mizuho-topics-2014-9-cc2 September, 2014 みずほ信託銀行 不動産トピックス...

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トピックス1 J-REITの含み損益にみる価格高騰期間 ������ 2 トピックス2 東京圏の分譲マンション供給動向 〜 2014年前半の動きと今後の局面〜 ������ 6 マンスリーウォッチャー 一都三県における高度利用地の地価動向 ������ 8 2014 9 September

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Page 1: mizuho-topics-2014-9-cc2 September, 2014 みずほ信託銀行 不動産トピックス J-REITの含み損益にみる価格高騰期間 不動産の評価額から簿価を控除した含み損益は、不動産投資では投資の成否を判断する指標の一つ

トピックス1 J-REITの含み損益にみる価格高騰期間� ������2

トピックス2 東京圏の分譲マンション供給動向�〜 2014年前半の動きと今後の局面〜� ������6

マンスリーウォッチャー一都三県における高度利用地の地価動向�������8

2014

9September

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2 September, 2014 みずほ信託銀行 不動産トピックス

J-REITの含み損益にみる価格高騰期間不動産の評価額から簿価を控除した含み損益は、不動産投資では投資の成否を判断する指標の一つ

として利用されています。本稿では、過去10年間のJ-REITのデータを用いて、取得した東京都心5区の賃貸オフィスビルのほとんどが含み損を抱えることになった時期(2007年から2009年)を振り返ります。

[図表 1-1]J-REIT の含み損益合計の状況

[図表 1-2]取得年別の含み損益合計の状況 [図表 1-3]取得額と物件数の推移(全取得物件)

2013年末時点でJ-REITが保有する物件の評価額の合計と簿価の合計([図表1-1])は、2004年上期から2010年上期までは評価額合計が上位にありましたが、2010年下期以降はほぼ同じような水準です。含み損益※1合計は、2008年上期がピークで、2013年末時点ではほぼゼロです。上記の対象物件について、含み損益合計を取得年別に半年単位で集計([図表1-2])しました。含み益傾向で推移したか、含み損傾向

2007 年と 2008 年に取得した物件には大きな含み損が発生

図表1-1〜 1-3のデータ出所:都市未来総合研究所「ReiTREDA」

で推移したかは、取得年によって違いが顕著です。2005年〜 2009年に取得した物件のそれぞれの合計値は、2013年末時点で含み損となっており、特に2007年と2008年に取得した物件で損失額が大きくなっています。J-REITは2004年以降新規上場が相次ぎ、リーマン・ショックまでの2005年〜 2008年前半は、投資意欲が旺盛な時期で、J-REIT全体の取得額は比較的高い水準にありました[図表1-3]。

※1:含み損益定義は下記のとおり。含み損益の変動は、簿価の変動(減価償却による減価、資本的支出による増価)と鑑定評価額の変動によるものである。

含み損益=鑑定評価額−簿価(プラスを含み益、マイナスを含み損という。)

含み損益率=含み損益÷鑑定評価額

-2

0

2

4

6

8

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12(兆円)

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

上期下期上期下期上期下期上期下期上期下期上期下期上期下期上期下期上期下期上期下期上期下期

(年)

評価額合計

簿価合計

含み損益合計

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100

200

300

400

500

600

0

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10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

(物件数)

(年)

(億円)

取得額合計(億円) 物件数 (年)

(億円)

-2,000

-1,500

-1,000

-500

0

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1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

2003年

2004年

2002年

2001年

2012年

2010年

2011年

2009年 2006年

2005年

2007年

2008年

上期下期上期下期上期下期上期下期上期下期上期下期上期下期上期下期上期下期上期下期上期下期

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3みずほ信託銀行 不動産トピックス September, 2014

[図表1-4]含み損益率と取得時期(都心5区オフィス)

[図表 1-5]都心 5区のオフィスの価格指数 [図表 1-6]景気動向指数(CI指数)の推移

都心 5 区のオフィスは 2007 年~ 2009 年の 3 年間が価格高騰期間

データ出所:内閣府「景気動向指数2014年4月分改訂値」図表1-4,1-5のデータ出所:都市未来総合研究所「ReiTREDA」

対象の物件を東京都心5区※2(以下「都心5区」という。)の賃貸オフィスビルに絞り、個別物件について2013年末の含み損益率と取得時期の関係([図表1-4])を整理すると以下のとおりです。・2007年から2009年の3年間に取得した物件のほとんどは、含み損を抱えている(ただし、2009年末近くに取得した物件には大きな含み損がある物件は少ない。)。・上記の3年間を除くと、マイナス20%以上の含み損を抱える物件の数は比較的少ない。都心5区のオフィスの価格指数※3の動き

([図表1-5])は、2008年上期をピークとするなだらかな山を形成しており、2007年から2009年の3年間は、ほぼこのピークを中心と

※2:東京都心 5区千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区

※3:オフィスの価格指数本稿では、J-REIT 保有物件の中から、2003 年〜 2013 年の鑑定評価額データに欠損のない物件を抽出し、半期ごとに鑑定評価額の変動率を算出し、その平均変動率を用いて、2013 年上期を基準(100)にして指数化を行った。

※4:価格高騰期間本稿では、2013 年末時点の含み損益に基づいて、取得した物件のほとんどが含み損を抱え、その多くがマイナス20%以上の含み損となることが多かった投資(取得)期間として特定した。個別物件で見れば、当該期間内でも含み益となっている物件や逆に当該期間外でも大きな含み損となっている物件は存在している。

する期間です。この3年間の価格水準が高かったために、この期間に取得した物件のほとんどが含み損を抱えることになりました。2013年末時点の含み損益の観点からは、過去10年間に限ると2007年から2009年の3年間は都心5区の賃貸オフィスビルの価格が相対的に高騰していた期間(以下では「価格高騰期間」※4という。)と考えることができます。オフィスの価格指数の変動率と価格高騰期間を照らし合わせると、価格高騰期間の終わりは変動率のボトム時点に当たります。オフィスの価格指数の変動率は2007年下期から2009年下期にかけて直線的に低下しており、この傾向は、不動産価格の下落→担保価値低下・投資口価格低下→資金調達困難→不動産価格の下落、というように市場全体が負のスパイラルに陥ってしまったことによるものと考えられます。また、景気動向指数([図表1-6])と価格高騰期間を照らし合わせると、期間の始まりは遅行指数が130を超えたあたりとなっています。

-100

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-40

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0

20

40

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2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

(含み損益率:%)

(年)

2007年から2009年までの取得物件は、そのほとんどが2013年末に含み損を抱えている。2007年から2009年までの取得物件は、そのほとんどが2013年末に含み損を抱えている。2007年から2009年までの取得物件は、そのほとんどが2013年末に含み損を抱えている。

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-6

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-2

0

2

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2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

(価格指数:2003年上期=100) (変動率:%)

価格高騰期間

変動率の下落は直線的

変動率のボトム

(年)

上期下期上期下期上期下期上期下期上期下期上期下期上期下期上期下期上期下期上期下期上期下期

変動率 価格指数

70

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2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014

先行指数 一致指数 遅行指数

(年)

CI(2010年=100)

価格高騰期間

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4 September, 2014 みずほ信託銀行 不動産トピックス

前回の価格高騰期間に取得した物件の立地と規模の特徴は次の通りです。

【区別】新宿区での取得物件数は他の区に比べて比較的少ない傾向です。価格高騰期間については、新宿区以外の区の取得構成比は低下していますが、新宿区は低下していません[図表1-7]。代わりに、新宿区では、価格高騰期間での大型、中型の物件の取得が増加しています[図表1-8]。【規模区分※5別】取得物件数の状況をみると、価格高騰期間については、大規模の取得構成比が低く、そのほかの規模の割合が高くなっています[図表1-9]。

前回の価格高騰期間では意図した条件での物件の取得が困難だった

物件の見極めは高 NOI 利回りが一つのカギ

また、価格高騰期間の含み損益率の平均を比較すると、いずれの規模も比較的大きなマイナスです[図表1-10]。価格高騰期間は、ファンドバブルと言われた時期を含んでおり、取引市場では競合が多く、意図した条件での物件の取得が難しかったと思われます。

[図表 1-7]都心 5区の取得構成比の状況 [図表 1-9]規模区分別の取得構成比の状況

[図表 1-10]規模区分別の含み損益率の状況[図表 1-8]新宿区の規模区分別の取得物件数の状況

図表1-7〜 1-10のデータ出所:都市未来総合研究所「ReiTREDA」

※5:規模区分本稿では、オフィスビルの基準階面積を基に次の規模区分とした。大規模:200 坪以上大 型:100 坪以上中 型:50 坪以上小 型:50 坪未満

投資戦術上は、価格高騰期間を避け、その期間の前後での取得が原則です。しかし、価格高騰期間内の取得であっても、含み損益率

が比較的高い物件も存在しますので、こうした物件を見極めて投資することも一策です。価格高騰期間に取得した物件の取得直後

0

10

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港区 渋谷区 新宿区 千代田区 中央区

前 価格高騰期間 後 物件数(右軸)

(取得構成比:%) (物件数:全期間)

価格高騰期間でも取得割合が大きい

前 価格高騰期間 後

0

5

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大規模 大型 中型 小型

価格高騰期間で大規模の取得構成比が低下 価格高騰期間で大規模の取得構成比が低下 価格高騰期間で大規模の取得構成比が低下

(取得構成比:%)

0

1

2

3

4

5

6

大規模 大型 中型 小型

前 価格高騰期間 後

(物件数)

大型、中型の取得が比較的多い。

前 価格高騰期間 後

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-15

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-5

0

5

大規模 大型 中型 小型

(含み損益率:%)

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5みずほ信託銀行 不動産トピックス � September,�2014

[図表 1-11]�取得直後(2009年末)のNOI利回りと含み損益率の散布図

[図表1-12]�2013年末のNOI利回りと含み損益率の散布図

[図表1-13]NOI利回りの変化と損益率の散布図

図表1-11〜 1-13のデータ出所:都市未来総合研究所「ReiTREDA」

※6:NOI 利回り本稿では、直近 1年間のNOI を取得額で除した数値を用いた。取得額は原則不変であるため、NOI 利回りの変化はNOI の変化によってもたらされる。

※7:比例的な関係図表1-11では回帰直線の説明力(R二乗)は0.308、図表1-12では回帰直線の説明力(R二乗)は 0.5396 である。双方共にある程度の大きさがあることから、比例的な関係があると思われる。なお、取得直後時点(2009年末)で直近 1年間NOI を算出できない物件があるため、図表 1-12 の対象数よりも図表 1-11 の物件数の方が少なくなっている。

※8:含み損益率が比較的高い物件ここでは含み損益率マイナス 10%以上の物件とした。

※9:NOI 利回りの変化図表 1-13 では、取得直後(2009年末時点)のNOI 利回りと 2013 年末時点のNOI 利回りの変化を求めた。

(2009年末時点)のNOI利回り※6と2013年末の含み損益率の散布図([図表1-11])では、比例的な関係※7が読み取れます。これは、取得直後のNOI利回りが高い物件は、それから4年後の2013年末の含み損益率も高い傾向にあったことを示しています。NOI利回りの大小のみに注目するならば、価格高騰期間での物件の見極めでは、NOI利回りが一つのカギになり得ると思われます。なお、価格高騰期間に取得した物件の2013年末のNOI利回り(2013年末時点の直近1年間NOI÷取得額)と含み損益率の散布図([図表1-12])でも、同様に比例的な関係が読み取れます。また、含み損益率が比較的高い物件※8とそ

れら以外の物件について、取得直後と2013年末のNOI利回りの変化※9([図表1-13])を個々の物件データから比較すると、前者の平均NOI利回りは5.0%→4.5%の低下で安定的ですが、後者では4.3%→2.8%とより大きく低下しています。以上より、取得直後から2013年末にかけてのNOIの低下が少なかった安定的な物件は、取得直後のNOI利回りが高い物件に多く含まれ、これらは含み損が生じにくかったと考えられます。

(以上、都市未来総合研究所 仲谷 光司)

-100%

-80%

-60%

-40%

-20%

0%

20%

0% 1% 2% 3% 4% 5% 6% 7% 8%

含み損益率(2013年末)

NOI利回り(取得直後)

含み損益率(2013年末)

NOI利回り(2013年末)

-100%

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-2% 0% 2% 4% 6% 8% 10% -100%

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20%

-2% 0% 2% 4% 6% 8%

含み損益率(2013年末)

平均取得直後      2013年末NOI利回り4.3% → 2.8%

平均取得直後      2013年末NOI利回り4.3% → 2.8%

平均取得直後      2013年末NOI利回り4.3% → 2.8%

取得直後のNOI利回り-2013年末NOI利回り

平均取得直後      2013年末NOI利回り5.0% → 4.5%

平均取得直後      2013年末NOI利回り5.0% → 4.5%

平均取得直後      2013年末NOI利回り5.0% → 4.5%

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6 September, 2014 みずほ信託銀行 不動産トピックス

東京圏の分譲マンション供給動向~2014 年前半の動きと今後の局面~東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の分譲マンション市場では、消費増税後も需要は堅調

である一方、素地の不足や価格上昇、建築費上昇に伴い供給上の制約がさらに強くなることが予想されます。2014年前半の供給戸数は2011、2012年並み。需要は依然堅調2014年前半の東京圏の分譲マンション供給戸数は、2月以降、前年同月比増減率−10 〜−40%で推移しました。前年の2013年に比べ減少傾向にあり、リーマンショック後の回復局面にあたる2011年、2012年並みとなりました[図表2−1上]。前年の2013年は景気上昇見込みによる需要の顕在化、消費増税前の駆け込み、デベロッパーの積極供給がみられました。2014年はその反動から供給は一服していますが、低金利、住宅ローン減税等による後押し効果は依然強いことなどから、販売は堅調です。在庫戸数はリーマンショック以降の最低水準にあり、初月契約率は高水準で安定して推移しています[図表2−1中]。平均価格、平均坪単価は昨年から平均で4〜 5%、2年前に比べ9〜 10%上昇しています[図表2−1下]。複数のデベロッパーによれば「増税後の需要の落ち込みはさほど大きくなく、価格上昇も需要を減退させるまでには至っていない」とみられています(以下「 」内は、デベロッパーあるいは仲介事業者によるもの)。今後、素地取得のハードル上昇、建築費上昇に伴う採算性の悪化など供給上の制約が強まる見通し

【中心部(東京 23 区)】素地については、大型の素地が減少し平均面積も縮小傾向にあり、また「今後の更なる地価上昇期待から売却を見送るケースが増加」、「狭い敷地をまとめる『仕掛型』、建物付きで購入する『居抜型』での取得が増加」するなど、従来に比べ素地取得に係る条件が厳しくなっています。また富裕層や海外の投資主体(分譲賃貸物件として購入)などの取得需要を背景に販売価格の上昇を吸収できることから、「都心3区や湾岸エリア、都下の一部鉄道駅沿線などで素地取得需要が集中」する状況がみられ、特定地域の価格上昇が目立っています。このほか、素地取得の緊急性の高いデベロッパーが突出した高値で落札するケースも増加し、素地価格上昇の一要因となっています。今後、おおむね半年から1年間の見通しとしては、都心部等では、地価上昇、建築費上

[図表2-1]�東京圏の分譲マンション供給にかかる諸指標の推移

【供給戸数、同前年同月比増減率】

【在庫戸数、初月契約率】

【平均価格、平均坪単価】

データ出所:不動産経済研究所「首都圏マンション・建売市場動向」

-80

-60

-40

-20

0

20

40

60

80

100

0

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2,000

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7,000

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9,000

10,000

2011年 2012年 2013年 2014年

供給戸数 前年同月比増減率

(戸) (%)景気上昇見通しによる需要増、経過措置前の駆け込み需要、デベロッパーによる手持ち物件の積極供給

景気上昇見通しによる需要増、経過措置前の駆け込み需要、デベロッパーによる手持ち物件の積極供給

景気上昇見通しによる需要増、経過措置前の駆け込み需要、デベロッパーによる手持ち物件の積極供給

東日本大震災後の落ち込みの反動増 東日本大震災後の落ち込みの反動増 東日本大震災後の落ち込みの反動増

1月2月3月4月5月6月7月8月9月

1月2月3月4月5月6月7月8月9月

1月2月3月4月5月6月7月8月9月

1月2月3月4月5月6月

10月

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12月

10月

11月

12月

10月

11月

12月

(戸) (%)

2011年 2012年 2013年 2014年

1月2月3月4月5月6月7月8月9月

1月2月3月4月5月6月7月8月9月

1月2月3月4月5月6月7月8月9月

1月2月3月4月5月6月

10月

11月

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10月

11月

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0

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2,000

3,000

4,000

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7,000

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9,000

10,000

在庫戸数 初月契約率

(万円/戸) (万円/坪)

2011年 2012年 2013年 2014年

1月2月3月4月5月6月7月8月9月

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11月

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11月

12月

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11月

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6月

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5,000

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6,000

平均価格 平均坪単価

Page 7: mizuho-topics-2014-9-cc2 September, 2014 みずほ信託銀行 不動産トピックス J-REITの含み損益にみる価格高騰期間 不動産の評価額から簿価を控除した含み損益は、不動産投資では投資の成否を判断する指標の一つ

7みずほ信託銀行 不動産トピックス � September,�2014

昇による販売価格の押し上げ要因が強い一方で富裕層や投資主体の需要等により販売価格の上昇を吸収できる余地があり、価格上昇が持続する可能性があります。ただし素地取得需要が強いことから需給がひっ迫する可能性があります。都心部以外の実需主体のエリアでは、販売価格上昇の余地は限られ、素地価格、建築費の上昇が続いた場合、事業採算性悪化につながりやすい局面にあります。このため「高い販売単価を確保できるコンパクト型の比率を増やす」方針もみられます。【周辺部(東京都下/神奈川県/埼玉県/千葉県)】周辺部では2014年に入り、分譲マンションの着工戸数がそれまでの水準から急減した状況にあります[図表2−2]。建物建設コスト比率が高い(土地コスト比率が低い)エリアでは、建築費の大幅な上昇([図表2−3])により、「おおむね販売単価が200万円/坪を切るエリ

東京圏分譲マンションの供給動向、今後の見通し(まとめ)

[図表2-2]分譲マンション着工戸数の推移 [図表2-3]地価、建築工事費の推移(指数)

データ出所:国土交通省「建築着工統計」 データ出所:�国土交通省「地価公示」、(一財)建設物価調査会「建築費指数接続表」から作成

アでは採算が厳しい」状況にあり、事業展開エリアが限定されつつあります。周辺部は一次取得者層など実需メインで、販売価格を上げる余地が僅少であることから、中心部に比べて初期投資コスト上昇の影響はより大きいものと考えられます。今後、周辺部では、大規模物件による効率的な供給を進める、特定駅周辺への絞り込みを行うなど、供給形態、供給地域が限定される可能性があります。また周辺部を主な供給地域とする中堅デベロッパーには、分譲マンション事業を縮小し他事業の展開で補完する戦略を打ち出すケースもみられ、今後増加することも考えられます。建築費の上昇が続けば、低位の着工水準が今後も続き、分譲マンションの供給は先細る可能性があります。

(以上、都市未来総合研究所 清水 卓)

2014 年前半の供給動向 ▶ 現状局面 ▶ 今後、半年~1 年の見通し2014 年前半の供給戸数は昨年に比べ減少し、2011、2012 年並み。価格は上昇、在庫は減少しており、市況が急速に冷え込んだ状況ではない。

素地取得のハードル上昇、建築費上昇に伴う採算性悪化により供給上の制約が強まる可能性あり

【中心部(23 区)】・2014 年に入り、東京圏の分譲

マンション供給戸数は前年に比べ減少基調(2 月以降、前年同月比増減率−10~−40%)。2014 年 1~6 月の供給戸数は2011 年、2012 年並み。

・景気上昇見込みによる需要の顕在化、消費増税前の駆け込み、デベロッパーの積極供給がみられた昨年の反動から供給は一服するも、低金利、住宅ローン減税等による後押し効果などを背景に、消費増税後も購入需要は依然として旺盛。

・在庫戸数はリーマンショック以降の最低水準にあり、さらに減少基調。デベロッパーは供給戸数を絞るなか、初月契約率は高水準で安定推移。

・平均価格、平均坪単価は昨年から 4~5%、2 年前に比べ 9~10%上昇。

・大型の素地が少なくなり、平均面積は縮小傾向にある。・地価上昇を見込み売却を先送りする主体が増加、素地

が市場に出づらい状況。・通常の素地売却物件が減少し、狭い素地を複数まとめ

る「仕掛型」、建物付きで購入する「居抜型」等が増加。・とくに都心 3 区や湾岸エリア、特定鉄道沿線駅周辺

等に素地取得需要が集中する傾向がみられる(富裕層、海外の投資主体などの取得需要が見込め、販売価格上昇を吸収可能なエリア)。

・素地取得の緊急性の高いデベロッパーによる突出した高値落札など、素地価格上昇を促すケースが増加。

・都心部等で、地価上昇、建築費上昇による販売価格の押し上げ要因が強い。富裕層や投資主体

(分譲賃貸)の需要等により販売価格の上昇を吸収できる余地があり、価格上昇が持続する可能性。素地取得需要が強く、需給がひっ迫する可能性。

・都心部以外の実需主体のエリアでは、販売価格上昇の許容範囲は限られ、素地価格、建築費の上昇が続いた場合、事業採算性悪化につながりやすい。

・高い販売単価を確保できるコンパクト型等の供給が増える可能性。

【周辺部(東京都下 / 神奈川県 / 埼玉県 / 千葉県)】・建物建設コスト比率が高い(用地コスト比率が低い)

なかで建築費が上昇、初期コスト上昇が大きい状況。おおむね販売単価が 200 万円 / 坪を切るエリアでは採算が厳しい状況。

・一次取得者層など実需メインで販売価格へ転嫁が難しく、初期コスト上昇を吸収する余地が僅少。

・2014 年に入り着工戸数がそれまでの水準から急減した状況。

・大規模物件による効率化、特定駅周辺への絞り込みなど、供給形態、供給地域が限定される可能性。

・分譲マンション事業縮小、他事業の展開で補完するデベロッパーが増加する可能性。

・事業採算性悪化から低位の着工水準が続く可能性があり、周辺部での分譲マンションの供給は先細る可能性。

(戸)

10月

11月

12月

10月

11月

12月

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

4,000

※3ヶ月後方移動平均値

2012年 2013年 2014年

6月

7月

8月

9月

1月

2月

3月

4月

5月

6月

7月

8月

9月

1月

2月

3月

4月

5月

6月

東京23区 東京都下・神奈川県・埼玉県・千葉県 90

100

110

120

130

140

150

※各年1月の値。地価は各区値の平均値。 都心6区:千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区 周辺17区:23区のうち都心6区以外

2005年=100

2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014(年)

住宅地地価(都心6区の公示価格)住宅地地価(周辺17区の公示価格)工事原価(東京、RC造住宅)

Page 8: mizuho-topics-2014-9-cc2 September, 2014 みずほ信託銀行 不動産トピックス J-REITの含み損益にみる価格高騰期間 不動産の評価額から簿価を控除した含み損益は、不動産投資では投資の成否を判断する指標の一つ

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不動産トピックス 2014.9発  行 みずほ信託銀行株式会社 不動産業務部 〒 103-8670 東京都中央区八重洲 1-2-1 http://www.mizuho-tb.co.jp/編集協力 株式会社都市未来総合研究所 〒 103-0027 東京都中央区日本橋 2-3-4�日本橋プラザビル 11 階 http://www.tmri.co.jp/

国土交通省は5月30日、「地価LOOKレポート2014年第1四半期(1月1日〜 4月1日)」を発表しました。このレポートは、全国主要都市の高度利用地の地価動向を四半期ごとに調査しているものです。今回調査の対象となった主要都市の高度利用地150地区における地価動向は、上昇が119地区、横ばいが27地区、下落が4地区となり、全体の約8割が上昇しています。前回調査時(2013年10月1日〜 2014年1月1日)と比較すると、商業系では勢いは鈍化しているものの、上昇地区数の増加が続いています。一方、住宅系では下落地区数は引き続き減少していますが、増加傾向にあった上昇地区数が8期ぶりに下落に転じ、横ばい地区数が増加となりました[図表3-1、3-2]。一都三県の地価の動向を地区・用途別にみると、商業系地区では中央区銀座が2期連続で大幅な上昇(3%以上6%未満)を継続していることが目を引きます。住宅系地区では、東京都心部で上昇が続く一方、周辺三県では上昇から横ばいに転じる地区が増加しており、建築費の高騰等によるマンション素地取得への足踏みが地価に影響を及ぼし始めている可能性があります[図表3-3、3-4]。� (以上、都市未来総合研究所 大重 直人)

一都三県における高度利用地の地価動向

[図表3-3]商業系地区(一都三県)の地価動向 [図表3-4]住宅系地区(一都三県)の地価動向

[図表3-1]高度利用地区の地価動向の推移(全国:商業系)

[図表3-2]高度利用地区の地価動向の推移(全国:住宅系)

図表3-1〜 3-4のデータ出所:国土交通省「地価LOOKレポート」

(図表 3-1 〜 3-4 については、それぞれ第 1 四半期をⅠ、�第 2 四半期をⅡ、第 3四半期をⅢ、第 4四半期をⅣと表記している。)

▲▲:上昇(3%以上 6%未満)、�▲:上昇(0%超 3%未満)、□:横ばい、▼:下落(0%超 3%未満)�

地区名 2013 年Ⅱ 2013 年Ⅲ 2013 年Ⅳ 2014 年Ⅰ

東京都

千代田区丸の内 ▲ ▲ ▲ ▲千代田区大手町 ▲ ▲ ▲ ▲千代田区有楽町・日比谷 ▲ ▲ ▲ ▲千代田区秋葉原 ▲ ▲ ▲ ▲中央区銀座中央 ▲ ▲ ▲▲ ▲▲中央区八重洲 ▲ ▲ ▲ ▲中央区日本橋 ▲ ▲ ▲ ▲港区六本木 ▲ ▲ ▲ ▲港区赤坂 ▲ ▲ ▲ ▲港区虎ノ門 ▲ ▲ ▲ ▲港区汐留 ▲ ▲ ▲ ▲新宿区西新宿 ▲ ▲ ▲ ▲新宿区新宿三丁目 ▲ ▲ ▲ ▲新宿区歌舞伎町 □ □ □ □渋谷区渋谷 ▲ ▲ ▲ ▲渋谷区表参道 ▲ ▲ ▲ ▲豊島区池袋東口 ▲ ▲ ▲ ▲豊島区池袋西口 □ ▲ ▲ □台東区上野 ▲ □ ▲ ▲墨田区とうきょうスカイツリー駅周辺 ▲ ▲ ▲ ▲港区品川駅東口周辺 ▲ ▲ ▲ ▲目黒区中目黒 ▲ ▲ ▲ ▲江東区青海・台場 − − − ▲大田区蒲田 □ □ ▲ ▲世田谷区三軒茶屋 □ ▲ ▲ ▲中野区中野駅周辺 ▲ ▲ ▲ ▲武蔵野市吉祥寺 □ ▲ ▲ ▲立川市立川 □ □ □ □八王子市八王子 ▼ ▼ ▼ □

神奈川県

横浜市西区横浜駅西口 □ ▲ ▲ ▲横浜市西区みなとみらい □ □ ▲ ▲横浜市中区元町 □ □ ▲ ▲横浜市港北区新横浜 □ □ ▲ ▲横浜市都筑区都筑区センター北 ▲ □ □ □川崎市川崎区川崎駅東口 ▲ ▲ ▲ ▲川崎市中原区武蔵小杉 ▲ ▲ ▲ ▲

埼玉県

さいたま市中央区新都心 ▲ ▲ ▲ ▲さいたま市大宮区大宮駅西口 ▲ ▲ ▲ ▲さいたま市浦和区浦和駅周辺 ▲ □ ▲ □川口市川口駅東口 ▲ □ □ □所沢市所沢駅西口 □ □ ▲ ▲

千葉県

千葉市中央区千葉駅前 ▼ ▼ ▼ ▼千葉市美浜区海浜幕張 □ □ □ □市川市本八幡駅周辺 ▲ ▲ ▲ ▲船橋市船橋駅周辺 ▲ ▲ ▲ ▲

地区名 2013 年Ⅱ 2013 年Ⅲ 2013 年Ⅳ 2014 年Ⅰ

東京都

千代田区番町 ▲ ▲ ▲ ▲中央区佃・月島 ▲ ▲ ▲ ▲港区南青山 ▲ ▲ ▲ ▲港区高輪 ▲ □ ▲ ▲渋谷区代官山 ▲ ▲ ▲ ▲文京区小石川 ▲ ▲ ▲ ▲品川区品川 □ ▲ ▲ ▲江東区豊洲 ▲ ▲ ▲ ▲江東区有明 − − − ▲世田谷区二子玉川 ▲ ▲ ▲ ▲武蔵野市吉祥寺 ▲ ▲ ▲ ▲立川市立川 □ □ ▲ ▲

神奈川県

横浜市都筑区都筑区センター南 ▲ ▲ ▲ □横浜市青葉区美しが丘 ▲ ▲ □ □川崎市中原区元住吉 ▲ ▲ ▲ ▲川崎市麻生区新百合ヶ丘 ▲ ▲ □ □

埼玉県 さいたま市中央区新都心 □ ▲ ▲ □

千葉県千葉市中央区千葉港 ▼ ▼ ▼ ▼浦安市新浦安 ▼ ▼ □ □柏市柏の葉 □ □ □ □

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Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ 2009 2010 2011 2012 2013 2014

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上昇 横ばい 下落

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