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平成24年10月25日発行 通巻68号 一般社団法人 日本投資顧問業協会 JAPAN INVESTMENT ADVISERS ASSOCIATION No.68 2012 投資顧問 Contents 目 次 01 巻頭言 岩間会長「アセットマネジメント業界展望~この苦境を如何に打開するか」 03 協会の動き 10 対談 鹿毛雄二氏×岩間会長 「コーポレート・ガバナンスに関わる諸問題(後編)」

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平成24年10月25日発行 通巻68号

一般社団法人 日本投資顧問業協会JAPAN INVESTMENT ADVISERS ASSOCIATION

No.682012投資顧問

Contents 目 次01 巻頭言 岩間会長「アセットマネジメント業界展望~この苦境を如何に打開するか」

03 協会の動き

10 対談 鹿毛雄二氏×岩間会長「コーポレート・ガバナンスに関わる諸問題(後編)」

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〈巻 頭 言〉

アセットマネジメント業界展望 ~この苦境を如何に打開するか

一般社団法人 日本投資顧問業協会

会長 岩間 陽一郎 6月の総会で理事会の新体制が決定し、お陰様を持って7月2日付で一般社団法人 日本投資顧問

業協会としての新たなスタートを切った。

新たな年度となる度に、今度こそ明るい展望が開けて欲しいと念ずるのであるが、残念ながら現実

は益々厳しさを増しているように思う。

特に 2012 年度は、業界始まって以来ともいうべき悪質なAIJ事件の出来を始め不祥事が続いたた

め、これまでの地道な努力によって築き上げてきた業界に対する信頼が根底から揺らぐという危機的

状況に遭遇することとなった。

国民の金融資産の運用を担い、資本市場を通じて企業活動に円滑に有効な資金を行き渡らせるとい

う重要な使命を果たすべき業界の信頼に傷がつくことは日本社会全体にとって大きなマイナスであり、

極めて遺憾である。

何としても信頼回復に努めねばならない。

如何にすればこれを実現できるであろうか。

目新しい策があるわけでは無いが、今迄の常識、通念そして慣例と言われるものを超越して先行き

を洞察し展望を描かねばならない。

20 年以上に及ぶ日本株式市場の衰退と低金利、それに加えて繰り返される円高により主要顧客であ

る年金基金の市場規模の伸び悩みと問題意識を持たれながらも顧客投資家の信頼を十分に得られてい

るとは言い難い投資信託の状況を視野に入れておく必要がある。

この際、原点に戻って顧客投資家と運用会社の利益が軌を一にする仕組みを実現し定着させるべき

である。

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どのような親会社の子会社であるとしても、運用会社の経営は顧客投資家の利益第一でなければな

らない。

顧客投資家の信頼と支持を確保できる事によってのみ運用会社の利益がもたらされることを認識す

れば、自ずから経営のあり方も定まる筈であり、親会社によるガバナンスのあり方も方向づけられる

であろう。

つまり、この目的を完遂する上では、顧客運用資産の為の独立性が完全に担保されることが望まし

いのであり、この意味での独立性を堅持する運用会社が大多数を占めることが望ましいのである。

さらには、顧客投資家のニーズに応える為にまた業界の活性化の為にも、先進的で有能なプレイヤー

の新規参入が盛んとなる環境整備が重要である。

多くの経営者の方々が、これからの運用会社は広くグローバルに評価される競争力を具備しなけれ

ば国内の顧客の評価をも得難いものと覚悟せねばならないと認識されている。

規模の大小を問わず、運用商品の競争力が世界に通用するものであることが問われるということで

あろう。

機関投資家にせよ、個人投資家にせよその運用ニーズは多様性に富んでおりこれに応える優秀な運

用会社の輩出こそ望まれるところである。

法令を遵守し、受託者責任を果たし顧客利益専一に行動する事が要請される運用会社経営の根底に

は高い専門職業倫理が常に貫かれていなければならない。

全ての会員会社がこれを認識し自主的、自律的に受託者責任を全うしてこそ社会の信頼回復が可能

となると言っても過言ではない。

不祥事が出来し、自主規制機関としての協会の役割を果たす上で遵守すべき倫理綱領の再確認と徹

底が課題となるような情けない状況は早く脱し広く厚い信頼を回復すべく力を合わせていかなければ

ならない。

それこそが苦境打開に繋がる道であると考えるものである。

7月に公表された英国の Kay Review の内容は我が国業界にとっても示唆に富むものである。

その中に、規制は適切なインセンテイブを促す市場構造の構築に焦点を当てるべきであって、実り

の少ない細部に亘る行動規制は避けるべきであるという意味の記述があった。我々もそうあるべく力

を尽くしていきたいと考える次第である。

AIJ事件は犯罪であり論外であるが、示唆に富む事例である事も事実である。我々はこれから学

習した苦い経験を将来に活かしていかねばならないのである。

内外ともに難しい環境が続く中ではあるが、会員の皆様のご健闘を祈り、協会に対する引き続きの

ご支援、ご協力をお願いしたい。

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●第 27 回定時総会の開催

平成 24 年6月 21 日、東京証券会館8階ホールにて第 27 回定時総会を開催しました。

総会では、平成 23 年度の事業報告及び決算報告、平成 24 年度の事業計画案及び収支予算案、平

成 24 年度の役員の選任について審議され、いずれも原案どおり承認可決されました。また、協会長

に岩間 陽一郎が再任されました。

なお、総会議案の詳細につきましては当協会ウェブサイト、協会ディスクロージャー資料をご覧

ください。

※URL: http://www.jiaa.or.jp/profile/disclosure.html

●協会規則・自主規制ルール関係の動き

○自主規制ルールの改正

金融商品取引法等の一部改正への対応として、「業務運営にあたり留意すべき基準について」、「内

部者取引の未然防止についてのガイドライン」の一部改正を行いました。

また、一般社団法人への移行に伴う協会名の変更に伴い、「業務執行体制に関する自主規制基準」

の一部改正を行いました。

●「再発防止策に関する特別部会」について

AIJ 投資顧問事件の事実関係及び関係各機関における再発防止策を踏まえ、投資者の保護と、当

業界に対する社会的信頼の回復に向けた再発防止への取組みを着実に実施するため、業務委員会の

下部組織として「再発防止策に関する特別部会」を組成しました。取組みの実施にあたりましては、

引き続き当局と連携・連絡を図り、相互の理解促進に努めます。

●コーポレート・ガバナンス研究会の開催について

平成 24 年7月 18 日(水)午前 10 時から、当協会大会議室において、第4回コーポレート・ガバ

ナンス研究会が開催され、池尾座長(慶応義塾大学経済学部教授)をはじめ、研究会メンバー全員

が出席しました。

今回は、ゲストスピーカーであるブラックストーン・グループ・ジャパンの鹿毛特別顧問及び東

京海上アセット・マネジメント投信㈱の大場社長に、運用実務家の立場から、運用会社のコーポレー

ト・ガバナンスに関する諸問題を整理、ご説明頂きました。「運用会社にとってのコーポレート・ガ

バナンスの特徴、特殊性」を切り口に、投資家、経営者、学識者それぞれの立場から活発な議論が

行われました。

次回の研究会は、11 月7日(水)に開催の予定です。

※URL: http://www.jiaa.or.jp/cg_society/

協 会 の 動 き

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●各種研修の実施状況

○岳野証券取引等監視委員会事務局長の講演会について

平成24年6月21日に開催された第27回定時総

会終了後、証券取引等監視委員会の岳野万里夫事

務局長を講師に迎え、「投資運用業を巡る当面の課

題」というテーマで講演会を実施しました。講演

では、AIJ 投資顧問への対応、平成 24 年度証券検

査基本方針のポイント、公募増資に関連したイン

サイダー取引について解説をいただきました。

○平成 24 年度 特別研修を開催しました

平成 24 年7月4日に特別研修を開催しました。

証券取引等監視委員会事務局 証券検査課萩藤博

之課長補佐を講師に迎え、「平成 24 年度 証券検

査基本方針及び証券検査基本計画について」を

テーマにご講演いただきました。

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●苦情相談の状況(平成 24 年 6 月~平成 24 年 8 月)

(1)協会は、お客様等からの会員の行う業務に関する相談、苦情対応及びあっせん業務を、特定非

営利活動法人「証券・金融商品あっせん相談センター」(FINMAC)に業務委託しています。

(2)平成 24 年6月~8月に FINMAC が対応した苦情・相談、あっせんは、苦情が5件、相談が 26

件、あっせんが0件(表1)となっており、それぞれの具体的内容は、表2、表3のとおりとなっ

ています。

(表 1)受付状況 (単位:件)

区 分 投資運用会員 投資助言会員 その他 合 計

苦 情 3( 4) 2(10) 0( 0) 5(14)

相 談 11(12) 10(17) 5( 9) 26(38)

あっせん 0( 0) 0( 0) 0( 0) 0( 0)

合 計 14(16) 12(27) 5( 9) 31(52)

(注)・( )は平成 24 年4月からの累計(以下同じ)。

・その他には、一般的な問合せや非会員に対する苦情・相談を記載(以下同じ)。

・苦情の定義:会員の行う業務に関し、会員に責任若しくは責務に基づく行為を求めるもの、

又は、損害が発生するとして賠償若しくは改善を求めるものなど、会員に不満足を表明するも

のをいう(苦情及び紛争の解決のための業務委託等に関する規則第2条)。

(表 2)苦情の内容 (単位:件)

区 分 投資運用会員 投資助言会員 その他 合 計

(1)勧誘・契約に関する苦情

(2)会費つり上げ

(3)運用、助言内容の不満

(4)契約不履行等

(5)その他の苦情

2( 3)

0( 0)

1( 2)

0( 0)

0( 0)

1( 3)

0( 0)

1( 2)

0( 1)

0( 3)

0( 0)

0( 0)

0( 0)

0( 0)

0( 0)

3( 6)

0( 0)

2( 4)

0( 1)

0( 3)

合 計 3( 5) 2( 9) 0( 0) 5(14)

(表 3)相談の内容 (単位:件)

区 分 投資運用会員 投資助言会員 その他 合 計

(1)業者の内容

(2)途中解約

(3)運用、助言内容の相談

(4)その他の相談

0( 0)

3( 3)

4( 5)

4( 4)

2( 3)

1( 4)

2( 2)

5( 8)

0( 1)

0( 0)

3( 6)

2( 2)

2( 4)

4( 7)

9(13)

11(14)

合 計 11(12) 10(17) 5( 9) 26(38)

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●会員の動き(平成 24 年 6 月 1 日~8 月 31 日)

協会の会員は、投資運用業のうち、①投資一任業務(従来からの有価証券の一任運用、および不

動産等を原資産とする金融商品の一任業務)を行う会員、②ファンド運用業務(ベンチャー企業育

成や事業再生等を目的として組成されたファンドの運用を行う業務)を行う会員、投資助言・代理

業を行う会員で構成されています。

平成 24 年8月末現在の会員数は、次のとおりです。

会員数 投資運用会員 投資助言会員

771 245 526

○入会会員一覧

・投資助言・代理業者の入会 11 件

業者名 協会入会日 業者名 協会入会日

株式会社フェスタ 平 24 年 6 月 1 日 株式会社大河アセットマネージメント 平 24 年 7 月 17 日

株式会社フルフェイス・インベストメント 平 24 年 6 月 20 日 オリオール・アセット・マネジメント株式会社 平 24 年 7 月 18 日

日本船舶投資促進株式会社 平 24 年 6 月 25 日 パートナーズ・グループ・エイ・ジー 平 24 年 7 月 18 日

株式会社ジェイ・ウィル・パートナーズ 平 24 年 6 月 28 日 インカム・パートナーズ・アセット・マネージメント(香港)リミテッド 平 24 年 7 月 25 日

キャピタル・アドバイザリー株式会社 平 24 年 7 月 11 日 燦キャピタルマネージメント株式会社 平 24 年 8 月 1 日

三幸オフィスマネジメント株式会社 平 24 年 7 月 12 日

○退会会員一覧(21 社)

業者名 退会日 資格喪失理由

株式会社アドバンテージ 平 24 年 5 月 24 日 投資助言・代理業登録の廃止

株式会社財道 平 24 年 6 月 23 日 投資助言・代理業登録の廃止

タッチストーン・キャピタル証券株式会社 平 24 年 6 月 28 日 投資助言・代理業登録の廃止

W インベストメント・パートナーズ株式会社 平 24 年 6 月 28 日 投資助言・代理業登録の廃止

パナッシュ投資顧問株式会社 平 24 年 6 月 28 日 投資助言・代理業登録の廃止

エース証券株式会社 平 24 年 6 月 30 日 投資助言・代理業登録の廃止

ばんせい証券株式会社 平 24 年 6 月 30 日 投資助言・代理業登録の廃止

ヒューリック株式会社 平 24 年 6 月 30 日 投資助言・代理業登録の廃止

ベスト パートナー 平 24 年 6 月 30 日 投資助言・代理業登録の廃止

株式会社ジャパン・インベストメント・マネジメント 平 24 年 7 月 14 日 投資助言・代理業登録の廃止

ミレー株式会社 平 24 年 7 月 20 日 投資運用業登録の廃止

インカム・パートナーズ・アセット・マネージメント(アジア)リミテッド 平 24 年 7 月 25 日 投資助言・代理業登録の廃止

ロックフェラー・アンド・カンパニー(アジア)リミテッド 平 24 年 7 月 31 日 投資助言・代理業登録の廃止

株式会社トレンドマスター 平 24 年 8 月 7 日 投資助言・代理業登録の廃止

アエルコーポレーション株式会社 平 24 年 8 月 21 日 投資助言・代理業登録の廃止

エスジーエーアイエージャパン株式会社 平 24 年 8 月 22 日 投資助言・代理業登録の廃止

エイチ・エス・フューチャーズ株式会社 平 24 年 8 月 24 日 投資助言・代理業登録の廃止

インタートレード投資顧問株式会社 平 24 年 8 月 31 日 投資助言・代理業登録の廃止

株式会社 KABUTO 平 24 年 8 月 31 日 投資助言・代理業登録の廃止

株式会社新日本経済投資顧問 平 24 年 8 月 31 日 投資助言・代理業登録の廃止

株式会社トップストリーム AM 平 24 年 8 月 31 日 投資運用業登録の廃止

※当協会ウェブサイトに最新の会員名一覧(電話番号入り)を掲載しています。

詳細につきましてはそちらをご覧ください。

URL: http://www.jiaa.or.jp/profile/kaiin.html

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統計数値で見る投資顧問業

1.契約資産の残高は 165 兆円

※ 投資一任、投資助言、ファンドの契約資産の合計 ※ 数値は、24 年6月末以外は全て 3月末時点の残高

契約資産の合計は、平成 24 年6月末時点で 165 兆 6,327 億円となりました。平成 14 年3月末が約

89 兆円ですから、約 10 年間で 1.8 倍になったということになります。また、契約資産の属性につい

ても多様化が進んでおります。平成 19 年の金融商品取引法施行により、ファンド運用業者や、不動産

を原資産とした有価証券を運用対象とする業務を営む業者が当協会に加入するようになったことが要

因と考えられます。なお、平成 24 年3月末比で見ると、市場環境が悪化した中、契約資産が増加した

ことの主因は、非会員であった大手投資運用業者の契約資産が、当該四半期に既存会員と合併したこ

とに伴い、新たに計上されることになったことによるものです。

契約資産の内訳を見てみると、国内年金資金が約 50%を占めており、当業界において年金資金の存

在が非常に大きいことが分かります。年金の資金は、大きく公的年金(年金積立金管理運用独立行政

法人など)と私的年金(企業年金基金など)に分けることができますが、その残高推移は次のように

なっています。

日本投資顧問業協会では、四半期ごとに投資運用会員の契約資産に関する統計を作成し、協会のホー

ムページ(下記)で提供しております。今回掲載したデータ以外にも、多種の詳細なデータを掲載

しておりますので、是非ご覧ください。

日本投資顧問業協会ホームページ統計資料:http://www.jiaa.or.jp/toukei/

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時価変動の影響はあるものの、公的年金、私的年金共に残高を伸ばしてきたことが分かります。特に公的年金の伸びが著しいですが、これは、財務省資金運用部で運用されていた年金積立金が、平成13 年の財政投融資改革によって市場運用に移行したこと等が主な要因であると考えられます。年金積立金は、年金積立金管理運用独立行政法人に対して毎年移管が行われ、平成 20 年に完了しました。しかし、その後平成 22 年3月末をピークに減少傾向にあります。 2.投資対象資産は株から債券へ

※ 投資一任、ファンドの契約資産の投資対象資産 ※ 数値は、24 年 6 月末以外は全て 3月末時点の残高 ※ 「その他」は、地域分類できない資産、不動産関連有価証券、短期資金など

リーマンショック後の世界的な景気低迷を背景に、日本株のパフォーマンスも低迷を続けたことや、平成 14 年から開始された厚生年金基金の代行返上なども加わって、国内株式の構成割合は平成 16 年3月末の 39%から平成 24 年6月末には 16%(22 兆円)まで低下しました。その一方で、国内外債券の残高は増加し特に国内債券は大きく増加しました。国内債券の構成割合は平成 16 年3月末の 21%から平成 24 年6月末には 37%(52 兆円)まで上昇し、外国債券の構成割合は平成 16 年3月末の 17%から平成 24 年6月末には 22%(30 兆円)まで上昇しました。外国株式、外国債券の最大の投資先は米国です。国・地域別の投資残高の割合は、年金顧客が採用することの多いベンチマーク(MSCI-KOKUSAIインデックス、シティグループ世界国債インデックス(除く日本))の割合に近い割合となっています。

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● 事業日誌 (平成 24 年 6 月 1日~平成 24 年 8 月 31 日) 24.6.5 第 140 回自主規制委員会

(1)「業務運営にあたり留意すべき基準について」の一部改正(案)について (2)「ファンド運用業に関する業務運営基準」の一部改正(案)について (3)「ラップ業務に関する業務運営基準」の一部改正(案)について (4)「投資助言業に関する業務運営基準」の一部改正(案)について (5)「内部者取引の未然防止についてのガイドライン」の一部改正(案)について (6)「業務執行体制に関する自主規制基準」の一部改正(案)について

(7)投資助言会員向け法令等諸規則の遵守状況に関するフォローアップアンケート(第7回)の実施について

(8)投資一任契約に係る議決権等行使指図に関するアンケート(第 11 回)の見直しについて

(9)自主規制各部会の一年間の活動状況について 6.14 第 13 回業務委員会

(1)平成 24 年度研修計画について (2)「再発防止策に関する特別部会」の開催結果について (3)業務各部会及び特別部会の一年間の活動状況について

6.15 第 305 回理事会 (1)業務委員会委員長報告 (2)自主規制委員会委員長報告 (3)第 27 回定時総会 第3号議案の修正(追認) (4)「業務運営にあたり留意すべき基準について」の一部改正(案)について (5)「ファンド運用業に関する業務運営基準」の一部改正(案)について (6)「ラップ業務に関する業務運営基準」の一部改正(案)について (7)「投資助言業に関する業務運営基準」の一部改正(案)について (8)「内部者取引の未然防止についてのガイドライン」の一部改正(案)について (9)「業務執行体制に関する自主規制基準」の一部改正(案)について (10)法定書面のサンプル(契約締結前交付書面)の一部改正について

(11)投資助言会員向け法令等諸規則の遵守状況に関するフォローアップアンケート(第7回)の実施について

(12)投資一任契約に係る議決権等行使指図に関するアンケート(第 11 回)の見直しについて

(13)平成 24 年度研修計画について (14)入会承認および退会報告(入会4件、退会3件) (15)再発防止策に関する特別部会の開催状況について

6.21 第 27 回定時総会(於:東京証券会館) 6.21 証券取引等監視委員会 岳野事務局長講演会(於:東京証券会館)

・証券検査の当面の課題 6.21 プレス発表(於:兜倶楽部)

・定時総会開催結果の報告 7.2 第 14 回業務委員会

(1)AIJ投資顧問の事件への再発防止策に関する関係各機関との協議状況について (2)再発防止への当協会の取組みについて

7.4 平成 24 年度 証券検査基本方針及び証券検査基本計画について 7.6 第 306 回理事会

(1)一般社団法人移行に伴う確認等について (2)理事会について (3)協会の機構について (4)副会長および専務理事の選定等について (5)協会理事の定例報酬等について (6)常任監事の選定および定例報酬等について (7)名誉顧問の委嘱について (8)各常設委員会の委員および委員長の委嘱について (9)各部会の部会員の推薦結果について (10)入会承認および退会報告(入会6件、退会7件) (11)業務委員会委員長報告 (12)再発防止への当協会の取組みについて

7.11 第 141 回自主規制委員会 (1)委員会運営要領について (2)これまでの主な活動状況について (3)当面の検討課題について (4)自主規制各部会について

7.17 第 15 回業務委員会 (1)委員会の運営要領について (2)これまでの主な活動状況について (3)当面の検討課題について (4)業務委員会の下部部会の設置について

8.15 第 16 回業務委員会(書面)

・厚生年金基金規則及び「厚生年金基金の資産運用関係者の役割及び責任に関するガイドラインについて(通知)」等への一部改正への意見について

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対談 鹿毛 雄二 × 岩間 陽一郎

「コーポレート・ガバナンスに関わる諸問題 ― 後編 ― 」

鹿毛氏には、本誌に対して4回に渡ってコーポレート・ガバナンスに関する意見、提言を

寄稿いただいた(No.62 ~ No.65 に掲載)。

その内容を振り返りながら、当協会会長の岩間 陽一郎との対談を行い、前号(No.67)と

今号の2回に分けて掲載した。

前号では、連載を終えられての感想を伺いながら、世界的なコーポレート・ガバナンスの

流れについて、またファンドマネジャーとの対話の重要性、社外取締役の設置について等、

お話いただいた。

岩間 コーポレート・ガバナンスに対して、運用会社が果たすべき役割、責任ということについては

どのようにお考えになりますか。

鹿毛 欧米では、特に年金など機関投資家の責任ということが非常に強く言われます。ところが、日

本の場合はむしろ運用機関の果たす役割のほうがはるかに大きいのではないかと思います。以前、機

会があって、各運用会社のホームページを見たことがありますが、大体どの会社もガバナンス方針な

どを掲げていますね。日本での機関投資家のコーポレート・ガバナンスは実質的に運用機関が担って

いる、しかもそれは議決権行使などを通じて、事業会社からもかなり理解されてきていると思います。

投資顧問業協会が非常に早い時期にガバナンス・ルールを作ったことが効いている部分もあると思い

ます。そういう意味では、資金の運用者サイドの役割を協会は果たしているし、その役割には拡大の

余地もまだあると思います。

それから、ファンドマネジャーが投資対象とす

る銘柄について、世の中には誤解もあるようです

が、良い会社だからといって買われるとは限らな

い。言うまでもなく、一般に良い会社の株価は上

がってしまっている訳だから、将来の期待リター

ンは必ずしも高くない。企業経営者は、こんなに

利益を上げたのに投資対象とならない、ファンド

マネジャーは理解してくれない、あるいは短期志

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向だと、不満を感じるケースも少なくないようです。しかし、ファンドマネジャーは資本効率と、そ

の改善のトレンドを見ている。実はここが余り理解されていないと思われます。今必要な対話は何か

と言えば、結局、この点だと思います。

我が国を代表する企業の社長でも、ファンドマネジャーがなぜ当社の株を買ってくれないのか分か

らないと言った方がいましたが、良い会社であればあるほど、そう言う声が聞こえます。以前は企業

年金連合会が8%という ROE 基準を持っていましたが、必ずしも絶対的な基準ではなかったと思いま

す。その当時、ある国際優良企業の ROE は 12%くらいあったんですが。ところが、12、11、10%と段々

下がってくるわけです。これはどちらかというと、ファンドマネジャーは持ちにくいのです。しかし、

現時点で ROE が低くても、3、4、5%と上がっていく会社は買いたい訳です。ここが実は一番理解

されていない。資本効率については、今でも、日本の経営においてはあまり問題になっていませんよ

ね。

岩間 むしろ ROE は余り問題にすべきではないというような極論すらありますね。

鹿毛 その極論は経営哲学としては一向に構わない。ただ、良い経営をしているのに何故自社に投資

してくれないのかと考えているのであれば、その答えはそこだと。

岩間 アップサイドは当然なければいけないけれども、ダウンサイドを抑止するという観点も当然な

がら必要だと思うんですよね。そういう装置がビルトインされているかどうかという観点を欧米の投

資家なんかは結構持っていますしね。だから、例え

ば ROE が低下傾向にあるとしても、一定のリターン

がちゃんとキープされていれば保有を続けるという

ことも当然ある。

そういう意味で言うと、CEO が暴走するとか、そ

ういうことがあったときに、ストップがかかる仕組

みが欲しいという要請が、グローバルベースでは非

常に強まってきているのではないかと思います。

鹿毛 確かに、キャピタル・インターナショナルのデヴィッド・フィッシャーも、ガバナンス・スト

ラクチャーが不十分な会社への投資は、どこかで必ず足をすくわれる。だから投資対象から外すと言っ

ています。恐らく欧米のファンドマネジャーだけでなくて、日本のファンドマネジャー、アナリスト

も、こうした観点からガバナンスをかなり真剣に見ていると思います。言い換えますと、先ほど話を

したバイサイドのファンドマネジャー、アナリストの立場での行動原理というのでしょうか、なぜ買

うか、なぜ売るか、この情報が企業側にほとんど伝わっていない。もちろんIRという接点があるの

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ですけれども、IRの接点とガバナンスには若干ズレがありますからね。

岩間 確かに。IRの中の1つのポイントではあるかもしれませんけれども。IRというのは割とセ

ルサイドに引っ張られて、場が設定されるというところがありますから、コーポレート・ガバナンス

について対話を行うには、ちょっとそぐわない部分がある。

先ほども話があったように、投資家と企業がしっかり対話をして、投資家が納得できるかどうかが

重要で、納得するのに余計なことを考えなくて済む方が良い。つまり、コーポレート・ガバナンスに

ついて、社会的なある程度のスタンダードがあって、これはとにかく最初から問題にしなくてもいい

よという状況が確保されていれば、そこから先のもっと奥の深いところについて対話を深められる、

そんな具合になっていくと良いと思うんですけれどね。

鹿毛 そういった対話を実りあるものにするためには、運用会社からの働き掛けが、経営者からみて

説得力のあるものでなければならない。それには、相応の経験みたいなものが必要なんですよね。そ

うでないと、経営者にとっては説得力がない、ということになる。

岩間 オリンパスの事件なんかは特別なケースとして、どちらかというと、日本の企業は、エシック

スをすごく重視しますよね。コーポレート・エシックスというのは、確かに制度にはなっていないか

もしれないけれども確固たるもので、後ろ指差されるところはどこもないと、胸を張っている会社は

結構多いと思いますね。

鹿毛 そうですね。そういった面を理解しないで、外部の人間が経営者の保身だとか言い出すと、経

営者サイドからは、もう苦笑するしかないと受け取られてしまう。そういう意味からも、運用会社側

に求められる専門性のレベルは非常に高いと思います。

岩間 ただ、世の中がどんどん変わってきて、外から見ると社外取締役の一人も選任されていないと

いうのは、CEO の保身じゃないかと、つまらない疑いを持たれるわけなんですね。それを払拭する方

策は何か考えたほうがいいのではないかと、そういうことですよね。

鹿毛 そういうふうなお話であれば伝わるわけですね。単に社外取締役がいないからみたいな議論だ

けをしても、拒否感しか生まれない。

岩間 ええ。社外取締役というのをどういう格好で使うのかという話で、使うというのは、CEO が使

うわけですね。もちろん監視はされるのだけれども、監視装置として使うわけですよ。

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鹿毛 それが、ある意味では CEO にとっての保険というか、CEO にとってもそれが必要だからですよ

ね。

岩間 早稲田大学の上村教授がおっしゃっているのは、まさにそういうことですね。

鹿毛 逆に信条としてそういうふうに思う人と思わない人はやっぱりいるわけで、それはしょうがな

い。だから投資家と企業経営者との対話の仕方もいろいろあるわけです。

岩間 あるグローバルに展開しているアパレル会社の取締役会の構造を見ると、社内からは CEO しか

いない訳です。そういう意味では完全に委員会組織だし、社外取締役が圧倒的。だから CEO は自信を

持って経営されているように見える。見えるだけでなく事実そうなのだと思います。

鹿毛 そういうことですよね。逆に言うと、自信があるから耳を傾けられるということですね。

岩間 そういうことでしょう。さらに、外から見ると、あそこはワンマン会社だとみんな思っている

わけですね。

鹿毛 そうですね。

岩間 だけど、それはちゃんとそういう器にしていて、いざとなれば対応できるようになっている。

鹿毛 逆に言うと、コーポレート・ガバナンスの仕組みというのは、ある意味で投資家に対するアピー

ルの手段、パブリシティーの1つという面もあると思います。そう言ったほうが、話が通じやすい場

合もあるでしょう。必要なときには社外取締役が率先して議論の口火を切って社長を交代させなけれ

ばいけないとか、教科書どおりのことを言っても、ワークしない場合などです。

岩間 確かに究極はそうなんですけれども、CEO が主体的に経営していく中で、うまく器を設計して、

変な後ろ指を差されないで、安心して進めるという環境を整える1つのやり方だという具合に割り切

られたほうが良いのではないかなと思いますけれどもね。

鹿毛 先日、ある大手企業のトップの方が、「多くの大手会社で一度クライシスがあると、コーポレー

ト・ガバナンスの見直しを始める」と述べておられましたが、社会全体としてそういうものも必要だ

とだんだん学んで、徐々に必要性が理解されてきているというのが実態だろうと思います。

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鹿毛 国内から見ていると、確かに解決すべき問題、課題はたくさんある。それこそ不祥事も色々出

てきて、問題山積みではある。しかし、海外と比較して日本のガバナンスの仕組みが非常に劣って、

話にならないかというと、それは必ずしもそうではない。どこの国でも、例えばアメリカでだって経

営者の汚職なんていうのは珍しくもない。それと比べれば日本のほうがはるかに経営者の取り組みも

きちっとしているという意味から言うと、ガバナンスは効いていると言えなくもない。

それぞれの国にそれぞれの問題がある訳ですし、

日本のエシックスの高さや配分の相対的な公正さ

などはもっと評価されて良いと思います。特に海外

からの一方的な決めつけのような日本批判に対し

ては、積極的に反論して良いし、それほど悪くない

という自信を持っていいのではないかと思います。

現在でも大手企業の内、6割か7割は社外取締役

がいます。経団連が社外取締役の選任義務化に反対

しているとか、そういうことばかりが強調されていますが、日本全体として見た場合には、相当程度

きちっとやっている部分があって、日本をよく知る海外大手のあるファンドマネジャーは、日本のス

タンダードはベストだと言っています。やはり日本からの発信というのも必要ではないかなと思いま

す。

それに加えて、証券市場が既に国際化している以上は、国際基準に合わせていくということは、も

う好むと好まざるとにかかわらず、最低条件みたいなものです。鎖国している訳ではないのですから、

そこに哲学論争は不要だと思いますね。個人の思想信条と別の話です。コーポレート・ガバナンスの

議論が思想信条の議論に少し偏りすぎているので、もうちょっとビジネスライクな、プラグマティッ

クな議論をしたらどうかと思います。それは投資家側にも経営者側にも言えることです。その方が効

率的な対話も促進できるのではないでしょうか。

岩間 おっしゃるとおりだと思います。要するに世界的な共通項というか、それはある程度具備しな

ければいけないけれども、あくまで日本のマーケットのことなので、ジャパニーズ・ウエイがあって

しかるべきです。それの良いところは積極的にこちらも発信していかなければならないということだ

と思いますね。

鹿毛 その発信は明らかに不足していると。そういう意味で、投資顧問業協会の役割も大きいのでは

ないかなと思います。

岩間 ご期待に応えられるようにしていきたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

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(鹿毛 雄二氏 略歴)

ユージン・パシフィック代表。1964 年東京大学経済学部卒業。同年日本長期信用銀行入行。

長銀インターナショナル(ロンドン)副社長、長銀ニューヨーク信託社長、日本長期信用銀行証券運用企画部長など

を経て、1993 年長銀投資顧問社長。2000 年 UBS アセットマネジメント会長兼社長。2003 年しんきんアセットマネジ

メント投信社長。2005 年4月より 2009 年3月まで企業年金連合会常務理事。

現在、ブラックストーン・グループ・ジャパンほか、複数の年金・財団等の顧問を務める。

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投 資 顧 問 No.68 2012平成24年10月25日発行

編集兼発行人発 行 所

制 作

宮保  貞一般社団法人 日本投資顧問業協会〒103-0025東京都中央区日本橋茅場町1-5-8

東京証券会館7階電 話 03(3663)0505(代表)FAX 03(3663)0510http://www.jiaa.or.jp株式会社プロネクサス〒105-0022東京都港区海岸1-2-20

汐留ビルディング

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平成24年10月25日発行 通巻68号

一般社団法人 日本投資顧問業協会JAPAN INVESTMENT ADVISERS ASSOCIATION

No.682012投資顧問

Contents 目 次01 巻頭言 岩間会長「アセットマネジメント業界展望~この苦境を如何に打開するか」

03 協会の動き

10 対談 鹿毛雄二氏×岩間会長「コーポレート・ガバナンスに関わる諸問題(後編)」

一般社団法人 日本投資顧問業協会JAPAN INVESTMENT ADVISERS ASSOCIATION

http://www.jiaa.or.jp