標準化をビジネスツールに - Minister of Economy,...

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標準化をビジネスツールに 標準化の活用は、新しい技術や優れた製品を速やかに普及させるための 重要なビジネスツールです 経済産業省、日本商工会議所、一般財団法人日本規格協会は 中小企業の皆様の標準化の活用を応援しています

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標準化をビジネスツールに 標準化の活用は、新しい技術や優れた製品を速やかに普及させるための

重要なビジネスツールです

経済産業省、日本商工会議所、一般財団法人日本規格協会は

中小企業の皆様の標準化の活用を応援しています

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○経済産業省は、特定の標準化提案について、JSAが原

案作成団体や国内審議団体となる制度を新設する等

中小企業等の標準化の活用を支援しています。 詳しくは4,5ページをご参照ください。

○中小企業等からの標準化の活用に関する様々な相

談に対応するため、JSA に「総合標準化相談室」

を設置していますので、是非、ご利用ください。 詳しくは4,5ページをご参照ください。

標準化の活用は、中小企業の皆様の保有する新しい技術や優れた製品を速やかに普及させるための重要なビジネスツールです!

中小企業の皆様が保有する新しい技術

や優れた製品が市場で際立つような評

価基準や品質基準などを標準化するこ

とによって、自社の技術・製品の市場で

の信頼性の向上と共に市場での速やか

な普及の可能性が高まります!

標準化の活用

自社の技術・製品のスペック・性

能の見える化を通じて、市場での

差別化を可能にします

自社の技術・製品のスペック・性能

を変更することなく市場投入を可

能にします

顧客を自社の技術・製品に惹きつ

けることによるコスト競争力の強化

を可能にします

中小企業が保有する新しい技術や優れた製品の

速やかな普及を実現

標準化の活用により期待される効果の例

一定の水準の品質基準などの標

準化により低品質品の排除等を

可能にします

寸法、形状等にとどまらず、自社の技術・製品が市場で際立つような評価基

準、品質基準、試験方法などを、日本工業規格(JIS)や、国際規格(ISO規

格、IEC規格)として標準化します。

1 注.JSA:一般財団法人日本規格協会(Japanese Standards Association)

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中小企業や団体における標準化の戦略的な取組事例の紹介

◎事例 A(蓄光材製造) ~国際標準化の活用により夜光時計市場で 100%近いシェアを実現!

国内時計メーカに高輝度長残光の夜光塗料を供給し、高性能の夜光時計を実現。欧州でも夜光塗料

の製造拠点をスイスに設立し、スイス時計メーカへの供給も実施。アジア諸国との連携による後押しも

あり、性能を際立たせるような評価標準を ISO として策定することに成功。夜光時計市場でほぼ 100%

のシェアを実現。安全標識業界でも同社製品の高輝度長残光性能を高評価。従来の内照型に加えて

蓄光型が消防法で採用されるなど、新市場を開拓。

夜光時計や安全標識の評価標準を満たすためのコア技術は、模倣容易なものは特許化して積極的に

権利行使。模倣が困難なものはノウハウとして秘匿するクローズ戦略により、市場優位性を維持。

◎事例 B(皮膜製造) ~調達基準の国際標準化により顧客企業の海外展開に迅速に対応!

日本の顧客企業が海外展開する際に国内と同じ調達基準となるよう、日本の皮膜技術を国際標準

にすることを企図。積極的に標準化活動を行ったことにより、業界リーダとしての知名度も向上。

皮膜技術は、加工品から処理方法を特定することが難しいため、ノウハウとしてコア技術を保護。

競合企業からの訴訟リスクがある場合(他社が特許を取得するケースなど)や、大学との共同研究

の場合(論文や特許としてオープン化)には、特許取得を行う。

◎事例 C(ばね製造) ~ばねの規格の国際標準化を主導することで、海外市場へのアクセスを簡素化!

日本ばね工業会の標準化会議を主体として、世界各国によって異なるばねの基準(記号、設計、

表面処理など)の統一化、ばねの ISO 策定を推進。

日本ばね工業会は、会員構成の多くを中小企業が占める団体。会員各社が作る「ばね」が日本の

工業を縁の下で支え、その発展に大きく寄与。

ISO 策定にあたり、アジア各国との協力体制を構築しつつ日本が主導し、JIS により近い規格とする

ことで、JIS 規格の国際競争力および日本の国際的発言力を強化。また、国際マーケットにおける

日本製品の競争力を維持することで、中小企業製品が容易に海外進出できる環境作りを実現。

◎事例 D(文房具製造) ~まがいものを排除するため業界で世界標準を提案!

日本で開発され、世界的に普及拡大するゲルインキボールペンについて、まがいものを排除するた めのゲルインキの定義と一定レベルの品質基準を、日本筆記具工業会から 2006 年 ISO 規格として

提案。日本主導でゲルインキボールペンの世界標準を確立し、日本製品の優位性を確保した。

~国際規格を産業発展のために!

シャープペンシルは日本以外に中国、韓国などアジア中心に普及しており、それ以外での需要は少 なかったが、最近欧州でもマンガブームがきっかけで使用が拡大してきている。シャープペンシルの

ISO 規格は製図用に限定されているため、2014 年からは一般用シャープペンシルの ISO 規格提案

を日本から行っており、日本製シャープペンシルとその芯や多機能ペンの販路拡大を目指している。

◎事例 E(金属加工) ~設計企業と加工企業の連携による標準化で技術の市場拡大を狙う!

加工の全体設計を行う企業と部材接合の技術を有する加工委託企業とが連携し、高品質・低コス

トの部材接合技術を JIS 化することで、技術の認知度・信頼度を向上させ、市場の拡大を狙う。

これまでに蓄積した部材接合に関するバックデータを秘匿化し、加工ノウハウ(部材接合に関する

ノウハウ等)を高めることで他社と差別化。

セラミック容射皮膜 KX ROCK0 を適用したプレスロール

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国際規格づくりに民間企業が参加できることを全く知らない頃、産業用スイッチの IEC規格化が行われ、欧米発祥サイズのみ

規格化され、日本発祥サイズが規格化されずに市場を喪失するという苦い経験をし、国際標準化活動の重要性を認識した。

そこで、ロボット安全操作用スイッチの規格化は、経済産業省、日本規格協会の支援を得て日本電気制御機器工業会で活

動、海外での規格審議に自ら参加し、当社仕様をベースとした IEC 規格づくりに成功、驚異的なシェアを獲得した。

今や、国際標準化は企業にとって重要な事業戦略のひとつであり、「旬」の技術を持ち、グローバルで勝負する信念があれ

ば、中堅・中小企業こそが世界をリードできる時代である。

標準化活用に取り組む中堅・中小企業からのメッセージ

IDEC 株式会社 藤田 俊弘氏(常務執行役員、技術戦略本部長、

IDEC グループ C.T.O.)

~国際標準化を事業戦略に取り込め! (失敗と大成功の経験から) C.T.O.自らが率先して IEC の TC 国際会議へ参加し、開発・標準・知財の三位一体推進体制で標準化活動を推進。とりわ

けロボット安全操作用の 3 ポジションイネーブルスイッチの標準化では、自社の強みであるスイッチ機構の要所は特許化

により独占し(クローズ)、他方、非差別化領域に限定して標準化(オープン)して国際規格創りを主導。事業戦略の重要

な要素と位置づけ国際標準化を推進した結果、世界市場で広く受け入れられ、世界シェア 90%(自社推計)を達成。

大成プラス株式会社 成富 正徳氏(代表取締役会長)

~国際標準化の実践により革新技術を普及せよ! (国際標準化の活用の経験から)

中小企業である大成プラス社が開発した金属と樹脂を接合するナノモールディング技術は、接着剤に比べ非常に高い強

度を持つもの。安全性を求める自動車用途の新市場開拓のために、評価方法の国際標準化を進めているところ。

10 年ほど前に、金属と熱可塑性樹脂を射出成型で分子サイズの物理的接合を具現化させ、接合したプラスチックをハンマ

ーでたたくと金属が曲がると言う奇跡のような技術を開発した。これを持ってヨーロッパの主だった自動車メーカーを軒並み

訪問したが、驚きと関心を持って話は聞くのだが次に出てくるのは、どのようにして品質保証が出来るのか?「評価方法も

ない技術での品質保証」大きな壁に当たった瞬間である。昨年後半より金属と樹脂の接合強度の評価方法が ISO 規格とし

て進行中との情報がネットで流れた事で、今まで会うことすら出来なかった会社が来社するようになった。

ソニー製のプロジェクター

の筐体に実装された。

成富会長からのメッセージ

藤田常務からのメッセージ

IDEC製品の概観図が応用例としてそのままIEC規格に採用特性図もIDEC発表国際学会論文図等を引用して作成

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Q&A 標準化について、このような疑問をお持ちではありませんか?

Q 標準は最低限守るべきものなのでは?

標準化は大企業の問題で、中小企業には縁のない話なのでは?

標準というと認証取得に費用がかかるだけなのでは?

A たとえば、評価基準や品質基準などの標準化に当たって、自社の技術や製品が高く

評価されるような指標を盛り込むといった標準化の活用によって、中小企業の皆様が

保有する技術や製品の普及の可能性を高めることができるのです。

また、標準に合致していることを認める認証も、自社が標準化をリードすることによっ

て、スペックを変更しなくてよいなど、他社より有利に取得できる可能性が増大し、コ

スト的にも競争優位な地位の確保に資するものです。

経済産業省は、現在の制度では対応が困難な、複数の関係団体に跨る融合技術や、

中小企業を含む少数の企業が保有する先端技術に関する標準化を迅速に進める目

的から、必ずしも標準化活動の経験が多くない中小企業の皆様の標準化の取組を可

能とする「新市場創造型標準化制度」を構築しました。 5ページをご参照ください。

事業展開の中で、このようなお悩みをお持ちではありませんか?

新技術を開発し特許も取得したが、安全性や技術優位性をなかなか証明できない。

高度な技術に裏づけされた高品質の自社製品が、低品質の競合品に押されている。

自社の高い技術を活かした製品をもっと国内外の市場に投入したい。

自社の技術や製品が市場で際立つような評価基準や品質基準、又は試験方法など

を標準化するなどの標準化の活用によって、自社の技術や製品の安全性や優位性

を内外の市場にアピールしたり、低品質な競合品との差別化が可能となり、自社の

技術や製品の普及を促進する可能性を高めることができます。

また、標準化を主導することによって、市場での取引ルールの舵を握ることが可能と

なり、事業戦略を優位に進めることが可能となります。

このような中小企業の皆様の抱えている課題解決に向けた標準化の活用について

の様々なご相談に対応するため、一般財団法人日本規格協会に相談窓口(総合標

準化相談室)を設置していますので、是非、ご活用ください。 5ページをご参照く

ださい。

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(2014年 8 月)

中小企業等が保有する新技術等に係る標準化に対応する「新市場創造型標準化制度」は、「JS

A標準化支援スキーム」(新設)と「国際標準直接提案スキーム」(現行のトップスタンダード制

度)で構成されます。

JSA標準化支援スキーム(新設)の概要

特定企業等※からの申請について、①標準化提案の内容が新市場創造や産業競争力強化

といった政策目的に合致すること、②標準化提案の内容がJIS規格又はISO/IEC国際標

準として適切に取り扱われるものであること、③当該新技術等に関係する団体が原案作成

団体又は国内審議団体を引き受けることが困難であること、を確認した上で、JSAがJIS

原案作成団体となり、又はJSAが国内審議団体となりJSAから国際標準提案を行う制度

です。 ※特定企業等:新技術等に関する標準化を企図する特定企業又はグループ。

詳しくはこちらをご参照ください。

http://www.meti.go.jp/press/2014/07/20140701007/20140701007.html

標準化に関しての中小企業の皆様からの相談に応じるため、一般財団法人日本規格協会に、標準化に関する相談窓口

(総合標準化相談室)を設けています。標準化に関するご相談がございましたら、お気軽にご相談ください。

平成 26 年 5 月に、経済産業省は、標準化官民戦略会議を開催し、官民が緊密に連携して取り組

むべき「標準化官民戦略」をとりまとめました。

具体的には、①新市場創造型の標準化制度の構築、②産業界における最高標準化責任者(Chief

Standardization Officer:CSO)の設置等による標準化の推進、③日本商工会議所、一般財団

法人日本規格協会と協力した中小企業に対する戦略的な標準化・

認証の重要性に関する普及啓発等の中小企業の標準化及び認証

の活動に対する支援強化、④標準化人材の育成強化、⑤世界に

通用する認証基盤の強化、⑥アジア諸国等との連携強化等です。

詳しくはこちらをご参照ください。

http://www.meti.go.jp/press/2014/05/20140515003/20140515003.html

標準化官民戦略会議

標準化官民戦略会議の様子 標準化官民戦略 検索

一般財団法人日本規格協会「総合標準化相談室」 http://www.jsa.or.jp/aboutus/query.asp

標準化に関する

ご相談はこちら 総合標準化相談室 検索

新市場創造型標準化制度の創設

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