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本事業全体の成果について 事業管理支援法人 株式会社三菱総合研究所 資料4

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本事業全体の成果について

事業管理支援法人

株式会社三菱総合研究所

資料4

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本事業の目的と成果の概要

1. 本人同意の下、医療機関や医療保険者、企業、サービス事業者等が、レセプト情報、健診情報及び各個人がウェアラブルデバイス等で蓄積した健康情報等を収集し、統合的に解析・活用することで、健康的な生活習慣への行動変容を通じた糖尿病等の疾病予防・重症化予防を促すための仕組みを実証する。 【成果】 • 実証事業のための公募要領を作成した。この際、参加対象者を「糖尿病モデル」「健康改善モ

デル」という糖尿病リスクレベルによる条件分けをするとともに、実証のための諸条件をプログラム骨子として提示した。

• 32のコンソーシアムからの提案書を審査し、8コンソーシアムを採択して、実証事業を完遂した。 • 各コンソーシアムにおいて、IoTを用いた介入を行い、対象者のHbA1c、体重(BMI)、血圧、

歩数(活動量)の4指標により介入効果の検証を行った。

2. 本事業で定める交換規約に従い、異なる定義や収集フォーマットである健康情報等を統合的に解析・活用できる基盤の構築を実証することにより、健康・医療情報の利活用を促進し、国民の健康増進とヘルスケア産業の創出・育成を図る。 【成果】 • 8コンソーシアムの技術担当者、業界団体関係者、有識者からなる検討ワーキンググループを

設置して、「交換規約定義書」を策定した。 • 本交換規約に則って8コンソーシアムのデータを収集し、統合的な分析を実施し、有用性を検

証した。

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本事業による成果のポイント

2

データ サーバー

氏名 血圧 血糖 …

XXXX XXXX

XXXX XXXX

XXXX XXXX

XXXX XXXX

XXXX XXXX

XXXX XXXX

・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・

・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・

・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・

・・・・・・・・・

② 糖尿病の有病者(軽度)または糖尿病疑いのあるもの【糖尿病モデル】、メタボリック症候群等の生活習慣病のハイリスク者【健康改善モデル】を合わせて1,000名超を対象者として確保

アラート

モニタリング 医師・管理栄養士等

患者(対象者)

指導・介入

健康関連データの収集

① 全コンソーシアムにおいて、以下の仕組みを構築・実装 ・ 本人同意を取得した上で ・ 対象者が測定した歩数・活動量、血圧、体重等の日々の健康関連データ*を見える化し ・ そのデータを医師等が活用できるようにする

④歩数・活動量計、体重計、血圧計、HbA1cについて多様なプレイヤーと多様な測定機器のデータを連結し、横断的に集約・活用するための基盤を構築・運用

共通 データベース

③ 3ヶ月以上の介入と、HbA1cを含むデータの測定・収集により、対象者の健康関連指標の改善状況を評価

フィードバック(セルフモニタリング)

①から④によって健康的な生活習慣への行動変容を通じた糖尿病等の疾病予防・重症化予防を促すための仕組みを実証した。

*「健康関連データ」とは、「日常の健康データ」(基礎データ、バイタルデータ、運動データ、栄養データ、服薬データ等)と「指導データ」(保険適用外の運動指導、栄養指導等のデータ)を指す。

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事業件名 代表団体 成果として特徴的な点 その他の特徴的な点

コラボヘルス研究会によるIoTを活用した糖尿病予防・健康増進活動の効果検証事業

株式会社 イーウェル

糖尿病モデルでは、実証開始時に比べてHbA1c、BMIが有意に低下し、プレゼンティーイズムも低下傾向であった。

アンケートの前後比較により健康改善意識が大幅に改善した。

生産性指標をアウトカムとした分析を実施した。 クロスオーバー試験は事業終了後も継続する。

元気ラボを活用した企業保険者による健康医療情報連携事業

株式会社 ミナケア

糖尿病モデルにおいて介入群のHbA1cの平均値が-0.5%改善(対照群は0.14%の悪化)した。

健康関連データ・健診データ間の統合に難航したが、複数の職域、複数のデバイスでの計測へ挑戦した。

ウェアラブル機器等を活用した管理栄養士伴走による健康改善プロジェクト

株式会社 エス・エム・エス

実証開始時に比べて、歩数が有意に増加した。 参加者集団の中では、HbA1cが高い人が低下傾向であり、また、

体重が高めの人が減少傾向であった。 アンケートの前後比較により喫煙と飲酒以外の意識が有意に改善

した。歩数、体重、食事の記録率が高かった。

仕組みとして在宅管理栄養士を活用し、性格分析をして対象者とマッチングをして関係を構築しやすい組み合わせを調整した。

目指せ職場の総健康「健康推進は一人ひとりから職場で共に」事業

一般財団法人 淳風会

健康改善モデルにおいて介入群のHbA1cが対照群に比して低下傾向であり、全体として生活習慣・運動について行動変容が認められた。

介入群では、運動や食生活の改善に取り組んだ人の割合が有意に増加した。

対象者としてリクルートおよび介入が困難な運輸業のドライバーを中心に挑戦し、ドライバーの生活習慣の改善や、効果的な生活改善指導方法に関する示唆を得た。

丸の内健康街づくりを通した、全国ヘルスケアインフラ基盤の構築に向けた実証事業

株式会社野村総合研究所

参加者集団の中で歩数が多い人のHbA1c、体重が低下傾向であった。

介入群の体重が有意に改善(平均-1kg)した。

専門職による非対面指導が奏効した対象者の意識変容をはかった後に、未入力アラート、未達アラートを発信することで、行動継続が有効であった。

IoTを活用した埼玉県糖尿病重症化予防継続支援事業

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所

前後比較により血圧、歩数が有意に低下した。 アンケート前後比較より意識変容、行動変容への兆しが見られた。 アンケートにより、IoTが医師・患者とも診察時のコミュニケーションの

質向上に寄与したという意見があった。

かかりつけ医が患者に対して指導、助言、治療を実施する際に活用すべく、IoTで得られたデータをどう活用でき、どのような効果(価値)が得られるかに挑戦した。

IoT推進のための新産業モデル創出基盤整備事業「毎日の糖尿病管理を七福神が伴走!未受診・脱落・コントロール不良をなくせ!!」

公益財団法人愛知県健康づくり振興事業団

HbA1c(平均値)が前後比較、および、介入群と対照群の比較において有意に低下した。

七福神アプリを活用し褒められつづける人には高い成果が見られた。 BMIが一定未満の方が、歩数、体重、血圧の測定行動が継続さ

れることが明らかとなった。 IoTの利活用が指導者の負担軽減につながることを示した。

ゲーミフィケーションを導入した。 機械学習効果をメッセージの自動生成に活かすなど、

プログラムの改善の継続が期待できる。

健康ナビゲータによる糖尿病型からの脱却・行動変容ステージの改善モデル

国立大学法人名古屋大学

産業医モデルで、HbA1cは全体的に低下傾向だった。体重の減少、運動習慣スコアに有意差が認められた。

運動強度、継続時間、習慣性に基づく運動習慣スコアを設定した。

各コンソーシアムによる成果のポイント整理

3

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代表団体名 イーウェル ミナケア エス・エム・エス 淳風会 野村総合研究所 エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所

愛知県健康づくり振興事業団

名古屋大学

解析対象者数(2/17時点)

103人 152人 98人 114人 40人 26人 144人 141人

プログラムの 主な特徴

生産性(プレゼンティーズム)を評価

4つの健保参加によるマルチデバイス

在宅管理栄養士を活用した伴走モデル

生活習慣病療養計画書を共有した専門職の連携

タブレットも活用した非対面指導

かかりつけ医による診療場面での活用

七福神アプリによる応援と注意喚起

活動量を分析して適度な運動習慣をアドバイス

プッシュ型介入方法と頻度 (長期未入力や閾値超過等のアラート発信を除く)

メール指導 (週1回)*

メール指導 (月2回程度)

チャット介入 (週3回)*

面談指導 (初回)

対面生活指導 (月1回)

非対面指導 (期間中4回)

診療時指導 (月1回程度)

診療時指導 (期間中1回)

メール指導 (期間中5回)

アプリ更新 (週2回)*

非対面指導 (月1回) メール指導 (隔週)

介入の発信者 管理栄養士 保健師 医師・管理栄養士 医師・管理栄養士・健康運動指導士

看護師・保健師 医師 医師・管理栄養士・健康運動指導士

医師・保健師

*1週間に1回以上メールやチャットという即時性のある手段を用いるパターン

健康関連指標による評価結果

HbA1c 平均値の 変化量(%)※

低下 (介Δ0.2、対0.0)

低下 (介Δ0.5、対Δ0.1)

低下 (介Δ0.04、 対Δ0.01)

変化なし (介Δ0.0、 対Δ0.1)

介入群のみ低下 (介Δ0.01、 対Δ0.0)

低下 (介Δ0.19、 対Δ0.01)

低下 (介Δ1.2、対Δ1.0)

低下 (介Δ0.4) ※対:分析中

有意差※ 前後比較で有意

(糖尿病モデル)

前後比較で 有意差なし

前後比較で 有意差なし

前後比較で有意 (健康改善モデル)

前後比較で 有意差なし

前後比較で 有意差なし

前後比較で有意 前後比較で有意 (産業医モデル)

BMI(体重)

平均値の 変化量

減少(BMI) (介Δ0.5、対Δ0.2)

増加(BMI) (介Δ0.2、対Δ0.4)

減少(BMI) (介Δ1.5)

減少(BMI) (介Δ0.4、対Δ0.2)

減少(体重) (介Δ0.7、対Δ0.5)

- 減少(体重)

(介Δ1.3、対Δ1.0) -

有意差 前後比較で有意 (糖尿病モデル)

前後比較で 有意差なし

前後比較で有意 (健康改善モデル)

前後比較で 有意差なし

前後比較で有意 - 前後比較で有意 -

プログラムの概要とプログラムを完遂した参加者に関する評価結果(2/21時点)

4

全般的にHbA1c及び体重の減少傾向が見られている。 参加者やプログラム内容などがそれぞれ異なるため、単純に比較することはできないが、特に介入方法としてメールや

チャットなど即時性のある手段を用いた場合には有意な効果が確認される傾向が見られた。

※太字は統計的な有意差があることを示す、介:介入群、対:対照群、-:評価せず

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共通基盤データベースによる分析結果 ~データ登録の状況

5

共通基盤データベースへの登録状況は以下の通り。本報告時点ではデータ登録途上であり、さらに追加登録を行う予定である。

データの疑義照会、データクリーニングの負荷を軽減するために、今後は、規約に則ったデータ提出のためのマニュアルやチェックツールの整備が必要である。

* 介入群/対照群フラグ未登録により内訳の集計ができなかったもの。 注:2017年2月20日時点の集計。 注:HbA1c、体重は異常値と思われるものは除外している。

介入群 対照群 人数 件数 人数 件数 人数 件数

計 755 341 313 690 1,855 508 47,901 544 550,407

イーウェル 165 80 85 162 694 160 11,699 158 10,777

エス・エム・エス 123 72 51 67 67 70 8,905 70 12,398

淳風会 124 67 57 122 352 66 1,325 104 216,509

野村総合研究所 61 30 31 61 110 29 1,899 25 1,817

愛知県健康づくり振興事業団 181 92 89 181 320 91 13,221 91 12,984

名古屋大学 101 * * 97 312 92 10,852 96 295,922

HbA1c 体重

人数

歩数

データ登録

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6.2 6.17.0 7.1 7.0 7.0

7.9 7.8

6.0 6.1

7.0 7.2 6.9 7.0 6.7 6.8

0.01.02.03.04.05.06.07.08.09.0

介入群

(n=

81)

対照群

(n=

85)

介入群

(n=

63)

対照群

(n=

53)

介入群

(n=

24)

対照群

(n=

25)

介入群

(n=

75)

対照群

(n=

64)

イーウェル 淳風会 野村総合研究所 愛知県健康づくり振興事業団

実証前

実証後

7.0 6.96.6 6.6

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

9.0

介入群

(n=243)

対照群

(n=227)

実証前

実証後

共通基盤データベースによる分析結果 ~介入効果の分析結果(HbA1c)

6

登録済みの全データを統合したHbA1cの前後比較結果と、各コンソーシアムの前後比較結果は以下の通り。全データの前後比較の結果、介入群、対照群とも有意な減少が認められた(**p<0.01)。

介入群のほうが減少幅が大きい傾向が見られた。 HbA1cは、データとしては扱いやすいが、簡易検査キットを使用する場合や対象者の手入力を伴う場合には扱い

に注意が必要である。

コンソーシアムごと

の比較

注:測定日が最新の値と最古の値の差分であり、複数の測定日がないものは除外している。

全データの

統合結果

プログラム開始前

開始後3ヶ月以上を経過した測定日*

プログラム開始前

開始後3ヶ月以上を経過した測定日*

*解析時点で、プログラム終了時のデータが取得できていない場合には、最新の測定値を用いている。

** **

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73.875.1

74.0 76.1

57.9 64.6

78.673.974.2 70.3

75.8

57.0

71.9 77.4

0102030405060708090

介入群

(n=

79)

対照群

(n=

79)

介入群

(n=

69)

対照群

(n=

)

介入群

(n=

59)

対照群

(n=

2)

介入群

(n=

28)

対照群

(n=

)

介入群

(n=

90)

対照群

(n=

)

イーウェル エス・エム・エス 淳風会 野村総合研究所 愛知県健康づくり振興事

業団

実証前

実証後

共通基盤データベースによる分析結果 ~介入効果の分析結果(体重)

7

登録済みの全データを統合した体重の前後比較結果と、各コンソーシアムの前後比較結果は以下の通り。全データの前後比較の結果、対照群に有意な減少が認められた(**p<0.01)。

他指標より、データクリーニングが難しく、効率的に行うためには、計測場所(自宅/職場)や入力方法(自動/手動)にも留意する必要がある。

74.8 74.674.7 73.8

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

介入群 対照群

実証前

実証後

注:測定日が最新の値と最古の値の差分であり、複数の測定日がないものは除外している。全データは介入群/対照群ともに値があった2コンソーシアムのみで集計。

*解析時点で、プログラム終了時のデータが取得できていない場合には、最新の測定値を用いている。

プログラム開始前

開始後3ヶ月以上を経過した測定日*

プログラム開始前

開始後3ヶ月以上を経過した測定日*

コンソーシアムごと

の比較

全データの

統合結果

**

n.s.

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7,260

14,842

3,373

9,445

7,2806,903

14,917

4,231

9,184

7,123

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

イーウェル

(n=79)

エス・エム・エス

(n=70)

淳風会

(n=64)

野村総合研究所

(n=24)

愛知県健康づくり振興事

業団

(n=91)

実証前

実証後

8,285 8,320

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

(n=328)

実証前

実証後

共通基盤データベースによる分析結果 ~介入効果の分析結果(歩数)

8

登録済みの全データを統合した1日あたり歩数の前後比較結果と、各コンソーシアムの前後比較結果は以下の通り。全データの前後比較の結果、有意差は認められず、ほぼ同じ歩数であった。

参加者の業種や業態によって、平均歩数が異なっている傾向がうかがえる。直近データは年末年始を挟んでおり、データ比較の際には、時節にも注意する必要がある。

注:測定日が最新以前30日間の1日平均と最古以降値30日間の1日平均との差分であり、複数の測定日がないものは除外している。介入群のみ。

プログラム開始から30日間の1日あたり平均

取得したデータの直近30日間の1日あたり平均

プログラム開始前

取得したデータの直近30日間の1日あたり平均

コンソーシアムごと

の比較

全データの

統合結果

n.s.

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HbA1cの変化量と総歩数との関係において、総歩数が多い参加者は、HbA1cが減少する傾向が見られた。 今後は一日あたり歩数による分析や、HbA1cのレベルにより細分化した上での傾向把握を行う。対象者の職種、

職場環境、通勤動線、日常動線に関する情報を追加収集し組み合わせて分析ができると、効果の高い対象者のプロファイルの示唆を得られる可能性がある。

HbA1c変化量と総歩数の散布図

共通基盤データベースによる分析結果 ~介入効果の分析結果(HbA1c)

9 *総歩数とは計測開始から終了時までに取得した歩数の合計値

y = -2E-07x - 0.0134

R² = 0.0397

-8

-7

-6

-5

-4

-3

-2

-1

0

1

2

0 50 100 150 200 250 300 350 400

総歩数(万歩)

HbA1c変化量(%)

イーウェル介入群

エス・エム・エス介入群

淳風会介入群

野村総合研究所介入群

愛知県健康づくり振興事業団介入群

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HbA1cの変化量と体重変化量との関係において、体重減少とHbA1cの減少との関係は見られなかった。

HbA1c変化量と体重変化量の散布図

共通基盤データベースによる分析結果 ~介入効果の分析結果(HbA1c)

10 *総歩数とは計測開始から終了時までに取得した歩数の合計値

y = -0.0063x - 0.2412 R² = 0.0005

-8

-7

-6

-5

-4

-3

-2

-1

0

1

2

-19 -18 -17 -16 -15 -14 -13 -12 -11 -10 -9 -8 -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

体重変化量(kg)

HbA1c変化量(%)

イーウェル介入群

エス・エム・エス介入群

淳風会介入群

野村総合研究所介入群

愛知県健康づくり振興事業団介入群

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共通基盤データベースによる分析結果 ~介入効果の分析結果(HbA1c)

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介入開始時のHbA1cの値とその後のHbA1cの変化量との関係において、開始時のHbA1cの値が高い人ほど、介入後にHbA1cが減少する傾向が見られた。

実証開始時のHbA1cとHbA1c変化量の散布図

y = -0.616x + 3.9366 R² = 0.5201

-8

-7

-6

-5

-4

-3

-2

-1

0

1

2

5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

HbA1c変化量(%)

実証開始時HbA1c(%)

イーウェル介入群

エス・エム・エス介入群

淳風会介入群

野村総合研究所介入群

愛知県健康づくり振興事業団介入群

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実証開始時の体重と最新測定日時点の体重変化量との関係において、開始時の体重が70kgから90kg程度の範囲で減少した参加者の体重は、変化量が比較的減少する傾向が見られた。

今後はBMIのレベル(BMI25未満(標準)、BMI25以上30未満(肥満)、BMI30以上(高度肥満))により細分化した上での傾向分析を行う。

共通基盤データベースによる分析結果 ~介入効果の分析結果(体重)

12

実証開始時体重と体重変化量の散布図

y = -0.0351x + 1.3987 R² = 0.0299

-20

-15

-10

-5

0

5

10

15

30 50 70 90 110 130 150

体重変化量(kg)

実証開始時体重(kg)

イーウェル介入群

エス・エム・エス介入群

淳風会介入群

野村総合研究所介入群

愛知県健康づくり振興事業団介入群

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共通基盤データベースによる分析結果 ~個別ヒストリーデータの分析

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開始1ヶ月は体重変化が見られなかったが、少しずつ下がり始め、著しいリバウンドもなく、栄養士との信頼関係構築とともに習慣化されて完遂した。

対象者に対する介入の内容やタイミングに関する情報を追加収集し、体重変化が著しい時点の介入内容と組み合わせて分析ができると、効果的な介入のあり方の示唆を得られる可能性がある。

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共通基盤データベースによる分析結果 ~個別ヒストリーデータの分析

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リバウンド時、日常データをもとに栄養士がタイムリーに応援することで体重減少が再開した例。年末年始に大きなリバウンドが発生したが、これまでの頑張りを褒める前向きなアドバイスが奏功し、行動を継続できた。

対象者に対する介入の内容やタイミングに関する情報を追加収集し、体重変化が著しい時点の介入内容と組み合わせて分析ができると、効果的な介入のあり方の示唆を得られる可能性がある。

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本事業の成果まとめ

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各コンソーシアムの個別評価および全体分析結果から考察したあり方と課題は以下のとおり。 1. 健康・医療情報を用いた効果的なサービス提供のあり方

• イーウェル、エス・エム・エス、淳風会、野村総研、NTTデータ経営研のアンケート結果から、健康関連データ(歩数・活動量、体重、血圧)を自動的に測定し、指定のサーバ等に送信するウェアラブル端末等を個人に提供し、本人が健康関連データをセルフモニタリングできることは、本人の自己管理意識を高め、行動変容を促す効果がある。

• 全コンソーシアムのプログラムの実施結果から、ウェアラブル端末等で取得した健康関連データを見える化し医師等がモニタリングしたり、システムからのアラートによりデータに基づいた指導・介入を行うことは、本人の自己管理をサポートする効果があり、行動変容をより効果的に促すことができると言える。特に、イーウェル、エス・エム・エス、愛知県健康づくり振興事業団のように、IoTの特徴を活かした週1回以上のメールやチャットなど、対象者に対する即時性を活かした介入は効果的と考えられる。

【課題】 • 利用率や継続率向上のためには、データを自動取得できる仕組みとすることが望ましい。 • IoTを活用した自己管理の仕組みがどのような人に効果的なのか、より詳細な科学的エビデン

スを積み上げるためには、糖尿病の有病者(軽度)または糖尿病疑いのあるものを中心とした、継続的な実証が必要。

• 特に効果的なサービスの形態、介入の強度の評価については、さらなる検証が必要。 • また事業性評価のために、サービス提供の継続性や効果の持続性、費用対効果について、今

後検証が必要。

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本事業の成果まとめ

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2. 本人同意に基づく健康・医療情報の活用のあり方 • 共通基盤データベースによる分析結果から、異なる定義や収集フォーマットで構成されている健

康関連データ等は、本事業で策定した交換規約を利用することによって統合的に解析・活用することが示された。

• 共通基盤データベースを活用して交換規約に基づくデータ共有を行うことで、提供データを本人に戻し、本人が持ち歩く(個人の判断で、かかりつけ医や他のサービス事業者へ提供する)ことが可能となることが示唆された。

• HbA1c、歩数、体重(BMI)の変化量の散布図による傾向分析や個別ヒストリーデータの分析から、対象者の職種、職場環境、通勤動線、日常動線、介入の内容やタイミングに関する情報を追加収集できると、活動量や行動傾向を詳細に分析でき、糖尿病等の疾病予防・重症化予防を促すための総合的な仕組みづくりにつながるのではないかと考えられる。

【課題】 • 実証を行う際には、リクルートのタイミング、保険者や事業主との連携、医療機関や健診機関と

の調整等の調整期間の確保が必要である。 • 事業化の際は、保険者や事業主、医療機関、健診機関等、各プレーヤの役割や商流、金流

を含むビジネスモデルを設計し、関係者間で調整を済ませた上で、効果が出やすい季節からの介入が見込めるなど、ユーザの募集時期にも工夫が必要である。

• 研究等での活用を前提とした実証をする場合には、倫理審査への対応も見込んだ手順とする必要がある。

• データを継続利用するために再同意を必要としない同意取得の工夫、もしくは、再同意の手続きを踏みやすい工夫が必要である。

Page 18: 本事業全体の成果について - Minister of Economy ... · ゲーミフィケーションを導入した。 機械学習効果をメッセージの自動生成に活かすなど、

最終報告に向けた追加分析の方針(案)

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1. 事業実施体制に関すること

2. 対象者の条件に関すること • 実証開始時のHbA1cレベル、BMIレベル • 性別、年齢 • 職種、勤務地、リクルート条件(職場経由/医療機関等経由)

3. 介入内容に関すること

• 介入(アラートを含む)の提供方法 • 介入者 • 介入頻度

4. プログラムの分析・評価項目に関すること

5. データの共有・管理・提供に関すること

最終報告書のとりまとめに向けて、下記の点を念頭にさらに横断的なデータによる分析を実施する方針