v6.5 Oct.2021 電磁気学の偉人マップ

8
アンペアの法則 1 v7.1 Jan.2022 1 1 st . 2011/04/11 L st . 2022/01/07 1400 1500 1600 1700 1800 1900 2000 電磁気学の偉人マップ 2 ヘルツ 1857-1894 (37) マクスウェル 1831-1879 (48) アンペール 1775-1836 (61) ビオ 1774-1862 (88) クーロン 1736-1806 (70) キャベンディッシュ 1731-1810 (79) ファラデー 1791-1867 (76) フレミング 1849-1945 (96) フランクリン 1706-1790 (84) ミリカン 1868-1953 (85) エルステッド 1777-1851 (74) ガウス 1777-1855 (78) ギルバート 1544-1603 (59) ローレンツ 1853-1928 (75) ヘンリー 1797-1878 (81) サバール 1791-1841 (50) オーム 1789-1854 (65) レンツ 1804-1865 (61) テスラ 1856-1943 (87) キルヒホッフ 1824-1887 (63) ボルタ 1745-1827 (82) デュ・フェ 1698-1739 (41) 平賀源内 1728-1780 (52) C S B E dl ds t C S D H dl J ds t 0 S B ds S D ds Q 19 1.60217733 10 [C] e 8 2.99792458 10 [m/s] c E IR Q C V L I F I Bl E v B 2 0 1 ˆ 4 e Qq F r r l R S dQ I dt 0 2 ˆ 4 Idl r dB r ( ) m F qv B ローレンツ力 素電荷 光速 クーロンの法則 ビオ-サバールの法則 アンペア-マクスウェルの法則 ファラデーの法則 ガウスの法則 フレミング左手則 フレミング右手則 オームの法則 ミクロの 観察/観測 マクロの 観察/観測 宗教・外交・貿易制限 (いわゆる鎖国) 1639 1854 どんな偉人も 先達の努力・ 知恵・発見を 利用させても らっている ※知恵はバトンリレーのように繋がって行く・・・ トムソン 1856-1940 (84) 電磁気学法則間の上位互換性 3 2 0 1 ˆ 4 e Qq F r r クーロンの法則 0 2 ˆ 4 Idl r dB r ビオ-サバールの法則 0 C E dl 保存場の性質 (エネルギー保存則) C H dl I アンペアの法則 一般化(拡張) 一般化(拡張) 電磁界の基本方程式(マクスウェルの方程式)最上位バージョン 静電界 の基本 方程式 静磁界 の基本 方程式 ※ 上位の法則に行くほど、より一般化されて抽象的になるため難しくなるが、様々な応用がで きるようになる。逆に、下位の法則ほど具体的で簡単だが、そのままでは応用されにくい。 上位互換とは・・・ Windows XPで動くソフ トウェアは、Windows 7 でも使えるイメージ S B ds t 変位磁束 S D ds t 変位電流 一般化(変形) 一般化(変形) S D ds Q ガウスの法則 0 S B ds 磁気ガウスの法則 C S B E dl ds t C S D H dl J ds t アンペア-マクスウェルの法則 ファラデーの法則 3 0 0 0 0 0 0 0 0 If C is charged in the inner conductor, in the case of 2 1 2 Then the potential difference is, ln 2 2 2 S S S a a a b b b Q a r b Q E dr Q Q Q Edr E dr E rl Q E rl V Q Q Q V Edr dr r rl l 0 0 0 0 ln ln 2 2 ln Substitute (2) to (1) produces 2 1 1 2 2 ln ln In the case of and 0 b a l lV Q b a lV Q V E b b rl rl r a a r a b r E 2 2 2 2 1 2 2 2 2 2 2 2 (i) In the case of 2 2 (ii) In the case of 2 3 2 (iii) In the case of 2 C C C C C C r a r H dl Hdl I a r H r I a Ir H a a r b H dl Hdl I H r I I H r b r c r b H dl Hdl I I c b c r H r 2 2 2 2 2 3 2 2 4 2 (iv) In the case of 0 2 0 0 C C I c b I c r H rc b r c H dl Hdl I I H r H 0 From equation (2) 2 F ln Q C l b V a 0 0 2 0 0 0 0 From equation (3) ln 2 2 ln Wb 2 ln H 2 L b L b b a a a I Il B drdz drdz r r Il b a l b L I a 0 0 0 0 0 0 0 0 ln 1 ln ln 2 2 2 1 ln 2 b l L b b a Z C a l a b Z a ガウスの法則より アンペアの法則より 特性インピーダンス 電磁気Ⅰの メインテーマ 電磁気Ⅱの メインテーマ 電磁波の 導入テーマ l c b a z r , E r a b ln V a ba ln V b ba H r a b 2 I a c 2 I b 実用的な応用例 4

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アンペアの法則

1v7.1 Jan.2022 1

1st. 2011/04/11Lst. 2022/01/07

1400 1500 1600 1700 1800 1900 2000

電磁気学の偉人マップ2

ヘルツ 1857-1894 (37)

マクスウェル 1831-1879 (48)

アンペール 1775-1836 (61)

ビオ 1774-1862 (88)

クーロン 1736-1806 (70)

キャベンディッシュ 1731-1810 (79)

ファラデー 1791-1867 (76)

フレミング 1849-1945 (96)

フランクリン 1706-1790 (84)

ミリカン 1868-1953 (85)

エルステッド 1777-1851 (74)

ガウス 1777-1855 (78)

ギルバート 1544-1603 (59)

ローレンツ 1853-1928 (75)

ヘンリー 1797-1878 (81)

サバール 1791-1841 (50)

オーム 1789-1854 (65)

レンツ 1804-1865 (61)

テスラ 1856-1943 (87)

キルヒホッフ 1824-1887 (63)

ボルタ 1745-1827 (82)

デュ・フェ 1698-1739 (41)

平賀源内 1728-1780 (52)

C S

BE dl dst

C S

DH dl J dst

0SB ds

SD ds Q

191.60217733 10 [C]e

82.99792458 10 [m/s]c

E IR

QCV

LI

F I Bl

E v B

20

1 ˆ4e

QqF rr

lRS

dQIdt

0

2

ˆ4Idl rdBr

( )mF q v B

ローレンツ力

素電荷

光速

クーロンの法則

ビオ-サバールの法則

アンペア-マクスウェルの法則

ファラデーの法則

ガウスの法則

フレミング左手則

フレミング右手則

オームの法則

ミクロの観察/観測

マクロの観察/観測

宗教・外交・貿易制限 (いわゆる鎖国)1639 1854

どんな偉人も先達の努力・知恵・発見を利用させてもらっている

※知恵はバトンリレーのように繋がって行く・・・

トムソン 1856-1940 (84)

電磁気学法則間の上位互換性3

20

1 ˆ4e

QqF rr

クーロンの法則

02

ˆ4Idl rdBr

ビオ-サバールの法則

0CE dl

保存場の性質(エネルギー保存則)

CH dl I

アンペアの法則

一般化(拡張) 一般化(拡張)

電磁界の基本方程式(マクスウェルの方程式)最上位バージョン※

静電界の基本方程式

静磁界の基本方程式

※ 上位の法則に行くほど、より一般化されて抽象的になるため難しくなるが、様々な応用ができるようになる。逆に、下位の法則ほど具体的で簡単だが、そのままでは応用されにくい。

上位互換とは・・・Windows XPで動くソフトウェアは、Windows 7でも使えるイメージ

S

B d st

変位磁束

S

D d st

変位電流

一般化(変形) 一般化(変形)

SD d s Q

ガウスの法則

0SB d s

磁気ガウスの法則

C S

BE dl d st

C S

DH dl J d st

アンペア-マクスウェルの法則ファラデーの法則

3

0

0 0 0

0

0 0 0

If C is charged in the inner conductor, in the case of

2

12

Then the potential difference is,

ln2 2 2

S

S S

a a a

bb b

Q a r bQE dr

Q Q QEdr E dr E rl

QErl

VQ Q QV Edr dr rrl l

0

0

0 0

ln ln

2 2ln

Substitute (2) to (1) produces21 1

2 2 ln ln

In the case of and 0

b al

lVQ ba

lVQ VE b brl rl ra a

r a b rE

2

2

2

2

1 2

2

2 2

2 2

2

(i) In the case of

2

2(ii) In the case of

2

32

(iii) In the case of

2

C C

C C

C C

r arH dl Hdl Ia

rH r Ia

IrHa

a r b

H dl Hdl I

H r I

IHr

b r cr bH dl Hdl I Ic b

c rH r

2

2 2

2 2

3 2 2

4

2(iv) In the case of

0

2 00

C C

Ic b

I c rHr c b

r c

H dl Hdl I I

H rH

0

From equation (2)

2 Fln

QC lbVa

0 020 0

0

0

From equation (3)

ln2 2

ln Wb2

ln H2

L b L b b

aa a

I IlB drdz drdz rr

Il bal bL

I a

0 00

0 0

00

0

ln 1ln ln2 2 2

1 ln2

blL b baZ

C a l a

bZa

ガウスの法則より アンペアの法則より

特性インピーダンス

電磁気Ⅰのメインテーマ

電磁気Ⅱのメインテーマ

電磁波の導入テーマ

l

cba

z r

,

E

ra b

lnV

a b a

lnV

b b a

H

ra b

2Ia

c2Ib

実用的な応用例4

0CB dl I

アンペアの法則

積分路内部に含まれる電流(右ねじ方向が正)

積分路を構成する微小線素(方向は経路Cの方向)

積分路上の磁束密度

真空の透磁率 4πx10-7

積分が経路Cに沿った線積分であること示す記号

内積記号

【解説】 経路Cに沿って磁場Bを線積分(微小長さdlを掛けて総和)すると,積分路内部に含まれる電流Iをμ0倍した値に等しい。

I

C

SB

5

積分路が閉じていることを示す記号

[Wb/m2] × [m] = [H/m] × [A]

【ベクトル形】

0cosCBdl I

アンペアの法則

積分路内部に含まれる電流(右ねじ方向が正)

積分路を構成する微小線素(方向は経路Cの方向)

積分路上の磁束密度

真空の透磁率 4πx10-7

積分が経路Cに沿った線積分であること示す記号

Bとdlのなす角度

【解説】 経路Cに沿って磁場Bを線積分(微小長さdlを掛けて総和)すると,積分路内部に含まれる電流Iをμ0倍した値に等しい。

I

C

SB

6

積分路が閉じていることを示す記号

[Wb/m2] × [m] = [H/m] × [A]

【スカラー形】

磁場の重ね合わせの原理7

【ベクトル形】

0CB dl I

0 iCi

B dl I

C

SB

0i

i iCi

B dl I

1I

1C

SB

P

共通の積分路Cの場合 個別の積分路Ciの場合

3つの円の交点

2I3I

3C 2C

1I2I3I

アンペアの法則の適用例【演習】 無限長の直線電流I1, I2, I3が下図のように流れている。各積分路に対するアンペアの法則の右辺を求めよ。

1I2I3I

C

1I2I3I

C

(1) (2) (3)1I

2I3I

C

(4) (5)1I

2I3I

C

1I

C

1I

C

1I

C

1I

C

(6) (7) (8)

8

(7) 積分路が閉じていないので法則として成立しない

0 1 3( )I I 0 1 2( )I I 0 2I

0 1 3( )I I 0 0 0 22 I

【解答】

線路Cが閉じていない(開いている)ことを示す記号

ベクトルの線積分

CA d l

CA d l

線路

線路Cが閉じていることを示す記号

線素dlに平行でCの方向を示す

微小線素内積記号

線路C上にあるベクトル量線路

※ 計算結果の物理量は、ベクトルAの単位[○○]と長さ[m]との積になる。

微小線素内積記号

線路C上にあるベクトル量

リングを構成する線分1つあたりの長さ

サーカスリング

微小線素dl

全線路長C=∑dl

微小線素dl

全線路長C=∑dl

方向

線素dlに平行でCの方向を示す

右回り or 左回りどちらでもよい

ミミズ

ミミズを構成する消化管1つあたりの長さ

方向消化した土が排泄される方向ミミズの進行方向(逆向き)でもよい

循環という物理量

9

ベクトルの線積分10

ˆ ˆˆt n tC C CA dl A t A n dlt A dl

: tangentialt接線の(接線成分)

法線の(法線成分)

ˆdl dlt

積分路Cに対して常に接線方向を向いた微小長さベクトル

ˆ ˆt nA At A n

積分路C上のある点におけるベクトル(物理量)

tA

dl

ˆ ˆt nA At A n

ˆdl dlt

C ˆnA n

ˆtA t

積分路Cに対するベクトルAの接線成分

: normaln

nA 積分路Cに対するベクトルAの法線成分(垂直成分)

t 積分路Cに対して接線方向を向いた単位ベクトル

n 積分路Cに対して法線方向を向いた単位ベクトル

Q

A

BBr

Ar

E

別名:エネルギー保存の法則位置エネルギー(ポテンシャルエネルギー)が運動エネルギー(電荷の加速)に変化するだけ

(復習)保存場の性質との類似性

電界

0CE dl

積分路を構成する微小線素

積分路が閉じていることを示す記号

積分が積分路Cに沿った線積分であること示す記号

内積記号

仕事した仕事(発)される仕事(受)

PEKE

11

積分路Cの内部に点電荷を含んでも含まなくても常に成立

[V/m] × [m] = [V][N/C] × [m] = [J/C]

0S

QE ds

(復習)真空中のガウスの法則

閉面内に含まれる真電荷(分極電荷除く)

閉面S上の電界ベクトル積分面Sが

閉じていることを示す記号

真空の誘電率8.854x10-12

内積記号表面積

積分面を構成する外向き微小面積ベクトル

12

[V/m] × [m2] = [C] ÷ [F/m]

ミラーボールを構成する鏡1枚の面積

ベクトルの面積分

SA ds

SA ds

ミラーボール

表面積

面Sが閉じていることを示す記号

面Sが閉じていない(開いている)ことを示す記号

全表面積S=∑ds

微小面積ds

微小面積dsに垂直で外向きを示す

※ 図では赤道上は大きく見えるが、実際は無限小の大きさ

表面積

微小面積内積記号

面S上のベクトル量全表面積S=∑ds

パズルを構成するピース1枚の面積

微小面積ds

※ 内側は表面ではなく裏面として考えるので、表面積Sに含まない

微小面積dsに垂直で外向きを示す

※ 計算結果は、ベクトルFの単位[○]と面積[m2]との積になる

微小面積

面S上のベクトル量

内積記号

風船と熱気球の違いでもよい

流束という物理量

13

ベクトルの面積分14

ˆ ˆ ˆt n nS S SA ds At A n dsn A ds

: tangentialt接線の(接線成分)

法線の(法線成分)

ˆds dsn

積分面Sに対して常に法線方向を向いた微小面積ベクトル

ˆ ˆt nA At A n

積分面S上のある点におけるベクトル(物理量)

tA

ds

ˆ ˆt nA At A n

ˆds dsn

S

ˆnA nˆtA t

積分面Sに対するベクトルAの接線成分

: normaln

nA 積分面Sに対するベクトルAの法線成分(垂直成分)

t 積分面Sに対して接線方向を向いた単位ベクトル

n 積分面Sに対して法線方向を向いた単位ベクトル

ˆˆ ˆdl dr r rd dz z

主な直交座標系

, ,r z

z

xy

zr

dr

rddz dl

15

円筒座標cylindrical coordinate

デカルト座標Cartesian coordinate

または,直角座標rectangular coordinate

球座標spherical coordinate

, ,x y z

z

xy

z

, ,r

z

xy

ˆ ˆ ˆdl dx x dy y dz z ˆ ˆˆ sindl dr r rd r d

dzdx

dydl dr

sinr d

rd

r

dl

x

z

y r

zr

dv rdrd dzdv dxdydz 2 sindv r drd d

拡大 拡大 拡大

15

アンペアの法則を適用する際に最もよく使う座標系

B

dld

rnB

tB

アンペアの法則の証明①

x

yC

zI

dr

r半径 の円I

I

z

x ydlC

視点 積分路Cの内側に電流が含まれる場合

16

https://www.kusamalab.org/lecture/em2/A6_ampere.pdf

アンペアの法則の証明②

0 ˆ ˆˆ ˆ2C C

IB dl dr r rd dz zr

2

02

Cd d

dl

0

2 C

I d

0C

B dl I

従って、

x

yC

zI

dr

r半径 の円

17

2d

https://www.kusamalab.org/lecture/em2/A6_ampere.pdf

I

I

z

xy

dl

C

視点

円筒座標系の ここで、

積分路Cの内側に電流が含まれる場合

アンペアの法則の証明③

r半径 の円

x

y

C

zI

12

dr

I

I

z

xy

dl

C

視点 積分路Cの内側に電流が含まれない場合

18

https://www.kusamalab.org/lecture/em2/A6_ampere.pdf

0 ˆ ˆˆ ˆ2C C

IB dl dr r rd dz zr

2 1

1 2Cd d d

0

2 C

I d

0CB dl

従って、

2 2

1 10d d

dl

円筒座標系の

ここで、

1r

2r

アンペアの法則の適用手順

1. 積分路内部に電流を含むように積分路Cを決める。積分路の方向は右ねじの方向を正とする。この際,磁力線を頭の中でイメージし,磁力線に沿った形に積分路を取る。

2. ベクトル積分方程式をスカラー積分方程式にして難易度を1つ下げる。

3. 磁場が積分路上で一定となる(ように積分路を決定した)ことを利用し,未知数を積分の外に出す。これで積分を単なる積に置き換えて難易度をさらに1つ下げる。

4. 方程式を解いて磁束密度Bを求める。5. 磁束密度Bの方向と積分路Cの方向が一致するように積

分路を決めたので,積分路に沿った単位ベクトルを付けて磁束密度ベクトルにする。

19

上位法則(通信と飛脚の例)

技術評論社, 電脳会議, p.10, vol.166, http://gihyo.jp/book/dennou/2015/166

上位法則を使いこなせるようになると、これまで面倒で時間がかかっていたことでも比較的短時間で簡単にできるようになる。ただし、便利になると当然デメリットも出てくる。例) 移動(徒歩→馬→車・電車・飛行機)、通信(のろし→飛脚→ウェブ・携帯)、その代わりに生活悪習慣病やCO2問題。次に使われる法則は何か?

ビオサバールの法則は、電流線素が観測点に作る磁場を重ね合わせるという点で、直感的で分かり易いが計算量は多い。これに対して、アンペアの法則は積分方程式の形をしていて、直感性にはやや欠けるが、少ない計算量で同じ問題を解ける。人間の動物的な習性や心理的な法則もこれと似ているところがある。例えば、心拍や呼吸、歩行等から細胞分裂まで、何も意識しないでもやってくれているが、裏では極めて複雑な作業を半自動的にしてくれている。

20

無限長直線電流の断面磁場【演習】 z軸上に無限長直線電流 I が流れている。原点から距離rの位置の磁場をアンペアの法則から求めよ。(教科書,p.89)

0CB dl I

[Step1] 積分路Cの形と方向を決める。

[Step2] ベクトルをスカラーに直す。

0cos 0CBdl I

0CBdl I

0CB dl I

02B r I

[Step3] 未知数を積分の外に出す。

0

2IBr

[Step4] 方程式を解く。 [Step5] 方向を付ける。

0 ˆ2IBr

y

xI

rz

P

C

21

(磁場ベクトルに沿う形で)

y

x

【解答】

ベクトルBのイメージ

直線電流が作る磁場のイメージ22

https://www.kusamalab.org/lecture/em2/A2_vector_field_slide.pdf

平行線路の断面磁場①

y

x

1I

2I I

2d O P

h

【演習】 間隔2d [m]の無限に長い2本の平行導線に往復電流 I [A]が流れている。O点およびx軸上で距離 h [m]離れたP点の磁束密度をアンペアの法則から求めよ。(教科書,p.97,演習問題)

0 0

2 2ˆ ˆ,O P

I IdB x B xd d h

dh

2 2d h 1B

1 cosB 2 2

cos dd h

O P

1C1I

O

2I

23

d2 2d h

2B

2 cosB

1I

2I

P

2Cx+x

【解答】

O P

y y0

2IBr

答え

[ヒント]I1が作る磁場とI2が作る磁場をO点又はP点で重ね合わせる。

y

x

平行線路の断面磁場②【演習】 間隔2d [m]の無限に長い2本の平行導線に往復電流 I [A]が流れている。y軸上で距離h [m]離れたQ点の磁束密度をアンペアの法則から求めよ。 (教科書,p.97,演習問題 改)

02 2 ˆ( )Q

I dB xh d

y

x

1I I

2I I

2d O P

h

Q

h

24

【解答】

答え

11 0 1CB dl I

22 0 2CB dl I

ただし、C1はI1を中心とした半径h-dの円

ただし、C2はI2を中心とした半径h+dの円

[ヒント]

平行線路の断面磁場③【演習】 図に示すように間隔2dの無限に長い2本の平行線に電流Iが流れている。O点,P点および,Q点の磁束密度を求めよ。 (教科書,p.97,演習問題 改)

y

x

1I I

2I I

2d O P

h

Q

h

25

y

x

1I I

2I I

2d O P

h

Q

h

0O ˆIB x

d

0P 2 2 ˆ

( )IdB x

d h

0Q 2 2 ˆ( )

( )IdB x

h d

O 0B

0P 2 2 ˆ

( )IhB y

d h

0Q 2 2 ˆ( )

( )IhB x

h d

【解答】

答え 答え

電流と電流密度

sJ vJ J

(a) Line current (b) Surface current (c) Volume current

[A]I [A m]SJ 2[A m ]J

lJ I

電流 面電流密度 電流密度

D. M. Pozar, ``Microwave Engineering, 3rd,’’p.9, Wiley.

線電流には厚みがないのと同じように,面電流も厚みは考えない。

無限長平板電流の磁場27

【例題】 図に示すように厚さがa [m]の無限平板導体中を電流が一様に電流密度J [A/m2]でz軸の正の方向に流れているとき、アンペアの法則を用いて磁束密度を求めよ。(教科書,例題6.2)

【解答】 微小面積ΔxΔy [m2]に流れる電流JΔxΔy[A]を原点に対して上下セットで考えると、P点における磁束密度Bは、BupperとBlowerの合成によってy方向のみに発生する。 y方向に長さl [m]あたりで考えると、

10C

B dl Jal

(1) h>a/2のとき、

02B l Jal

0

2JaB

20 2

CB dl J xl

(2) h<a/2のとき、

02 2B l J xl

0B Jx

(1) (2)

2a

B

x

y

xl O P

ha

J x y B

J x y

upperB

lowerB

1C

lowerI

upperI

無限平板なので導体断面積Sも±y方向へ無限大に広がっている。電流密度が一定のJ [A/m2]なので、全電流の大きさもI=JS [A]も無限大になる。つまり、波源のエネルギーが無限大なので減衰がない。

4本重ね合わせのイメージ

0 01 22 ,

2 2Ir IB Ba r

厚みのある無限長電流の磁場①

z

ra

I

28

【演習】 アンペアの法則を適用し,横軸に距離r[m],縦軸に磁界B [T]をとって磁場分布をグラフに記入せよ。(教科書,pp.89-90)

(1) (2)

a

B

r

z

a rb c

I

(1) (2)

b

B

rc

(3)

2 20 0

1 2 32 2

( )0, ,2 ( ) 2I r b IB B Bc b r r

22 [A/m ]IJa

2

2 2 [A/m ]( )IJ

c b

x

y

x

y【解答】

答え 答え

[ア] [イ]

2 20 0 0

1 2 3 42 2 2

( ), , , 02 2 2 ( )Ir I c rB B B I Ba r r c b

同軸線路の断面磁場①

(1) (2) (3) (4)

a bc

B

r

z

a rab c

1I 2I I

29

【演習】 内導体の半径がa[m],外導体の内半径がb[m],外半径が c[m]の同軸線路がある。内導体と外導体の間の空間は空気で満たされている。4つに場合分けしてそれぞれアンペアの法則を適用し,横軸に距離r[m],縦軸に磁界B [T]として磁場分布をグラフに記入せよ。(教科書,章末問題6.12)

z

a rab c

1I

z

a rab c

2I I +

2つの電流の重ね合わせ

inZ

LZ

inZ

LZ

同軸線路 平行線路

【解答】

答え

[ア] [イ] [ウ]

z

無限長ソレノイドの磁場30

z

ra

【演習】 断面半径をa[m]の無限長ソレノイドがある。断面中心から距離rの位置の磁場を求めよ。ただし,単位長さあたりの巻き数をn[巻/m]とする。(教科書,pp.92-93)

【語源】 ソレノイド solenoid = solen(筒)-oid(~状の)、【参考】 筒:つつ=丸い+丸い、つき=丸い+奇妙

0 ˆ ( )0 ( )nIz r a

Ba r

【解答】

答え

【ヒント】

ソレノイドの内側では+z方向、外側では-z方向の磁束密度Bzが発生していると想像できる。ただし、r→∞でBzはゼロに近づくはず。

無端ソレノイドの磁場31

2arR

z z

【演習】 環状ソレノイドの中心半径をR[m],巻数をN[巻],ソレノイドの断面半径をa[m]として,密に巻かれた環状ソレノイドの磁束密度を求めよ。ただし,R>>aとする。また, 横軸に環状ソレノイド中心からの距離r[m],縦軸に磁束密度の大きさBをとってグラフ化せよ。 (教科書,pp.91-92)

0

0 ( )

ˆ ( )20 ( )

r R aNIB R a r R aR

R a r

【解答】

答え

【ヒント】

①r<R-a, ②R-a<r<R+a, ③R+a<a の三つの場合に分けてアンペアの法則を適用する。

オフセット中空線路の断面磁場32

z

a ra b

J

d

z

【発展】 半径a [m]の無限長円柱導体に中心軸からd [m]離れて半径b [m]の円筒の穴が開いている。この導体に電流密度J[A/m2]が一様に流れるとき,穴の部分の磁束密度を求めよ。(安達,大貫,電気磁気学 第2版・新装版,p.98)

【解答】

【ヒント】

半径a [m]の円柱導体には一様電流J [A/m2]が上向きに流れているので、半径b [m]の仮想的な円柱導体に-J [A/m2]を下向きに流して両者を重ね合わせれば、穴を等価的に表現できる。