64 256 0 ( ) max[( c ’ 1/m c 2 c 1/m 1 ’ 1/m2 , DC' , DC …Hybrid Log Gamma(HLG)変換式 E’...

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32 FDI・2016・10 川上 一郎  デジタルシネマ Now ! 115 115 HDR 対応 UHDTV 制作の課題 さて、UHDTV(4K/8K)映像の規格策 定と併せて HDR(High-Dynamic-Range) 映像の規格策定も国際電気通信連合(ITU) による規格(ITU-R BT.2100-0)が公開 されたことで制作から放送に至るまでの枠 組みができあがったことになる。今月号で はこの HDR と UHDTV 関連での様々な技 術的課題について紹介していく。 ITU-R BT.2100-0 は HDR 対 応 番 組 の映像特性を定義して国際流通を円滑に 図 1 UHDTV 時代の制作・編集・放送 SMPTE Study Group Report High-Dynamic Range(HDR) Image Ecosystem,Fig1. 図 2 テクニカラーの HDR 制作編集システム SMPTE Study Group Report High-Dynamic-Range(HDR) Imaging Ecosystem,A-1 -2 -1 0 1 2 3 4 -3 -2 -1 0 1 2 3 48Cd/m2 - P3D60 100cd/m2 - Rec.709 1000cd/m2 - P3D60 2000cd/m2 - Rec.2020 4000cd/m2 - Rec.2020 SMPTE Study Group Report High-Dynamic-Range(HDR) Imaging Ecosysytem,FigB-1 図 3 ACES による 484000cd/m2Log トーンカーブ 進 め る た め の 規 格 で あ り、HD、4K/8K 解像度の映像解像度、画郭縦横比16: 9、画素縦横比 1:1 とフレームレートを 120,120/1.001、100,60,60/1.001、 50,30,30/1.001、25,24,24/1.001 と定義している。 ブラウン管が生産中止 となって何年もたつのに未だにブラウン管 時代の名残である交流電源との位相干渉防 止である N/1001 のフレームレートを定 義しているのははなはだ疑問であるが、現 在の映像関連機器での N/1001 対応機器 が大半であることを考えると如何ともしが たいところである。 色空間は ITU-R BT.2020 で定義された 広 色 域 規 格(Red:630nm[x:0.708、 y:0.292]、Green:532nm[x:0.170、 y:0.797]、Blue:467nm[x:0.131、 y:0.046]、White[x:0.3127、y: 0.3290])を採用している。光電変換特性 (OETF)・電光変換特性(EOTF)そして異 なる最大輝度定義への HDR 特性変換の為 の光・光変換特性(OOTF)等が定義され 従来の CIE-XYZ 色応答関数で問題となっ ていた色覚特性との不一致問題に対しては 人間の色覚応答関数である LMS を使用し て線形変換を行う ICTCP 色空間も定義さ れている。この ICTCP 色空間については 次号以降の連載記事で紹介させていただき、 今月号では主要な数式の紹介のみとさせて いただく。 図 1 は、4K/8K 映像を HDR 対応で展 開するために既存規格との整合性を確保 しながら効率的に規格策定作業を進める ためにSMPTEが立ち上げた作業部会の 書(SMPTE Study Group Report High-Dynamic Range(HDR)Image Ecosystem)で現在のデジタルコンテン ツ制作・編集・流通の実態を把握するため に作成されたワークフロー解説図である。

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Page 1: 64 256 0 ( ) max[( c ’ 1/m c 2 c 1/m 1 ’ 1/m2 , DC' , DC …Hybrid Log Gamma(HLG)変換式 E’ = OETF[E] = {√E / 2 0 < E < 1 a . ln(E - b) + c 1 < E a = 0.17883277, b = 0.28466892,

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川上 一郎 

デジタルシネマNow ! 115115

HDR対応UHDTV制作の課題 さて、UHDTV(4K/8K)映像の規格策定と併せてHDR(High-Dynamic-Range)映像の規格策定も国際電気通信連合(ITU)による規格(ITU-R BT.2100-0)が公開されたことで制作から放送に至るまでの枠組みができあがったことになる。今月号ではこのHDRとUHDTV関連での様々な技術的課題について紹介していく。 ITU-R BT.2100-0 は HDR 対 応 番 組の映像特性を定義して国際流通を円滑に

図 1 UHDTV時代の制作・編集・放送SMPTE Study Group Report High-Dynamic Range(HDR) Image Ecosystem,Fig1.

図 2 テクニカラーのHDR制作編集システムSMPTE Study Group Report High-Dynamic-Range(HDR) Imaging Ecosystem,A-1

-2

-1

0

1

2

3

4

-3 -2 -1 0 1 2 3

48Cd/m2 - P3D60100cd/m2 - Rec.7091000cd/m2 - P3D602000cd/m2 - Rec.20204000cd/m2 - Rec.2020

SMPTE Study Group Report High-Dynamic-Range(HDR) Imaging Ecosysytem,FigB-1

図3 ACESによる 48̃4000cd/m2Log トーンカーブ

進めるための規格であり、HD、4K/8K解像度の映像解像度、画郭縦横比16:9、画素縦横比1:1とフレームレートを120,120/1.001、100,60,60/1.001、50,30,30/1.001、25,24,24/1.001と定義している。 ブラウン管が生産中止となって何年もたつのに未だにブラウン管時代の名残である交流電源との位相干渉防止であるN/1001のフレームレートを定義しているのははなはだ疑問であるが、現

在の映像関連機器でのN/1001対応機器が大半であることを考えると如何ともしがたいところである。 色空間は ITU-R BT.2020で定義された広色域規格(Red:630nm[x:0.708、y:0.292]、Green:532nm[x:0.170、y:0.797]、Blue:467nm[x:0.131、y:0.046]、White[x:0.3127、y:0.3290])を採用している。光電変換特性(OETF)・電光変換特性(EOTF)そして異なる最大輝度定義へのHDR特性変換の為の光・光変換特性(OOTF)等が定義され従来のCIE-XYZ色応答関数で問題となっていた色覚特性との不一致問題に対しては人間の色覚応答関数であるLMSを使用して線形変換を行う ICTCP色空間も定義されている。この ICTCP色空間については次号以降の連載記事で紹介させていただき、今月号では主要な数式の紹介のみとさせていただく。 図1は、4K/8K映像をHDR対応で展開するために既存規格との整合性を確保しながら効率的に規格策定作業を進めるためにSMPTEが立ち上げた作業部会の報 告 書(SMPTE Study Group Report High-Dynamic Range(HDR) Image Ecosystem)で現在のデジタルコンテンツ制作・編集・流通の実態を把握するために作成されたワークフロー解説図である。

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 映像の入力系ではスタジオで直接撮影・制作された映像以外に衛星経由で受信されたもの、無線通信経由、そしてメモリーカードやVTRで納品された映像等が制作プロダクションやポストプロダクションで非同期処理され、一部はリアルタイムで処理されて、パッケージメディアやVTR、メモリーカードに一時記録され、衛星配信や無線での配信、IPネットワークやインターネットで最終視聴者に届くことになる。この現在のデジタルメディア制作配信プロセスの中で多様な映像フォーマットと異なるHDR定義の映像をどのようにハンドリングするのかが問題となってくる。このHDR関連でのメタデータ構造については米国の映像制作編集工程で主流となってい る IMF(Inter-operability Meta-Data Format)の拡張で対応することになるが、映像信号のビット幅と、ピーク輝度が異なり、さらに対象色空間もRe.709、DCI-P3、Rec.2020と多様になってくるために煩雑さの問題は避けて通れないところがある。  図 2はテクニカラーが採用しているHDR対応の制作編集システムである。ポストプロダクションでのHDRリファレンスモニターはソニー製X3000-OLED-4K モニターが使用されておりSMPTE-ST2086によるPQ-EOTF特性でキャリブレーションされている。現時点で、HDR

パラメーター符号化信号符号化形式

量子化形式 C'B, C'R, CT, CP

量子化帯域 10ビット 12ビット 10ビット 12ビット

ビデオ信号範囲 4~1019 16~4079 0~1023 0~4092

4092

4092

3760

3840

0

512

1023

1023

名目ピーク値( R ' = G ' = B ' = Y ' = I = 1 )D R ', D G ', D B ', D Y ', D I

名目ピーク値( C' B = C ' R = ±0.5 )

D C 'B , D C ' R , D C T , D C P

64

512

940

960

D = IN T [ ( 224xE ' + 128) x 2n-8 ] D =IN T [ ( E ' + 0.5) x 2n ]

黒( R ' = G ' =B ' = Y ' = I = 0)D R ', D G ' , D B ', D Y ', D I

中間輝度( C' B = C' R = 0 )

DC' B , DC' R , DC T , DC P

256

2048

0

2048

量子化形式 R', G', B', Y', I

R ', G ', B ' or Y ', C ' B , C ' R , or I, C T , C P

コンポーネント 10,12ビット狭帯域 広帯域

D = IN T [ ( 219xE ' + 16) x 2n-8 ] D =IN T [ E ' x 2n ] *1

表 1 Rec. ITU-R BT.2100-0 でのデジタル信号形式

下限値 上限値 階調数 下限値 上限値 階調数 下限値 上限値 階調数 下限値 上限値 階調数

8 0 255 256 16 235 220 1 15 15 236 254 1910 0 1023 1024 64 940 877 4 63 60 941 1019 7912 0 4095 4096 256 3760 3505 16 255 240 3761 4079 319

下限値 上限値 階調数 下限値 上限値 階調数8 1 254 254 16 240 22510 4 1019 1016 64 960 89712 16 4079 4064 256 3840 3585

E'Cb=0.564(E'b-E'y)E'Cr=0.713(E'R-E'y)

0 2550-3 1020-1023

E'Cb=0.5389(E'b-E'y)E'Cr=0.6350(E'R-E'y)

E'y=0.2126E'r+0.7152E'g+0.0722E'b E'y=0.299E'r+0.587E'g+0114E'b

CGデータ範囲

ITU-R Rec. BT-709-5 1125/60/2:1 ITU-R Rec. BT-709-5 1250/50/2:1

映像信号伝送範囲(RG B ) スーパーブラック(RGB)ビット幅

YC'bC'R拡張映像信号範囲 同期信号帯域禁止範囲

スーパーホワイト(RGB)

ビット幅

ITU-R Rec. BT-2020

Y'=0.2627R'+0.6780G'+0.0593B'C'B=(B'-Y')/1.8814C'R=(R'-Y')/1.4746

0-15 4080-4095

下限 上限

表 2 CGデータ範囲とRec.709、BT-2020 での映像信号伝送範囲

SMPTE Study Group Report High-Dynamic-Range(HDR) Imaging Ecosysytem,Table 2

From / ToInput Format

HD100Rec709 UHD100Rec2020 HDR500Rec709 HDR1000Rec709 HDR500Rec2020 HDR1000Rec2020Output format

HD100Rec709 x matrix only SDR-->HDR SDR-->HDR SDR-->HDR SDR-->HDRUHD100Rec2020 chroma compress x SDR-->HDR SDR-->HDR SDR-->HDR SDR-->HDR

HDR500Rec709 tone map tone map &matrix

x fits matrix only fits

HDR1000Rec709 tone map tone map & matrix tone map x tone map matrix only

HDR500Rec2020 tone map &chroma compress

tone map chroma compress matrix &chroma compress

x fits

HDR1000Rec2020 tone map &chroma compress

tone map tone map &chroma compress

matrix &chroma compress

tone map x

表 3 HDRでの信号変換マトリックス

対応リファレンスモニターは、このソニー製OLED-4Kモニター以外にもドルビー、キヤノン、JVC等からも発表されている。このHDRリファレンスモニターでチェックされた映像はHDRマスターとして保存され、通常のSDR映像マスターを含めて色空間変換情報データベースに個々の作品毎に履歴が保存されている。配給先別にリアルタイムでのHDR単一レイヤーエンコード(HEVC-Main10)とスケ-ラブルSDR/HDRエンコード(SHVC)配給にも対応しており、オフラインでのHDR単一レイヤーエンコード(HEVC-Main10)と従来のAVCエンコードも行われる。 さて、HDR 対応の UHDTV ではデジタル信号形式が10ビットと12ビットとなるが、HDR対応広帯域と従来方式の

SDR対応狭帯域とでビット範囲が異なるので注意が必要となる。表1にBT.2100での信号形式を、表2に従来のBT.709と BT.2020 での信号形式を示している。従来のSDR信号を対象とする狭帯域の10、12ビットは当然のことながらBT.709及びBT.2020と同じであるが、HDR信号を対象とする広帯域では10ビットの信号範囲が0~1023(1024階調)となりSDI信号での伝送に必要な同期信号ビット領域は考慮されていない。また、12ビットの信号では0~4092(4093階調)でありサーバー内部でのトーンマッピングや色空間拡張演算のみを対象としていることがうかがえる。新しいSDI規格でも個々の映像シーケンスブロックはHD-SDI の基本構造をそのまま適用している場合が大半

数式 1 ITU-R BT.2100

PQ-EOTF 変換式F’

D = EOTF [ E’ ] = 10000Y

Y = ( ) max[(E’ 1/m2 - c1 ), 0]

c2 - c3E’ 1/m2

1/m1

m1 = 2610/16384 = 0.1593017578125m2 = 2523/4096 x 128 = 78.84375c1 = 3424/4096 = 0.8359375 = c3 - c2 + 1c2 = 2413/4096 x 32 = 18.8515625c3 = 2392/4096 x 32 = 18.6875

Hybrid Log Gamma(HLG)変換式

E’ = OETF[E] = { √E / 2 0 < E < 1a . ln(E - b) + c 1 < E

a = 0.17883277, b = 0.28466892, c = 0.55991073

Page 2: 64 256 0 ( ) max[( c ’ 1/m c 2 c 1/m 1 ’ 1/m2 , DC' , DC …Hybrid Log Gamma(HLG)変換式 E’ = OETF[E] = {√E / 2 0 < E < 1 a . ln(E - b) + c 1 < E a = 0.17883277, b = 0.28466892,

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デジタルシネマNow ! 115115

HDR対応UHDTV制作の課題 さて、UHDTV(4K/8K)映像の規格策定と併せてHDR(High-Dynamic-Range)映像の規格策定も国際電気通信連合(ITU)による規格(ITU-R BT.2100-0)が公開されたことで制作から放送に至るまでの枠組みができあがったことになる。今月号ではこのHDRとUHDTV関連での様々な技術的課題について紹介していく。 ITU-R BT.2100-0 は HDR 対 応 番 組の映像特性を定義して国際流通を円滑に

図 1 UHDTV時代の制作・編集・放送SMPTE Study Group Report High-Dynamic Range(HDR) Image Ecosystem,Fig1.

図 2 テクニカラーのHDR制作編集システムSMPTE Study Group Report High-Dynamic-Range(HDR) Imaging Ecosystem,A-1

-2

-1

0

1

2

3

4

-3 -2 -1 0 1 2 3

48Cd/m2 - P3D60100cd/m2 - Rec.7091000cd/m2 - P3D602000cd/m2 - Rec.20204000cd/m2 - Rec.2020

SMPTE Study Group Report High-Dynamic-Range(HDR) Imaging Ecosysytem,FigB-1

図3 ACESによる 48̃4000cd/m2Log トーンカーブ

進めるための規格であり、HD、4K/8K解像度の映像解像度、画郭縦横比16:9、画素縦横比1:1とフレームレートを120,120/1.001、100,60,60/1.001、50,30,30/1.001、25,24,24/1.001と定義している。 ブラウン管が生産中止となって何年もたつのに未だにブラウン管時代の名残である交流電源との位相干渉防止であるN/1001のフレームレートを定義しているのははなはだ疑問であるが、現

在の映像関連機器でのN/1001対応機器が大半であることを考えると如何ともしがたいところである。 色空間は ITU-R BT.2020で定義された広色域規格(Red:630nm[x:0.708、y:0.292]、Green:532nm[x:0.170、y:0.797]、Blue:467nm[x:0.131、y:0.046]、White[x:0.3127、y:0.3290])を採用している。光電変換特性(OETF)・電光変換特性(EOTF)そして異なる最大輝度定義へのHDR特性変換の為の光・光変換特性(OOTF)等が定義され従来のCIE-XYZ色応答関数で問題となっていた色覚特性との不一致問題に対しては人間の色覚応答関数であるLMSを使用して線形変換を行う ICTCP色空間も定義されている。この ICTCP色空間については次号以降の連載記事で紹介させていただき、今月号では主要な数式の紹介のみとさせていただく。 図1は、4K/8K映像をHDR対応で展開するために既存規格との整合性を確保しながら効率的に規格策定作業を進めるためにSMPTEが立ち上げた作業部会の報 告 書(SMPTE Study Group Report High-Dynamic Range(HDR) Image Ecosystem)で現在のデジタルコンテンツ制作・編集・流通の実態を把握するために作成されたワークフロー解説図である。

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 映像の入力系ではスタジオで直接撮影・制作された映像以外に衛星経由で受信されたもの、無線通信経由、そしてメモリーカードやVTRで納品された映像等が制作プロダクションやポストプロダクションで非同期処理され、一部はリアルタイムで処理されて、パッケージメディアやVTR、メモリーカードに一時記録され、衛星配信や無線での配信、IPネットワークやインターネットで最終視聴者に届くことになる。この現在のデジタルメディア制作配信プロセスの中で多様な映像フォーマットと異なるHDR定義の映像をどのようにハンドリングするのかが問題となってくる。このHDR関連でのメタデータ構造については米国の映像制作編集工程で主流となってい る IMF(Inter-operability Meta-Data Format)の拡張で対応することになるが、映像信号のビット幅と、ピーク輝度が異なり、さらに対象色空間もRe.709、DCI-P3、Rec.2020と多様になってくるために煩雑さの問題は避けて通れないところがある。  図 2はテクニカラーが採用しているHDR対応の制作編集システムである。ポストプロダクションでのHDRリファレンスモニターはソニー製X3000-OLED-4K モニターが使用されておりSMPTE-ST2086によるPQ-EOTF特性でキャリブレーションされている。現時点で、HDR

パラメーター符号化信号符号化形式

量子化形式 C'B, C'R, CT, CP

量子化帯域 10ビット 12ビット 10ビット 12ビット

ビデオ信号範囲 4~1019 16~4079 0~1023 0~4092

4092

4092

3760

3840

0

512

1023

1023

名目ピーク値( R ' = G ' = B ' = Y ' = I = 1 )D R ', D G ', D B ', D Y ', D I

名目ピーク値( C' B = C ' R = ±0.5 )

D C 'B , D C ' R , D C T , D C P

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512

940

960

D = IN T [ ( 224xE ' + 128) x 2n-8 ] D =IN T [ ( E ' + 0.5) x 2n ]

黒( R ' = G ' =B ' = Y ' = I = 0)D R ', D G ' , D B ', D Y ', D I

中間輝度( C' B = C' R = 0 )

DC' B , DC' R , DC T , DC P

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2048

0

2048

量子化形式 R', G', B', Y', I

R ', G ', B ' or Y ', C ' B , C ' R , or I, C T , C P

コンポーネント 10,12ビット狭帯域 広帯域

D = IN T [ ( 219xE ' + 16) x 2n-8 ] D =IN T [ E ' x 2n ] *1

表 1 Rec. ITU-R BT.2100-0 でのデジタル信号形式

下限値 上限値 階調数 下限値 上限値 階調数 下限値 上限値 階調数 下限値 上限値 階調数

8 0 255 256 16 235 220 1 15 15 236 254 1910 0 1023 1024 64 940 877 4 63 60 941 1019 7912 0 4095 4096 256 3760 3505 16 255 240 3761 4079 319

下限値 上限値 階調数 下限値 上限値 階調数8 1 254 254 16 240 22510 4 1019 1016 64 960 89712 16 4079 4064 256 3840 3585

E'Cb=0.564(E'b-E'y)E'Cr=0.713(E'R-E'y)

0 2550-3 1020-1023

E'Cb=0.5389(E'b-E'y)E'Cr=0.6350(E'R-E'y)

E'y=0.2126E'r+0.7152E'g+0.0722E'b E'y=0.299E'r+0.587E'g+0114E'b

CGデータ範囲

ITU-R Rec. BT-709-5 1125/60/2:1 ITU-R Rec. BT-709-5 1250/50/2:1

映像信号伝送範囲(RG B ) スーパーブラック(RGB)ビット幅

YC'bC'R拡張映像信号範囲 同期信号帯域禁止範囲

スーパーホワイト(RGB)

ビット幅

ITU-R Rec. BT-2020

Y'=0.2627R'+0.6780G'+0.0593B'C'B=(B'-Y')/1.8814C'R=(R'-Y')/1.4746

0-15 4080-4095

下限 上限

表 2 CGデータ範囲とRec.709、BT-2020 での映像信号伝送範囲

SMPTE Study Group Report High-Dynamic-Range(HDR) Imaging Ecosysytem,Table 2

From / ToInput Format

HD100Rec709 UHD100Rec2020 HDR500Rec709 HDR1000Rec709 HDR500Rec2020 HDR1000Rec2020Output format

HD100Rec709 x matrix only SDR-->HDR SDR-->HDR SDR-->HDR SDR-->HDRUHD100Rec2020 chroma compress x SDR-->HDR SDR-->HDR SDR-->HDR SDR-->HDR

HDR500Rec709 tone map tone map &matrix

x fits matrix only fits

HDR1000Rec709 tone map tone map & matrix tone map x tone map matrix only

HDR500Rec2020 tone map &chroma compress

tone map chroma compress matrix &chroma compress

x fits

HDR1000Rec2020 tone map &chroma compress

tone map tone map &chroma compress

matrix &chroma compress

tone map x

表 3 HDRでの信号変換マトリックス

対応リファレンスモニターは、このソニー製OLED-4Kモニター以外にもドルビー、キヤノン、JVC等からも発表されている。このHDRリファレンスモニターでチェックされた映像はHDRマスターとして保存され、通常のSDR映像マスターを含めて色空間変換情報データベースに個々の作品毎に履歴が保存されている。配給先別にリアルタイムでのHDR単一レイヤーエンコード(HEVC-Main10)とスケ-ラブルSDR/HDRエンコード(SHVC)配給にも対応しており、オフラインでのHDR単一レイヤーエンコード(HEVC-Main10)と従来のAVCエンコードも行われる。 さて、HDR 対応の UHDTV ではデジタル信号形式が10ビットと12ビットとなるが、HDR対応広帯域と従来方式の

SDR対応狭帯域とでビット範囲が異なるので注意が必要となる。表1にBT.2100での信号形式を、表2に従来のBT.709と BT.2020 での信号形式を示している。従来のSDR信号を対象とする狭帯域の10、12ビットは当然のことながらBT.709及びBT.2020と同じであるが、HDR信号を対象とする広帯域では10ビットの信号範囲が0~1023(1024階調)となりSDI信号での伝送に必要な同期信号ビット領域は考慮されていない。また、12ビットの信号では0~4092(4093階調)でありサーバー内部でのトーンマッピングや色空間拡張演算のみを対象としていることがうかがえる。新しいSDI規格でも個々の映像シーケンスブロックはHD-SDI の基本構造をそのまま適用している場合が大半

数式 1 ITU-R BT.2100

PQ-EOTF 変換式F’

D = EOTF [ E’ ] = 10000Y

Y = ( ) max[(E’ 1/m2 - c1 ), 0]

c2 - c3E’ 1/m2

1/m1

m1 = 2610/16384 = 0.1593017578125m2 = 2523/4096 x 128 = 78.84375c1 = 3424/4096 = 0.8359375 = c3 - c2 + 1c2 = 2413/4096 x 32 = 18.8515625c3 = 2392/4096 x 32 = 18.6875

Hybrid Log Gamma(HLG)変換式

E’ = OETF[E] = { √E / 2 0 < E < 1a . ln(E - b) + c 1 < E

a = 0.17883277, b = 0.28466892, c = 0.55991073

Page 3: 64 256 0 ( ) max[( c ’ 1/m c 2 c 1/m 1 ’ 1/m2 , DC' , DC …Hybrid Log Gamma(HLG)変換式 E’ = OETF[E] = {√E / 2 0 < E < 1 a . ln(E - b) + c 1 < E a = 0.17883277, b = 0.28466892,

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FDI・2016・10

であり、同期制御用アンシラリーエリアが守られている場合には問題無いが映像ブロ

 図3に示しているのはACESでピーク輝度を48~ 4,000 cd/m2に変更した場合のLogスケールでのトーンカーブであり、HDR変換時の入力映像のHDR最高輝度と出力HDR最高輝度間での線形変換にACESが適していることがわかる。元映像と変換先HDR映像のピーク輝度が異なる場合には、このトーンマッピング結果をHDRリファレンスモニターで必ずチェックする必要があることは当然で有り、ビット幅変換時に発生するマッハバンドのHDR版ともいえる現象が発生するとHDR変換のやり直しとなるために、HDRリファレンスモニターのピーク輝度設定確認を含めて現場作業の煩雑さ増加は否めない。  表 3 に 示 し て い る よ う に 輝 度(100、500、1000) と 撮 影 条 件(Rec.709、Rec.2020)が異なる入力映像に対して異なる輝度と出力条件の異なる映像間での変換には色空間の拡大・縮小、そして階調表現であるトーンカーブの再配置や、色空間関数のマトリックス演算などの組み合わせが関連してくるために入力映像と出力演算間での作業項目決定デシジョンテーブルを用いて自動化することが必須となってくる。特に、色空間変換では色信号ビット幅が異なる映像間での変換作業も発生するために、冒頭でも紹介したように人間の色覚で明らかに色差が感じられる誤差要因を含んでいるCIE-XYZ表色系や、Lab表色系、Yuv表色系に対して、人間の色覚視細胞の色応答特性であるLMS表色系を線形変換した ICTCP色空間へ変換してから色空間拡大を行う手法が提案されている。 表4は4K-TVとデジタルシネマを対象としたUHDTV1(第一世代)での映像信号諸元と伝送関連規格を示している。4K映像でフレームレート120/秒の場合には10bit4:2:2 で SMPTE ST-2082 を使用した場合には12G-SDI のデュアルリンクで合計24G/s の帯域となり、ITU-R BT.2077を使用した場合には40GbEの帯域となる。12bit4:4:4の映像信号では12G× 4本の信号伝送となり合計48G/s の帯域となり、BT.2077 の SDI形式では 100GbE の帯域となる。スポーツ中継などで4Kカメラによる俯瞰映

システム構成 水平画素数 垂直画素数 フレームレート(秒) 10bit/4:2:212bit4:2:212bit4:4:4

10bit4:4:4:4

2160p120/119.88 3840/4096 2160 120

2160p100 3840/4096 2160 100

2160p96/95.9 4096 2160 96

2160p60/59.94 3840/4096 2160 60

2160p50 3840/4096 2160 50

2160p48/47.98 4096 2160 48

2160p30/29.97 3840/4096 2160 30

2160p25 3840/4096 2160 25

2160p24/23.98 3840/4096 2160 24

引用元:2015 Annual Technical Conference&Exhibition, "UHD in a Hybrid SDI/IP World", Nigel Seth-Smith, Semtech

ST2082-10Single-Link6G(6G/s)

ITU-R BT.2077 Part3

10GbE

ST2082-10Single-Link12G(12G/s)

ITU-R BT.2077 Part3

25/40GbE

UHDTV1 & 4K D-シネマ制作 データ速度・規格

ST2082-11 Dual-Link12G(24G/s)

ITU-R BT.2077 Part3

40GbE

ST2082-12 Quad-Link12G(48Gb/s)

ITU-R BT.2077 Part3

100Gbe

ST2082-10Single-Link12G(12G/s)

ITU-R BT.2077 Part3

25/40GbE

ST2082-11Dual-Link12G(24Gb/s)

ITU-R BT.2077 Part3

40Gbe

表 4 UHDTV1 とデジタルシネマ制作での映像信号

カメラ/圧縮形式 解像度(W xH)フレームレート(fps)

データレート(Mbps)

録画容量(GB/Hr)

Panasonic GH4 4K 4096 x 2160 24 100 45Red 4K (6:1) 3840 x 2160 24 432 194XAVC 4K 4096 x 2160 30 300 135KineMINI 4K CinemaDNG 4096 x 2160 24 332 150AVC-Ultra 4K 4096 x 2160 24 400 180Canon 1DC MJPEG 4K 4096 x 2160 24 500 225ProRes 422 4K 3840 x 2160 60 489 220KineMAX 6K CinemaDNG 5760 x 3240 24 672 302ProRes 422 HQ 4K 3840 x 2160 60 734 330Sony F5/55 RAW 4K 4096 x 2160 25 1,000 450ProRes 4444 4K 3840 x 2160 60 1,100 495RED 6K WS (4:1) 6144 x 3160 24 1,160 522ProRes 4444 XQ 4K 3840 x 2160 30 1,650 742Sony F65 RAW SQ 4K 4096 x 2160 24 2,000 900BlackMagic 4K PL RAW 4000 x 2160 24 2,120 954RED 6K WS (4:1) with HDRx 6144 x 3160 24 2,320 1,044Canon RAW 4K (12-bit) 4096 x 2160 30 2,664 1,199Phantom Flex 4K RAW 4096 x 2160 938 102,400 46,080

引用元:Quantum White Paper "$K,HDR,HFR:Calculating the Storage Impact in Media Workflows", Tom Coughlin, Coughlin Associates

表6 各種4Kカメラ諸元と録画容量

システム構成 水平画素数 垂直画素数 フレームレート(秒) 10bit/4:2:212bit4:2:212bit4:4:4

10bit4:4:4:4

4320p120/119.88 7680 4320 120

4320p100 7680 4320 100

4320p60/59.94 7680 4320 60

4320p50 7680 4320 50

4320p30/29.97 7680 4320 30

4320p25 7680 4320 25

4320p24/23.98 7680 4320 24

UHDTV2制作 データ速度・規格

引用元:2015 Annual Technical Conference&Exhibition, "UHD in a Hybrid SDI/IP World", Nigel Seth-Smith, Semtech

ST-2083-12Quad-Link24G(96Gb/s)

ITU-R BT.2077 Part3400Gbe

ST2083-13Octal-link24G(192Gb/s)

ITU-R BT.2077Part3400GbE

ST-2083-11 Dual-Link24G(48Gb/s)

ITU-R BT.2077 Part3100Gbe

ST2083-12Quad-link24G (96Gb/s)

ITU-R BT.2077Part3400GbE

ST2083-10Single-link24G(24Gb/s)

ITU-R BT.2077Part340GbE

ST2083-11Dual-link24G(48Gb/s)

ITU-R BT.2077Part3100GbE

表 5 UHDTV2 の映像信号

ック内での有効信号ビット幅については確認が必要であろう。

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FDI・2016・10

像を任意に切り出して出力する場合には10bit4:4:4:4の信号形式採用も想定され12G×4系統を使用するか、将来的にサポート予定である24Gの登場を待つか悩ましいところである。 最も、従来の1.5G対応HD-SDI での同軸ケーブルを何本も結線するのでは無く多芯一体型光リンクケーブルの結線に置き換わってくれば現場での取り回しは格段に楽になってくる。このリアルタイム信号伝送にはSMPTEと ITU-RによるSDI形式(光リンク含む)が混在することになりプロダクション及びポストプロダクションそして放送局でのコンテンツサーバー周辺のシステム構築には注意が必要となってくる。 表 5 に示している 8K 映像を含むUHDTV2(第2世代)ではSMPTE ST-2083の24G-SDI を 8系統使用することになり、ITU-R の SDI 形式でも400GbEの帯域となってくる。2020年の東京オリンピックに向けて日本国内でも第二世代UHDTVの実況中継や映像制作が増えてくると予想されるが4系統や8系統での映像信号入出力となると現場での伝送トラブル発生頻度も確実に増加することに加えて、既存の1.5Gから3G、12G、そして24Gと格段に高周波伝送となることから光リンクが主流とならざるを得ない。 このUHDTVやHDR対応カメラも表6に示すように多様な記録形式とデータレートとなっており、テクニカラーのHDR対応制作編集システムでも映像受け入れ時点でのリファレンスモニターによる画像チェックの重要性がますます増してきている。解像度感の確認以前に、映画のデジタル撮影で採用されているASC-CDL(米国撮影監督協会によるカメラ撮影特性メタデータ)のような受け入れ側コンテンツサーバーで各種撮影条件の自動補正が行われる環境が構築されることがますます必要になってくる。ただし、ASC-CDL も ARRI は ASC-CDL規格策定当初から対応していたが、その他のカメラメーカーの対応は芳しくない。 さて、UHDTV第 1世代、第2世代での実用放送やHDR放送に民生機器がどの程度対応できるかについては表7を参照いただきたい。この表が作成された以降にUSB陣営が新規格を発表するなど民生用映

像機器では4K30P映像とHDR対応製品が次々に発表されてきており、今後のVR/AR市場の進展によっては4K120P対応の民生用映像 I/Fも出荷が始まりそうである。 業務用も含めた4Kテレビや4Kプロジェクター向けの映像インターフェースを整理したのが表8であり、8ビットカラーで4K対応のHDMI2.0 ケーブルは家電量販店ですでに販売されている。 4K10ビット映像となると帯域の問題からDisplayPort×4本での接続となっているが前述のようにVR/AR市場の成長次第であり、明年1月のCES2017で新規格が発表される可能性は高い。

 映画作品の家庭視聴となってくるとUHD対応ブルーレイの動向が注目されるが、表9に示しているように10ビット4:2:0色サンプリング映像でHDR対応となった数本の作品がリリースされるとの報道がり、出荷済みブルーレイプレイヤーに対してファームウェアアップデートのみで対応可能なのか、4K-HDR対応映画作品のリリース拡大が今後期待されるところである。

Ichiro Kawakamiデジタル・ルック・ラボ

規格 伝送帯域 色信号サンプリング

HDMI 1.4a 10.2Gbps 4:4:4HDMI 2.0 18.0Gbps 4:4:4HDIMI 2.0 18.0Gbps 4:2:0DiplayPort 1.1a 10.8Gbps 4:4:4DisplayPort 1.2 21.6Gbps 4:4:4HD-SDI 1.485Gbps 4:2:23G-SDI 2.97Gbps 4:2:2

引用元 :Extron Distributing 4K and UHD Signals in Professional AV Environments

表 7 各種映像信号 I/F の規格

接続形式 解像度 色サンプリング 色信号ビット幅 サポート機器

1 x 4096 x 2160 @60Hz

1 x 3840 x 2160 @ 60Hz

1 x 4096 x 2160 @60Hz

1 x 3840 x 2160 @ 60Hz

1 x 4096 x 2160 @30Hz

1 x 3840 x 2160 @ 30Hz

1 x 3840 x 2160 @60Hz

1 x 4096 x 2160 @60Hz

1 x HDMI 2.0 4:4:4 8-bit Color 民生用4Kテレビ等多数

1 x HDMI 2.0 4:2:0

放送用機器、業務用4KFPD業務用4Kプロジェクター

4:4:4 8-bit ColorApple MacbookPro,PC-グラフィック基板、

業務用4KFPD、民生用4KFPD

1 x DisplayPort1.2

現在は対応機器無し(02/03/14)

4:4:4 10-bit ColorPCグラフィック基板、業務用4KFPD汎用FPD、業務用4Kプロジェクター

10-bit Color

10-bit Color

4 x 3G-SDI4 x 1920 x 1080 @60Hz4 x 2048 x 2160 @60Hz 4:2:2 10-bit Color

REDRAY メディアプレイヤー業務用4KFPD

業務用4Kプロジェクター

1 x HDMI 1.4a1 x DiplayPort 1.1a

2 x DisplayPort 1.1a2 x HDMI 1.4a

2 x 1920 x 2160 @60Hz2 x 2048 x 2160 @60Hz 4:4:4 8-bit Color

PCグラフィック基板、業務用4KFPD業務用4Kプロジェクター

4 x 1920 x 1080 @60Hz4 x 2048 x 2160 @60Hz

4 x HDMI 1.4a4 x DVI4 x DisplayPort 1.1a

4:4:4

引用元 :Extron Distributing 4K and UHD Signals in Professional AV Environments

表 8 UHDTV対応映像インターフェースの現状

ビデオ圧縮形式 AVC

画像解像度 3840 X 2160 1920 x 1080 1920 x 1080

縦横比

ビット幅-SDR 8

色空間規格 ITU-R BT.709(SRD only)

色空間サンプリング

フレームレート 23.976p, 24p

ピーク時ビデオレート 40Mbps

ビット幅-HDR

HDR-EOTF

静的メタデータ

HEVC

16 x 9

10

ITU-R BT.2020, ITU-R BT.709(SDR)

4:2:0

23.976p, 24p, 25p, 50p, 59.94p, 60p

100Mbps

10

 N/ASMPTE ST2084

SMPTE ST2086, MaxFALL(HDR pnly), MaxCLL(HDR Only)

SMPTE Study Group Report High-Dynamic-Range(HDR) Imaging Ecosysytem,E.2.1

表 9 UHDブルーレイのHDR

Page 4: 64 256 0 ( ) max[( c ’ 1/m c 2 c 1/m 1 ’ 1/m2 , DC' , DC …Hybrid Log Gamma(HLG)変換式 E’ = OETF[E] = {√E / 2 0 < E < 1 a . ln(E - b) + c 1 < E a = 0.17883277, b = 0.28466892,

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FDI・2016・10

であり、同期制御用アンシラリーエリアが守られている場合には問題無いが映像ブロ

 図3に示しているのはACESでピーク輝度を48~ 4,000 cd/m2に変更した場合のLogスケールでのトーンカーブであり、HDR変換時の入力映像のHDR最高輝度と出力HDR最高輝度間での線形変換にACESが適していることがわかる。元映像と変換先HDR映像のピーク輝度が異なる場合には、このトーンマッピング結果をHDRリファレンスモニターで必ずチェックする必要があることは当然で有り、ビット幅変換時に発生するマッハバンドのHDR版ともいえる現象が発生するとHDR変換のやり直しとなるために、HDRリファレンスモニターのピーク輝度設定確認を含めて現場作業の煩雑さ増加は否めない。  表 3 に 示 し て い る よ う に 輝 度(100、500、1000) と 撮 影 条 件(Rec.709、Rec.2020)が異なる入力映像に対して異なる輝度と出力条件の異なる映像間での変換には色空間の拡大・縮小、そして階調表現であるトーンカーブの再配置や、色空間関数のマトリックス演算などの組み合わせが関連してくるために入力映像と出力演算間での作業項目決定デシジョンテーブルを用いて自動化することが必須となってくる。特に、色空間変換では色信号ビット幅が異なる映像間での変換作業も発生するために、冒頭でも紹介したように人間の色覚で明らかに色差が感じられる誤差要因を含んでいるCIE-XYZ表色系や、Lab表色系、Yuv表色系に対して、人間の色覚視細胞の色応答特性であるLMS表色系を線形変換した ICTCP色空間へ変換してから色空間拡大を行う手法が提案されている。 表4は4K-TVとデジタルシネマを対象としたUHDTV1(第一世代)での映像信号諸元と伝送関連規格を示している。4K映像でフレームレート120/秒の場合には10bit4:2:2 で SMPTE ST-2082 を使用した場合には12G-SDI のデュアルリンクで合計24G/s の帯域となり、ITU-R BT.2077を使用した場合には40GbEの帯域となる。12bit4:4:4の映像信号では12G× 4本の信号伝送となり合計48G/s の帯域となり、BT.2077 の SDI形式では 100GbE の帯域となる。スポーツ中継などで4Kカメラによる俯瞰映

システム構成 水平画素数 垂直画素数 フレームレート(秒) 10bit/4:2:212bit4:2:212bit4:4:4

10bit4:4:4:4

2160p120/119.88 3840/4096 2160 120

2160p100 3840/4096 2160 100

2160p96/95.9 4096 2160 96

2160p60/59.94 3840/4096 2160 60

2160p50 3840/4096 2160 50

2160p48/47.98 4096 2160 48

2160p30/29.97 3840/4096 2160 30

2160p25 3840/4096 2160 25

2160p24/23.98 3840/4096 2160 24

引用元:2015 Annual Technical Conference&Exhibition, "UHD in a Hybrid SDI/IP World", Nigel Seth-Smith, Semtech

ST2082-10Single-Link6G(6G/s)

ITU-R BT.2077 Part3

10GbE

ST2082-10Single-Link12G(12G/s)

ITU-R BT.2077 Part3

25/40GbE

UHDTV1 & 4K D-シネマ制作 データ速度・規格

ST2082-11 Dual-Link12G(24G/s)

ITU-R BT.2077 Part3

40GbE

ST2082-12 Quad-Link12G(48Gb/s)

ITU-R BT.2077 Part3

100Gbe

ST2082-10Single-Link12G(12G/s)

ITU-R BT.2077 Part3

25/40GbE

ST2082-11Dual-Link12G(24Gb/s)

ITU-R BT.2077 Part3

40Gbe

表 4 UHDTV1 とデジタルシネマ制作での映像信号

カメラ/圧縮形式 解像度(W xH)フレームレート(fps)

データレート(Mbps)

録画容量(GB/Hr)

Panasonic GH4 4K 4096 x 2160 24 100 45Red 4K (6:1) 3840 x 2160 24 432 194XAVC 4K 4096 x 2160 30 300 135KineMINI 4K CinemaDNG 4096 x 2160 24 332 150AVC-Ultra 4K 4096 x 2160 24 400 180Canon 1DC MJPEG 4K 4096 x 2160 24 500 225ProRes 422 4K 3840 x 2160 60 489 220KineMAX 6K CinemaDNG 5760 x 3240 24 672 302ProRes 422 HQ 4K 3840 x 2160 60 734 330Sony F5/55 RAW 4K 4096 x 2160 25 1,000 450ProRes 4444 4K 3840 x 2160 60 1,100 495RED 6K WS (4:1) 6144 x 3160 24 1,160 522ProRes 4444 XQ 4K 3840 x 2160 30 1,650 742Sony F65 RAW SQ 4K 4096 x 2160 24 2,000 900BlackMagic 4K PL RAW 4000 x 2160 24 2,120 954RED 6K WS (4:1) with HDRx 6144 x 3160 24 2,320 1,044Canon RAW 4K (12-bit) 4096 x 2160 30 2,664 1,199Phantom Flex 4K RAW 4096 x 2160 938 102,400 46,080

引用元:Quantum White Paper "$K,HDR,HFR:Calculating the Storage Impact in Media Workflows", Tom Coughlin, Coughlin Associates

表6 各種4Kカメラ諸元と録画容量

システム構成 水平画素数 垂直画素数 フレームレート(秒) 10bit/4:2:212bit4:2:212bit4:4:4

10bit4:4:4:4

4320p120/119.88 7680 4320 120

4320p100 7680 4320 100

4320p60/59.94 7680 4320 60

4320p50 7680 4320 50

4320p30/29.97 7680 4320 30

4320p25 7680 4320 25

4320p24/23.98 7680 4320 24

UHDTV2制作 データ速度・規格

引用元:2015 Annual Technical Conference&Exhibition, "UHD in a Hybrid SDI/IP World", Nigel Seth-Smith, Semtech

ST-2083-12Quad-Link24G(96Gb/s)

ITU-R BT.2077 Part3400Gbe

ST2083-13Octal-link24G(192Gb/s)

ITU-R BT.2077Part3400GbE

ST-2083-11 Dual-Link24G(48Gb/s)

ITU-R BT.2077 Part3100Gbe

ST2083-12Quad-link24G (96Gb/s)

ITU-R BT.2077Part3400GbE

ST2083-10Single-link24G(24Gb/s)

ITU-R BT.2077Part340GbE

ST2083-11Dual-link24G(48Gb/s)

ITU-R BT.2077Part3100GbE

表 5 UHDTV2 の映像信号

ック内での有効信号ビット幅については確認が必要であろう。

35

FDI・2016・10

像を任意に切り出して出力する場合には10bit4:4:4:4の信号形式採用も想定され12G×4系統を使用するか、将来的にサポート予定である24Gの登場を待つか悩ましいところである。 最も、従来の1.5G対応HD-SDI での同軸ケーブルを何本も結線するのでは無く多芯一体型光リンクケーブルの結線に置き換わってくれば現場での取り回しは格段に楽になってくる。このリアルタイム信号伝送にはSMPTEと ITU-RによるSDI形式(光リンク含む)が混在することになりプロダクション及びポストプロダクションそして放送局でのコンテンツサーバー周辺のシステム構築には注意が必要となってくる。 表 5 に示している 8K 映像を含むUHDTV2(第2世代)ではSMPTE ST-2083の24G-SDI を 8系統使用することになり、ITU-R の SDI 形式でも400GbEの帯域となってくる。2020年の東京オリンピックに向けて日本国内でも第二世代UHDTVの実況中継や映像制作が増えてくると予想されるが4系統や8系統での映像信号入出力となると現場での伝送トラブル発生頻度も確実に増加することに加えて、既存の1.5Gから3G、12G、そして24Gと格段に高周波伝送となることから光リンクが主流とならざるを得ない。 このUHDTVやHDR対応カメラも表6に示すように多様な記録形式とデータレートとなっており、テクニカラーのHDR対応制作編集システムでも映像受け入れ時点でのリファレンスモニターによる画像チェックの重要性がますます増してきている。解像度感の確認以前に、映画のデジタル撮影で採用されているASC-CDL(米国撮影監督協会によるカメラ撮影特性メタデータ)のような受け入れ側コンテンツサーバーで各種撮影条件の自動補正が行われる環境が構築されることがますます必要になってくる。ただし、ASC-CDL も ARRI は ASC-CDL規格策定当初から対応していたが、その他のカメラメーカーの対応は芳しくない。 さて、UHDTV第 1世代、第2世代での実用放送やHDR放送に民生機器がどの程度対応できるかについては表7を参照いただきたい。この表が作成された以降にUSB陣営が新規格を発表するなど民生用映

像機器では4K30P映像とHDR対応製品が次々に発表されてきており、今後のVR/AR市場の進展によっては4K120P対応の民生用映像 I/Fも出荷が始まりそうである。 業務用も含めた4Kテレビや4Kプロジェクター向けの映像インターフェースを整理したのが表8であり、8ビットカラーで4K対応のHDMI2.0 ケーブルは家電量販店ですでに販売されている。 4K10ビット映像となると帯域の問題からDisplayPort×4本での接続となっているが前述のようにVR/AR市場の成長次第であり、明年1月のCES2017で新規格が発表される可能性は高い。

 映画作品の家庭視聴となってくるとUHD対応ブルーレイの動向が注目されるが、表9に示しているように10ビット4:2:0色サンプリング映像でHDR対応となった数本の作品がリリースされるとの報道がり、出荷済みブルーレイプレイヤーに対してファームウェアアップデートのみで対応可能なのか、4K-HDR対応映画作品のリリース拡大が今後期待されるところである。

Ichiro Kawakamiデジタル・ルック・ラボ

規格 伝送帯域 色信号サンプリング

HDMI 1.4a 10.2Gbps 4:4:4HDMI 2.0 18.0Gbps 4:4:4HDIMI 2.0 18.0Gbps 4:2:0DiplayPort 1.1a 10.8Gbps 4:4:4DisplayPort 1.2 21.6Gbps 4:4:4HD-SDI 1.485Gbps 4:2:23G-SDI 2.97Gbps 4:2:2

引用元 :Extron Distributing 4K and UHD Signals in Professional AV Environments

表 7 各種映像信号 I/F の規格

接続形式 解像度 色サンプリング 色信号ビット幅 サポート機器

1 x 4096 x 2160 @60Hz

1 x 3840 x 2160 @ 60Hz

1 x 4096 x 2160 @60Hz

1 x 3840 x 2160 @ 60Hz

1 x 4096 x 2160 @30Hz

1 x 3840 x 2160 @ 30Hz

1 x 3840 x 2160 @60Hz

1 x 4096 x 2160 @60Hz

1 x HDMI 2.0 4:4:4 8-bit Color 民生用4Kテレビ等多数

1 x HDMI 2.0 4:2:0

放送用機器、業務用4KFPD業務用4Kプロジェクター

4:4:4 8-bit ColorApple MacbookPro,PC-グラフィック基板、

業務用4KFPD、民生用4KFPD

1 x DisplayPort1.2

現在は対応機器無し(02/03/14)

4:4:4 10-bit ColorPCグラフィック基板、業務用4KFPD汎用FPD、業務用4Kプロジェクター

10-bit Color

10-bit Color

4 x 3G-SDI4 x 1920 x 1080 @60Hz4 x 2048 x 2160 @60Hz 4:2:2 10-bit Color

REDRAY メディアプレイヤー業務用4KFPD

業務用4Kプロジェクター

1 x HDMI 1.4a1 x DiplayPort 1.1a

2 x DisplayPort 1.1a2 x HDMI 1.4a

2 x 1920 x 2160 @60Hz2 x 2048 x 2160 @60Hz 4:4:4 8-bit Color

PCグラフィック基板、業務用4KFPD業務用4Kプロジェクター

4 x 1920 x 1080 @60Hz4 x 2048 x 2160 @60Hz

4 x HDMI 1.4a4 x DVI4 x DisplayPort 1.1a

4:4:4

引用元 :Extron Distributing 4K and UHD Signals in Professional AV Environments

表 8 UHDTV対応映像インターフェースの現状

ビデオ圧縮形式 AVC

画像解像度 3840 X 2160 1920 x 1080 1920 x 1080

縦横比

ビット幅-SDR 8

色空間規格 ITU-R BT.709(SRD only)

色空間サンプリング

フレームレート 23.976p, 24p

ピーク時ビデオレート 40Mbps

ビット幅-HDR

HDR-EOTF

静的メタデータ

HEVC

16 x 9

10

ITU-R BT.2020, ITU-R BT.709(SDR)

4:2:0

23.976p, 24p, 25p, 50p, 59.94p, 60p

100Mbps

10

 N/ASMPTE ST2084

SMPTE ST2086, MaxFALL(HDR pnly), MaxCLL(HDR Only)

SMPTE Study Group Report High-Dynamic-Range(HDR) Imaging Ecosysytem,E.2.1

表 9 UHDブルーレイのHDR