Portrait - SGホールディングスPortrait ò...

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ï August, 2008 No.9 SGホールディングス株式会社  〒601-8104 京都市南区上鳥羽角田町 6 8 番地 TEL.075-671-8600URL.http://www.sg-hldgs.co.jp 9 号 2008年8月  英国生まれのフレッシュハンドメ イドコスメ「LUSH」の製造・販売を 行う㈱ラッシュジャパンでは、神奈 川県愛甲郡にある専用ファクトリー 「ラッシュキッチン」で、日本国内で 販売するすべての製品を手作りして います。化粧品は2001年4月の法改 正で全成分の表示が義務づけられま したが、ラッシュジャパンでは日本 上陸の1999年からすでにラベルに全 成分を明記。また、製品一つひとつ に製造者の名前を記したラベルを貼 るなど、「安全」を最優先した製造・ 販売をモットーとしています。 だからこそ、全国108店舗(2008 年6月現在)の「LUSH」ショップ に商品を届ける配送にも、こだわり を持ったのは当然のことでした。 「ラッシュの商品は新鮮な果物や野菜 から手作りし、製造年月日と使用期 限を明記しています。短いものでは 3週間しかもたないフェイスパック もあり、お客様に 新鮮な商品を提供 することをポリシ ーとしています。 また環境面でも、 ボトルなどのゴミ がなるべく出ない ように固形のソー プやシャンプーも 開発したり、お買 い物の際に手提げ 袋が不要なお客様 には、簡易包装に ご協力いただいています」(ラッシュ ジャパン 関本幸PRマネージャー) そこで、従来から環境に配慮した 物流を模索していたラッシュジャパ ンは、各物流企業に対し、提案を促 しました。 「商品配送において、環境に配慮して いるかどうかは重要な要素になって きています。そのような中で、佐川 急便は天然ガス自動車の導入をはじ め、環境対策において先進的な取り 組みを行っていることを評価させて もらいました。また商品の品質維持 についても、弊社のオペレーション 時間に合わせて集荷時間を設定でき るので、作りたての商品をすぐに出 荷することが可能です。環境配慮、 品質維持の両面から、お客様へお届 けする商品の品質向上へとつながる ものと期待しています」(ラッシュジ ャパン サポートディビジョン 岡本透 ロジスティックスマネージャー) こうしてラッシュジャパンは、工 場出荷から店舗までの配送を、佐川急 便に切り替えることを決定しました。 (次ページに続く) 1 9 9 9 年の日本デビューの時から全 成分をラベルに明記し、「安全」を 最優先した製造・販売をモットー としている 2 0 0 8 年は京都議定書における第一約束期間( 2 0 08 年~ 2 0 1 2 年)の 開始年であり、また7月初旬には環境サミットともいわれる北海道洞 爺湖サミットが開催されました。環境問題は今や避けては通れない重 要なテーマであり、企業が環境対策に注力するのは当たり前の時代に なっています。佐川急便をはじめとする S G ホールディングスグルー プでは、環境問題が今ほど叫ばれていなかった10年以上も前から、環 境対策に力を入れてきました。そこで今回は、SGホールディングスグ ループのグリーン物流の取り組みについて紹介します。 2008年3月に日本国内通算100店舗目の出店 となった「LUSH渋谷駅前店」を開店 Special Report ――――――――――― 1~3 グリーン物流の構築を目指して News Topics ――――――――――― 4~5 中国・上海で宅配便事業を積極展開 Business Angle ―――――――――― 6~7 通信販売事業を包括的にサポート Portrait・Column ――――――――――― 8 現地駐在員紹介(佐川急便ベトナム) ダイバーシティプロジェクト Feature(特別企画)―――――――――別冊 モーダルシフトへの挑戦 Contents 「環境配慮」を物流企業の選定・取引基準に ~グリーン物流の構築を目指して~ 天然ガス自動車と自家用天然ガス充填所 ï August, 2008 No.9 SGホールディングス株式会社  〒601-8104 京都市南区上鳥羽角田町 6 8 番地 TEL.075-671-8600URL.http://www.sg-hldgs.co.jp

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Page 1: Portrait - SGホールディングスPortrait ò SGホールディングスグループニュースレター ることにも結びついており、2007年 度には2,066人、2003年度からの累

ïAugust, 2008 No.9

SGホールディングス株式会社 〒601-8104 京都市南区上鳥羽角田町68番地TEL.075-671-8600㈹ URL.http://www.sg-hldgs.co.jp

9号 2008年8月 

英国生まれのフレッシュハンドメ

イドコスメ「LUSH」の製造・販売を

行う㈱ラッシュジャパンでは、神奈

川県愛甲郡にある専用ファクトリー

「ラッシュキッチン」で、日本国内で

販売するすべての製品を手作りして

います。化粧品は2001年4月の法改

正で全成分の表示が義務づけられま

したが、ラッシュジャパンでは日本

上陸の1999年からすでにラベルに全

成分を明記。また、製品一つひとつ

に製造者の名前を記したラベルを貼

るなど、「安全」を最優先した製造・

販売をモットーとしています。

だからこそ、全国108店舗(2008

年6月現在)の「LUSH」ショップ

に商品を届ける配送にも、こだわり

を持ったのは当然のことでした。

「ラッシュの商品は新鮮な果物や野菜

から手作りし、製造年月日と使用期

限を明記しています。短いものでは

3週間しかもたないフェイスパック

もあり、お客様に

新鮮な商品を提供

することをポリシ

ーとしています。

また環境面でも、

ボトルなどのゴミ

がなるべく出ない

ように固形のソー

プやシャンプーも

開発したり、お買

い物の際に手提げ

袋が不要なお客様

には、簡易包装に

Portrait

ご協力いただいています」(ラッシュ

ジャパン関本幸PRマネージャー)

そこで、従来から環境に配慮した

物流を模索していたラッシュジャパ

ンは、各物流企業に対し、提案を促

しました。

「商品配送において、環境に配慮して

いるかどうかは重要な要素になって

きています。そのような中で、佐川

急便は天然ガス自動車の導入をはじ

め、環境対策において先進的な取り

組みを行っていることを評価させて

もらいました。また商品の品質維持

についても、弊社のオペレーション

時間に合わせて集荷時間を設定でき

るので、作りたての商品をすぐに出

荷することが可能です。環境配慮、

品質維持の両面から、お客様へお届

けする商品の品質向上へとつながる

ものと期待しています」(ラッシュジ

ャパン サポートディビジョン 岡本透

ロジスティックスマネージャー)

こうしてラッシュジャパンは、工

場出荷から店舗までの配送を、佐川急

便に切り替えることを決定しました。

(次ページに続く)

1999年の日本デビューの時から全成分をラベルに明記し、「安全」を最優先した製造・販売をモットーとしている

2008年は京都議定書における第一約束期間(2008年~2012年)の

開始年であり、また7月初旬には環境サミットともいわれる北海道洞

爺湖サミットが開催されました。環境問題は今や避けては通れない重

要なテーマであり、企業が環境対策に注力するのは当たり前の時代に

なっています。佐川急便をはじめとするSGホールディングスグルー

プでは、環境問題が今ほど叫ばれていなかった10年以上も前から、環

境対策に力を入れてきました。そこで今回は、SGホールディングスグ

ループのグリーン物流の取り組みについて紹介します。

2008年3月に日本国内通算100店舗目の出店となった「LUSH渋谷駅前店」を開店

Special Report ――――――――――― 1~3グリーン物流の構築を目指してNews Topics ――――――――――― 4~5中国・上海で宅配便事業を積極展開Business Angle ―――――――――― 6~7通信販売事業を包括的にサポートPortrait・Column ――――――――――― 8現地駐在員紹介(佐川急便ベトナム)ダイバーシティプロジェクトFeature(特別企画)――――――――― 別冊モーダルシフトへの挑戦

Contents

「環境配慮」を物流企業の選定・取引基準に

~グリーン物流の構築を目指して~

天然ガス自動車と自家用天然ガス充填所

ïAugust, 2008 No.9

SGホールディングス株式会社 〒601-8104 京都市南区上鳥羽角田町68番地TEL.075-671-8600㈹ URL.http://www.sg-hldgs.co.jp

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ñ SGホールディングスグループ ニュースレター

Portrait

◆COP3を契機に環境対策を推進

では、実際に佐川急便ではどんな

取り組みを行っているのでしょうか。

佐川急便が低公害車の調査・研究を

開始したのは、実に1990年代前半の

ことでした。その当時は大気汚染対

策を主な目的に取り組んでいました。

その後、1997年に「京都議定書」を

採択した気候変動枠組条約第3回締

約国会議(COP3)が京都で開催さ

れ、これを契機に、開催地である京

都に本社を置く企業として、積極的

に環境問題に取り組むことになりま

した。

佐川急便の環境問題に対する取り

組みは、その後急速に活動範囲を広

げ、「天然ガス自動車」の大量導入、

「スーパーレールカーゴ」をはじめと

するモーダルシフト*の積極展開な

ど、環境に配慮した輸送手段への切

り替えを次々と打ち出していくこと

になります。

また「SRC(佐川流通センター)」

や「中継センター・ハブセンター」、

消費者と一緒に環境問題に取り組みながらグリーン物流の構築を目指す

集荷・発送

京都議定書で定められた日本の温室効果ガス削減目標である「マイナス6%」に貢献できる宅配便サービス「CO2排出権付き飛脚宅配便」を開発。Webからの宅配便集荷・発送申し込みや、提携通販サイトの商品発送で同サービスを選ぶと、1個当たり346グラムの排出権を佐川急便を通じて日本政府に寄付することができる。

入荷・一時保管・検品・値付などの物流加工から出荷まで一連の工程を同一施設内で完結させることにより、作業工程間の無駄な輸送を削減することができる。

大気汚染の原因となる窒素酸化物や地球温暖化の原因となるCO2の排出を低減する天然ガス自動車の導入を積極的に推進。現在までに日本企業最多となる3,695台を導入し、2012年度までに7,000台を導入する計画。

天然ガス自動車

各営業店に集められた荷物を一旦中継センター・ハブセンターに集約し、再び行き先ごとに仕分けることで積載率を向上させ、トラック便数を削減。現在までに20か所の中継センター・ハブセンターを設置している。

*営業店とSRCは同一施設内に所在(一部除く)

集荷営業店

CO2排出権付き飛脚宅配便

中継センター・ハブセンター

佐川流通センター(SRC)

この図は、SGホールディングスグループのグ

リーン物流の一例を紹介したものです。組み合

わせなどは状況により異なります。なお、数値

は2007年度末時点のものです。

SGホールディングスグループのグリーン物流

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óAugust, 2008 No.9

「サービスセンター」などの物流施設

を活用して輸送効率化を図るなど、

物流の根幹である輸送そのものを減

らす取り組みも実施しています。

◆企業と消費者とが一緒になって取り組む仕組みを模索

企業が環境問題に取り組むのが当

たり前になった現在、これからは消

費者と企業とが一緒になって環境問

題に取り組む仕組みが求められてい

*モーダルシフト輸送手段の転換を図ること。特に、自動車や航空機より環境負荷の小さい鉄道や船舶への転換をいう。省エネや交通渋滞の緩和、CO2排出量削減による地球温暖化防止などさまざまな効果が期待されている。

くことになります。そこで佐川急便

では、不在による再配達の回数を減

らすことで余分なCO2排出を削減す

るなど、消費者と一緒になってCO2

排出を削減する取り組みにも着手し

ています。具体的には、2007年秋に

実施した「エコポイント制度の実証

実験」(2 0 0 7年1 0月~1 1月)や

「『eco(いいこ)とあるよ‥‥』1回

目!1回で受け取ることがecoなん

ですキャンペーン」(2007年11月~

現在実施中)がこれにあたります。

SGホールディングスグループは、

今後も環境先進企業として、消費者と

一緒に取り組める仕組みを模索して

いきます。

環境負荷の小さい鉄道や船舶などの輸送手段を活用するモーダルシフトを推進し、年間78,609トンのCO2排出を抑制。特に東京~大阪間では、JR貨物との共同開発による世界初の特急コンテナ電車「スーパーレールカーゴ」を毎日深夜に運行している。(『Feature』にて特集)

宅配便の配達を1回で受け取り、再配達によるトラック輸送を減らすことによりCO2排出の削減を図る、消費者参加型の実証実験・キャンペーンを実施。

交通量が多く、駐車スペースが少ない都心部を中心に車両を使わずに台車等の人力で集配を行う小規模拠点「サービスセンター」を設置。車両を使わないことで環境負荷軽減につながるほか、交通渋滞の緩和、駐車スペース確保のための無駄な時間の削減など、さまざまな効果がある。現在までに190か所に設置し、今後も積極的に推進していく。

配達営業店

モーダルシフト(スーパーレールカーゴなど)

再配達によるCO2排出削減施策

サービスセンター

~グリーン物流の構築を目指して~

配  達

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Portrait

ò SGホールディングスグループ ニュースレター

ることにも結びついており、2007年

度には2,066人、2003年度からの累

計では9,185人のドライバー・社員が

参加しました。

*累計人数は2008年6月20日現在

体験できるようにするなど、工夫を

施しています。

また、日頃ハンドルを握っている

ドライバーをはじめ、社員が参加し、

子供たちを直接指導することにより、

ドライバーや社員の安全意識を高め

佐川急便㈱が、2003年度から全国

で開催している「さがわきゅうびん

交通安全教室」が、延べ3,000回を突

破しました。2007年度は年間769回

開催し、12万1,660人が参加。2003

年度からの累計参加者数は、50万

6,435人に達します。

「さがわきゅうびん交通安全教室」

は、佐川急便の営業店が主体となり、

地域の幼稚園や小学校を中心に開催

しています。また最近は児童向けだ

けではなく、高齢者を対象に開催す

ることもあります。

「さがわきゅうびん交通安全教室」

では、横断歩道の渡り方や信号機・標

識の意味といった交通ルールに加え、

実際にトラックを使用して死角を実

「さがわきゅうびん交通安全教室」の模様。実際のトラックや、擬似体験用の横断歩道・信号機を使用するなど、楽しみながら学べるように工夫している

4月25日に二本松市立戸沢幼稚園で開催した「さがわきゅうびん交通安全教室」が、記念すべき3,000回目となった(福島店、福島県二本松市)

「さがわきゅうびん交通安全教室」が開催回数3,000回を突破累計50万人以上が参加 佐川急便㈱

世界中で愛読されている「赤毛の

アン」が、今年で出版100周年を迎

えました。これを記念して、東京・日

本橋の三越本店を皮切りに、

6月10日から約1年をかけて

全国の百貨店で「赤毛のアン

展~モンゴメリが愛したプリ

ンス・エドワード島~」が開

催されています。そしてこの

イベントに関する輸送業務

を、佐川引越センター㈱が受

託しました。

「赤毛のアン」は、カナダ

のプリンス・エドワード島を

舞台にした長編小説で、

1908年に同島出身の作家ル

ーシー・モンゴメリによって

発表されました。以来、22か

国語で翻訳され、今なお多く

の読者を惹きつける不朽の名

作となっています。

今回の「赤毛のアン展」では、日

本初公開となるモンゴメリの直筆原

稿やアニメ原画、赤毛のアン記念

館・村岡花子文庫(東京都大田区)の

所蔵品、さらにアンが暮らした家の

ジオラマまで展示されています。

出版100周年を迎えた「赤毛のアン」展示会のイベント輸送を受託国際輸送から国内輸送まで一貫輸送を提供 佐川引越センター㈱

【開催スケジュール】

東 京:日本橋三越本店 6月10日~22日

名古屋:ジェイアール名古屋タカシマヤ 7月17日~28日

広 島:福屋八丁堀本店 8月21日~9月2日

※以降、福岡、札幌、大阪などにて開催予定

アンが暮らした家を再現(日本橋三越本店)プリンス・エドワード島での検品・梱包作業

展示風景(日本橋三越本店)

赤毛のアン展~モンゴメリが愛したプリンス・エドワード島~

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ôAugust, 2008 No.9

佐川急便㈱は、(財)日本オリンピック委員会(JOC)の環境オフィシャルパートナーとして日本代表選手団を応援しています。

その一環で、北京オリンピック開催期間中、グループ会社の佐川グローバルロジスティクス㈱と連携して、北京市内のオリンピ

ック関係者向け施設「JOCジャパンハウス」に、日本へ発送する宅配便を受け付ける宅配受付カウンターを設置します。

オリンピック開催期間中に宅配受付カウンターを設置

中国・上海で宅配便事業を積極展開日本同様、通販貨物が主流 上海大衆佐川急便物流有限公司

(拠点間移動)をかけ、浦東営業所か

らは20台の営業車両、門店からは

120台のバイクで配達をしています。

◆代引き配達後入金サイクルを短縮

中国も日本と同様に通信販売貨物

が多く、その大半は代金引換です。

通信販売以外の企業間貨物もありま

すが、代引きでの配達が高い割合を

占めています。これは中国の商習慣

によるものです。

中国では、代引き配達後の商品代

◆中国初の宅配便事業を展開

SGホールディングスグループは、

住友商事㈱、大衆交通との合弁会社

「上海大衆佐川急便物流有限公司」を

2003年に設立し、中国初の宅配便事

業を展開しています。

上海大衆佐川急便物流の上海市内

での配達体制は、上海大衆本社から

56台の営業車両が直接受取人に配達

しています。また、浦東営業所と18

か所の門店(デポ)に荷物の横持ち

金入金サイクルは1か月が一般的で

すが、上海大衆佐川急便物流では1

週間での入金を実現。これにより事

業者に対して運転資金面で大きなメ

リットを提供するなど、競合他社と

の差別化を図っています。

今後も上海大衆佐川急便物流では、

増車や営業所展開、門店の新設を行

い、物量増加に対応した集配能力の

向上を図っていきます。

浦東営業所

上海大衆佐川急便物流の配達体制(上海市内)

18か所に開設している門店(デポ)から120台のバイクで受取人へ配達

門店(デポ)へ配送

受取人へ直接配達56台の営業車両が本社から直接受取人に配達

営業所経由で受取人に配達

20台の営業車両で浦東営業所から受取人に配達

本 社

バイクで配達

4年に1度のスポーツの祭典・夏季オリンピックが、いよいよ今年8月に中国・北京で開催されます。SGホールディング

スグループは、東アジア・ASEAN地域を中心に海外事業を展開しており、オリンピック開催国の中国でも、中国初の宅配

便事業を展開しているほか、中国郵政傘下の企業と業務提携するなど、積極的に事業展開を行っています。そこで今回は、

上海の宅配事情についてご紹介します。

*上海での代引きは「e-コレクト」ではなく、中国企業による決済システムを利用しています。

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ö SGホールディングスグループニュースレター

◆多種多様な決済サービス

国内の通信販売市場は、毎年10%

程度で拡大しており、佐川フィナン

シャル㈱の代金引換サービス「e-コ

レクト」も2000年のサービス開始時

から毎年2桁成長を続けています。

「e-コレクト」の2007年度取扱個数

は、前年度比12.5%増の9,435万個、

決済金額は1兆1,234億円に達し、好

調に推移しています。

「e-コレクト」は、商品の配達時に

受取人から商品代金を回収する代金

引換サービスで、宅配便業界で初めて

クレジットカードやデビットカードの

利用を可能にしました。さらに2007

Portrait

◆迅速に商品を届ける輸送インフラ

通信販売商品の配送にはスピード

が重視されます。SGHグループでは、

消費者の「早く商品を受け取りたい」

というニーズに応えるために、迅速

に商品を配達する輸送インフラの整

備を進めています。

2006年10月に1機4便で就航開始

した貨物航空会社ギャラクシーエア

ラインズ㈱は、2007年4月から2機

8便体制に拡充しました。これによ

り翌日配達の需要を確実に取り込み、

「飛脚航空便」の2007年度取扱個数

は、前年度比25.6%増の1,177万個

と、初めて1,000万個を突破しました。

また、数多くの通信販売事業者が

事業を展開している九州地方に、大

型物流施設「佐川急便 北九州センタ

ー」を2007年10月に開設しました。

この物流施設は、九州発着の貨物の

集約や仕分けを行う中継機能に加え、

商品の入荷から在庫管理、そして検

品・梱包・出荷までの機能を1か所で

行うことができる物流加工機能を併

せ持っています。しかも新北九州空

港に近隣しているので、ギャラクシ

ーエアラインズが運航する「新北九

州~羽田」便を活用することで、大

都市圏への翌日配達も可能です。

従来、九州から東日本以東の発送

は日数を要するなど、九州地方の通

信販売事業者は地理的課題を抱えて

いました。しかし、北九州センター

の開設やギャラクシーエアラインズ

の就航により、地理的課題を解消し、

通信販売事業者の競争力につなげる

ことが可能になります。

顧客ニーズに対応した決済サービスを充実させ迅速に商品を届ける輸送インフラを構築

通信販売商品の発送から決済まで包括的にサポート

年7月から業界初となる電子マネー決

済を導入しました。現在、後払い方式

の電子マネー「QUICPay(クイック

ペイ)」に対応し、東京23区と名古屋

市内でサービスを行っています。

また、代金引換サービスに加え、

佐川フィナンシャルは今年4月から

インターネット上のクレジットカー

ド決済、コンビニオンライン決済、

コンビニ払込票決済を包括的に提供

する「ネット決済サービス」を開始

しました。これにより通信販売事業

者の運営に不可欠な決済システムの

提供や、売上代金の収納代行を行う

ことができます。

通信販売市場の拡大を受け、2007年度の佐川急便の宅配便取扱個数は前年度比2%増の10億4,938万個と堅調に推移し

ました。SGホールディングスグループ(以下:SGHグループ)では、物流網を整備・強化するとともに、多様な顧客ニ

ーズに応える付加価値サービスの開発・提供を行いながら、通信販売事業者および消費者の利便性向上を図っています。

そこで今回は、2007年度に開始したサービスや施策を中心に、通販貨物向けのソリューションについて紹介します。

「e-コレクト」決済金額と取扱個数の推移

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

決済金額

取扱個数

2000年度 2001年度 2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度

(億円) (万個)

0

1,406万個1,888万個

2,357億円

2,945万個

4,156万個

5,324万個

6,992万個

8,384万個

9,435万個

3,134億円

4,501億円

6,014億円

7,332億円

8,858億円

1兆154億円

1兆1,234億円

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õAugust, 2008 No.9

決済代行「ネット決済サービス」

◆大型商品の配達・設置を一括提供

通信販売では多種多様な商品が扱

われていますが、大型の家具・家電の

場合はチャーター輸送(車両の貸し

切りによる輸送)や複数の物流セン

ターが必要となるなど、輸送コスト

や貨物情報の把握などに課題があり

ました。こうした中で、全国をカバ

ーする輸送インフラを持つ佐川急便

と、引越事業を手がける佐川引越セ

ンター㈱が大型貨物専用のネットワ

ークを確立し、「大型家具・家電設置

輸送」を開始しました。

通常の宅配便は玄関先での引渡し

ですが、このサービスは、家具や家

電を箱から開梱し、指定された場所

への設置、不要資材の引き取り、さ

らに配線作業(追加料金)まで含め

た輸送サービスを提供します。また、

佐川急便の宅配便ネットワークに

「大型家具・家電設置輸送」を組み込

むことにより、貨物追跡情報を提供

することができるほか、「e-コレクト」

の利用も可能となりました。

重量がある家具・家電の移動や、複

雑な家具の組み立て、家電の配線・設

定まで対応することにより、今後、

高齢化社会を迎えるにあたり、さら

なる需要拡大が見込まれます。

◆確実に受取人を特定

インターネットを利用したeコマー

ス(電子商取引)やオークションの

普及により、カードなどを悪用した

ネット犯罪が急増しています。この

ためセキュリティ強化と安全な取引

環境の確立が急務となっており、配

送方法についても、「特定した受取人

のみに配達して欲しい」「どのような

方法で確認したのか教えて欲しい」

という需要が高まっています。

そこで佐川急便では、2007年10月

に「受取人確認配達サービス」を開

始。荷物配達時に受取人から免許証

などの公的証書を提示してもらい、

配達伝票に記載されている「名前」

「住所」の照合を行います。さらに、

荷送人から受取人にあらかじめ連絡

しているパスワードをセールスドラ

イバーの携帯端末機に入力してもら

い、照会します。このように二重の

セキュリティチェックを行うことで、

なりすまし詐欺などの対策に役立て

ることができます。

SGHグループでは、市場動向や顧

客ニーズの的確な把握に努め、安全

かつ利便性の高い商品やサービスを

提供するとともに、輸送インフラの

継続的な整備・強化を図り、グループ

総合力を活用して商品の輸送から周

辺分野までの「トータルソリューシ

ョン」を提供していきます。

消 費 者

多種多様の決済サービスが利用可能

受取人確認配達サービス

通 販 事 業 者

「QUICPay」での決済サービス

大型家具・家電設置輸送

輸 送

翌日配達を可能にした輸送インフラ佐川急便北九州センター

公的証書の確認と携帯端末へのパスワード入力で、宅配便の受取人を確実に特定できる

現 金 デビットカード

クレジットカード

コンビニオンライン決済

クレジットカード決済

電子マネー(QUICPay)

要 望 注文してからできるだけ早く受け取りたい(届けたい)

要 望 大型家具・家電の部屋への搬入・設置をしてほしい

要 望 なりすまし詐欺などの対策

要 望 代金引換で電子マネーを利用したい

大型家具・家電の配達、開梱、指定場所への設置、不要資材の引き取りを行う

数多くの通販事業者が事業展開する九州地方に大型物流施設を開設。九州発着貨物の中継機能や集配機能、物流加工機能を併せ持つ

深夜・早朝の時間帯に運航することにより、従来の航空便と比べて遅くまで集荷受付が可能で、通信販売商品などスピードが求められる貨物の大都市圏への翌日配達が可能になった

要 望 決済の手段を増やしたい

通販事業者・消費者のニーズとSGHグループのサービス・インフラ

「e-コレクト」の決済端末機にQUICPayカードまたはQUICPayモバイルをかざすだけで簡単に決済できる

大型家具・家電設置輸送や受取人確認配達など付加価値サービスを提供

代金引換サービス「e-コレクト」

コンビニ払込票決済

通販事業の運営に不可欠な決済サービスを包括的に提供 ギャラクシーエアラインズ

通信販売貨物向けソリューション

Page 8: Portrait - SGホールディングスPortrait ò SGホールディングスグループニュースレター ることにも結びついており、2007年 度には2,066人、2003年度からの累

Column

主な活動としては、

各事業部から選出され

た委員を中心に毎月定

例会を開催し、職場環

境に関する事案を持ち

寄って議論しています。また、定期的に全社員を対象にアンケー

ト調査を行い、今後の改善策について話し合っています。2007年

4月から毎月第2水曜日に実施している「No 残業デー」は、この

プロジェクトを通じて経営陣に提案し、導入されたものです。現

在は育児休暇の取得促進に向けた社内広報に力を入れており、メ

ンタルヘルス関連の施策も検討しています。

「特定の部署や人間とだけで話していても実態と乖離し、机上の空

論になりがちです。そこで全ての事業部から委員を出して横断的

な組織とし、できるだけ多くの社員から生の声を聞くようにして

います。今はアンケート調査にとどまっていますが、今後はイン

トラネットを活用し、双方向でコミュニケーションが図れる方法

も検討していきたいと考えています」(丸山慶子委員)

ú SGホールディングスグループニュースレター

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社員一人ひとりが活躍できる職場環境を目指して

SGHグループでインキュベーション機能(新規事業領域の開拓)

を担っている佐川アドバンス㈱は、その広範な事業領域から多様

な人材確保が必要であり、女性社員についても一層の活用・地位向

上を目指して積極的に職場環境の改革を進めています。

かつて女性社員は、補助的な事務作業員として位置づけられ、

女性の優れた能力を発揮する場が限られていました。こうした職

場環境を改善し、社員の意識改革を図るため、2004年7月に経営

トップが提唱して「女性活躍委員会」が設置されました。当初は

女性だけで委員会を構成し、女性の立場から職場環境や社内の諸

制度について議論してきましたが、その後、2005年4月に「ダイ

バーシティプロジェクト」と改称。男性社員も委員として迎え入

れ、人事評価を含めて男女の隔てのない職場環境を目指し、多様

な活動に取り組んでいます。

「当社の事業は広範囲に及ぶため、いろいろな経歴や考え方を持っ

た社員がいます。社員一人ひとりの持つ力を最大限に発揮できる

環境をつくることは、企業の競争力を高め、優秀な人材の獲得に

つながります」(山本美也子・ダイバーシティプロジェクト委員長)

佐川アドバンス㈱ ダイバーシティプロジェクト

PortraitPortraitPortrait ベトナムで日系企業の海外展開をサポートする

――入社半年で念願の海外赴任ですね。

高橋 最初の赴任先は留学した香港でし

た。入社から間もなかったため、まずは

実際の現場作業を中心に携わり、物流に

関する知識や経験を養うところから始ま

りました。

――その後ベトナムへ異動した契機は?

高橋 佐川急便ベトナムは、従来ベトナ

ム南部を中心に事業展開していました

が、昨今、日系企業の進出が著しい北部

でもビジネスを強化するために、ハノイ

支店に香港時代の上司が先に異動してい

ました。その上司から、「ベトナムで挑

戦してみてはどうか」と声をかけていた

だいたのがきっかけです。

ベトナムでは「国際物流プランナー」

として、海上・航空・通関・倉庫・国内輸

送・クーリエ・引越など、さまざまなサ

ービスを組み合わせ、お客様のご要望に

最適な方法で応える提案営業を行ってい

ます。佐川急便ベトナムが有する自社保

税倉庫という強みを生かした在外ベトナ

ム顧客の獲得や、外資としては初めて総

合物流免許を取得した実績・強みを生か

佐川グローバルロジスティクス㈱は東

アジア・ASEAN地域を中心に拠点を配

備し、日系企業の海外展開をサポートし

ています。今回は現地法人で活躍する若

手駐在員として、佐川急便ベトナム・高

橋元基に話を聞きました。

――入社を志望した理由は?

高橋 学生時代から海外志向が強く、大

学在学中に1年間香港に留学したことが

あります。そのため、物流や旅行業界な

ど海外で働くチャンスがある業界を中心

に就職活動をしていました。その中でも

SGホールディングスグループはアジア

を中心に積極的に海外展開していますの

で、留学で培った英語や中国語の語学力

を生かし、世界を股に駆けた躍動的な仕

事ができると思い志望しました。

し、工場の立ち上げから輸出入のすべて

に至る総合物流を担当しています。

――よく地元の人に間違われるとか?

高橋 香港駐在時はよく香港人に間違え

られたのですが、ベトナムでもベトナム

人と間違えられ、日本のお客様に「どこ

から見てもベトナム人だね」と言われま

した。現地に溶け込みやすいという点で

は良いかもしれませんけどね(笑)。

――今後の抱負を聞かせてください。

高橋 常に目的意識を持ち、自分が今や

るべきことをしっかりと行い、お客様も

自分自身も、納得できる仕事を続けてい

きたいと思っています。

2005年佐川急便㈱入社、国際事業部(その

後、佐川グローバルロジスティクス㈱に移管)

に配属。同年10月から香港駐在。07年4月ベト

ナム赴任。現在に至る。

近年著しく経済発展し、BRICsに続く新興市場グループ“VISTA”の一角を占めるベトナム(BRICsおよびVISTAは国名の頭文字)

佐川急便ベトナム ハノイ支店 高橋 元基(26歳)(佐川グローバルロジスティクス㈱経営企画本部経営企画部海外法人課)