ONE ONE 理学研究科 数学専攻 - kyoto-su.ac.jp · 数理論理学研究 離散数学研究...

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高密度の指導が未来を拓く ONE TO ONE 開講科目一覧 数理論理学特論A・B 数理論理学演習A・B 離散数学特論A・B 離散数学演習A・B 代数学特論A・B 代数学演習A・B 整数論特論A・B 整数論演習A・B 位相幾何学特論A・B 位相幾何学演習A・B 低次元位相幾何学特論A・B 低次元位相幾何学演習A・B 変換群論特論A・B 変換群論演習A・B 複素解析学特論A・B 複素解析学演習A・B 調和解析学特論A・B 調和解析学演習A・B 数学解析学特論A・B 数学解析学演習A・B 確率論特論A・B 確率論演習A・B 応用確率論特論A・B 応用確率論演習A・B 関数解析学特論A・B 関数解析学演習A・B 実関数論特論A・B 実関数論演習A・B 計算数理特論A・B 計算数理演習A・B 数理情報学特論A・B 数理情報学演習A・B 情報論理学特論A・B 情報論理学演習A・B インタフェース特論A・B インタフェース演習A・B 数学特別研究A・B 博士前期課程 数理論理学研究 離散数学研究 組合せ論研究 整数論研究 位相幾何学研究 数学解析学研究 調和解析学研究 計算可能解析学研究 博士後期課程 理学研究科 Division of Science コンピュータと共に発展する 「複素力学系」を学ぶ 石田教授 我々の取り組んでいる数学は一般 の人には難解で、理解されにくい研究分野です。 古家君はどうして数学に興味をもったの? 古家さん 小さい頃から算数が得意で、高校時 代はパズルを解くみたいな感 覚が、快 感だった んです。でも大 学で数 学を教わって、これまでと は違ったおもしろさに気がつきました。例えば数 学には、定理があります。それを証明するために、 物 事を順 番に論 理 的に追 求していく。これは、 考え、信念に基づいて行動する人間にも当ては まります。数 学ってとても人 間 的な学 問 分 野な んだと気づいて、これまで以上に親近感を抱くよ うになったのです。 石田教授 私の専門分野である「複素解析学」 を研究テーマに勉強を進めていますね。 古 家さん はい。カオスを生み出す複 素 数を複 素平面上で集めたジュリア集合について研究し ています。興味をもったきっかけは、石田先生の コンピュータの授業を受けたこと。元々コンピュー タはそれほど好きじゃなかったのですが、先 生の 講義がおもしろくて! 石田教授 私は実験数理的な研究方法を重 視していて、コンピュータも研究に取り入れてい ます。特に「複素力学系」にはあなたも知っての とおり、複 素 数を2 乗して1を引くというような単 純な計算の繰り返しの中にも、予測不可能な現 象(カオス)が現れます。単純な計算でも、何百 万 回と繰り返すのは膨 大な計 算 量ですので、コ ンピュータが不可欠なのです。複素力学系の萌 芽は実は古く、1 9 0 0 年 代 初 頭 にまでさかのぼ ります 。だがこの 計 算 量 の 多さに一 時は停 滞 していた。それがコンピュータの発 達と共に、こ こ10~20年で急速に発展しています。まさに今、 おもしろい学問分野ですよ。 社会のあらゆる分野で役立つ 数学的思考力を養う 石田教授 私が学生に対して実験数理的な指 導を重視するのには、もう一つ理由があります。 それは、“数学的な視点”に対する社会的なニーズ がきわめて高いことです。現代は株式市場や金 融機関、情報系企業はもちろん、メーカーといっ た一般企業でも高度な数学的専門能力を身に つけた人材が求められています。古家君も卒業 後は就職を希望しているのだったね? 古家さん はい。私も情報系にこだわらず幅広 い業 界に興 味をもって、現 在 就 職 活 動をしてい ます。大 学 院に進んで良かったのは、数 学を深 められたことはもちろんですが、何より「 数 学 的 思 考力」を養えたこと。物 事を論 理 的に組み立 てたり、順 序に沿って進める能力は、プログラミ ングや研究開発といった数学の知識を直接生 かす分野以外でも必要です。営業活動や社内 外の人間関係構築など、職業人として高い成果 を求められるあらゆる場面で役立つのではないか と思っています。 石田教授 その通りですね。大学院で培った力 を社会で思う存分生かしてください。 博士前期課程2年次生 古家 周平 理学研究科教授 石田 久 数学専攻 □博士前期課程・博士後期課程 O NE TO O NE dialogue 数学的専門能力を鍛える 知的探求の場 真理を求め、未知の領域を開く 科学技術の進歩に寄与する学問 現代数学は、伝統的な純粋数学からプログラミングの基礎理論まで広い範囲にまたがって 発展し続ける多様性に富んだ学問です。そのため数学専攻では、基礎数学から計算機科学まで、 多様な科目を設置し各分野においてきめ細かい研究指導を実現しています。 正方形の形の鉄板において、上下 の 縁を0 度 、左 右 の 縁を1 0 0 度に 保つ時、鉄板の各点に、その点で の 温 度を対 応させる関 数がディリ クレ問題の解になります。コンピュー タを用いてディリクレ問 題を解くこ とができます。 ディリクレ問題 (境界値問題) 結び目の理論と三次元多様体 天候デリバティブという言葉を聞い た事があるでしょう。一 体これはど ういう商品なのでしょうか。どのよう にして価格をつけるのか大いに興 味があります。道 具は確 率 解 析だ とすると全く理学研究科向き。 ファイナンス数学と 経済の接点を考察 三次元空間内にある一つの輪のことを結び目といい、その位相幾何 学的な理論が結び目理論です。また、3次元多様体とは,我々が住む この宇宙( 時間軸は除く)のような、3次元の広がりを持つ空間のこ とです。このような、3次元と、もう一つ上の4次元に対象を絞った位 相幾何学を、低次元位相幾何学といいます。目に見える具体的なも のを研究対象としているので、理解するのは容易いけれど、未解決で ある問題が豊富にある研究分野です。 ゴムのように伸ばしたり、グニャリと曲げたりでき る操 作を想 像してみてください 。これを同 相 写 像 といい、同相写像からなる群を同相群といいます。 私の研究する「幾何構造を保つ微分同相群」とは、 同相群やその部分群の1次元ホモロジーを調べ、 その 幾 何 的 性 質を解 明しようというものです。数 理 科 学を研 究する上で一 番 大 切なことは、「自分 が何を理 解し、何をわかっていないのか」をきちん と把 握すること。例えば 実 験は、その 意 味がわか らなくても何らかの 結 果は出ます。けれど数 学 の 場 合、わからないことを認 識しなければ、決して前 には進まないのです。だから大 学 院では文 献を読 みながら、まず学生にこれを徹底的に学習させます。 続いて課 題を発 見し、それを解 明していく過 程で は論理的思考力や筋道に沿って考える能力が鍛 えられます。大学院で培われる数理科学の素地は、 研 究 者としてだけではなく社 会で職 業 人として活 躍する上でも非常に大切なもの。本研究科の修 了 生の中には、数 学の教 師になる人も少なくあり ません。私としては、数 学のおもしろさを知り、また それを未 来を担う次 世 代に伝えられる。そんな後 進が続いてくれたら嬉しいですね 。 理学研究科教授 福井 和彦 教 員メッセージ 研究を通して培われる数理科学の 素地が、職業人としての糧になる 16 15

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高密度の指導が未来を拓くONE TO ONE

■開講科目一覧

数理論理学特論A・B

数理論理学演習A・B

離散数学特論A・B

離散数学演習A・B

代数学特論A・B

代数学演習A・B

整数論特論A・B

整数論演習A・B

位相幾何学特論A・B

位相幾何学演習A・B

低次元位相幾何学特論A・B

低次元位相幾何学演習A・B

変換群論特論A・B

変換群論演習A・B

複素解析学特論A・B

複素解析学演習A・B

調和解析学特論A・B

調和解析学演習A・B

数学解析学特論A・B

数学解析学演習A・B

確率論特論A・B

確率論演習A・B

応用確率論特論A・B

応用確率論演習A・B

関数解析学特論A・B

関数解析学演習A・B

実関数論特論A・B

実関数論演習A・B

計算数理特論A・B

計算数理演習A・B

数理情報学特論A・B

数理情報学演習A・B

情報論理学特論A・B

情報論理学演習A・B

インタフェース特論A・B

インタフェース演習A・B

数学特別研究A・B

博士前期課程

数理論理学研究

離散数学研究

組合せ論研究

整数論研究

位相幾何学研究

数学解析学研究

調和解析学研究

計算可能解析学研究博士後期課程

理学研究科D i v i s i o n o f S c i e n c e

コンピュータと共に発展する「複素力学系」を学ぶ

石田教授 我々の取り組んでいる数学は一般

の人には難解で、理解されにくい研究分野です。

古家君はどうして数学に興味をもったの?

古家さん 小さい頃から算数が得意で、高校時

代はパズルを解くみたいな感覚が、快感だった

んです。でも大学で数学を教わって、これまでと

は違ったおもしろさに気がつきました。例えば数

学には、定理があります。それを証明するために、

物事を順番に論理的に追求していく。これは、

考え、信念に基づいて行動する人間にも当ては

まります。数学ってとても人間的な学問分野な

んだと気づいて、これまで以上に親近感を抱くよ

うになったのです。

石田教授 私の専門分野である「複素解析学」

を研究テーマに勉強を進めていますね。

古家さん はい。カオスを生み出す複素数を複

素平面上で集めたジュリア集合について研究し

ています。興味をもったきっかけは、石田先生の

コンピュータの授業を受けたこと。元々コンピュー

タはそれほど好きじゃなかったのですが、先生の

講義がおもしろくて!

石田教授 私は実験数理的な研究方法を重

視していて、コンピュータも研究に取り入れてい

ます。特に「複素力学系」にはあなたも知っての

とおり、複素数を2乗して1を引くというような単

純な計算の繰り返しの中にも、予測不可能な現

象(カオス)が現れます。単純な計算でも、何百

万回と繰り返すのは膨大な計算量ですので、コ

ンピュータが不可欠なのです。複素力学系の萌

芽は実は古く、1900年代初頭にまでさかのぼ

ります。だがこの計算量の多さに一時は停滞

していた。それがコンピュータの発達と共に、こ

こ10~20年で急速に発展しています。まさに今、

おもしろい学問分野ですよ。

社会のあらゆる分野で役立つ数学的思考力を養う

石田教授 私が学生に対して実験数理的な指

導を重視するのには、もう一つ理由があります。

それは、“数学的な視点”に対する社会的なニーズ

がきわめて高いことです。現代は株式市場や金

融機関、情報系企業はもちろん、メーカーといっ

た一般企業でも高度な数学的専門能力を身に

つけた人材が求められています。古家君も卒業

後は就職を希望しているのだったね?

古家さん はい。私も情報系にこだわらず幅広

い業界に興味をもって、現在就職活動をしてい

ます。大学院に進んで良かったのは、数学を深

められたことはもちろんですが、何より「数学的

思考力」を養えたこと。物事を論理的に組み立

てたり、順序に沿って進める能力は、プログラミ

ングや研究開発といった数学の知識を直接生

かす分野以外でも必要です。営業活動や社内

外の人間関係構築など、職業人として高い成果

を求められるあらゆる場面で役立つのではないか

と思っています。

石田教授 その通りですね。大学院で培った力

を社会で思う存分生かしてください。

博士前期課程2年次生

古家 周平

理学研究科教授

石田 久

数学専攻 □博士前期課程・博士後期課程

ONE TO ONEdialogue

数学的専門能力を鍛える 知的探求の場

真理を求め、未知の領域を開く科学技術の進歩に寄与する学問

現代数学は、伝統的な純粋数学からプログラミングの基礎理論まで広い範囲にまたがって

発展し続ける多様性に富んだ学問です。そのため数学専攻では、基礎数学から計算機科学まで、

多様な科目を設置し各分野においてきめ細かい研究指導を実現しています。

「研究を通して数学的な

  思考力を鍛えられています」

「社会で役立つ高度な

  数学的専門能力を磨きましょう」

正方形の形の鉄板において、上下

の縁を0度、左右の縁を100度に

保つ時、鉄板の各点に、その点で

の温度を対応させる関数がディリ

クレ問題の解になります。コンピュー

タを用いてディリクレ問題を解くこ

とができます。

ディリクレ問題(境界値問題)

結び目の理論と三次元多様体

天候デリバティブという言葉を聞い

た事があるでしょう。一体これはど

ういう商品なのでしょうか。どのよう

にして価格をつけるのか大いに興

味があります。道具は確率解析だ

とすると全く理学研究科向き。

ファイナンス数学と経済の接点を考察

三次元空間内にある一つの輪のことを結び目といい、その位相幾何

学的な理論が結び目理論です。また、3次元多様体とは,我々が住む

この宇宙(時間軸は除く)のような、3次元の広がりを持つ空間のこ

とです。このような、3次元と、もう一つ上の4次元に対象を絞った位

相幾何学を、低次元位相幾何学といいます。目に見える具体的なも

のを研究対象としているので、理解するのは容易いけれど、未解決で

ある問題が豊富にある研究分野です。

ゴムのように伸ばしたり、グニャリと曲げたりでき

る操作を想像してみてください。これを同相写像

といい、同相写像からなる群を同相群といいます。

私の研究する「幾何構造を保つ微分同相群」とは、

同相群やその部分群の1次元ホモロジーを調べ、

その幾何的性質を解明しようというものです。数

理科学を研究する上で一番大切なことは、「自分

が何を理解し、何をわかっていないのか」をきちん

と把握すること。例えば実験は、その意味がわか

らなくても何らかの結果は出ます。けれど数学の

場合、わからないことを認識しなければ、決して前

には進まないのです。だから大学院では文献を読

みながら、まず学生にこれを徹底的に学習させます。

続いて課題を発見し、それを解明していく過程で

は論理的思考力や筋道に沿って考える能力が鍛

えられます。大学院で培われる数理科学の素地は、

研究者としてだけではなく社会で職業人として活

躍する上でも非常に大切なもの。本研究科の修

了生の中には、数学の教師になる人も少なくあり

ません。私としては、数学のおもしろさを知り、また

それを未来を担う次世代に伝えられる。そんな後

進が続いてくれたら嬉しいですね。

理学研究科教授

福井 和彦

教員メッセージ

研究を通して培われる数理科学の素地が、職業人としての糧になる

外国語学研究科

理学研究科

工学研究科

法務研究科

法学研究科

マネジメント研究科

経済学研究科

1615

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(右)

(左)

物理学専攻 □博士前期課程・博士後期課程

彗星は、私たちの太陽系が約46億年前に誕

生したときの名残りでできています。太陽系が

どのようにして形成されたのかを探るため、彗

星に含まれる氷や塵の成分について、観測的

研究を行っています。

太陽系の起源:星・惑星系の形成過程を追う 新機能物質の開発をめざして

ウランや超ウラン化合物の単結晶が育成され、

磁性やそれに伴う新奇な超伝導現象が観測

されています。近似を一切入れない第一原理

計算から、それらの化合物に特有な電子構造

を解明するための理論構築を行っています。

磁性強相関電子系の理論的研究

コロイド結晶の秩序形成と相変態、無重量下

でのTiO2フォトニック結晶の作成、コロイド合

金結晶の作成と結晶構造の決定、コロイド合

金結晶での増強Borrmann効果などの研究を

通して新機能物質の開発を目指しています。

あらゆる自然現象の法則を導き出し、観測と実験の過程で実証していきます

素粒子・原子核や物性物理、さらには気象・地球環境から天体・宇

宙に至る広範な分野にわたって、理論と実験(観測も含む)の両面

から活発な研究活動を展開します。各人ごとにテーマを絞った専門

研究を推進するとともに、セミナーを通じて関連分野についての理

解も深めます。物理学の研究目的は新しい自然現象や自然法則の

発見、あるいは不思議といわれる現象の本質解明などです。それら

を達成するためには工夫を凝らした実験や観測、創造力豊かな論

理的思考、あるいは誤りのない理論計算が必要です。物理学専攻

における研究指導には、こうした力の養成も含まれます。研究設備

としては、計算機環境が完備しており、実験設備や専門図書も充

実しています。宇宙・天体物理、気象物理、原子核物理関係では、

必要に応じて人工衛星や大型加速器など国内外の共同利用観測(実

験)機器でとった観測(実験)データを用いた研究も行います。この

ほか、日本原子力研究所光量子科学研究センター(APR)や地球

環境産業技術研究機構(RITE)とは教育・研究の両面にわたって

連携しています。

■教員・領域科目・研究テーマ一覧

助教授

教授

教授

教授

助教授

教授

客員教授

教授

教授

客員教授

教授

教授

教授

教授

教授

教授

大森 隆

岡田 憲志

押山 孝

門 良一

河北 秀世

曽我見 郁夫

大道 博行

竹内 富士雄

谷川 正幸

永島 圭介

原 哲也

藤井 健

益川 敏英

三好 蕃

山上 浩志

愿山 毅

エネルギー・環境科学

核分光学

表面物理学

磁気共鳴

天文学

素粒子論

光量子科学

核物理学

非線形光学

光量子科学

宇宙物理学

気象物理学

核理論

天体物理学

物性理論

結晶物理学

教員名 領域科目名 研究テーマ職階

電気化学技術による環境問題への取り組み

4次元トポロジカルカウンターの開発、π+π-原子の崩壊寿命測定によるQCDの検証

ヘテロ原子の超格子構造とその電子状態:T-LEED法 と AES法

固体のNMR・二重共鳴

太陽系の起源、星・惑星系の形成

半単純フレーバー対称群のゲージ理論の構築、宇宙の加速膨張と暗黒エネルギーの起源解明、量子化の変形理論

超高強度レーザーと物質との相互作用とその利用研究

ハドロニック原子の寿命測定による非摂動QCPの検証、位置検出型光電子増倍管によるシンチレ-ティングファイバ-及びシンチレータ結晶の高速読みだし

分光学の基礎、非線形光学過程、光学結晶、ナノ構造、有機半導体

プラズマ物理、レーザー光学、X線レーザー

宇宙の大規模構造の形成、宇宙の起源、量子重力理論

台風の構造の数値解析、局地気象の解析

量子重力理論並びに時空理論

銀河団とダークマター、クェーサー、宇宙弦

強相関磁性 f電子系化合物の電子構造の理論的研究

コロイド結晶の秩序形成過程の解析と制御 ―新機能をもつフォトニック結晶・液晶・準結晶の開発をめざして―

理学研究科D i v i s i o n o f S c i e n c e

身の回りとの関連を知り物理に新しい興味が湧いた

桐島さん 物理学の大学院に進むきっかけは、

押山先生の授業でした。高校時代までは、単に

物理は問題を解くのが楽しくて、好きだったんです。

けれど押山先生は、物理を机上の学問ではなく、

現実のできごとと関連付けて話してくださるんです。

それで物理を自分の身の回りに関係ある物事と

して捉えるようになると、これまでとは別の新しい

興味が膨らんできたのです。

田中さん 私とこの分野との出合いは、天文学

です。物理は正直苦手だったんですけど…(笑)。

押山教授 天体や宇宙に関することから原子

や素粒子に到るまで、実に広範な分野にわたる

のが物理学です。私の研究室では「表面物理学」

を主な研究領域にしているけれど、これは産業に

も役立つことの多い学問です。桐島さんもこうし

た点に興味をもったんだね?

桐島さん はい。「低速電子線の回折」を研究

テーマにしています。低速の電子線で、固体表

面の原子配列構造を解析する手法です。表面

構造の解析が進めば、そこに機能を付加するこ

とも可能になる。半導体のダウンサイズ化など

に役立つかもしれません。

田中さん 私も桐島さんと同じく低速電子線回

折を用いて、シリコンの表面上にテルルという原

子を蒸着させる実験を続けています。IV族のシリ

コンに、それより電子数の多いVI族のテルルを

蒸着させることで、原子の再配列の仕方によっ

ては、新素材の開発に発展させられるかもしれな

い。そんな期待をもっています。

受身では実験は進まない主体的に取り組む研究が重要

押山教授 学部の4年間では、十分に深い研

究をすることは難しい。本学には真空装置など

高性能の実験機器があるけれど、それらも大学

院に進学し、より本格的な実験をするようになっ

て初めて使えるものです。2人は大学院と学部

の違いをどう捉えていますか?

桐島さん 私はまだ1年次なのでわからないこと

も多いけれど、受身だった学部の勉強に比べ、

自分で考えなければならない機会が増えたなと

は感じています。

田中さん 確かに大学院では自主的に取り組ま

ないと、実験も研究も何一つ前には進みません。

でも研究に打ち込めることには間違いなし。私も

実験があるときは、朝から夜遅くまで実験にかかりっ

きりということもあります。大学院生専用の部屋

もあるし、勉強する環境は申し分ありません。

押山教授 大学院の魅力は、同じ研究者同士

として切磋琢磨できること。私自身、院生から新

しい視点を指摘されたり、刺激を受けることがあ

ります。今後は違った学問分野の学生や社会

人など、多様な人材に研究を担ってほしいもの

です。さて将来はどんな道に進むつもりですか?

桐島さん まずはしっかり勉強することが先決で

すね。将来は研究者という選択肢も考えています。

田中さん 私は今研究している真空に関する知

識を何らかの形で社会に役立てられたらと思っ

ています。企業で技術開発や基礎研究に携わ

ることが目標です。

ONE TO ONEdialogue

産業の発展に貢献する 基礎研究の一端を担う

博士前期課程1年次生

桐島 香里

博士前期課程2年次生

田中 敦子

「表面物理学のおもしろさに

      魅せられています」

■主な論文テーマ(過年度分)

■ Survey of long-term stellar variabilities

■ q-変形振動子と境界可積分模型

●Si(100)の表面Debye温度とmetastable構造C(4×4)

●化学合成法によるMgNix水素吸蔵合金の作製

●ナノ物質の三次元自己組織化と新しい光機能性材料の開発

●低速電子線回折における多重散乱効果

●スカラー場とインフレーション宇宙

●電子三重項状態を利用した低磁場レーザー励起動的核偏極

●w<-1の状態方程式におけるDark energyの性質について

(■博士論文 ●修士論文)

外国語学研究科

理学研究科

工学研究科

法務研究科

法学研究科

マネジメント研究科

経済学研究科

理学研究科教授

押山 孝

「知の刺激を与え合う

   活発な研究をしたいですね」

高密度の指導が未来を拓くONE TO ONE

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