協同組合統計表 - japan.coop協同組合はその1.1%を占めています。...
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2017(平成 29)事業年度版
協同組合統計表
令和2年3月
一般社団法人 日本協同組合連携機構(JCA)
目次
利用者のために ........................................................................................... 1
Ⅰ 協同組合の組織
(1)組織数 ........................................................................................... 5
(2)組合員数 ........................................................................................ 6
(3)常勤役職員数 ................................................................................... 7
(4)施設数 ........................................................................................... 8
Ⅱ 協同組合の事業
(1)購買事業
①生活購買 ......................................................................................... 11
②生産資材購買 ................................................................................... 12
(2)販売事業 ...................................................................................... 13
(3)信用事業
①預貯金 ............................................................................................ 14
②貸出金 ............................................................................................ 15
(4)共済事業 ...................................................................................... 16
Ⅲ 協同組合の経営
事業収益と付加価値額 ......................................................................... 19
参考統計表 ............................................................................................ 23
- 1 -
利用者のために
1.統計の目的
本統計表は、わが国における協同組合の実態を明らかにするための基礎資料を得ることを目的としている。
2.方法
主として官公庁・関係機関が公表している統計資料を横断的に引用・集計することによって作成している。
3.対象期間
各対象組織の 2017(平成 29)事業年度の 1 年間である。時点に関するものは各対象組織の事業年度
末現在である。
4.集計項目
集計項目は以下の通りである。
Ⅰ 協同組合の組織
(1)組織数
(2)組合員数
(3)常勤役職員数
(4)施設数
Ⅱ 協同組合の事業
(1)購買事業(①生活購買 ②生産資材購買)
(2)販売事業
(3)信用事業(①預貯金 ②貸出金)
(4)共済事業
Ⅲ 協同組合の経営
事業収益と付加価値額
5.集計対象とする協同組合
既存の統計資料の整備状況にかかる制約から、以下の国内の協同組合における単位組合および連合会を基
本的な集計対象としている。
○農業協同組合
○森林組合
○漁業協同組合(沿海地区出資漁業協同組合)
○生活協同組合
○労働金庫
○信用金庫
○信用協同組合
ただし、項目によって集計対象を限定または拡大している場合がある(その場合は各項目の注釈に記載)。
- 2 -
6.集計における留意点
「Ⅱ 協同組合の事業」の集計に当たっては、系統組織内における、単位組合と連合会との取引、連合会と連
合会との取引における重複部分を可能な限り考慮している。
7.略記
(1)以下の協同組合については、特段の必要がある場合を除き、略称で表記している。
○農業協同組合→農協
○漁業協同組合→漁協
○消費生活協同組合→生協
○信用協同組合→信用組合
(2)出典に頻出する統計資料については、資料名の一部や調査機関名、年・巻号等を下記の通り略記して
いる。
○農林水産省「平成 29事業年度 総合農協統計表」→「総合農協統計表」
○農林水産省「平成 29事業年度 専門農協統計表」→「専門農協統計表」
○農林水産省「平成 29事業年度 農業協同組合連合会統計表」→「農協連合会統計表」
○林野庁「平成 29年度 森林組合統計」→「森林組合統計」
○水産庁「水産業協同組合統計表(平成 29年度)」→「水産業協同組合統計表」
○厚生労働省「平成 29年度 消費生活協同組合(連合会)実態調査」→「生協実態調査」
○日本生活協同組合連合会「2017年度 生協の経営統計」→「生協の経営統計」
○全国労働金庫協会「全国労働金庫経営分析表 平成 29年度決算」→「労働金庫経営分析表」
○全国労働金庫協会「全国 13 労働金庫の 2017 年度決算概況表」→「全国 13 労働金庫の決算概況
表」
○信金中央金庫「全国信用金庫概況・統計 2017年度」→「全国信用金庫概況・統計」
○全国信用組合中央協会「全国信用組合主要勘定 平成 30年 3月末」→「全国信用組合主要勘定」
○日本共済協会「共済年鑑 2019年版(2017年度事業概況)」→「共済年鑑」
○全国中小企業団体中央会「2018-2019中小企業組合ガイドブック」→「中小企業組合ガイドブック」
○日本労働者協同組合連合会「日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会事業案内 2019-2020」
→「日本労協連事業案内」
○国際協同組合年記念協同組合全国協議会・日本協同組合連携機構「第 97回国際協同組合デー記念
中央集会」→「国際協同組合デーパンフレット」
8.その他の利用上の注意
(1)統計表で計と内訳が一致しないのは、表示単位未満を四捨五入したためである。
(2)本統計表を引用・転載する場合は、出典として「2017 事業年度版 協同組合統計表」(日本協同組
合連携機構)等の記載を行ってください。本統計表を加工して利用する場合はその旨も明記してください。
Ⅰ 協同組合の組織
- 5 -
2017 年度における国内の協同組合の単位組合
数は、4 万 377 組合となっています1。また、協同組
合の連合会数は 1,371連合会であり2、両者を合計
した協同組合の総数は 4万 1,748組織となります。
国内の法人の総数は 385 万 6,457 法人3であり、
協同組合はその 1.1%を占めています。
単位組合数について、図1から各種協同組合の主
な内訳をみると、中小企業組合が 3 万 5,144 組合
(うち事業協同組合が 2万 8,427組合)と群を抜
1 本項目では、「利用者のために」 5.の協同組合に加えて、中小企業組合および労働者協同組合を集計対象に含めている。また、水
産業については水産業協同組合(非出資を除く)を集計対象としている。なお、労働者協同組合には生協や中小企業組合の形態を
とる組合が含まれるため、一部が重複して計上されている可能性がある。 2 連合会数の集計に用いた資料は p.23 の表1を参照。 3 総務省・経済産業省「平成 28年経済センサス」。
いており、単位組合数の 87.0%を占めています。これ
に、水産業協同組合が 1,798 組合(4.5%)、農
協(総合農協および専門農協)が 1,224 組合
(3.0%)、生協が 813 組合(2.0%)、森林組
合が 621組合(1.5%)、労働者協同組合が 357
組合(0.9%)で続いています。
なお、農協のうち総合農協は 657 組合であり、水
産業協同組合のうち沿海地区出資漁協は953組合
となっています。
Ⅰ 協同組合の組織
協同組合の総数は約 4 万 2 千組織
(1)組織数
図1 協同組合の単位組合数の内訳(2017年度末)
資料:農協は「総合農協統計表」「専門農協統計表」、森林組合は「森林組合統計」、水産業協同組合は「水産業協同
組合年次報告(平成30年3月31日現在)」、生協は「生協実態調査」(「活動中」の組合数から連合会を除いた
数)、労働金庫は全国労働金庫協会ウェブサイト、信用金庫は「全国信用金庫概況・統計」、信用組合は全国信
用組合中央協会ウェブサイト、中小企業組合は「中小企業組合ガイドブック」、労働者協同組合は「事業案内」
注:括弧内はいずれも組合数全体に占める構成比。
中小企業組合
35,144
(87.0%)
農協
1,224
(3.0%)
森林組合
621
(1.5%)
水産業協同組合
1,798
(4.5%)
生協
813
(2.0%)
労働金庫
13
(0.0%)
信用金庫
261
(0.6%)
信用組合
146
(0.4%)
労働者協同組合
357
(0.9%)
5,233
(13.0%)
単位:組合
- 6 -
2017 年度における国内の各種協同組合の組合
員数を合計すると、1 億 561 万人1となります。一つ
の目安として、これをわが国の世帯数5,748万で割る
と1.84となることから、1つの世帯は、購買、販売、信
用、共済など利用する事業に応じて 1.8 程度の協同
組合に加入していることになります2。
また、図 2から組合員数の各種協同組合の主な内
訳をみると、生協が 6,620 万人と群を抜いており、全
体の 6 割強を占めています3。これに、労働金庫が
1 本項目では単位組合の組合員数のみを集計しており、連合会の会員数は含まれていない。また、本項目では資料の制約から、同一の
組合員が複数の協同組合(例えば、生協と農協、複数の生協等)に加入している場合の重複について基本的に考慮していない。した
がって、「実人数」と明示している場合を除き、人数は延べ数となる。なお、組合員数の大部分は個人であるが、一部に団体も含まれるた
め、単位は厳密には「万人・団体」となる。 2 同一の協同組合への加入者は 1世帯 1人であることが多く、<組合員数の合計/世帯数>は 1世帯当たりの加入組合数のおおまか
な目安となると考えられる。世帯数は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(平成 29年 1月 1日現在)」。
3 なお、日本生活協同組合連合会による会員生協への調査結果である「生協の経営統計」(回答生協数 565組合、回答率
98.9%)では、回答生協の 2017年度末の組合員数は 2,873万人(うち地域生協は 2,187万人)とされている。
4 「生協実態調査」における、「主として供給・利用事業を行う組合」を購買生協、「主として共済事業を行う組合」および「主として受託共
済事業を行う組合」を共済生協、「主として医療・福祉事業を行う組合」を医療・福祉生協と見なした。
1,115万人、農協が 1,066万人(うち総合農協が
1,051 万人(実人数))、信用金庫が 924 万人、
信用組合が395万人、中小企業組合が259万人、
森林組合が 151万人で続いています。
6 割強を占める生協について、主たる事業別の内
訳をみると、購買生協(551 組合)が 2,612 万人、
共済生協(130組合)が3,721万人、医療・福祉
生協(119組合)が 263万人となっています4。
Ⅰ 協同組合の組織
協同組合の組合員数は延べ1億500万人超(複数加入者は重複して計上)
(2)組合員数
図2 協同組合(単位組合)の組合員数の内訳(2017年度末)
資料:農協は「総合農協統計表」「専門農協統計表」、森林組合は「森林組合統計」、漁協は「水産業協同組合統計
表」、生協は「生協実態調査」、労働金庫は「労働金庫経営分析表」(会員の中の個人会員数と間接構成員数
との合計)、信用金庫は「全国信用金庫概況・統計」、信用組合は「全国信用組合主要勘定」、中小企業組合
は「中小企業組合ガイドブック」、労働者協同組合は日本労働者協同組合連合会への聞き取りと「国際協同組合
デーパンフレット」
注:括弧内はいずれも組合員数全体に占める構成比。
購買生協
2,612
(24.7%)
共済生協
3,721
(35.2%)
医療・福祉生協 263(2.5%) その他の生協 23(0.2%)
農協
1,066
(10.1%)
森林組合
151
(1.4%)
漁協
29
(0.3%)
労働金庫
1,115
(10.6%)
信用組合
395
(3.7%)
信用金庫
924(8.8%)
中小企業組合
259(2.4%)
労働者協同組合
2(0.0%)
3,942
(37.3%)
単位:万人
- 7 -
2017 年度における国内の協同組合の常勤役職
員数は、単位組合が 47万 8,312人、連合会が 10
万 5,119人1、協同組合全体では 58万 3,431人
となっています。このうち常勤職員数が 57 万 2,904
人、常勤役員数が 1万 527人を占めています。同年
度の国内全体の常用雇用者数は 3,759 万人2であ
り、協同組合における常勤職員数はその 1.5%を占
めています。
単位組合の常勤役職員数について、図3から各種
協同組合の内訳をみると、農協が最多の約 21 万人
で 43.5%を占めています。これに、信用金庫が約 11
万人(22.7%)、生協が約10万人(20.9%)、
1 連合会の常勤役職員数の集計に用いた資料は p.25 の表 3 を参照。 2 総務省「労働力調査」の 2017年度次における「正規の職員・従業員等」「契約社員」「嘱託」の合計。なお、「正規の職員・従業員」
「契約社員」「嘱託」は勤め先での呼称による区分。 3 非常勤職員数の数値は「生協実態調査」。また、購買生協の区分については p.6 の脚注 4 を参照。
信用組合が 1万 9,899人(4.2%)、漁協が 1万
1,887 人(2.5%)、労働金庫が 1 万 1,266 人
(2.4%)、労働者協同組合が 1 万 1,242 人
(2.4%)、森林組合が 7,182 人(1.5%)で続
いています。
なお、生協では約 10万人の常勤職員に加えて、9
万 1,896 人の非常勤職員が雇用されています。この
うち 7 万 2,910 人が購買生協で雇用されており3、
購買店舗を中心に、多くの非常勤職員が生協の事業
を支えています。
Ⅰ 協同組合の組織
協同組合の常勤役職員数は約 58 万人
(3)常勤役職員数
資料:農協は「総合農協統計表」「専門農協統計表」、森林組合は「森林組合統計」、漁協は「水産業協同組合統計
表」、生協は「生協実態調査」、労働金庫は「労働金庫経営分析表」、信用金庫は「全国信用金庫概況・統計」、
信用組合は「全国信用組合主要勘定」、労働者協同組合は連合会資料
注:括弧内はいずれも常勤役職員数全体に占める構成比。
図3 協同組合(単位組合)の常勤役職員数の内訳(2017年度末)
農協
208,286
(43.5%)
信用金庫
108,475
(22.7%)
生協
100,075
(20.9%)
森林組合
7,182
(1.5%)
漁協
11,887
(2.5%)
労働金庫
11,266
(2.4%)
信用組合
19,899
(4.2%)
労働者協同組合
11,242
(2.4%)
61,476
(12.9%)
単位:人
- 8 -
2017 年度における、組合員が利用できる協同組
合の施設数は 3万 5,949か所となっています1。
その種類別の内訳は、図 4 に示される通り、本店・
支店2が 1万 8,522 か所(51.5%)、購買・販売
施設(購買店舗、直売所等)が 8,132 か所
(22.6%)、生活関連施設(給油所、葬祭センタ
ー等)が 3,671 か所(10.2%)、医療・福祉施設
1 主に役職員のみが利用する施設や、特定の組合員のみが利用する施設(例えば農協の集出荷施設等)は集計対象
から除いている。また、単位組合・連合会が保有する施設に加えて、単位組合・連合会の子会社等が保有する施設を集
計対象に含めている。 2 ここでの「本店・支店」とは、金融事業を営む協同組合の本店・支店(本所・支所)である。 3 文部科学省「平成 29年度学校基本調査」。
(病院、介護事業所等)が 4,438 か所(12.3%)
となります。
同年度の公立小学校数は 1万 9,794校3で、平
均すると 1 つの小学校区に約 1.8 か所の協同組合
の施設が設置され、組合員に利用されていることになり
ます。
Ⅰ 協同組合の組織
(4)施設数
組合員が利用できる協同組合の施設数は約 3万 6千か所
本店・支店
18,522
(51.5%)
購買・販売施設
8,132
(22.6%)
生活関連施設
3,671
(10.2%)
医療・福祉施設
4,438
(12.3%)
その他
1,186
(3.3%)
単位:か所
図4 組合員が利用できる協同組合(単位組合および連合会)の施設数の内訳(2017年度)
資料:農協は「総合農協統計表」、「J Care Net」(ウェブサイト)、全国厚生農業協同組合連合会「厚生
連事業の概要 平成29年版」および該当組織への聞き取り、森林組合は「森林組合統計」、生協は
「生協実態調査」、日本医療福祉生活協同組合連合会ウェブサイト、該当組織への聞き取り、信用金
庫は「全国信用金庫概況・統計」、信用組合は「全国信用組合主要勘定」、労働金庫は「全国13労
働金庫の決算概況表」、その他は該当組織への聞き取り
Ⅱ 協同組合の事業
- 11 -
生活購買を行っている主な協同組合としては、生
協、農協、漁協があげられます。
生協の供給高は3兆336 億円で、地域生協が
2兆7,408 億円、その他生協(大学生協、居住
地職域生協など)が2,929億円となっています1。
農協(総合農協および専門農協)は単協本体の
供給高が6,837 億円2で、これ以外にAコープを通
じた供給高が3,100 億円3あります。漁協の供給高
は 144億円となっています。
ここにあげた組織の供給高を合わせるとその額は4
兆418億円で、図5に示される通り、地域生協の供
1 数値は「生協の経営統計」。なお、同統計の対象は日本生活協同組合連合会の会員が中心で、すべての生協を網羅していない。 2 農協においては生活購買部門の子会社化が進んでいるが、ここでの数値には子会社を通じた供給高を含んでいない。 3 ここでの A コープとは全国Aコープ協同機構に加盟している 13社を指しており、農協本体でAコープを運営している場合は農協の供給
高に含まれている。なお、農協本体で運営しておらず、同機構に加盟していないAコープの数値はここでの集計に含むことができていない。 4 農協は総合農協本体のみの数値。Aコープは全国農業協同組合連合会調べの数値。その他生協、専門農協、漁協等の数値は含ん
でいない。
給高割合が 67.8%と群を抜いて高くなっています。
地域生協の供給高について、商品別の内訳を見る
と、生鮮・日配・ドライ食品を合わせた食品の供給高
が2兆2,134億円で 80.8%を占めています。
食品の供給高は、農協が 1,957億円、Aコープが
2,850億円となっており、これに地域生協を合わせると
2兆6,941 億円となります4。経済産業省の「商業
動態統計」によると、国内の飲食料品小売業の販売
額は44兆5,360億円(2017年度)となっており、
以上の数値を用いて協同組合の食品小売シェアを算
出すると、6.0%となります。
Ⅱ 協同組合の事業
協同組合の生活購買供給高は約4兆円
(1)購買事業 ①生活購買
図5 協同組合の生活購買供給高の内訳(2017年度)
資料:地域生協とその他生協は「生協の経営統計」、農協は「総合農協統計表」「専門農協統計表」、
Aコープは全農調べ、漁協は「水産業協同組合統計表」
注:括弧内は協同組合全体の生活購買供給高に占める構成比。
漁協
144
(0.4%)
Aコープ
3,100
(7.7%)
農協
6,837
(16.9%)
その他生協
2,929
(7.2%) 生鮮
8,142
日配
7,180
ドライ食品
6,811
非食品
5,274
地域生協
27,408
(67.8%)
単位:億円
- 12 -
生産資材購買事業を行っている国内の協同組合
には、主として農協、漁協、森林組合があります。
2017 年度におけるこれらの協同組合(単位組合)
全体の供給高は、2兆1,178億円1となっています。
図6から各種協同組合の主な内訳をみると、農協が
1兆 9,576億円で 92.4%、漁協が 1,512億円で
7.1%を占めています。
最も供給高の多い農協について品目別の内訳をみ
ると、飼料が最も多く 4,168 億円で 21.3%、次いで
1 本項目では単位組合の供給高のみを集計しており、連合会の供給高は含まれていない。 2 農林水産省「生産者の所得向上につながる生産資材価格形成の仕組みの見直し」(2017年 4月)。
燃料が 3,067 億円で 15.7%、以下肥料が 2,714
億円で 13.9%、農業機械が 2,391億円で 12.2%、
農薬が 2,246億円で 11.5%となっています。
なお農林水産省の資料によると、農業者の生産資
材調達における農協のシェアは、最も高い肥料で 7割
強、次いで農薬が約6割、以下農業機械が約5割、
飼料が 3割強とされています2。
Ⅱ 協同組合の事業
農林水産業における協同組合の生産資材購買供給高は約2兆円
(1)購買事業 ②生産資材購買
図6 協同組合(単位組合)における生産資材購買供給高と農協供給高の内訳(2017年度)
資料:農協は「総合農協統計表」「専門農協統計表」、森林組合は「森林組合統計」、漁協は「水産業協同組合統計表」
注:左側の円グラフの括弧内は協同組合の供給高全体に占める構成比、右側の円グラフの括弧内は農協の供給高全体に
占める構成比。
漁協
1,512
(7.1%)
森林組合
90
(0.4%)
農協
19,576
(92.4%)
飼料
4,168
(21.3%)
その他
4,413
(22.5%)
肥料
2,714
(13.9%)
単位:億円
燃料
3,067
(15.7%)
農業機械
2,391
(12.2%)
農薬
2,246
(11.5%)
自動車
577
(2.9%)
- 13 -
協同組合の販売事業は、組合員が生産した生産
物の販売(卸売市場への出荷等)を、組合員に代
わって協同組合が行う事業であり、主に農林水産業
において実施されています。
2017 年度における国内の協同組合全体の農林
水産物販売取扱高は、6 兆 1,685 億円となってい
ます1。図7から各種協同組合の取扱高の内訳をみ
ると、農協のうち総合農協が 4兆 5,371億円で協同
組合の73.6%を占め、専門農協の4,264億円を加
えた農協全体では 4 兆 9,635 億円で 80.5%を占
めています。これに、漁協が 1 兆 1,064 億円、
1 本項目では単位組合の販売取扱高のみを集計しており、連合会の取扱高は含まれていない。
2 それぞれ、販売取扱高を産出額で除して算出した(例えば農協の場合、農産物販売取扱高を農業産出額で除したもの)。
17.9%で続いています。
また、同図から同年度の農林漁業産出額 11 兆
3,254 億円に占める協同組合の販売取扱高の構成
比をみると、54.5%となります。国内で生産された農
林水産物のうち、金額ベースでみて半分超が協同組
合を通じて販売されたことになります。
農業、林業、漁業それぞれの産出額に占める各種
協同組合の販売取扱高の構成比2では、農協が
53.5%、森林組合が 20.7%、漁協が 70.2%となっ
ています。
Ⅱ 協同組合の事業
国内の農林漁業産出額の半分超が協同組合を通じて販売
(2)販売事業
図7 協同組合(単位組合)の農林水産物販売取扱高の内訳(2017年度)
資料:農協は「総合農協統計表」「専門農協統計表」、森林組合は「森林組合統計」、漁協は「水産業協同組合統計
表」、農業産出額・林業産出額・漁業産出額はそれぞれ農林水産省「生産農業所得統計」「林業産出額」「漁業産
出額」
注1:左側の円グラフの括弧内は農林水産業産出額全体(11兆3,254億円)に占める構成比、右側の円グラフの括弧
内は協同組合全体の農林水産物販売取扱高(6兆1,685億円)に占める構成比。
注2:「協同組合以外の事業体」の販売取扱高は、農林水産業産出額から協同組合の農林水産物販売取扱高を差し引
いて算出した。また、資料の制約から、森林組合および漁協の販売取扱高は販売手数料を含む金額となっている。
協同組合以外の
事業体
51,569
(45.5%)
総合農協
45,371
(73.6%)
専門農協
4,264
(6.9%)
森林組合
987
(1.6%)
漁協
11,064
(17.9%)
協同組合
61,685
(54.5%)
単位:億円
- 14 -
日本銀行の「資金循環統計」によると、2017 年度
末(2018 年3月末)において、国内の預貯金取
扱機関1に預けられている預貯金の総額は 1,303兆
円2となっています。
図8に示される通り、このうち国内銀行等に預けら
れている預貯金額は 1,003 兆円3で 77.0%、協同
組合に預けられている預貯金額は300兆739億円
1 日本銀行「資金循環統計」では、預貯金取扱機関を国内銀行、在日外銀、農林水産金融機関、中小企業金融機関等、合同運用
信託に分類している。協同組合は農林水産金融機関と中小企業金融機関等の中に含まれる。なお、同統計では預金取扱機関と表
記しているが、法令で貯金と呼ぶ機関もあり、ここでは預金あるいは貯金を指す場合、預貯金で表記を統一している。 2 「資金循環統計」では預貯金総額が 1,467兆円となっているが、この金額は協同組合の系統預け金が考慮されていない。ここでは、同
預け金(農協・漁協系、信用金庫系、信用組合系、労働金庫系総額 165兆円)を相殺した額である 1,303兆円を預貯金総額と
する。 3 ここでの国内銀行等とは協同組合以外の預貯金取扱機関を指す。国内銀行等の預貯金額は、国内の預貯金総額(協同組合の系
統預け金を相殺した額)から協同組合の預貯金額(系統預け金を相殺した額)を引いて算出。 4 信用金庫および信金中央金庫の預貯金額から系統預け金を相殺して算出。 5 農協、漁協、信用農業協同組合連合会、信用漁業協同組合連合会、農林中央金庫の預貯金額から系統預け金を相殺して算出。 6 労働金庫および労働金庫連合会の預貯金額から系統預け金を相殺して算出。
7 信用組合および全国信用組合連合会の預貯金額から系統預け金を相殺して算出。
で 23.0%となっています。
協同組合の中では信用金庫系の預貯金額が最も
多く 141 兆 8,742 億円4、次いで農協・漁協系が
117 兆 1,382 億円5、以下、労働金庫系が 20兆
6,234 億円6、信用組合系が 20 兆 4,381 億円7
で続いています。
Ⅱ 協同組合の事業
協同組合の預貯金シェアは 23.0%
(3)信用事業 ①預貯金
注:括弧内はいずれも預貯金取扱機関全体に占める構成比。
図8 預貯金取扱機関別に見た国内の預貯金額(2017年度末)
資料:預貯金取扱機関全体の数値は日本銀行「資金循環統計」の2018年3月末データ、農協・漁協系は農林中央金
庫「農林漁業金融統計2018」、信用金庫系は信金中央金庫「ディスクロジャー誌2018」および「全国信用金庫概
況・統計」、信用組合系は全国信用協同組合連合会「ディスクロージャー誌2018」および「全国信用組合主要勘
定」、労働金庫系は労働金庫連合会「ディスクロージャー誌2018」および「労働金庫経営分析表」
国内銀行等
10,025,922
(77.0%)
農協・漁協系
1,171,382
(9.0%)
信用金庫系
1,418,742
(10.9%)
信用組合系
204,381
(1.6%)
労働金庫系
206,234
(1.6%)
協同組合
3,000,739
(23.0%)
単位:億円
- 15 -
国内で貸出を行っている金融機関には、銀行等の
預貯金取扱機関、証券投資信託、保険・年金基金、
ノンバンク等のその他金融仲介機関等があります。
このうち、預貯金取扱機関による貸出金額は 783
兆 516 億円で、その内訳は図9に示される通り、国
内銀行等の貸出金額が 634 兆 3,057 億円で
81.0%、協同組合の貸出金額が148兆7,459億
円で 19.0%となっています1。
協同組合の中では信用金庫系の貸出金が最も多
く77兆9,161億円2、次いで農協・漁協系が 41兆
1 預貯金取扱機関の貸出金額は日本銀行「資金循環統計」の 2018年 3月末データを参照した。なお、ここでの国内銀行等の貸出
金額は、預貯金取扱機関の貸出金額から協同組合の貸出金額を引いて算出。 2 信用金庫および信金中央金庫の貸出金額。 3 農協、漁協、信用農業協同組合連合会、信用漁業協同組合連合会、農林中央金庫の貸出金額。 4 信用組合および信用協同組合連合会の貸出金額。 5 労働金庫および労働金庫連合会の貸出金額。 6 ここでの数値はすべて日本銀行「資金循環統計」の 2018年3月末データを参照した。
5,390 億円3、以下、信用組合系が 14 兆 7,557
億円4、労働金庫系が 14兆 5,352億円5で続いて
います。
なお、金融機関全体の貸出金額は 1,378兆円で
あり、預貯金取扱機関以外では、例えば公的金融機
関の貸出金額が 220兆 2,037億円と大きくなってい
ます6。金融機関全体に占める協同組合の貸出金シ
ェアは、10.8%となっています。
Ⅱ 協同組合の事業
協同組合の貸出金額は 149 兆円
(3)信用事業 ②貸出金
図9 預貯金取扱機関別に見た国内の貸出金額(2017年度末)
注:括弧内はいずれも預貯金取扱機関全体に占める構成比。
資料:預貯金取扱機関全体の数値は日本銀行「資金循環統計」の2018年3月末データ、農協・漁協系は農林中央金
庫「農林漁業金融統計2018」、信用金庫系は信金中央金庫「ディスクロジャー誌2018」および「全国信用金庫概
況・統計」、信用組合系は全国信用協同組合連合会「ディスクロージャー誌2018」および「全国信用組合主要勘
勘」、労働金庫系は労働金庫連合会「ディスクロージャー誌2018」および「労働金庫経営分析表」
国内銀行等
6,343,057
(81.0%)
農協・漁協系
415,390
(5.3%)
信用金庫系
779,161
(10.0%)
信用組合系
147,557
(1.9%)
労働金庫系
145,352
(1.9%)
協同組合
1,487,459
(19.0%)
単位:億円
- 16 -
国内の保障事業は、生命保険、損害保険および
協同組合が実施する「共済」1に分類されます。
2017年度における国内保障事業全体の保険料・
掛金収入は 48 兆 4,402 億円であり、このうち生命
保険会社の収入保険料が 32兆 4,424億円、損害
保険会社の元受正味保険料(収入積立保険料含
む)が 9兆 1,152億円2、協同組合の共済掛金収
入が 6 兆 8,826 億円となります。保障事業全体に
占める構成比は、図10の通り、生命保険と損害保
険の合計(41兆 5,576億円)が 85.8%で、協同
組合の共済が 14.2%となります。
この共済における各種協同組合の内訳は、農協系
が 4兆 9,607億円で保障事業全体の 10.2%、生
1 ここでの共済事業者には、各種協同組合法(農業協同組合法、水産業協同組合法、消費生活協同組合法、中小企
業等協同組合法)にもとづいて共済事業を実施している協同組合に加え、協同組合の前身である産業組合により設立さ
れ、現在も共済団体と関係の深い共栄火災海上保険株式会社を含めている。 2
損害保険会社の元受正味保険料の合計額は、共栄火災海上保険株式会社を除いた金額。 3 「農協系」は農業協同組合法、「生協系」は消費生活協同組合法にもとづいて共済事業を実施する協同組合。 4 協同組合の支払共済金額と比較するため、生命保険会社の保険金等支払金等のうち、保険金、年金、給付金の合計
額を示した。 5 損害保険会社の正味支払保険金の合計額は、共栄火災海上保険株式会社を除いた金額。
協系が 1兆 6,195億円で 3.3%となります3。
一方、国内保障事業全体の支払額は 27 兆
9,582 億円であり、このうち生命保険会社の支払保
険金4が 19兆 238億円、損害保険会社の正味支
払保険金が 4兆 6,142億円5、協同組合の支払共
済金が 4 兆 3,202 億円となります。保障事業全体
に占める構成比は、生命保険と損害保険の合計
(23兆6,380億円)が84.5%で、協同組合の共
済は 15.5%となります。
この共済における各種協同組合の内訳は、農協系
が 3兆 2,830億円で保障事業全体の 11.7%、生
協系が 8,510億円で 3.0%となります。
Ⅱ 協同組合の事業
(4)共済事業
協同組合の共済掛金収入は約 7兆円、支払共済金は約 4兆円
生協系
16,159
(3.3%)
その他
3,059(0.6%)
生命保険・損害保険
415,576
(85.8%)
農協系
49,607
(10.2%)
生協系
16,195
(3.3%)
その他
3,025
(0.6%)
共済
68,826
(14.2%)
資料:「共済年鑑」、生命保険協会「2018年版生命保険の動向」、日本損害保険協会「日本の損害保険」
注:括弧内はいずれも保障市場全体に占める構成比。
図10 国内保障事業における保険料・掛金収入の内訳(2017年度)
単位:億円
Ⅲ 協同組合の経営
- 19 -
2017 年度における国内の協同組合(単位組合およ
び連合会)の事業収益1は、33 兆 8,533 億円となっ
ています。経済センサス2によれば、国内全産業の売上
高は約 1,625 兆円であり、協同組合の事業収益はこ
の 2.1%を占めています。
同じく経済センサスによれば、企業の経済活動によっ
て新たに生み出された価値の総額である付加価値額3
は、国内全産業で 289 兆 5,355 億円となっています。
1 協同組合の事業収益および付加価値額の集計方法の詳細は pp.36-39 を参照。 2 総務省・経済産業省「平成 28 年経済センサス-活動調査」(https://www.stat.go.jp/data/e-census/2016/kekka/gaiyo.html)。な
お、同調査における売上金額および付加価値額は 2015 年 1 年間のもので、2020 年 2 月時点の最新の数値である。したがって、協
同組合の事業収益・付加価値額とは対象年度が異なることに注意が必要である。 3 同調査では、付加価値額=売上高-(費用総額(売上原価+販売費及び一般管理費))+給与総額+租税公課。
協同組合(単位組合および連合会)によって生み出
された付加価値額1を、可能な限り経済センサスと条件
を揃えて集計すると 5 兆 5,626 億円となり、これは先
の国内全産業の付加価値額の 1.9%を占めています。
なお、単位組合だけでみると、事業収益は 13 兆
270億円で国内全産業の 0.8%を占めており、付加
価値額は3兆5,807億円で1.2%を占めています。
Ⅲ 協同組合の経営
協同組合の事業収益は 33兆9千億円、付加価値額は5兆6千億円
事業収益と付加価値額
図11 協同組合(単位組合および連合会)の事業収益と付加価値額(2017年度)
資料:農協は「総合農協統計表」、「専門農協統計表」、「農協連合会統計表」、全国農業協同組合連合会「全農リポー
ト2018」、農林中央金庫「2018ディスクロージャー誌」、全国共済農業協同組合連合会「JA共済連の現状2018」、
漁協は「水産業協同組合統計表」、全国漁業協同組合連合会への聞き取り、全国共済水産業協同組合連合会
「JF共水連の現況2018」、森林組合は「森林組合統計」、生協は「生協実態調査」、日本生活協同組合連合会
ウェブサイト、「生協の経営統計」、全国労働者共済生活協同組合連合会「2018年版FACT BOOK」、全国生活
協同組合連合会「事業および組織の現状2017年度」、日本コープ共済生活協同組合連合会 「ANNUAL
REPORT 2018」、全国大学生協共済生活協同組合連合会「ANNUAL REPORT 2018」、労働金庫は「全国
労働金庫経営分析表」、労働金庫連合会「DISCLOSURE The Rokinren Bank 2018」 、信用金庫は全国信
用金庫協会への聞き取り、信金中央金庫「ディスクロージャー誌2018」、信用組合は全国信用中央協会への聞き取
り、全国信用協同組合連合会「2018ディスクロージャー誌」
130,270
30,734
75,541
232,259
338,533
0 100,000 200,000 300,000
35,807
16,327
9,676
29,623
55,626
0 20,000 40,000 60,000
単位:億円
農協・森林
組合・漁協
合計
生協
労働金庫・
信用金庫・
信用組合
単位組合計
①事業収益 ②付加価値額
参考 事業収益と付加価値額の集計方法
1.事業収益
事業収益については、各出典資料における「事業収益」、「供給高」を集計した。
2.付加価値額
付加価値額については、総務省・経済産業省「経済センサス‐活動調査の付加価値額」における付加価
値額の集計方法(下記)に準じて、次の通り、「事業収益」から「供給原価」「事業費用」などの直接費用
および一般管理費を差し引いたものに、人件費、諸税負担金を戻して推計した注1)。
○購買・供給事業など
付加価値額 = 事業収益 -(供給原価 + 販売費等 + 一般管理費)+ 人件費 + 諸税負担金注2)
○信用・共済事業
付加価値額 = 経常収益 - 経常費用 + 人件費 + 諸税負担金注2)
注1:集計に用いた資料に「経済センサス‐活動調査」と同じ項目(科目)がないものは、それに近
い金額を用いて(または未計上として)算出した。
注2:諸税負担金は、「経済センサス‐活動調査」の租税公課と同様に、法人税、住民税、事業税を除
くものである。
(参考)総務省・経済産業省「平成 28年経済センサス‐活動調査」について
<「経済センサス‐活動調査」の対象期間>
売上金額および付加価値額は 2015年 1年間のもので、2020年 2月時点の最新の数値である。
<「経済センサス‐活動調査」における付加価値額(総務省ウェブサイトの「平成 28年度経済センサ
ス‐活動調査の速報集計結果を読む」および同調査の調査票より)>
付加価値は、企業等の経済活動によって新たに生み出された価値のことであり、売上高から原材料
費等の中間投入額を差し引くことによって算出できる。活動調査では、企業・事業所から回答のあっ
た金額を基に、以下の算式で算出している。
付加価値額 = 売上高 - 費用総額 + 給与総額 + 租税公課
費用総額 = 売上原価 + 販売費及び一般管理費
(ただし金融業界については、付加価値額 = 経常収益 ― 経常費用 + 給与総額 + 租税公課)
なお、本調査の付加価値額には、国民経済計算の概念では含まれている国内総生産の項目のうち、
以下は含まれていない。
固定資本減耗、雇用主の社会保険料負担分、持ち家の帰属家賃、研究開発費、農林漁家、公営企業
及び政府サービス生産者の付加価値 等
2017(平成 29)事業年度版 協同組合統計表
発 行 2020年 3月
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