介護の雇用管理改善CHECK & DO 25 雇用管理改善チェックリスト · 2020-03-09 ·...

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雇用管理改善チェックリスト

介護の雇用管理改善 CHECK & DO 25雇用管理改善チェックリスト

〈 自法人・事業所の雇用管理状況をチェックしてみましょう ! 〉

A 情報共有・コミュニケーション

あてはまる

どちらかというと

あてはまる

どちらかというと

あてはまらない

あてはまらない

1 理念やビジョン、方針を職員に対し周知・徹底している 4 3 2 12 年度事業計画と目標を職員に対し明確に示している 4 3 2 13 記録・報告、ミーティング等で、職員間での情報共有を徹底している 4 3 2 14 自法人・事業所を取り巻く環境や今後の課題について話し合う機会を設けている 4 3 2 15 現場からのアイデアや意見・提案を吸い上げる機会を設けている 4 3 2 1

B 労務管理・職場環境6 仕事と育児などの生活との調和等、個人の事情に配慮した支援を行っている 4 3 2 17 業務内容や量に対応できる適切な人員を確保している 4 3 2 18 勤務時間や仕事の内容で過重な負担を強いないようにしている 4 3 2 19 有給休暇の取得推進や福利厚生面の整備など、労働環境の整備・改善を行っている 4 3 2 110 職員一人ひとりの心身の健康に配慮している 4 3 2 1

C 評価・報酬11 仕事の役割や責任の範囲、必要な能力等を明確に示している 4 3 2 112 一人ひとりの果たすべき役割や目標について話し合いを行っている 4 3 2 113 仕事ぶりや能力について評価し、面談によるフィードバックを行っている 4 3 2 1

14 仕事ぶりや能力について評価し、何らかの処遇改善(賞与、一時金、報奨金、賃金改定等)につなげている 4 3 2 1

15 賃金の決め方・上げ方をルール化し、明確に示している 4 3 2 1

D 人材育成4

16 職員のスキルアップのための研修方針があり研修を行っている 4 3 2 117 外部の講習会や資格取得等のために支援を行い、職員のスキルアップを行っている 4 3 2 118 新人に対する教育(OJT や新人研修等)を体系的に行っている 4 3 2 119 管理職層やリーダー層育成のための教育に力を入れている 4 3 2 120 将来のキャリアについて、支援(相談、研修等)やアドバイスを行っている 4 3 2 1

E 法人・事業所の風土4

21 挨拶・声かけ、認める・ほめるといった組織風土がある 4 3 2 122 職員が、自由にアイデアや意見を言える組織風土がある 4 3 2 123 新しいアイデアを取り入れたり、難しい課題に取り組んだりする組織風土がある 4 3 2 124 質の高いケアへの意識や向上心を持つ職員を育てる組織風土がある 4 3 2 125 自主性を尊重し、仕事を任せ、それを支援する組織風土がある 4 3 2 1

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はじめに

我が国では、急速に少子高齢化が進行しており、介護人材は質・量の両面において一層の充実が求められている状況にあります。しかしながら、当センターが令和元年8月に公表した介護労働実態調査※1の結果では、人手不足を感じている事業所が全体の67.2% に上り、5年連続して不足感が増加する結果となりました。このような状況下、厚生労働省は、2040年を展望し、誰もがより長く元気に活躍できる社会 の実現を目指す※2としています。また、その中で現役世代の人口の急減という新たな局面に対応するため、以下3つの政策課題をあげています。①多様な就労・社会参加、②健康寿命の延伸、③医療・福祉サービス改革特に「多様な就労・社会参加」、「医療福祉サービス改革」は介護事業所が国と一体となって取組みを進めるべき課題であるといえるでしょう。

この度、青森労働局から委託を受け実施した「介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業」では、相互の経験や知識を共有し効果的に雇用管理改善に取組むことを目的とした「地域ネットワーク・コミュニティの構築」を行い、介護人材の確保のため地域ぐるみで雇用管理改善に取組めるよう支援をしました。本書には、地域ネットワーク・コミュニティでの取組みの結果として雇用管理改善事例等を掲載しております。雇用管理改善の推進による「魅力ある職場づくり」と介護人材の確保へのヒントとしていただければ幸いです。

なお、介護労働安定センターは「介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(平成4年法律第63号)に基づく厚生労働大臣の指定法人として、介護労働に対するさまざまな支援事業を実施しております。本書に係る問合せの他、介護労働者の福祉の増進と魅力ある職場づくりのために様々な支援メニューを用意しお待ちしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

公益財団法人 介護労働安定センター

青森支部

※1 介護労働安定センター 平成30年度介護労働実態調査『事業所における介護労働実態調査結果報告書』※2 厚生労働省「第2回 2040年を展望した社会保障・働き方改革本部/資料」

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はじめに

介護分野における人材確保のための

雇用管理改善推進事業

目 次

はじめに..................................................................................................................................................................................................... 01

①介護労働の現状.................................................................................................................................................................... 03

②介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業 ......................................... 06

地域ネットワーク・コミュニティの取組み ..................................................................................................07

コミュニティ参加事業所の取組み ......................................................................................................................11

雇用管理改善企画委員会 委員 .........................................................................................................................17

(巻末資料)介護の雇用管理改善CHECK&DO 25 雇用管理改善チェックリスト............................18

02

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1

介護労働の現状

(1)介護人材の不足

 我が国では、高齢化が進み、介護サービスに対する需要が増加する中で、多くの介護事業所に

おいて介護労働力の確保が喫緊の課題となっています。

 当センターが介護事業所を対象に実施した介護労働実態調査※1では、平成30年度において訪問介

護員、介護職員の1年間の離職率は15.4%であり、離職率は経年で比較すると、減少傾向にあります。

しかしながら、介護サービスに従事する従業員の不足感については、人手不足を感じている介護事業

所が図表1のとおり全体の67.2%に上っており、5年連続して不足感が増加しています。また、介

護労働者を対象に実施した調査※2においても、労働条件等の悩み、不安、不満では「人手が足りない」

が54.2%と最も高く、介護現場において人材不足が大きな問題になっていることがわかります。

 不足している理由については、「採用が困難である」が89.1%と最も高く、採用が困難である

原因については、図表2のとおり「同業他社との人材獲得競争が厳しい」が56.2%と最も高く、

不足感(「大いに不足」+「不足」+「やや不足」)80.0

60.0

40.0

20.0

(%)

50.3 53.157.4 56.5 59.3 61.3 62.6

66.6 67.2

22年度 23年度 24年度 25年度 26年度 27年度 28年度 29年度 30年度

【図表1】

同業他社との人材獲得競争が厳しい

他産業に比べて、労働要件等が良くない

景気が良いため、介護業界へ人材が集まらない

その他

56.2

54.9

46.1

17.4

5.8

0.3

わからない

無回答

【図表2】

03

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介護労働の現状

次いで「他産業に比べて、労働要件等が良くない」が54.9%、「景気が良いため、介護業界へ人

材が集まらない」が46.1%となっています。

(2)介護人材の確保

 現役世代(担い手)が減少していく社会において、より多くの人材を介護労働に引き付けるた

めには、同業他社だけでなく、異業種との人材獲得競争を勝ち抜く必要があり、介護の仕事の魅

力を発信して、介護労働のイメージを変えていくことが重要になるといえます。

 一方で、厚生労働省は※3、2040年を展望し、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現を

目指すとしており、政策課題として「多様な就労・社会参加」、「健康寿命の延伸」、「医療・福祉サー

ビス改革」の3つをあげました。

 この中で「多様な就労・社会参加」、「医療・福祉サービス改革」については、介護事業所が国

と一体となって取組む課題であるといえます。

ア 多様な就労・社会参加に向けた取組

 高齢化の一層の進展、現役世代の急減に対応し、我が国の成長力を確保するためにも、より

多くの人が意欲や能力に応じた社会の担い手としてより長く活躍できるよう、高齢者をはじめ

とした多様な就労・社会参加を促す取組を推進するとしています。雇用・年金制度改革等につ

いては、70歳までの就業機会の確保、就職氷河期世代の方々の活躍の場を更に広げるための

支援、中途採用の拡大、地域共生・地域の支え合い等が政策課題として挙げられています。

 なお、当センターが介護事業所を対象に実施した介護労働実態調査では、図表3のとおり、

65歳以上の介護労働者の割合は12.2%で全体の1割を超え、60歳以上65歳未満と合わせ

ると21.6%と全体の2割を超えることがわかりました。60歳以上の介護労働者の推移は年々

【図表3】介護労働者の年齢割合20歳未満

20歳以上25歳未満

25歳以上30歳未満

30歳以上35歳未満

35歳以上40歳未満

40歳以上45歳未満

45歳以上50歳未満

50歳以上55歳未満

55歳以上60歳未満

60歳以上65歳未満

65歳以上

20歳未満,0.4 20歳未満

20歳以上25歳未満

25歳以上30歳未満

30歳以上35歳未満

35歳以上40歳未満

40歳以上45歳未満

45歳以上50歳未満

50歳以上55歳未満

55歳以上60歳未満

60歳以上65歳未満

65歳以上

20歳以上25歳未満,3.425歳以上30歳未満,5.8

30歳以上35歳未満,8.4

35歳以上40歳未満,10.3

40歳以上45歳未満,12.840歳以上45歳未満,12.8

45歳以上50歳未満,12.3

50歳以上55歳未満,11.5

55歳以上60歳未満,10.7

60歳以上65歳未満,9.4

60歳以上65歳未満,9.4

65歳以上,12.2

04

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増加傾向にあり(図表4)、このシニア層が活躍できる環境整備や仕組み作り・制度導入が求

められます。

【図表4】60歳以上の介護労働者の推移

10

15

20

25

H26 H27 H28 H29 H30

17.4

18.919.9

20.921.6

イ 医療・福祉サービス改革に向けた取組

 「労働力制約が強まる中でのマンパワーの確保」と「医療・介護・福祉の専門人材による機

能の最大限発揮」に向けて、テクノロジーも活用しつつ、生産性向上を図るため、「効率的な

業務分担の推進」、「テクノロジーの徹底活用」、「組織マネジメント改革の推進」の分野を設

定し、重点的に取組みを推進するとしています。具体的には、ロボット・AI・ICT等の実用化

推進、データヘルス改革、タスクシフティングを担う人材の育成、シニア人材の活用推進等

が挙げられます。

※1 �介護労働安定センター 平成30年度介護労働実態調査『事業所における介護労働実態調査結果報告書』

※2 �介護労働安定センター 平成30年度介護労働実態調査『介護労働者の就業実態と就業意識調査結果報告書』

※3 �厚生労働省「第2回 2040年を展望した社会保障・働き方改革本部/資料」

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介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業

 青森労働局委託事業「介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業」では、介護

事業所の雇用管理改善に関する諸課題に対応すべく、雇用管理改善に積極的に取り組む事業所を

中心とした「地域ネットワーク・コミュニティ」を構築し、相談支援を実施しました。

 「地域ネットワーク・コミュニティ」とは、事業所の地理的な地域性を踏まえた連携、同種の介

護サービスを提供する事業所の連携及び包括的に介護サービスを提供する事業所の連携等により

構築するもので、これら連携した介護事業所が集まって行う勉強会などをとおして、相互の経験

や知識を共有し効果的に雇用管理改善に取り組むことを目的としました。また、事業所によって

規模、雇用状況、経営状況、更に考え方まで違うため、必要に応じて社会保険労務士や中小企業

診断士等の雇用管理改善の専門家と連携しながら、個々の事業所の状況に合わせたサポートを実

施しています。

 地域ネットワーク・コミュニティを構築し、相互のノウハウを共有することで、1つの事業所

では難しい雇用管理改善を行うことができ、また、必要に応じて専門家の力を借りることで、よ

り効果的な雇用管理改善を行うことができます。

 取り組み事例紹介にあたっては、地域ネットワーク・コミュニティを構築した効果や専門家か

らのサポート内容等も含め掲載しているので参考にしてください。

2

介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業

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地域ネットワーク・コミュニティの取組み

①事業場における治療と仕事の両立支援について②介護職員処遇改善加算の取得について③職場定着支援助成金の活用について

● 地域ネットワーク・コミュニティ参加事業所

● 自己診断チェックリストから見る雇用管理改善状況

● コミュニティで取組みを行った主な内容

07

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地域ネットワーク・コミュニティの取組み

 「地域ネットワーク・コミュニティ」(以下「コミュニティ」と言います。)とは、複数の介護事

業者が集い、「魅力ある職場づくり」のために勉強会などを行って、相互の経験や知識を共有する

ことで、自事業所の課題を抽出したり、解決のための方策を探るなど、効果的に雇用管理改善に

取組むものです。

 青森県では、20事業所が6〜7事業所に分かれ、3つのコミュニティを構築して、各々のコミュ

ニティ毎に共同で雇用管理改善への取組みを行うとともに、個別で各事業所の状況に沿った雇用

管理制度の導入等に取組みました。

[各コミュニティの構成事業所概要]

区分 事業所番号 提供サービス 職員数(うち正職員数)

A

東青地区

事業所�A-① 居宅介護支援 13人(11人)

事業所�A-② 介護老人福祉施設 10人(7人)

事業所�A-③ 通所介護 9人(2人)

事業所�A-④ 介護老人福祉施設 24人(9人)

事業所�A-⑤ 介護老人福祉施設 61人(45人)

事業所�A-⑥ 介護老人福祉施設 20人(16人)

B

西北五

中南地区

事業所�B-① 介護老人福祉施設 9人(8人)

事業所�B-② 介護老人福祉施設 25人(22人)

事業所�B-③ 訪問介護 21人(10人)

事業所�B-④ 訪問介護 25人(15人)

事業所�B-⑤ 介護老人福祉施設 51人(17人)

事業所�B-⑥ 介護老人福祉施設 33人(21人)

事業所B-⑦ 介護老人福祉施設 23人(14人)

C

三八

上十三

下北地区

事業所�C-① 通所介護 5人(5人)

事業所�C-② 介護老人福祉施設 19人(17人)

事業所�C-③ 通所介護 9人(5人)

事業所�C-④ 介護老人福祉施設 36人(27人)

事業所�C-⑤ 介護老人福祉施設 22人(22人)

事業所�C-⑥ 介護老人福祉施設 10人(10人)

事業所�C-⑦ 介護老人福祉施設 56人(46人)

地域ネットワーク・コミュニティ参加事業所

08

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地域ネットワーク・コミュニティの模様

自己診断チェックリストから見る雇用管理改善状況

 コミュニティにご参加頂いた事業所における雇用管理改善状況については、「介護の雇用管理改

善CHECK�&�DO�25」における「雇用管理改善チェックリスト」により、「A�情報共有・コ�ミュ

ニケーション」、「B�労務管理・職場環境」、「C�評価・報酬」、「D�人材育成」及び「E�法人・事

業所の風土」の5領域における自己診断が、次のレーダーチャートが示す結果となっております。

【コミュニティ全体の診断結果】

 このレーダーチャートは、コミュニティ参加事業所の各領域の平均値です。どの領域も同程度

のポイントを示しておりますが、「法人・事業所の風土」が若干高くなっており、職員の自主性・

新しいアイデァの取り込み・質の高いケアの意識向上心を持つ職員を育てる組織風土があること

を示しております。

09

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地域ネットワーク・コミュニティの取組み

コミュニティで取組みを行った主な内容

 3つのコミュニティでそれぞれテーマを決めて、複数の事業者同士で意見交換行い、雇用管理

改善に取組みましたが、その中の主な取組内容をご紹介します。

②介護職員処遇改善加算の取得について 3つのコミュニティの20事業所のうち、旧加算Ⅰを取得していたのが16事業所で、4事業

所が取得していませんでした。平成29年度から新たな区分が創設され新加算Ⅰとなり、月額平

均1万円相当の処遇改善が実施されましたが、新加算Ⅰを取得する意義と取得するための課題

等や取得するためにどうすべきかについて、コミュニティで意見交換を行いました。

③職場定着支援助成金の活用について 上記①の新加算Ⅰの取得のためには旧加算Ⅰの要件に加

え、「経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み、または

一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設ける

こと(就業規則等の明確な書面での整備・全ての介護職員へ

周知を含む)」というキャリアパス要件を設け、これらを全

て満たすこととなっておりますが、これは、職場定着支援助

成金の要件も似ていることから、職場定着支援助成金の活用

方法について、専門家から説明を受けました。

①事業場における治療と仕事の両立支援について

 疾病を抱える労働者が増える傾向の中、事業場において疾病を抱えた労働者

の治療と仕事の両立支援への対応が必要

となる場面が増えることが予想される。

 3つのコミュニティにおいて、厚生労

働省の「事業場における治療と仕事の両

立支援のためのガイドライン」を使用し

青森産業保健総合支援センターより講師

を招き意見交換を実施した。

10

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 地域ネットワーク・コミュニティに参加した事業所が、それぞれの事業所の状況や課題に応じて、

雇用管理改善への取組みを行った中から次の事例①〜③をご紹介します。

事例①

  ▪ 事業所概要

地域:青森市

介護サービスの種類:居宅介護支援

事業開始年月:平成17年4月

従業員数:13人(うち正社員数:11人)

併設サービス:なし

  ▪�取組に至る背景

 職員全員が介護支援専門員で、介護を必

要とする方が介護保険サービスを受けられ

るようにケアプランの作成やサービス事業

者との調整を行っている。また、サポート

する立場から仕事の質を上げなければなら

ないとの思いで必死に介護現場を支えてき

ている。制度としての休暇制度は、誕生日

休暇・子供イベント休暇・リフレッシュ休

暇等もあり、また、働き方改革の推進も併せ、積極的な休暇取得を実現し、業務とプライベー

トの充実を図ってほしいとの経営者の思いから、そのためにも業務効率を上げてほしいと

考えている。

コミュニティ参加事業所の取組み

業務の生産性向上を図り、   有給休暇を積極的に取得!

雇用管理 自己診断結果

11

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コミュニティ参加事業所の取組み

  ▪�取組内容 正規職員及び非正規職員等の雇用形態と管理者、リーダー及び一般職員の業務自己分析を行い、無駄・無理・むらがないか、改善できる物はないかを確認、全体ミィーテイングとしてグループワークを行い他職員の工夫点などを共有し、業務生産性向上から休暇取得率向上に繋げていくこととした。

  ▪�取組のポイント 業務の生産性向上策テーマ6項目についてディスカッションし、具体的行動(最初の一歩)や「振り返り」を行い全員で年間休暇取得目標に向け行動することとした。

▪�取組後の感想 「業務の生産性向上を図り、有給休暇の取得を推進し、業務及びプライベートも充実させ心身健康で過ごそう」を全員で考え行動したことは、事業を運営するうえで大きな効果が出てきているこ

とを実感している。当初は目標も大きく『年間有給休暇40日取得』のための生産性向上であったが、①事前の段取り�②スケジュール管理�③休みを取れるよう意識�④報・連・相�⑤自身のコンディション�⑥PC/ソフトを使いこなす について意見交換したが、どの項目も重要であり、一つでもかければ目標は達成できないと思います。また、仕事の生産性や効率を高めることで、それが休暇取得の推進につながり、それぞれのプライベートも充実し、職員の定着にも良い影響を及ぼすものと考えます。

~業務の生産性向上策~ テーマ

①事前の段取りが大事②スケジュール管理③仕事を早く終らせ休暇取得意識④報・連・相を徹底⑤自身のコンディション管理⑥PC・ソフトを使いこなす

グループディスカッションの模様

〔ディスカッションのまとめ〕氏名:

NO テーマ 内         容 具体的行動(最初の一歩) 結果(振り返りや反省)

優先順位を」決めて実行する

優先順位を間違えない

事前にスケジュールを立てる

面談時間を決める

長期的視野で仕事を

利用票を早めに作る

おしゃべりをしない

休みとの切り替え

早く終えるよう意識をする

出勤日と休日のメリハリ意識

疲れたら休む

疲れたら早く帰って翌日奮起

疲れたら少しの仮眠を

年間有給休暇40日取得に向けて  ~業務の生産性向上策~   

社内の『ほう・れん・そう』を徹底する

報・連・相を徹底4

自分のコンデション管理5

無駄な電話が来ないよう取引先に事前説明する

事前の段取りが大事1

スケジュール管理2

仕事を早く終らせ休暇取得を意識する

3

職員が夫々、行動記録を作成し業務効率アップ!

12

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事例②「心の健康づくり計画」を策定全職員へ周知し、悩まない・やめない職場づくり!

  ▪ 事業所概要

地域:弘前市

介護サービスの種類:グループホーム

事業開始年月:平成15年4月

従業員数:25人(うち正社員数:22人)

併設サービス:なし

  ▪�取組に至る背景

 地域ネットワーク・コミュニティへの参加を契機に、各事業所の取組状況等情報共有でき、

人材不足の中で様々な取り組みを知ることができた。職員自ら職員相互交流をはじめ、外

部講習会への積極的参加など職員の自主性により活動してきたが、その中で、更なる事業

所の風通しを良くするためにもメンタル対策を推進しコミュニケーションアップを必要と

感じていた。

 その研修を通じ意識改革を。とも考えていた。

  ▪�取組内容

①研修の実施に当たっては、各セクション長

と相談を行い、進め方を検討し雇用管理改

善サポーターに相談することとした。

②「心の健康づくり計画」を策定する。

③全職員の講習は勤務体制及び時間的に困難

であることから、セクション代表への講習

を行い職員には伝達講習を展開することと

した。

雇用管理 自己診断結果

13

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コミュニティ参加事業所の取組み

  ▪�取組のポイント

 取り組むまでには、「雇用管理改善の取組」の地域ネットワーク・コミュニティ参加を機

に「心の健康づくり計画」を策定し、今年度の目標である「セルフケア研修」を実施がで

きたことはジャストタイミングであった。

 講師を招き、伝達講習を前提

に開催していただいたが、講習

状況をビデオに収録し伝達講習

の精度を上げ職員に納得頂ける

研修を目指した。併せて全職員

に「メンタルヘルス相談窓口」

の設置を含め周知することで職

員の意識改革に繋げられ継続

的な研修に結びつけることとし

た。

  ▪�取組後の感想

 職場内のメンタル対策研修を実施することにより、職員のスキルアップ・相互理解から

モチベーションのアップにも繋がりました。今回は「心の健康づくり計画」も作成され、

また、「メンタルヘルス相談窓口」も設置されたことにより、職員の共通認識が育まれ職員

間の相互理解向上にもつながり、さらに次の研修計画を立てて、定期的に実施していこう

と思います。

 「心の健康づくり計画」助成金を活用できたことは有効的であったと思います。

〔�研修の模様�〕

取り組みの流れ

「心の健康づくり計画」

計画及び相談窓口の周知

地域コミュニティの参加

セルフケア研修の実施

伝達研修

意識改革

14

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事例③安全衛生委員会を充実し、腰痛対策とメンタルヘルス対策の向上

  ▪ 事業所概要

地域:東北町

介護サービスの種類:通所介護

事業開始年月:平成30年4月

従業員数:5人(うち正社員数:5人)

併設サービス:サービス付き高齢者住宅・

       グループホーム

  ▪�取組に至る背景

 デイサービスを立ち上げ間もないが、法人全体では複数のグループホーム、ケアホーム、

在宅介護支援センター等を運営し、安全衛生委員会は法人全体の開催としており、各事業

祖から選出された職員が委員として参加している。

 委員は安全衛生委員会で審議した重要事項等の報告を各事業所において職員への伝達報

告としている。また、安全衛生に関係する外部研修に参加した場合は、安全衛生委員会へ

講習参加報告を行い、その研修内容を各事業所に持ち帰り伝達研修としているがマンネリ

化しており改善を検討していた。

雇用管理 自己診断結果

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コミュニティ参加事業所の取組み

  ▪�取組内容

 法人本部において開催される安全衛生委員会の構成員である「衛生委員」の代表が当事業

所の管理者であり、衛生委員が企画した腰痛対策として、全職員に対し「腰痛対策バンド」

を提供する提案を行い承認された。

 また、安全衛生委員会の充

実を図るべく委員会において

「メンタル対策」の必要性を提

案審議し、外部講師を招き研

修会を開催した。その研修内容

を各委員が資料を基に各事業

所で伝達講習することとしてお

りステップアップを図った。な

お、安全衛生委員会においては

様々な職員への労働災害防止、

健康づくり、健康診断後の精密

検査費用の事業所負担など職

員が安心して働ける環境づく

りを推進し辞めない職場づくり

を目指しています。

  ▪�取組のポイント

 衛生委員会における腰痛対策バンドは、事業所のミーティングにおいて、職員からの要

望を衛生委員会がすくいあげ、安全衛生委員会に諮ることとした。

 また、各委員会テーマを模索する中で、「心の病」から退職者を出さないためにもその重

要性を安全衛生委員会に提案しメンタル対策の研修を取り込んだ。

  ▪�取組後の感想

 腰痛対策では、「腰痛対策バンド」を効果的に使用し、また、腰痛防止の研修を行い職員

の行動意識が大きく変化し、無理な体制での業務を行わないようにするなど意識の変化が

大きく表れたと思う。

 また、メンタル対策も講習資料を使用した伝達講習ができステップアップできたことと

次回以降の様々な伝達講習に大きく参考になったと思う。

〔提案事項〕・腰痛対策バンドの全員配布・メンタル対策の講習会・健康診断再検費用の補助

衛 生 委 員 会

安 全 委 員 会

中 央

安全衛生委員会

A事業所

B事業所

C事業所

D事業所 産

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青森明の星短期大学非常勤講師 (元介護福祉学科長 教授) 丸 本 富 勝

特別養護老人ホーム 弘前静光園 園長 土 岐 浩一郎( 青森県介護支援専門員協会 副会長 )

福原智子労働衛生コンサルタント事務所長 福 原 智 子

五所川原サポートオフィス 特定社会保険労務士 檜 川   智

まっすぐ介護合同会社 ずぐりケアプランセンター代表 秋田谷   一

あ と が き

 介護労働安定センター青森支部は、介護労働に関する総合的支援機関として介護労働に対する様々な支援事業を実施してきましたが、青森労働局の委託事業として「介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業」により「魅力ある職場づくり」のため、雇用管理相談等の支援をさせていただきました。 今年度は、青森県内20事業所を3つの地域ネットワーク・コミュニティに区分し、各種助成金を含めた研修並びに「事業所における治療と仕事の両立支援」について厚労省のガイドライン・マニュアルに基づき勉強会を実施いたしました。また、事業主が自ら職場を診断できる「介護の雇用管理改善CHECK&DO25」を活用し、雇用管理上の課題を明確にし、介護事業所における雇用改善の取り組み事例を紹介することとなりました。介護事業所の具体的な改善事例等になっておりますので介護分野の雇用管理改善を行う際にご参考とされ是非ご活用ください。 最後に、「介護事業所における雇用管理改善の取り組み事例集」の作成に当たっては、事業所訪問ヒアリング調査など様々な機会を通じ多くの方々から貴重なお話をいただきました。厚くお礼申し上げます。 併せて本事業を遂行するに当たり様々な助言をいただいた雇用管理改善企画委員の皆様、また介護事業所への積極的な相談支援をいただいた雇用管理サポーターの方々へ厚くお礼申し上げます。

公益財団法人 介護労働安定センター青森支部長 佐藤 日佐志

令和元年度青森労働局委託事業介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業

公益財団法人 介護労働安定センター 青森支部〒030-0861青森県青森市長島1丁目3番17号 阿保歯科ビル4階

TEL:017-777-4331 FAX:017-777-4335

雇用管理改善企画委員会 委員

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雇用管理改善チェックリスト

介護の雇用管理改善 CHECK & DO 25雇用管理改善チェックリスト

〈 自法人・事業所の雇用管理状況をチェックしてみましょう ! 〉

A 情報共有・コミュニケーション

あてはまる

どちらかというと

あてはまる

どちらかというと

あてはまらない

あてはまらない

1 理念やビジョン、方針を職員に対し周知・徹底している 4 3 2 12 年度事業計画と目標を職員に対し明確に示している 4 3 2 13 記録・報告、ミーティング等で、職員間での情報共有を徹底している 4 3 2 14 自法人・事業所を取り巻く環境や今後の課題について話し合う機会を設けている 4 3 2 15 現場からのアイデアや意見・提案を吸い上げる機会を設けている 4 3 2 1

B 労務管理・職場環境6 仕事と育児などの生活との調和等、個人の事情に配慮した支援を行っている 4 3 2 17 業務内容や量に対応できる適切な人員を確保している 4 3 2 18 勤務時間や仕事の内容で過重な負担を強いないようにしている 4 3 2 19 有給休暇の取得推進や福利厚生面の整備など、労働環境の整備・改善を行っている 4 3 2 110 職員一人ひとりの心身の健康に配慮している 4 3 2 1

C 評価・報酬11 仕事の役割や責任の範囲、必要な能力等を明確に示している 4 3 2 112 一人ひとりの果たすべき役割や目標について話し合いを行っている 4 3 2 113 仕事ぶりや能力について評価し、面談によるフィードバックを行っている 4 3 2 1

14 仕事ぶりや能力について評価し、何らかの処遇改善(賞与、一時金、報奨金、賃金改定等)につなげている 4 3 2 1

15 賃金の決め方・上げ方をルール化し、明確に示している 4 3 2 1

D 人材育成4

16 職員のスキルアップのための研修方針があり研修を行っている 4 3 2 117 外部の講習会や資格取得等のために支援を行い、職員のスキルアップを行っている 4 3 2 118 新人に対する教育(OJT や新人研修等)を体系的に行っている 4 3 2 119 管理職層やリーダー層育成のための教育に力を入れている 4 3 2 120 将来のキャリアについて、支援(相談、研修等)やアドバイスを行っている 4 3 2 1

E 法人・事業所の風土4

21 挨拶・声かけ、認める・ほめるといった組織風土がある 4 3 2 122 職員が、自由にアイデアや意見を言える組織風土がある 4 3 2 123 新しいアイデアを取り入れたり、難しい課題に取り組んだりする組織風土がある 4 3 2 124 質の高いケアへの意識や向上心を持つ職員を育てる組織風土がある 4 3 2 125 自主性を尊重し、仕事を任せ、それを支援する組織風土がある 4 3 2 1

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はじめに

我が国では、急速に少子高齢化が進行しており、介護人材は質・量の両面において一層の充実が求められている状況にあります。しかしながら、当センターが令和元年8月に公表した介護労働実態調査※1の結果では、人手不足を感じている事業所が全体の67.2% に上り、5年連続して不足感が増加する結果となりました。このような状況下、厚生労働省は、2040年を展望し、誰もがより長く元気に活躍できる社会 の実現を目指す※2としています。また、その中で現役世代の人口の急減という新たな局面に対応するため、以下3つの政策課題をあげています。①多様な就労・社会参加、②健康寿命の延伸、③医療・福祉サービス改革特に「多様な就労・社会参加」、「医療福祉サービス改革」は介護事業所が国と一体となって取組みを進めるべき課題であるといえるでしょう。

この度、青森労働局から委託を受け実施した「介護分野における人材確保のための雇用管理改善推進事業」では、相互の経験や知識を共有し効果的に雇用管理改善に取組むことを目的とした「地域ネットワーク・コミュニティの構築」を行い、介護人材の確保のため地域ぐるみで雇用管理改善に取組めるよう支援をしました。本書には、地域ネットワーク・コミュニティでの取組みの結果として雇用管理改善事例等を掲載しております。雇用管理改善の推進による「魅力ある職場づくり」と介護人材の確保へのヒントとしていただければ幸いです。

なお、介護労働安定センターは「介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(平成4年法律第63号)に基づく厚生労働大臣の指定法人として、介護労働に対するさまざまな支援事業を実施しております。本書に係る問合せの他、介護労働者の福祉の増進と魅力ある職場づくりのために様々な支援メニューを用意しお待ちしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

公益財団法人 介護労働安定センター

青森支部

※1 介護労働安定センター 平成30年度介護労働実態調査『事業所における介護労働実態調査結果報告書』※2 厚生労働省「第2回 2040年を展望した社会保障・働き方改革本部/資料」

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