、新たな取り組みは乏しい

※「戦略的な企業ボランティア」は、CSV活動がどのようなシナリオになるかに依存

シナリオ2-①:CSVや戦略的な企業ボランティアが主流になりつつも、企業の

社会的責任として、本業と関連性が低い分野においても、一定の社会貢献活動は継続(組織開発・人材開発上のメリットが重視される可能性もある)

シナリオ2-②:CSVを中心に据え、本業と関係のない社会貢献活動から縮小・撤退(ボランティア活動はしないが寄付等を続ける可能性はある)

出所)「ボランティアを活用した共助社会の構築に向けた研究会」における議論よりNRI整理

今後想定されるシナリオ

Page 28: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

27

今後目指したい社会としては、企業による「CSV活動」が活発になりつつも、本業と関連性の薄い「狭義の社会貢献活動」も継続されていく、という方向性であると、研究会では確認した。

その上で、「戦略的な企業ボランティア活動」が増え、ここからCSVへ展開される事例が増えていくことも期待される。

4.今後想定される社会・企業の姿(シナリオ)とあるべき姿

あるべき姿、目指したい社会の方向性

戦略的な企業ボランティア

活動CSV活動

狭義の社会貢献活動

その活動の収益性

ない/低い ある/高い

その活動の本業との関連性

高い

薄い

新たな取り組みが増える「シナリオ1-①」が中心となることが望ましい

CSVが活発になりつつも、継続的に実施される「シナリオ2-①」が望ましい

戦略的な企業ボランティアも増え、かつ、ここからCSVへ展開される事例が増えることが期待される

出所)「ボランティアを活用した共助社会の構築に向けた研究会」における議論よりNRI整理

目指したい社会の方向性

Page 29: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

28

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

Page 30: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

29

課題は、調査結果ならびに研究会における議論を踏まえ、下記5点と整理した。

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

課題の一覧

(1)企業ボランティアの利点の明確化と啓発

(2)企業内部における体制整備

(3)マッチング機能の強化

(4)コーディネーター・プロマネ人材の供給

(5)上記に係る政策的支援(啓発+促進)

企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

出所)「ボランティアを活用した共助社会の構築に向けた研究会」における議論、有識者・企業・NPO等へのインタビューよりNRI整理

Page 31: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

30

まずは、企業ボランティアの利点を整理・明確化し、事例を交えてさらに周知・啓発する必要がある。

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

企業ボランティアに関する企業認識の実態

企業においては、

企業ボランティアのメリットについて、

そもそも、まだあまり認識されていない

(または、整理されていない)

今後に向けた課題

企業にとってのメリットを整理・明確化

するとともに、

事例を交えた周知・啓発が必要

出所)「ボランティアを活用した共助社会の構築に向けた研究会」における議論、有識者・企業・NPO等へのインタビューよりNRI整理

(1)企業ボランティアの利点の明確化と啓発

Page 32: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

31

企業にとってのメリットは、主に3つの観点から整理可能である。

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

(1)企業ボランティアの利点の明確化と啓発: 利点の明確化について

出所)「ボランティアを活用した共助社会の構築に向けた研究会」における議論、有識者・企業・NPO等へのインタビューよりNRI整理

NPO等と協働して企業ボランティア活動を実施することの、企業にとってのメリット

メリット

マーケティングの観点

資金調達の観点

人材開発・獲得の観点

• 現地現物の調査

• 新製品開発の着想、試作(地域住民等とのコラボレーションを含む)

• ブランディング、ファン獲得、企業イメージの向上

• 人材育成(気づき、視野の拡大、スキル・人脈獲得等)

• モチベーションの向上

• 企業イメージ向上による採用活動への好影響

• 企業への誇り、エンゲージメントの向上

• ESG投資を呼び込むことができる(ただし、一部の大企業のみ)

Page 33: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

32

マーケティング・人材開発に関するメリットは、時系列の観点を含めて整理できる。

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

(1)企業ボランティアの利点の明確化と啓発: 利点の明確化について

注)上記のほか、企業内の各部門の視点や、企業の成長ステージ(創業期、成長期、成熟期等)からも整理できうる。出所)「ボランティアを活用した共助社会の構築に向けた研究会」における議論、有識者・企業・NPO等へのインタビューよりNRI整理

企業ボランティアの短期・中期・長期のメリット(例)注)

マーケティングの観点

人材開発・獲得の観点

事業開発

プロモーション

人材開発

人材獲得・リテンション

短期的なメリット 中期的なメリット 長期的なメリット

• 現地現物の調査• 地域とのコラボ等を通じた新商品・サービス開発

• 新事業開発(CSV)

• メディア等への露出増• レピュテーション向上• ファン獲得

• 長期的なブランド価値向上

• 気づきの獲得、視野の拡大• 一定のスキル・専門性・人脈の獲得

• イノベーション人材の育成• 経営幹部候補の育成

• モチベーションの向上• 従業員エンゲージメント向上• 人材市場での魅力度向上

• 潜在的な人材市場での魅力度向上(一般家庭、子ども等)

Page 34: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

33

企業ボランティアには限らないものの、企業による優れた社会貢献活動や、NPO等との協働を顕彰する取り組みが存在。

これらのさらなる認知度向上や、多様な視点からの周知・顕彰等を促す取り組みが求められる。(→ (5)政策課題で後述)

(1)企業ボランティアの利点の明確化と啓発: 啓発について

出所)NPO法人パートナーシップ・サポートセンター、公益社団法人日本フィランソロピー協会、東京ボランティア・市民活動センターへのインタビュー、公開情報よりNRI整理

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

企業による優れた社会貢献活動や、NPO等との協働を顕彰する取り組みの例

パートナーシップ大賞

• NPO法人パートナーシップ・サポートセンターが運営。2002年に創設し、2017年末までに12回実施

• NPOと企業の協働によって実施された事業を全国から募り、社会に多様なインパクトを与えた特色ある事業を顕彰

• NPOと企業の協働が可能であることを示し、その具体例によって「協働」の意味や価値、重要性を社会にアピールし、両者の協働を推進することを目的とする

企業フィランソロピー

大賞

• 公益社団法人日本フィランソロピー協会が運営。2003年に創設し、2017年末までに15回実施

• 社会の課題解決のために自社の経営資源を有効に活かし、経営理念に則った社会貢献活動を顕彰

• そうした社会貢献活動を社会に広めることにより、公正で温もりと活力ある社会を次世代に伝えるための一助とする

企業ボランティア・アワード

• 東京ボランティア・市民活動センターが運営。2015年から、2017年末までに3回実施

• 都内の企業で働きながら非営利団体でボランティアしている人たち(企業ボランティア・グループ)5グループ(社)の貢献を顕彰

• そうしたボランティア活動を表彰し、広く社会に広報することによって、企業人のボランティア活動への参加や、企業と非営利団体の協働を促進することを目的とする

Page 35: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

34

パートナーシップ大賞では、NPO法人等と企業との協働を顕彰し、広く社会に啓発している。

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

(1)企業ボランティアの利点の明確化と啓発: パートナーシップ大賞

事例

出所)NPO法人パートナーシップ・サポートセンターへのインタビュー、公開情報よりNRI整理

パートナーシップ大賞の概要 パートナーシップ大賞の特徴

• NPOと企業のパートナーシップを確立、活性化することにより新しい市民社会・新しい公共の実現に寄与することをめざし、パートナーシップ事例を選出・表彰している

• 協働の形を提示することによって、営利と非営利という相容れないと考えられる価値観であっても協働が可能であることを啓発している

• 単なる「ボランティア」の事例ではなく、さらに踏み込んだ活動を推進する狙いがある。例えば、グランプリを受賞している事業では、単なる連携ではなく、NPO法人と企業との協業が実現し、地域や社会の課題を解決している

Page 36: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

35

企業フィランソロピー大賞では、社会の課題解決のために自社の経営資源を有効に活かした社会貢献活動を顕彰している。

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

(1)企業ボランティアの利点の明確化と啓発: 企業フィランソロピー大賞

事例

出所)公益社団法人日本フィランソロピー協会へのインタビュー、公開情報よりNRI整理

企業フィランソロピー大賞の概要

目的• 社会の課題解決のために自社の経営資源を有効に活かし、経営理念に則った社会貢献活動を顕彰

• そうした社会貢献活動を社会に広めることにより、公正で温もりと活力ある社会を次世代に伝えるための一助とする

対象• 社会課題の解決や社会の健全な発展に寄与する活動を行う企業およびプロジェクト

(自薦・他薦どちらも可。事業所単位でも応募できる)

選考方法 • 書類審査および訪問調査(ヒアリング)

選考基準

• 社会性: 社会課題の解決に向けて真摯に取り組み、成果をもたらしている

• 先駆性: 固定観念や既成概念にとらわれず新たな社会価値を創造している

• 波及性: 地域や他企業などへの広がりが見られる

• 経営との関連性: 経営陣の関与・経営理念との関連性が明確である

• 従業員の関与:社内に広く理解され、積極的な従業員参加が見られる

Page 37: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

36

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

(1)企業ボランティアの利点の明確化と啓発: 企業ボランティア・アワード

事例

出所)東京ボランティア・市民活動センターへのインタビュー、公開情報よりNRI整理

企業ボランティアアワードの概要 企業ボランティアアワードの特徴

• 東京都内の企業で働いている人たちのボランティアグループが対象となり、対象者の中から、以下の選考基準で受賞者が決められる 従業員が主体的に活動している コミュニティや非営利団体のニーズに対

応している 企業で働いている人たちが参加しやすい 企業のリソースや従業員のアイディアが

活用されている

• 表彰式は、「企業ボランティアの祭典」の中で実施され、関係者とのネットワーキングも図られる

• 受賞グループには副賞として活動奨励金20万円が贈呈され、パートナーの非営利団体でのボランティア活動に使える

Page 38: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

37

企業内に置いては、経営トップのコミットと明確な戦略・仕組みがあった上で、現場社員に高い意識と余力があることが、成功のポイントとなる。

(2)企業内部における体制整備

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

企業ボランティアを含む社会貢献活動を成功させるためのポイント

経営トップのコミット

社員の意識と余力

社内の戦略・仕組み

• 企業として、社員に参加させる意義を経営トップが理解している(ただの草の根活動だけでは限界がある)

• 社内外に、くり返し発信できている

• 企業ボランティア活動・社会貢献活動に関する明確な戦略ができている

• 経営トップのコミットを受けて、社内を動かせる体制がある

• 社員が参加しやすいプログラム企画や制度づくり、周知ができている(参加者が社内で積極的に評価されるような仕組み・取り組みを含む)

• 社会貢献活動等に対して、社員が参画意識を持っている

• 実際に参画できるだけの余力がある(→「働き方改革」とも関連)

出所)「ボランティアを活用した共助社会の構築に向けた研究会」における議論、有識者・企業・NPO等へのインタビューよりNRI整理

Page 39: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

38

企業として、どのような目的のために(≒どのようなメリットを享受するために)、どのような社会貢献活動を実施するのか、を明確にし、それに向けた戦略を立ててPDCAを回すことが、企業ボランティアを含む社会貢献活動を検討する上でも有効。

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

(2)企業内部における体制整備: 戦略構築について

Action

C

PDo

Check

PlanD

A

• 社会貢献活動の目的は何か?

• そのために、どのような活動を行うか?

• どのような成果指標(KPI)を設定し、

モニタリングするか?

→ 社会貢献活動であっても、

戦略的に検討することは有効

当初に定めた戦略を基に、活動を評価

(目的、戦略、KPIがなければ、そもそも

評価できない)

評価結果を基に改善策を検討・導入

当初に定めた戦略を基に、活動を実践

出所)「ボランティアを活用した共助社会の構築に向けた研究会」における議論、有識者・企業・NPO等へのインタビューよりNRI整理

企業ボランティアを含む社会貢献活動に関するPDCAサイクルの考え方

Page 40: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

39

戦略を検討する際には、BSC(バランス・スコアカード)の枠組みが活用できる。

BSCは、目的の実現に向けてどのような活動を行うのか、を考えるための枠組みであり、「戦略マップ」として表現できる。

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

(2)企業内部における体制整備: 戦略構築について

ビジョンの実現(財務・非財務/長期)

ビジョンを実現するために、顧客・ステークホルダーに対して

いかに働きかけるべきか?

財務的利害関係者から見て我々はどう見えるべきか、どのように収益化するか?

顧客・ステークホルダーと収益化の双方を満たすために、

我々は何に秀でるべきか?

そのエリアで秀でるためには、組織構成員はいかに協力し、

コミュニケーションをとり、働くべきか?

究極的なゴール(ビジョンの視点)

顧客・ステークホルダーの視点 収益化の視点

内部プロセスの視点

学習と成長の視点注:BSC(バランス・スコアカード)

組織の戦略策定と業績評価をする経営管理手法で、1990初頭にハーバード大学のロバート.S.カプラン教授らによって開発されたフレームワーク

出所)Strategy-Focused Organization(HBS Publishing 2001) p.155を一部参照しNRIにて作成

「ビジョン実現」を最上位の目標に掲げたCSV型BSCの考え方

Page 41: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

40

セールスフォース・ドットコムでは、創業の理念に基づいて社会貢献活動を行っている。

「経営トップのコミット」、「社内の戦略・仕組み」、「社員の意識と余力」のバランスが取れた取り組みを行っている。

(2)企業内部における体制整備: セールスフォース・ドットコムの取り組み

出所)株式会社セールスフォース・ドットコムへのインタビュー、公開情報よりNRI整理

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

事例

セールスフォース・ドットコムにおける社会貢献活動への取り組み

経営トップのコミット

社員の意識と余力

社内の戦略・仕組み

• 世界を良くすることが創業の理念であり、創業と同時に財団を設立

• 社内において、営利活動と非営利活動を、あえて明確に分けていない

• 年7日間の有給ボランティア休暇や、プロボノ支援プログラム等を整備

• 自社アプリ「Volunteerforce」において、ボランティア活動への参加状況等記録され、社員に活動状況が共有される

• 現場社員による社会貢献委員会が社内に設置され、企画検討している

• 年間目標設定の際に、社会貢献活動を目標に含める社員も存在

Page 42: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

41

セールスフォース・ドットコムでは、製品の1%、株式の1%、就業時間の1%を活用してコミュニティに貢献する社会貢献モデル「1-1-1モデル」を構築している。

(2)企業内部における体制整備: セールスフォース・ドットコムの取り組み

出所)株式会社セールスフォース・ドットコムへのインタビュー、公開情報よりNRI整理

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

事例

セールスフォース・ドットコム「1-1-1モデル」での成果

製品の1%

株式の1%

就業時間の1%

全世界で34,000団体以上のNPOを支援

全世界で2億ドル以上を寄付

全世界で260万時間以上を支援

Page 43: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

42

企業内だけではなく、社会全体への便益、効果、変化等を評価する手法の活用も考えられる。

「社会的インパクト評価」等の手法を活用することにより、社会全体への便益等を計測し、評価することが可能になる。

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

(2)企業内部における体制整備: 社会的インパクト評価

社会的インパクト評価の代表的な手法

ロジック・モデル

社会的投資収益率

(SROI)

• 「もし~ならば、こうなるだろう」という仮説のもと、資源(インプット)と活動(アウトプット)、成果(アウトカム)を繋ぎ合わせ、事業が成果を上げるために必要な要素を体系的に図式化したもので、事業の設計図と言える。

• 図の形式は決まっておらず、構成要素を表にまとめたり、矢印で繋いだりすることが一般的である。

• 活動がもたらした便益について、経済的な収益だけでなく、より幅広に社会的価値も含めて評価を行う手法。費用便益分析の手法の一つ。

• 活動の社会的価値を貨幣価値に換算したうえで、投入した費用に対してどのくらいの社会的便益があったかを算出する。

出所)内閣府「社会的インパクト評価に関する調査研究」(2016年)よりNRI整理

Page 44: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

43

NPO法人 放課後NPOアフタースクールは、資金提供元である日本ベンチャーフィランソロピー基金と共同でロジック・モデルを構築し、KPIを設定・計測することにより、活動の成果を可視化している。

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

(2)企業内部における体制整備: 社会的インパクト評価

事例

出所)内閣府「社会的インパクト評価に関する調査研究」(2016年)よりNRI整理

ステークホルダー アウトプット

初期アウトカム

中間アウトカム

最終アウトカム

安心安全な場所(預かり)

学習環境整備学習習慣づけ

多様なプログラムへの参加

大人や仲間との出会い

施設での安全の確保

意欲の向上

挑戦・達成の経験(自分自身)

多様な仲間との経験(他人へ)

通学時等の犯罪遭遇率の減少

学力向上(アカデミック)

自己肯定感の向上

(エモーショナル)

コミュニケーション能力の向上(ソーシャル)

子どもの安全

子どもの生きる力の向上

時間(アフタースクール

への参加)子ども

自分の時間の確保

良質な教育機会の提供

就労機会の創出仕事復帰

子どもの安全な居場所確保

充実した経験の共有

女性の社会進出の促進

子育て環境充実度向上

保護者のQOL*の向上

時間・費用保護者

*クオリティ・オブ・ライフ

アフタースクールの実施

公立校でのアフタースクールモデルの確立

私立・公立複数校での展開

全国でのアフタースクール

の展開

時間、予算スタッフ、

ボランティア

放課後NPO

インプット

注)ステークホルダーは一例であり、他にもアフタースクールの市民先生、学校などもステークホルダーである。

放課後NPOアフタースクールによるロジック・モデル

Page 45: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

44

企業が、適切な協働相手を見つけることが、従業員にとっての大きな価値となっている可能性がある。

ただし、企業が個々に努力して協働相手を見つけているのが現状であり、より効果的なマッチング機能が求められている。

すでに下記のような取り組みがあるが、さらなる認知度向上や、新たな取り組みが求められる。(→ (5)政策課題で後述)

(3)マッチング機能の強化

出所)新公益連盟、岡山NPOセンター、アイディール・リーダーズへのインタビュー、公開情報よりNRI整理

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

企業とNPO等とのマッチング機能を担う組織の例

新公益連盟• ソーシャルビジネスを担うNPO・企業等が集まり2016年に発足。90団体超が加盟

• 行政・企業・政党などからの要望・問い合わせに対する窓口となり、行政・企業等とNPO等をつなぐ機能を果たす

• 加えて、政策提言やソーシャルセクター内の関係構築・経営力強化などを目的とした活動を実施

NPO法人岡山NPOセンター

• 岡山県における地域の課題と、その解決に取り組むNPOを一覧できるサイト「おかやまシェア・ウェブ」を運営

• NPOの組織基盤強化や、企業との連携促進を多く手がける一方で、企業に対してCSR関連コンサルティングを実施

• 「岡山県社会福祉協議会」と共同運営する「岡山ボランティア・NPO活動支援センター」ではボランティア参加を支援

アイディール・リーダーズ(株)

• 企業から出された“共創テーマ(お題)”に対し、NPOがアイディアを提案する形のマッチング・紹介サービス「Co-creAction」事業を2015年から運営(現在3回目を実施中)

• 企業の“お題”設計や、NPOの提案作成を支援するほか、マッチング~共創事業開始までの企業・NPOへの伴走支援を実施

• 応募があったNPOの提案の中から、Co-creAction Award授賞式にて最優秀賞・優秀賞を選定

Page 46: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

45

新公益連盟は、行政・企業・政党等に対する窓口となり、行政・企業等とNPO等をつなぐ機能を果たしている。

(3)マッチング機能の強化: 新公益連盟の取り組み

出所)新公益連盟へのインタビュー、新公益連盟ウェブサイトよりNRI整理

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

事例

目的

• NPOや社会的企業のアクションチームを作り、

• 社会課題解決のための制度改革や様々なセクターとの協働、ソーシャルセ

クターの経営力強化を行うことを通じて、

• 社会的排除や抑圧、貧困、不正等によって苦しむ人々をエンパワーメントし、

• 日本をより多くの社会課題解決事例が創出され続ける社会とすることで、

• 公益の増進に寄与すること。

活動内容

●政治と社会への働きかけ

ソーシャルセクターの存在意義・影響力増加により社会課題解決を促進

させる。社会課題に関わる人を増やす。

●社会課題に取り組む事業者間の連帯

ソーシャルセクターとして歩むべき道を可視化する。ソーシャルセクターの

人材育成を促進し、課題解決能力を向上させる。

参加団体 NPO、財団、社団、企業など90団体超

新公益連盟の概要

Page 47: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

46

岡山県における地域の課題と、その解決に取り組むNPOを一覧できるサイト「おかやまシェア・ウェブ」を運営。NPOの組織基盤強化や、企業との連携促進を多く手がける一方で、企業に対してもCSR関連コンサルティングを実施している。

3.マッチング機能の強化

(3)マッチング機能の強化: 岡山NPOセンター等における取り組み

出所)岡山NPOセンターへのインタビュー、ウェブサイト「おかやまシェア・ウェブ」よりNRI整理

事例

岡山NPOセンターによる取り組みの概要

• ウェブサイト「おかやまシェア・ウェブ」の運営

いわゆる普通の人や若者をいかにして巻き込むかという課題意識からスタート

一般の人に分かりやすいよう、社会課題を分野別にカテゴライズ。そこから進んで、NPOの情報や取り組みについて見られるようにしている

• 社会課題と社会を繋ぐ中間支援の実施

世の中に知られていない問題点を明らかにし、その解決に向け行政、NPO、企業、学校等と連携

寄付やボランティアを通じて社会課題への当事者意識を持った人を増やし、市民(当事者)による自然治癒力が高い町を作ることが目標

NPOの組織基盤強化や企業との連携促進を多く手がける一方、企業に対するCSRコンサルも実施

Page 48: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

47

Ideal Leadersが運営する「Co-creAction」では、企業が“お題”を出しNPOが事業アイディアを提案する形でマッチングを実施。

企業にとっての協働のメリットを明確にし、単なる一方的な施しではなく、持続的な“共創”とすることを目指している。

進めるにあたっての各段階で、双方の理解を促進させるようにIdeal Leadersが支援している。

(3)マッチング機能の強化: Co-creActionにおける取り組み

出所)アイディール・リーダーズ(Ideal Leaders)株式会社へのインタビュー、同社ウェブサイトよりNRI整理

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

事例

企業による“お題”の提示

• 複数の企業より、経営課題等を“お題”として提示• “お題”の内容は、社会課題と紐づいていなくてよい• 2017年度は、9社から22件の“お題”が提示された

• “お題”に対し、NPO側の知見やリソースを活かし、社会課題解決と両立できる事業アイディアを提案

• 2017年度は29のNPOから合計48の提案が集まった

• 「Co-creAction Award」授賞式で発表・審査・顕彰• マッチング成立後は、企業とNPOが対等なパートナーとして検討を開始する

企業からの“お題”を、NPOが取り組みやすくなるようにアレンジ

Ideal Leadersによる支援

NPOによる提案を、企業が理解・検討しやすくなるようにアレンジ

マッチング~共創事業開始までの一定期間を伴走支援

NPOによる事業アイディアの提案

マッチング成立、協働開始

概要・特徴実施の流れ

Co-creActionの概要

Page 49: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

48

ボランティア人材の募集(マッチング)について、例えば米国では、ボランティアの出し手・受け手をつなぐ新しい仕組みとして、各種オンラインプラットフォームが活用されており、ボランティア活動への参加希望者は簡易なプロセスを経てボランティアに参加することができる。

サイトによって特徴があり、目的によって使い分けることができる。

例)個人ボランティアのみを募集するもの、企業とNPOをマッチングするもの、専門性・スキルを活かすことに特化しているもの、大衆参加型のボランティアを募集するものなど

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

(3)マッチング機能の強化: 海外事例 - オンラインプラットフォームの活用

オンラインプラットフォーム上での応募の流れ(Catchafireの場合) 海外オンラインプラットフォーム例

• マッチングされた団体に対して活動実施

• 登録情報を基にマッチング• 場合によってはインタビューを実施

• 自己プロフィール(興味のある分野、保有スキル、実務経験等)を作成し、応募

• NPOが登録した条件(地域、必要なスキル、所要時間等)を参考に、自分に合う案件を検索

案件の検索

登録・応募

マッチング

活動実施

オンライン化によってこのプロセスが簡易化されている

• Catchafire• Points of Light• Do Something• idealist.org• Volunteer Match• Serve.gov• PYXERA Global 等

出所)各社ウェブサイトより作成

海外事例

Page 50: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

49

米国の「Catchafire」は、募集条件を詳細に設定でき、応募者側の参加の仕方も自由度が高い。

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

(3)マッチング機能の強化: Catchafire(米国)の事例

ボランティア案件の募集サイト:「Catchafire」 Catchafire の特徴

出所)CatchafireウェブサイトよりNRI整理

• NPO等が、参加地域、必要なスキル、所要時間などの募集条件・スペックを詳細に設定できる

• 応募者側は、上記を参考に、専門性を活かせるかどうか等を細かく確認しながら、自分に合った案件を検索できる

• 自由度が高い働き方ができる(長期間による実地での活動から、1時間での電話相談まで)

海外事例

Page 51: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

50

米国の「Points of Light」は、企業ボランティア促進する各種サービスを展開している。

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

(3)マッチング機能の強化: Points of Light(米国)の事例

ボランティア案件の募集サイト:「Points of Light」 Points of Light の特徴

• 他のオンラインプラットフォーム同様、ボランティアを募集するNPOが詳細な条件を設定し、応募者は自分の能力や希望に合った案件を検索し、応募することができる

• 一方、企業向けの各種サービスも展開している。

• NPOへのボランティア派遣や寄付の斡旋

• 従業員ボランティアプログラムの開発を目的としたコンサルティングサービス など

出所)Points of LightウェブサイトよりNRI整理

海外事例

Page 52: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

51

米国の「Do Something」は、有力スポンサーによる支援を土台に、各種ボランティアや寄付のマッチングを行っている。

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

(3)マッチング機能の強化: Do Something(米国)の事例

ボランティア案件の募集サイト:「Do Something」 Do Something の特徴

出所)Do Somethingウェブサイト、Charity NavigatorウェブサイトよりNRI整理

• 参加者は分野、時間、タイプの3つの方法で自分に合った社会貢献活動を検索することが出来る

分野: 環境、教育、差別、健康等

時間: 1時間以下、2-5時間、5時間以上

タイプ:寄付、イベント企画等

• 多数の大手企業がスポンサー企業になっており、財務の健全性が広く認められている。

米国最大のチャリティー評価機関である「Charity Navigator」より、過去9年間にわたり最高評価を取得(全体の1%以下)

海外事例

Page 53: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

52

「知る」ための短期的なボランティアには、双方のニーズを迅速かつ的確に結びつけるポータル・マッチング機能が重要。

一方で、「貢献する」ための長期的なボランティアには、分野を超えたステークホルダーをコーディネートしたり、プロジェクト全体を運営する(マネジメントする)機能が必要となる。

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

(4)コーディネーター・プロマネ人材の供給

短期的な参加(例:単発・数回)

「知る」 •イベント参加

「貢献する」

•プロボノ•出向•コレクティブインパクトへの参画

出所)「ボランティアを活用した共助社会の構築に向けた研究会」における議論、有識者・企業・NPO等へのインタビューよりNRI整理

長期的な参加(例:3か月以上)

ボランティア参加の趣旨 参加形態の例

•マッチング機能が必要(課題としては既述)

•分野を超えたコーディネート機能、プロジェクトマネジメント機能が必要

課題

Page 54: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

53

企業とNPO等が協働する際に、その活動規模・期間が大きくなるにつれて、コーディネーションやプロジェクト・マネジメントを担う人材の重要性が増すが、この人材が不足している。

対策としては、①NPO等における人材の育成支援、または②企業からNPO等への長期人材派遣、の2つが考えられる。

②のうち、組織レベルでの人材派遣を促進させる取り組みが弱く、この強化が課題といえる。(→ (5)政策課題で後述)

(4)コーディネーター・プロマネ人材の供給

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

出所)公開情報、有識者・企業・NPO等へのインタビューよりNRI整理

企業とNPO等の協働に向けた

コーディネーションや

プロジェクト・マネジメントを

担える人材が不足

対策の方向性

①NPO等における人材の育成支援

• NPOサポートセンター等の中間支援団体による人材育成プログラム、研修

• 内閣府によるNPO運営力強化支援事業 等

事例

②企業からNPO等への長期的な

人材派遣の促進

【個人ベース】

• 認定NPO法人サービスグラント:プロボノ推進事業

• NPO法人二枚目の名刺:「NPOサポートプロジェクト」等

【法人ベース】

→実態としては、各社個別で実施しているケースがほとんどで、かつ事例も少ない(外資系企業が中心)(促進事業は、サービスグラントの「企業協働プログラム」や、クロスフィールズの「留職プログラム」など一部のみ)

Page 55: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

54

NPO法人クロスフィールズでは、企業の社員を新興国のNPOなどに長期間派遣し、現地の社会課題の解決に挑ませる「留職プログラム」を運営している。

(4)コーディネーター・プロマネ人材の供給: クロスフィールズの事例

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

出所)NPO法人クロスフィールズへのインタビュー、クロスフィールズ ウェブサイトよりNRI整理

事例

「留職プログラム」の概要 「留職プログラム」の2つの狙い

派遣先の新興国NPO等にとって:

•企業の力を活用した課題解決の加速

派遣元の日本企業にとって:

•リーダー育成

•現地理解

•イノベーション創出

新興国の社会課題の解決と、企業のリーダー人材育成の

両方を同時実現することを目指す

Page 56: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

55

これまでに整理してきた課題のうち、(1)~(3)については、既存の取り組みが複数存在しており、まずはそれらを周知・啓発等により支援していくことが、政策的な取り組みとしても有効と考えられる。

(5)政策的支援

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

(1)企業ボランティアの利点の明確化と啓発

(2)企業内部における体制整備

(3)マッチング機能の強化

(4)コーディネーター・プロマネ人材の供給

企業ボランティアの活用・促進に向けた課題(再掲)

出所)「ボランティアを活用した共助社会の構築に向けた研究会」における議論、有識者・企業・NPO等へのインタビューよりNRI整理

政策的な支援策(案)

①下記の周知・啓発を進める:• 企業ボランティアのメリットについて

• 顕彰やマッチングに関する事例について

②加えて、以下の取り組みも考えられる:• 企業にとってのメリットや、企業の戦略的な

アプローチへの注目を促すような取り組み

(シンポジウムで特別セッションを実施する、

政府自ら顕彰する 等も含む)

Page 57: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

56

経済産業省は東京証券取引所と共同で、女性活躍推進に優れた上場企業を「なでしこ銘柄」として選定し、発表している。

このような政府による周知・啓発は注目度が高く、参考となりうる。

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

(5)政策的支援 - 政府による周知・啓発: 「なでしこ銘柄」について

出所)経済産業省ウェブサイトよりNRI整理

「なでしこ銘柄」の概要

• 経済産業省は、東京証券取引所と共同で、2012年度より女性活躍推

進に優れた上場企業を「なでしこ銘柄」として選定し、発表している

• 「女性活躍推進」に優れた上場企業を、「中長期の企業価値向上」を

重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介し、企業への投資を

促進し、各社の取組を加速化していくことを目指している

• 2016年度は、「なでしこ銘柄」47社、「準なでしこ」25社を選定した

事例

Page 58: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

57

コーディネーター・プロマネ人材の供給については、個人レベルでのプロボノ参加を促すような取り組みはあるものの、法人レベルでの取り組み事例や促進策は少ない。

まず行政からNPOへの人材の流れを創出することに加え、企業からの人材供給に関する優遇策も検討が求められる。

(5)政策的支援

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

(1)企業ボランティアの利点の明確化と啓発

(2)企業内部における体制整備

(3)マッチング機能の強化

(4)コーディネーター・プロマネ人材の供給

企業ボランティアの活用・促進に向けた課題(再掲)

出所)「ボランティアを活用した共助社会の構築に向けた研究会」における議論、有識者・企業・NPO等へのインタビューよりNRI整理

政策的な支援策(案)

①「行政→NPO」という人材の流れの創出

②人材を供給する企業への優遇策

Page 59: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

58

新公益連盟は、企業だけでなく、「行政からNPOへ」という人材の流れを創出することを提言している。

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

(5)政策的支援 - ①「行政→NPO」という人材の流れの創出: 新公益連盟による提言

出所)新公益連盟 人材分科会 資料(日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2017で公開)

企業に対して

企業役員をNPO理事に!役員や役員候補の管理職層がNPOの理事(社外役員)に就任することを人事制度上で推奨する。これにより、社会的価値に目が拓かれた経営層が日本でも育つ。

NPOリーダーを社外取締役に!企業の社外取締役としてNPOの経営者を起用する動きを促進していく。これにより、企業があらゆる意味で社会的責任を果たせる世の中の実現を推進する。

行政に対して

国家公務員のNPO出向の実現!2015年の官民交流法の改正により、国家公務員の出向先が民間企業だけでなくNPOにも対象が広がったものの、まだ実績がない。早急に第一例の実績を目指したい。

行政職員のプロボノ奨励と、NPO限定での副業公認!行政職員がプロボノや副業でNPOの活動にかかわりやすくすることで、社会課題の現場により精通した公務員の育成を目指すとともに、課題解決を加速する。

Collective Impact創出に向けた新公益連盟人材分科会からの提言

Page 60: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

59

優れた取り組みを行っている企業を顕彰・認定し(前述の(1)に関連)、各種の優遇策を設けることも検討課題となる。

(5)政策的支援 - ②人材を供給する企業への優遇策

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

優遇措置

• 認定状況に応じて、例えば下記のような優遇措置を受けられるようにする

税制面での措置

公的金融機関からの低利融資

公共調達における加点 等

• 本件に関して優れた取り組みを行っている企業を顕彰・認定する

(認定条件等の詳細設計が必要)優良企業の認定

企業への優遇策の考え方

出所)「ボランティアを活用した共助社会の構築に向けた研究会」における議論、有識者・企業・NPO等へのインタビューよりNRI整理

Page 61: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

60

厚生労働省では「女性活躍推進法」に基づき、一定の基準を満たす優良企業を認定している(えるぼし認定、3段階)。

「えるぼし認定」を受けた企業は、公共調達や低利融資などの優遇措置を受けられる。

このような政策的支援は、企業の行動を変えるインセンティブとなるため、参考となりうる。

(5)政策的支援 - ②人材を供給する企業への優遇策: 女性活躍推進法について

注)認定基準や手続き、優遇措置の詳細等は厚生労働省ウェブサイトに掲載されている。出所)厚生労働省ウェブサイトよりNRI作成

5.企業ボランティアの活用・促進に向けた課題

事例

優遇措置

• 認定段階に応じて、下記の優遇措置を受けられる

公共調達による加点評価

(国が価格以外の要素を評価する調達において)

日本政策金融公庫による低利融資

認定マークの活用(名刺、商品等への掲載)

• 「女性の職業生活における活躍の状況に関する実績」の下記5項目を、企業が都道府県労働局に届出:

①採用、②継続就業、③労働時間等の働き方、④管理職比率、⑤多様なキャリアコース

• 上記基準を満たし、その実績を厚生労働省ウェブサイトに毎年公表することで、えるぼし認定を受けられる

(満たす項目数によって1~3段階に分かれる)

優良企業の認定

女性活躍推進法における企業認定の概要注)

認定マーク「えるぼし」

1段階目 2段階目 3段階目

Page 62: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

61

6.地方創生への活用事例

Page 63: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

62

6.地方創生への活用事例

地方創生においては、地域の「稼ぐ」を作り出すことが大きな目標となっている

総合戦略(2015~2019年度の5カ年)長期ビジョン

基本目標(成果指標、2020年) 主な施策中期展望(2050~2060)

• 人口減少の歯止め

• 「東京一極集中」の是正

Ⅰ.人口減少問題の克服

(人口1億人を割らない)

Ⅱ.成長力の確保

(実質GDP率1.5~2%)好循環を

支える

「まち」の

活性化

① 生産性の高い地域経済実現

② 観光業の強化、農林水産業の強化

③ 地方への人材還流、地方での人材育成、雇用対策

• 地方における安定した雇用を創出する

• 地方への新しい「ひと」の流れをつくる

• 若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる

① 地方移住の推進

② 企業の地方拠点強化、地方採用・就労拡大

③ 地方移住の促進

① 若者雇用対策の推進、正社員実現の加速

② 結婚・出産・子育て支援

③ 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現(「働き方改革」)

• 時代に合った地域づくり、安心な暮らしを守るとともに、地域と地域を連携する

「しごと」と「ひと」の好循環づくり

中央行政

地方行政

地方人口ビジョンと地方版総合戦略の策定

情報支援 人材支援 財政支援

国家戦略特区/規制改革/社会保障制度改革/地方分権改革

出所) 内閣官房「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」および「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(2016年改訂版)の全体像等に関する資料に基づきNRI作成

Page 64: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

63

6.地方創生への活用事例

企業と地域の双方にメリットがあれば、連携・協働が進みやすい

出所)事例調査を基にNRI分析

地方創生に向けては、最終的に「地方の課題を解決しつつ稼ぐ」状態への到達がより求められている。

したがって、地方においては、社会課題解決の視点に加え、企業にとってメリットがあること、またCSVにつなげられるような戦略的な企業ボランティア活動を推進していくことが重要となると考えられる。

企業と地域の協働を成功させるためのチェックポイント(例)

地域の課題に寄り添っているか

• 実施しようとしている取り組みが、地域にとって必要とされているか

• 地域の課題を正しく見極めているか

地元のNPO等や住民と協働しているか

• 長く地域課題に取り組んできた個人・団体と協働できる体制になっているか

企業もメリットを享受できる取り組みであるか

• 企業にとって、「マーケティング」、「人材育成」、「企業価値向上」等、何らかのメリットがあるか

• または、長期的であっても、自社の事業への何らかのリターンが期待できるか

• 上記を踏まえ、その取り組みを一定程度、継続できる見通しがあるか

Page 65: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

64

あんしん財団では、伝統産業を中心とした中小企業における技を子どもたちに伝えるワークショップを実施している。

主として講師役となる地方圏の中小企業にとって、産業の担い手減少が深刻な課題となっており、将来の産業の担い手となりうる子どもたちに産業を伝えることが、今後の産業存続につながると考えられている。

参加者となる子どもたちにとっては、新たな学びの機会を得られることになる。

一般財団法人あんしん財団における、ものづくりの子ども向けワークショップ (全国)

出所)一般財団法人あんしん財団へのインタビュー、公開情報よりNRI整理

6.地方創生への活用事例

事例

子ども向けワークショップで紹介された伝統産業

「水引」でしおり作成 「鹿沼組子」でコースター作成 江戸風鈴の絵付け

Page 66: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

65

岩手県遠野市では、自動車教習所の生徒数を確保できず、市内の教習所が閉鎖されていた。

陸前高田市の高田自動車学校が、「遠野ドライビングスクール」を再開させ、グリーンツーリズムを取り入れ、農家に泊まって農業体験をしたり、乗馬や「ふるさと村」での手作り体験等を含めたプログラムを提供した。

助成金や、人件費の抑制等ではなく「グリーンツーリズム」、「農業」という付加価値をつけたビジネスモデルを作ることで成り立たせている。教習所生徒、民宿・旅館、農家という幅広い受益者がおり、共同事業を通じて起業とNPOへの市民の雇用の拡大をもたらしている。

NPO法人遠野山・里・暮らしネットワーク × 株式会社高田自動車学校 (岩手県)

出所)パートナーシップ・サポートセンター『NPO&企業協働の10年 これまで・これから』(2010年)、公開情報よりNRI作成

6.地方創生への活用事例

事例

遠野ドライビングスクールにおけるグリーンツーリズムの体験メニュー

Page 67: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

66

宮城県仙台市のNPO法人アスイクでは、東日本大震災の影響で避難所や仮設住宅などで生活する子供たちの学習のサポートを行ってきた。

ITベンチャー企業の株式会社すららネットは、子供向けeラーニングシステム「すらら」をNPO法人アスイクの運営する教室に対して低料金で提供した。まなびの場の確保にあたっては、みやぎ生活協同組合に協力により、店舗内にある集会室を無料で貸し出してもらった。

本事業への取り組みにより、株式会社すららネットは企業評価が高まり、優秀な学生の新卒獲得につながっている。

NPO法人アスイク × 株式会社すららネット × みやぎ生活協同組合 (宮城県)

出所)パートナーシップ・サポートセンター『「協働」は国を超えて』(2014年)、株式会社すららネット ウェブサイトよりNRI作成

6.地方創生への活用事例

事例

「すらら」のインターフェース

Page 68: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

67

大和リース株式会社は、リーマンショック直後に、高山市内にあるショッピングセンターの開発に着手したが、テナントの撤退等の課題に直面していた。

そこで、NPO法人ソムニードと協働し、ショッピングセンターの内部に地元NPO法人のためのフリースペース「まちスポ」を設けたところ、地元の交流スペースとなり、まちなかのにぎわい醸成に貢献した。

大和リース株式会社にとっては、同様の取り組みを全国に広げる際のベストプラクティスとなり、地域やNPO法人との連携を目指す社員の意識と行動が芽生えた。

NPO法人ソムニード × 大和リース株式会社 (岐阜県)

出所)パートナーシップ・サポートセンター『「協働」は国を超えて』(2014年)、特定非営利活動法人まちづくりスポット ウェブサイトよりNRI作成

6.地方創生への活用事例

事例

交流スペースまちスポの概観(左)と活用のイメージ(右)

Page 69: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

68

教育現場にアートを取り入れる活動を行うNPO法人子どもとアーティストの出会いと、業務用音響機器と映像機器の製造・販売を行うTOA株式会社が協働し、こどもたちの感受性や想像力を育て、創造性を高めることを目的に、TOA MUSIC WORKSHOPを実施。

阪神・淡路大震災、神戸連続児童殺傷事件を機に、1998年より始められた兵庫県が行う全県的な教育行事である「トライやる・ウィークシリーズ(兵庫県が県内の中学2年生を対象に、働く現場を見せて学習させる1週間の社会体験)」の中でAIE(Arts In Education)を実施している。

企業にとっては、自社にはなかった教育に関する詳しい知識を得ることができ、アーティストやアート系NPOとのネットワークを構築することができた。

NPO法人子どもとアーティストの出会い × TOA株式会社 (京都府)

出所)パートナーシップ・サポートセンター『NPO&企業協働の10年 これまで・これから』(2010年)、TOA株式会社ウェブサイトよりNRI作成

6.地方創生への活用事例

事例

TOA MUSIC WORKSHOPの実施実績

Page 70: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

69

株式会社スーパーホテルは、東白川村で活動するNPO法人青空見聞塾と共同で、地域課題の解決に向けた活動に取り組んでいる。

例えば「ムラ流社会貢献型人材育成プログラム」では、東白川村の見学や住民との交流等を行う社員研修事業を実施している。

研修内で出たアイディアを生かし、現地のブランド材「東濃ヒノキ」で作った風呂いすや特産品のお茶等を、一部のホテルで取り入れている。

NPO法人青空見聞塾×株式会社スーパーホテル(岐阜県)

出所)株式会社スーパーホテルウェブページ、中日新聞2017年9月7日朝刊

6.地方創生への活用事例

事例

社員研修の様子

Page 71: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

70

• 「地域に愛され、親しまれ、信頼される銀行」という基本理念のもと、多様な社会・地域貢献活動を実施

(例)

駅伝競走大会運営への協力

社会福祉施設の清掃活動

伝統文化の継承支援活動

特別支援学校での部活動サポート

学童保育の補助要因としての活動

• 社員による「OKB社会貢献クラブ」を発足し、

そのメンバーが中心になって自主的に活動を展開

大垣共立銀行 (岐阜県)

出所)大垣共立銀行ウェブサイトよりNRI作成

6.地方創生への活用事例

事例

大垣共立銀行による各種取り組み 概要・特徴

中期経営戦略で「地域からの絶対的な信頼」を基本戦略の一つに位置付け、地域密着型金融を推進している。

経営戦略の一環として、社会・地域貢献活動や、地方創生の推進に注力している。

Page 72: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

71

岐阜県中津川市の株式会社加藤製作所では、工場の稼働率を上げるため、土日祝日も勤務できる人材を必要としていた。

そこで、働く意欲がある地元のシルバー世代が、年金が満額もらえる範囲で、収入を提供することにより、社会貢献にもつながると考え、土日祝日限定で、60歳以上の男女の雇用を開始した。

高齢者の雇用を始めたことで、工場の稼働率が上がったほか、社内のバリアフリー化が進み、先進的な取り組みが注目を浴びて、企業価値の工場につながった。

株式会社加藤製作所(岐阜県)

出所)株式会社加藤製作所 ウェブサイトよりNRI作成

6.地方創生への活用事例

事例

株式会社加藤製作所が作成した募集チラシ

Page 73: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

72

7.アンケート調査結果

Page 74: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

73

7.アンケート調査結果

目的

企業ボランティアに参加したことのある従業員の意識を明らかにする。

対象者

企業ボランティアに参加したことのある従業員

▪ オリンピック・パラリンピック等経済界協議会の企業ボランティア活動(各種イベント支援等)の参加者(一般社団法人日本経済団体連合会オリンピック・パラリンピック等推進室を通じて依頼)

▪ 味の素、資生堂における企業ボランティア活動参加者

▪ 放課後NPOアフタースクールにおける企業ボランティア活動参加者

※本調査の回答者については、一部の大手企業の従業員がほぼ占めており、また一部の企業で50歳代の回答率が高いなど、調査結果に偏りがあることに留意が必要

実施方法

メールによるアンケート

実施期間

2018年1月26日~2月16日

回収数

91サンプル

アンケート調査の概要

Page 75: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

74

7.アンケート調査結果

本アンケートのサンプルに偏りはあるものの、通常の社会貢献活動に比べ、50代以上も積極的に参加していたことが明らかになり、企業ボランティアは、定年退職後のキャリアや社会参画を考えるためのリカレント教育の機会として機能している可能性がある。

企業ボランティアの参加経験者の多くは、業務命令等ではなく、自らの意思で参加していた。

企業ボランティアに参加するにあたって期待していたことは、 「社会課題への理解」や「既存のスキルを生かした社会貢献」、「日常業務へのモチベーション向上」が多かった。

実際に、ボランティアに参加した結果獲得できたものは、「社会課題への理解」、「日常業務へのモチベーション向上」が高く、概ね理想と現実のギャップはないといえる。

全体的に、企業ボランティアへの満足度は高かった。

半数弱の回答者が、これまでに個人ボランティアへ参加したことがなかった。

個人ボランティアに参加しない理由は、 「どんなボランティアがあるがあるかわからない」、「参加方法がわからない」、「一人だと行きにくい」との回答が多かった。

そのため、ボランティア未経験者に対して、企業ボランティアは、社会参画のきっかけとして機能しうる可能性がある。

本事業にける「企業ボランティア」のスコープは、「自主性」「無償性」「社会性」がそろっていることであったが、企業ボランティアの参加者の認識は異なっており、参加者の自由意志による参加か否か、業務時間の参加か否かによって、通常の業務や個人ボランティアと捉えているケースもあった。

全体サマリー

Page 76: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

75

7.アンケート調査結果

問1 あなたの性別をお答えください。【SA】

アンケートの回答者は、男性が6割、女性が4割であった。また、回答者の半数弱は、50歳代以上であった。

N= 91

問2 あなたの年齢をお答えください。【SA】

N= 91

注)SA:シングルアンサー方式(選択肢の中から1つだけ回答)、 MA:マルチアンサー方式(選択肢の中から複数選択可能)、 N:回答者数

Page 77: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

76

7.アンケート調査結果

問3 業務時間内での参加ですか。あなたの状況に近いものをお選びください。【SA】

企業ボランティアの参加は、「業務時間内での参加」「有給休暇の活用」「休日・業務時間終了後」が多かった。

N= 91

注)SA:シングルアンサー方式(選択肢の中から1つだけ回答)、 MA:マルチアンサー方式(選択肢の中から複数選択可能)、 N:回答者数

Page 78: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

77

7.アンケート調査結果

問4① 問2①で挙げた活動に参加した経緯をお答えください。 【MA】

参加した経緯は、自分からの希望や案内によるものが多く、会社からの要請によって参加した回答者はほとんどいなかった。

N= 91

注)SA:シングルアンサー方式(選択肢の中から1つだけ回答)、 MA:マルチアンサー方式(選択肢の中から複数選択可能)、 N:回答者数

Page 79: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

78

7.アンケート調査結果

問4② 上記のうち、最大の理由をお答えください。【SA】

企業ボランティアに参加した最大の理由としては、「自分から希望して」が、4分の3以上を占めた。

N= 88

注)SA:シングルアンサー方式(選択肢の中から1つだけ回答)、 MA:マルチアンサー方式(選択肢の中から複数選択可能)、 N:回答者数

Page 80: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

79

7.アンケート調査結果

問5 活動に参加するにあたって期待していた事項をお答えください。【MA】

ボランティアに期待することは、「社会課題への理解」や「社会貢献」、「日常業務へのモチベーション」が高かった。

N= 89

【その他の主な回答】

• 被災地の現状について直に触れ、自身や会社にできること、生き方について考える機会とするため

• 2020パラリンピックを成功させたい

• お互いの活動(企業名、地名)をより多くの方々に認知していただく

• 以前にも参加したときに担当した患者さんの様子が気になっていたため。また、このボランティアから学んだことがとても多かったため

• 色んな人に出会えること

• 現地で活動しているメンバーの応援

• 会社として行っている活動を1回は実体験したいため

• 最低年間1回以上のボランティア活動

を目標にしている。比較的近所。休日の活動で仕事に影響ない

注)SA:シングルアンサー方式(選択肢の中から1つだけ回答)、 MA:マルチアンサー方式(選択肢の中から複数選択可能)、 N:回答者数

Page 81: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

80

7.アンケート調査結果

問6 挙げた活動に参加した結果、次の成果を得られることができましたか? 【SA】

ボランティアに参加した結果、「社会課題への理解」や「日常業務へのモチベーション」 、「既存のスキルや知識・経験の活用」といった成果が得られた。

注)SA:シングルアンサー方式(選択肢の中から1つだけ回答)、 MA:マルチアンサー方式(選択肢の中から複数選択可能)、 N:回答者数

Page 82: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

81

7.アンケート調査結果

問7① 参加した活動への満足度をお答えください。【SA】

企業ボランティアに参加した結果、9割以上の回答者が、活動に満足していた。

N= 91

注)SA:シングルアンサー方式(選択肢の中から1つだけ回答)、 MA:マルチアンサー方式(選択肢の中から複数選択可能)、 N:回答者数

Page 83: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

82

7.アンケート調査結果

問8① 今後も企業から案内されたボランティア活動に参加したいと思いますか。【SA】

ほとんどの回答者が、今後も企業ボランティアに参加したいとの意向を示している。

N= 91

注)SA:シングルアンサー方式(選択肢の中から1つだけ回答)、 MA:マルチアンサー方式(選択肢の中から複数選択可能)、 N:回答者数

Page 84: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

83

7.アンケート調査結果

問9① あなたがこれまでに企業から案内されたボランティア活動へ参加した回数をお答えください。【SA】

企業ボランティアへの参加経験は、2~5回がもっとも多かった。

N= 91

注)SA:シングルアンサー方式(選択肢の中から1つだけ回答)、 MA:マルチアンサー方式(選択肢の中から複数選択可能)、 N:回答者数

Page 85: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

84

7.アンケート調査結果

問9② (問9①で「2回以上」を選択された場合)企業から案内されたボランティア活動への参加頻度をお答えください。【SA】

企業ボランティアへの参加頻度は、年に1~2回が約半数を占めた。

N= 73

注)SA:シングルアンサー方式(選択肢の中から1つだけ回答)、 MA:マルチアンサー方式(選択肢の中から複数選択可能)、 N:回答者数

Page 86: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

85

7.アンケート調査結果

問10① あなたがこれまでに個人ボランティア(企業を経由せずに、個人で検索・申込・参加等を行うボランティア活動)へ参加した回数をお答えください。【SA】

半数弱の回答者が、これまでに個人ボランティアへ参加したことがなかった。

N= 88

注)SA:シングルアンサー方式(選択肢の中から1つだけ回答)、 MA:マルチアンサー方式(選択肢の中から複数選択可能)、 N:回答者数

Page 87: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

86

7.アンケート調査結果

問10② (問10で「2回以上」を選択された場合)個人ボランティアへの参加頻度をお答えください。【SA】

個人ボランティア経験者の参加頻度は、6割が数年に1回程度であった。

N= 35

注)SA:シングルアンサー方式(選択肢の中から1つだけ回答)、 MA:マルチアンサー方式(選択肢の中から複数選択可能)、 N:回答者数

Page 88: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

87

7.アンケート調査結果

問11① (個人ボランティアへの参加経験がある方)個人ボランティアと比べた企業から案内されたボランティア活動の参加のしやすさをお答えください。【SA】

約6割は企業ボランティアの方が参加しやすいと回答していた。

N= 50

注)SA:シングルアンサー方式(選択肢の中から1つだけ回答)、 MA:マルチアンサー方式(選択肢の中から複数選択可能)、 N:回答者数

【参加のしやすさの理由(主な回答)】(個人ボランティア)

• 課題が身近で、自分のモチベーションが高まることが多いように感じることと、企業ボランティアに応募するのは持ち出しが多かったから

• 企業案内ボランティアはある意味会社の一員として参加しているという意識にとらわれているのに、個人ボランティアはそういった縛りが感じられないため

(企業ボランティア)

• 一口にボランティアと言っても、怪しげなものもある様で、かなり差異があるので、企業のフィルターがかかった方が安心

• ビジネスとの関連で何らかの気づきを得られる気がする

• 個人での参加は、内容だけではなく、周りの環境やメンバーなどに不安があった

(特に差異はない)

• 参加のしやすさはボランティアの活動内容や場所によるので、個人と企業での差異は感じません

Page 89: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

88

7.アンケート調査結果

問12 (個人ボランティアへの参加未経験の方)個人ボランティアに参加しない理由をお答えください。【MA】

個人ボランティアに参加しない理由は、「どんなボランティアがあるがあるかわからない」、「参加方法がわからない」、「一人だと行きにくい」が多かった。

N= 45

注)SA:シングルアンサー方式(選択肢の中から1つだけ回答)、 MA:マルチアンサー方式(選択肢の中から複数選択可能)、 N:回答者数

Page 90: 経済産業省クールジャパン政策課 - Minister of …...経済産業省クールジャパン政策課 平成 29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備

89

7.アンケート調査結果

上司等からの強い依頼により業務時間外に参加したケース、自らの意思で業務時間内に参加したケースは、企業ボランティアと捉えられていた。

問13 会社から案内された社会貢献活動・奉仕活動のうち、次に掲げる参加は、「通常の業務」「企業ボランティア」「個人ボランティア」のいずれに該当すると思いますか。【SA】

N= 89

通常の業務 企業ボランティア 個人ボランティア(1)会社や上司からの指示・依頼・強い推奨によって、業務時間内に参加した(業務時間外であっても、残業手当や代休等を取得できるケースを含む)

88.8% 11.2% 0.0%

(2)会社や上司からの指示・依頼・強い推奨によって、業務時間外に参加した(有給休暇や有給ボランティア休暇を利用したケースも含む)

31.8% 63.6% 4.5%

(3)会社や上司からの指示・依頼・強い推奨によって、業務時間外に参加した(残業手当が支払われない定時後の参加や、代休等を取得できない休日の参加)

25.8% 55.1% 19.1%

(4)自分の意思で参加を決め、業務時間内に参加した(業務時間外であっても、残業手当や代休等を取得できるケースを含む)

25.6% 63.3% 11.1%

(5)自分の意思で参加を決め、業務時間外に参加した(有給休暇や有給ボランティア休暇を利用したケースも含む)

2.2% 36.0% 61.8%

(6)自分の意思で参加を決め、業務時間外に参加した業務時間外に参加した(残業手当が支払われない定時後の参加や、代休等を取得できない休日の参加)

9.0% 14.6% 76.4%

注)SA:シングルアンサー方式(選択肢の中から1つだけ回答)、 MA:マルチアンサー方式(選択肢の中から複数選択可能)、 N:回答者数