The Banker 2020年 世界の銀行トップ...今年は「The Banker's Top...

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The Banker 2020世界の銀行トップ1000 プレスリリース 202071日ロンドン: フィナンシャル・タイムズ傘下のThe Bankerによる最新の世界の銀行トップ 1000 (Table1参照)によれば、日本の銀行は4%増益となり、国別順位で6位から5位へ昇格している。 これは、みずほフィナンシャルグループ(以下敬称略)の利益が443%増加したことや、日本の大手 行である三菱UFJ銀行、三井住友銀行の2行が減少したことによるものです。 The Banker編集長のブライアン・カプランは、「みずほFGの業績は前年の大幅なリストラ費用の影 響を受けて回復した。日本の銀行は現在、中国、米国、カナダに次いで4番目に高い利益を得ている が、今後非常に厳しい時期に備えているのが賢明である。Covid-19関連の損失は、先行きのバランス シートに影響を与えるだろう」と述べた。 三菱UFJ銀行は、Tier 1資本ベースの主要ランキングで、資本金1,440億ドルの世界第10位の銀行 (Table2参照)としての地位を維持した。三井住友銀行は940億ドルで14位、みずほFG18位、830ドルであった。これら3つの銀行は、合計で日本の銀行資本の46%を占めている。 今回ランクインした日本の銀行は87行で、世界銀行利益の3.6%を占める。しかし、資本利益率(収益 /Tier 1)でみると、日本の銀行平均は4.53%と世界平均の10.52%の半分を下回る低水準で推移して いる。このことは、日本の銀行は資本は豊富だが、平均資本収益率が14.05%の米国の銀行ほど効率 的に資金を使っていないことを示唆している。 野村ホールディングスは、全ランキング時の損失34000万ドルから利益回復(228,400万ドル) したリストでトップを飾った (Table3参照)Tier 1の資本240億ドルは、トップ1000ランキング中78 位を占めた。 今年は「The Banker's Top 1000」ランキング開始から50周年を迎える。1970年の上位10位には、日 本の銀行はランクインしなかったが、1990年には、10年の資産バブルを終え、日本の銀行は上位10 (Table4参照)に上位3位を含む6位を保有していた。第1位は旧住友銀行、第2位は旧第一勧業銀行、 3位は旧富士銀行だった。 その後、日本の銀行業界では大規模な再編が起こり、第一勧業銀行は富士・興業銀行と合併し、みず ほ銀行が誕生、日本の銀行合併の一つである。住友銀行は1990年に資本金130億ドルでランキング1 位であった。2020年の今回は中国のICBC3,800億ドルで1位となり、1990年と比較し29倍の規模と なっている。日本の経済は、30年前に比べて50%程度しか成長しておらず、今日の銀行が一般経済に 比べてどれだけ大きくなっているかが明らかである。

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The Banker 2020年 世界の銀行トップ1000

プレスリリース

2020年7月1日ロンドン: フィナンシャル・タイムズ傘下のThe Bankerによる最新の世界の銀行トップ

1000 (Table1参照)によれば、日本の銀行は4%増益となり、国別順位で6位から5位へ昇格している。

これは、みずほフィナンシャルグループ(以下敬称略)の利益が443%増加したことや、日本の大手

行である三菱UFJ銀行、三井住友銀行の2行が減少したことによるものです。

The Banker編集長のブライアン・カプランは、「みずほFGの業績は前年の大幅なリストラ費用の影

響を受けて回復した。日本の銀行は現在、中国、米国、カナダに次いで4番目に高い利益を得ている

が、今後非常に厳しい時期に備えているのが賢明である。Covid-19関連の損失は、先行きのバランス

シートに影響を与えるだろう」と述べた。

三菱UFJ銀行は、Tier 1資本ベースの主要ランキングで、資本金1,440億ドルの世界第10位の銀行

(Table2参照)としての地位を維持した。三井住友銀行は940億ドルで14位、みずほFGは18位、830億

ドルであった。これら3つの銀行は、合計で日本の銀行資本の46%を占めている。

今回ランクインした日本の銀行は87行で、世界銀行利益の3.6%を占める。しかし、資本利益率(収益

性/Tier 1)でみると、日本の銀行平均は4.53%と世界平均の10.52%の半分を下回る低水準で推移して

いる。このことは、日本の銀行は資本は豊富だが、平均資本収益率が14.05%の米国の銀行ほど効率

的に資金を使っていないことを示唆している。

野村ホールディングスは、全ランキング時の損失3億4000万ドルから利益回復(22億8,400万ドル)

したリストでトップを飾った (Table3参照)。Tier 1の資本240億ドルは、トップ1000ランキング中78

位を占めた。

今年は「The Banker's Top 1000」ランキング開始から50周年を迎える。1970年の上位10位には、日

本の銀行はランクインしなかったが、1990年には、10年の資産バブルを終え、日本の銀行は上位10

位(Table4参照)に上位3位を含む6位を保有していた。第1位は旧住友銀行、第2位は旧第一勧業銀行、

第3位は旧富士銀行だった。

その後、日本の銀行業界では大規模な再編が起こり、第一勧業銀行は富士・興業銀行と合併し、みず

ほ銀行が誕生、日本の銀行合併の一つである。住友銀行は1990年に資本金130億ドルでランキング1

位であった。2020年の今回は中国のICBCが3,800億ドルで1位となり、1990年と比較し29倍の規模と

なっている。日本の経済は、30年前に比べて50%程度しか成長しておらず、今日の銀行が一般経済に

比べてどれだけ大きくなっているかが明らかである。

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TABLE 1

TABLE 2

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TABLE 3

PTP = Pre tax profits

Source: www.thebankerdatabase.com

TABLE 4

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The Bankerについて

The Bankerは、1926年創刊、世界有数の銀行・金融情報源であり、グローバルな金融情報と業界の

データと分析を提供している。1970年以降、銀行業界のトップ1000の世界銀行ランキングが業界の

ベンチマークとなっており、銀行セクターの健全性と資産に関する包括的な情報を提供している。

詳細については、www.thebanker.com/top1000 をご参照ください。

The Banker編集長ブライアン・カプランは25年以上にわたり、金融・ビジネスジャーナリストとし

て活躍、香港と中東で報道に従事し、世界中からレポートを発信。2000年にThe Bankerに入社し、

2003年に編集長に就任。

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