2018ETHグループの紹介と概要

E T H グループ

ETHグループの紹介と概要

ミッション・ステートメント

ETHグループは最高レベルの研究と教育、学問と技術の普及を通して、革新的な原動力としてスイスの持続可能な競争力を強化し社会の発展に貢献していきたいと考えています。ETHグループは明るい未来を切り開く機関として、差し迫る社会的なチャレンジの克服、生活水準の向上、生活基盤の長期的な維持という世界中で課される責任をしっかりと全うしていきたいと思います。

目次年データと数値 2

ETHグループ 3

課題と構造 4

ETH理事会 5

教育・研究機関 ETHチューリッヒ EPFLローザンヌ ポール・シェラー研究所（PSI） スイス連邦森林・雪氷・景観研究所（WSL） スイス連邦材料試験研究所（Empa） スイス連邦水科学技術研究所（Eawag）

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10 12 14 16

重点研究分野： デジタル化及びセキュリティー

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ETHグループ2017年度主要データ 20

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親愛なる読者の皆様へ

スイスは世界でも最も高いイノベーション力と競争力を誇る国の一つです。 このことは、毎年発表される各種のランキングによって証明されています。 アメリカ合衆国で行われたあるアンケートでは、何とスイスが世界一の国という結果でした。このような成功を支えているのは、国内および国外からの優秀な 頭脳、また研究開発に対する官民からの高い投資などが挙げられます。 若者の育成、研究、また大学や研究機関の高いレベルを維持することへの 投資が成果を上げているのです。我が国の繁栄の大部分はここにかかっています。最近の調査で、ETHグループの具体的な数値が明らかになりました。

ETHグループへの投資は金額にしてスイスの価値で5倍以上の価値を生み出して おり、また1人を雇用することで約4人の雇用を生み出しています。 つまり、ETHグループは130億スイスフランの価値創造と10万人分の雇用を 実現していることになります。ETHグループは、早急な対応が求められる専門家の育成や、健康、環境、安全といった社会的に重要な分野における研究、 さらにKMU、産業界、ならびに関連機関との緊密な共同作業を行っています。 このように、ETHグループはスイスの国際競争力ならびに生活の質を 保持する上で中心的な役割を担っています。

2018年3月　チューリッヒ/ベルン

Dr. Fritz SchiesserETHグループ理事会理事長

序文

ETHグループの紹介と概要ETHグループの紹介と概要2

25億3千80万CHF規模の 研究財政支援（最大）

ETHチューリッヒTHE欧州ランキング4位 THE世界ランキング10位 QS世界ランキング10位 QS欧州ランキング5位

EPFLローザンヌTHE «Young University» ランキング1位 THE欧州ランキング10位 QS世界ランキング12位 QS欧州ランキング6位

260件特許及び297ライセンス

48スピンオフ設立

31 293人学生および 博士課程在籍者

850人教授*

29,5 %女性教員の割合

21 490人職員 474人実習生*

2017年12月31日現在

* 雇用関係

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ETHグループの6つの教育・研究機関は、 世界最高水準の学問、研究および 知識・技術の伝播普及の実現という 課題を連邦から委任されています。 これらの諸機関とは

— スイス連邦工科大学チューリッヒ校（ETHチューリッヒ）、 — スイス連邦工科大学ローザンヌ校（EPFLローザンヌ）、

— ポール・シェラー研究所（PSI）、 — スイス連邦森林・雪氷・景観研究所（WSL）、

— スイス連邦材料試験研究所（Empa）および

— スイス連邦水科学技術研究所 （Eawag）です。

さらにETH理事会が戦略的管理・監督機関として、またETH上訴委員会が 独立した上訴機関として ETHグループに属しています。

ETHグループ

Forschungsanstalten

スイス連邦工科大学

ETH理事会

ETHチューリッヒ EPLFローザンヌ

在籍者数 20000人以上職員数 11445人*

在籍者数 10600人以上職員数 5989人*

ポール・シェラー研究所（PSI）職員数 2059人*

スイス連邦森林・雪氷・景観 研究所（WSL）

職員数 488人*

スイス連邦材料試験研究所（Empa）

職員数 966人*

スイス連邦水科学技術研究所（Eawag）

職員数 492人*

理事 11人スタッフ：職員 51人*

* 博士課程在籍者を含む雇用者数、2017年12月31日現在

ETHグループの紹介と概要ETHグループの紹介と概要4

工科大学2校と4つの研究施設の目的は

‒ 学問および技術の分野において学生と専門家を養成し、 継続的な学習・訓練が常時可能であるよう保証すること、そして

‒ 研究によって学術的な知識を拡げ、‒ 学術分野における後進を育て、‒ 学術および技術的なサービスを提供し、‒ 広報活動を行い、研究成果を実地活用することです。

以上がスイス連邦工科大学法（ETH法）で定められております。通常、有効期間 4年間の 「戦略目標」をもって、連邦参事会と議会は戦略的重点目標、財政面、 インフラストラクチャー、雇用ならびに福祉政策に関する目標を具体化します。

ETH理事会は戦略目標の範囲内でETHグループの戦略および重点を決定し、 代表者として政治およびスイス連邦機関に対し目標達成について 定期報告を行います。実際のETHグループの運営執行は、 ETH校および4つの研究施設が行います。

2017年から2020年までの戦略的計画の中でETH理事会は戦略と重点を 改稿しました。質の高い、研究と密接に結びついた学問を優先させています。 ETHチューリッヒとEPFLローザンヌは学部生を奨励し、 サポートの最適化や教授陣、学術職員、時代に即したインフラ構造に投資します。

教育と研究は、環境および資源利用、公衆衛生、経済の発展や社会福祉といった現代の大きな課題についても責任を担っています。 ETHグループはこれらの挑戦に真摯に取り組んでいます。

課題と構造

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ETH理事会は、以下の政治・経済・社会の各分野から成るメンバーで構成されています。（2018年1月1日現在）：

— Dr. Fritz Schiesser ETH理事会理事長、元州議会議員

— Beth Krasna ETH理事会副理事長、 理事会独立役員

— Prof. Dr. Lino Guzzella ETHチューリッヒ総長

— Prof. Dr. Martin Vetterli EPFLローザンヌ総長

— Prof. Dr. Joël Mesot PSI所長

— Kristin Becker van Slooten ETHチューリッヒ/EPFLローザンヌ 大学評議会代表 EPFLローザンヌ シニアサイエンティスト（MER*）

— Marc Bürki Swissquote Holding AG社と Swissquote Bank AG社のCEO

— Beatrice Fasana Sandro Vanini SA社業務執行取締役

— Prof. Dr. Susan Gasser Friedrich Mischer «Biomedical Research» 研究所所長、 Basel大学分子生物学科教授

— Dr. Dr. h.c. Barbara Haering econcept AG社取締役会会長

— Christiane Leister Leister Groupの オーナー兼取締役会会長

責任者 スイス連邦工科大学2校と4つの研究所の最高責任者：

— Prof. Dr. Lino Guzzella ETHチューリッヒ総長

— Prof. Dr. Martin Vetterli EPFLローザンヌ総長

— Prof. Dr. Joël Mesot PSI所長

— Prof. Dr. Konrad Steffen WSL所長

— Prof. Dr. Gian-Luca Bona Empa所長

— Prof. Dr. Janet Hering Eawag所長

* 教育研究院長

ETH理事会

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ETHチューリッヒwww.ethz.ch

ETHチューリッヒは、科学技術・自然科学を対象とした世界有数の大学です。本学は、優れた教育内容、パイオニア的基礎研究、 そして新知識を直接的に実地化することで知られています。 ETHチューリッヒは、研究者には創造力を発揮できる環境を、 そして学生には総合的な教育の場を提供しています。

1855年に創立されたETHチューリッヒには現在、世界120か国から 集まった約20,000人の学生と博士課程履修者が在籍しています。 500人以上の教授陣が自然科学、工学、建築、数学、システム指向科学、経営学、社会科学の分野で教鞭を執り、研究活動を行って います。

ETHチューリッヒは、世界屈指の大学として常に世界ランキングで 高い評価を受けています。2017年には全世界で再び上位10位に 入り（THEおよびQS世界ランキング）、欧州大陸では1位となりました（THE欧州ランキング）。21人のノーベル賞受賞者がここで学び、 教育や研究に従事しました。大学のイノベーションは、コンピュータサイエンスからマイクロ・ナノテクノロジーそして医療用ハイテク 機器に至るまで、将来有望な分野に影響を与えています。 1996年以降設立された380社のスピンオフ企業、毎年約90件の 特許申請、世界各地およびスイス国内の現在約1,500社の企業との 連携など、これらの数値はETHチューリッヒがその知識を経済界や社会に十分に還元していることを証明しています。

ETHチューリッヒは、グローバルな課題に対応する持続可能な ソリューションの実現に貢献しています。ETHチューリッヒは、 サイバーセキュリティに重点を置いたデータサイエンス、 医学部に新たに開設された学士課程での健康衛生（2017年から）、 またエネルギー供給や世界の食糧問題といった課題における 持続可能性の問題、あるいは新しい製造技術といった領域に 焦点を当てて取り組んでいます。

皮膚の研究 大型プロジェクトSKINTEGRITYのテーマは皮膚です。 このプロジェクトで、ETHチューリッヒはチューリッヒ大学および大学病院と共同で 研究を行っています。このプロジェクトを共同で率いるSabine Werner教授は、

エンジニア達と一緒に創傷治癒の分子メカニズムやがんの発生における その役割について研究しています。

このテーマに関する詳細：www.ethboard.ch/fascination

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バーチャルタイムマシン EPFLローザンヌの研究者達はイタリアの研究者達と共同で、 昔のベネチアを垣間見ることができるタイムマシンを製作しています。 Frédéric Kaplan教授は、同僚の科学者Isabella di Lenardo女史（右）や作業チームと協力して、すでに200万件の文書や写真をデジタル化しました。 特別に開発されたサーチエンジンによってデジタル遺産が甦ります。 このテーマに関する詳細：www.ethboard.ch/fascination

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EPFLローザンヌwww.epfl.ch

ローザンヌ所在のスイス連邦工科大学は、若いダイナミックな大学で、教育、研究、イノベーションという3つの重要な課題を追求しています。キャンパスはレマン湖を見下ろすローザンヌにあり、10,000人以上の学生が在籍し、5,600人の職員（そのうち340人は教授陣）が 働いています。EPFLは、また世界で最も国際色豊かなところで、。 125か国以上から集まる人々が通っている世界的な大学です。

基礎研究や応用研究のレベルの高さは、EPFLの相当数の研究者がERCグラントの交付を受けていることからも分かります。 また、透明な色素増感太陽電池、太陽電池飛行機「ソーラー インパルス」、超高速ヨット「イドロプテール号」といった大望を 抱いた科学プロジェクトや持続可能なイノベーションにも 表れています。

教育の分野においても、EPFLはMOOCsのパイオニアとして 取り組みを開始し、現在では学生数は200万人に達しています。 2017年9月より、この大学では新しい修士課程コースとしてデータ サイエンスを開講し、「コンピュータ思考」の分野でもパイオニアとなりました。全ての1年生に基礎コースを提供しています。

EPFLがスイス連邦機関となった1969年以来、この大学は絶えず 拡張を続けています。その進歩の様子やレベルの高さは 各種ランキングに反映されています。 2010年以来、EPFLはQS世界ランキングで32位から12位へと躍進し、 ARWU世界ランキングでは58位に入りました。 THEの「Young University Ranking」では、3年連続で1位の座を 占めています。

これ以外の強みとして、パートナーシップや学術的で社会的な影響力のあるプロジェクトが挙げられます。また、140社のスタートアップ企業と有名企業の研究センターのあるイノベーションパークも キャンパス内に設けられています。2017年には15社の スピンオフ 企業が創設され、合計1.42億スイスフランの投資を集めました。

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ポール・シェラー研究所（PSI）www.psi.ch

ポール・シェラー研究所（PSI）はスイス最大の自然科学・工学の研究センターです。当センターでは、物質と材料、エネルギーと環境、 人間と健康というテーマで最先端の研究が行われています。 1988年以来、基礎研究および応用研究を通じて、社会、経済、 科学分野における主要課題について持続可能なソリューションに 取り組んでいます。

PSIでは、スポレーション中性子源SINQ、スイスSLSのシンクロトロン光源、ミューオン源SµS、およびX線自由電子レーザーSwissFELを 用いて、スイスで（一部は世界で）唯一の大規模な科学研究施設を運営しています。毎年、スイス国内と世界各地から2,500人以上の 研究者が 研究実験を行うためにPSIを訪れています。 PSIでは研究のほかにも、特定のがんに対して陽子線治療を 行うスイス唯一の施設も運営されています。

2,000人を超えるPSIの職員のうち、700人が科学者です。 若手の教育は、PSIの中心的課題です。職員の約4分の1は博士課程修了者や博士課程の学生、あるいは実習生です。 学生は学生用実験室のiLabで自然科学の魅力について学び、 社会人は PSI研修センターで職業訓練や専門教育を受けています。ビジターセンターpsiフォーラムには毎年10,000人の見学者が訪れ、 PSIでの研究に触れる機会を得ています。

Der ETH-Bereich in Kürze

Der ETH-Bereich in Kürze 11

エネルギーシステム統合（ESI）プラットフォーム コンセプトは「パワー・ツー・ガス」。これは発電ネットワークを天然ガスネットワークに接続するもので、

太陽光や風力エネルギーを長期間貯蔵できるように研究を続けています。 （写真：Marcel Hofer氏（左）とPeter Jansohn氏）コンテナ一杯のハイテク機器を

備えたプラットフォームで、二人は産業界からのパートナー企業と協力して パイロットスケールでの処理をテストしています。

このテーマに関する詳細：www.ethboard.ch/fascination

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自然保護遺伝学 どうすれば遺伝情報を用いて、池に珍しいアルパインイモリが生息する ことを証明できるでしょうか。しかも、その姿を目にすることなしにです。WSLでは、 Holderegger教授と研究者達が一緒になって、自然保護生物学の有効なツールとして 遺伝学を活用し、ユーザーが使いやすい新しい方法を作り出すことに取り組んでいます。 このテーマに関する詳細：www.ethboard.ch/fascination

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スイス連邦森林・雪氷・景観研究所（WSL）www.wsl.ch | www.slf.ch

WSLは地球環境の変化や自然の生態と文化的景観の利用および 保護を研究しています。WSLは、森林や景観、生物の多様性、自然 災害や雪氷の状態と変遷を観察・監視し、学界や社会の パートナーと共に社会に関連する問題に対して持続可能な ソリューションを提供すべく研究開発を行っています。

WSLは、ビルメンスドルフ、ダボス、ローザンヌ、ベリンツォーナ およびシオンの各拠点に合計500人余りの職員が勤務し、 そのうち60人以上が博士課程に在籍しています。 さらに、150人の技術職員と50人の事務職員のほか、 15人の実習生とインターンが在籍しています。職員の約4分の1は、 ダボスにあるWSL雪氷・雪崩研究所（SLF）に勤務しています。

WSLはスイス極地研究所（SPI）の創設メンバーです。SPIは2016年 以降、北極と南極におけるスイスの研究の調整と推進を担って います。高山というのはある意味「第三の極」を形成しているとも 言えるため、WSLでは気候変動における雪氷や永久凍土、氷河学 またはツンドラに類似した生息地の生態学などにも、多くの 専門知識と豊かな経験を応用することができます。

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スイス連邦材料試験研究所（Empa）www.empa.ch

Empaは材料科学と科学技術に関する学術機関です。ナノ構造 物質とナノ構造表面、環境技術、エネルギー技術、持続可能な建築技術、そしてバイオ・医療技術の各分野で産業と社会のための ソリューションを開発しています。Empaは産業パートナーと共同で、 スピンオフを通じてその研究成果を市場性のある イノベーションとして応用転換し、スイス経済の国際競争力の強化に 貢献しています。さらに、持続可能な社会発展に向けた科学的基盤も 築いています。

1880年以来、Empaは政策決定に関するデータべースを公共機関に提供し、連邦省庁から様々な調査を受託しています。Empaでは 現在、教授33人と博士課程学生200人、職業訓練生40人を含む 1,000人余りの職員が勤務しています。さらに、約200人の学士 課程と修士課程の学生とインターンも在籍しています。 このほかに、民間研究者による多数のプロジェクトや、 スイス国立科学財団（SNF）、イノスイス（Innosuisse） およびEUプログラムから資金提供を受けた約300件の プロジェクトが常時進行しています。

医療技術 機械工学エンジニアのAmeet Aiyangar氏（左）とBernhard Weisse氏は、腰椎領域の 痛みの生体力学的な原因を研究しています。コンピュータシミュレーションと3DのX線ビデオを 組み合わせることで、どのような力が背中に負担となっているのかを割り出そうとしています。

目標は、手術のよりよい計画と新しいインプラントの開発です。

このテーマに関する詳細：www.ethboard.ch/fascination

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デジタル化による効率的なモニタリング EawagはETHチューリッヒと共同で、フェーラルトルフに都市の水科学技術を研究するためのフィールドラボを設立しました。ここでは、革新的な 低エネルギー無線ネットワークを通じて最新のセンサーが継続的にデータを送信しています。 これにより、科学者Frank Blumensaat氏（左）と彼の同僚技術者Simon Dicht氏は、 都市の排水区域で地下水の排水プロセスの大半を空間的および時間的に把握することが できるようになりました。 このテーマに関する詳細：www.ethboard.ch/fascination

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スイス連邦水科学技術研究所（Eawag）www.eawag.ch

Eawagは世界有数の水質研究所です。Eawagの成功は、80年間に わたって培われてきた研究や教育、継続・生涯教育との密接な 連係、そしてコンサルティングに基づいています。自然科学と工学、社会学の各分野が協力することにより、比較的自然に近い水源から完全に技術化された排水管理システムに至るまで、水に関する 総合的な研究を行うことができます。

ここでの研究活動は、人類が水を利用しながら、いかにして水中 生態系がその機能と抵抗力を維持し、そのバランスを保つことが できるかを探求することに焦点を当てています。27人の教授と 約200人の学術専門職員、140人以上の博士課程学生が疑問課題に取り組み、Eawagのユニークな研究環境で新たな科学的知見を 創出し、根本的な社会ニーズに対応するために研究を重ねています。

ここでは、学際的連携、および関連機関や経済・産業界の利益団体への知識移転が重要な役割を果たしています。授業時間数が 毎年4,000時間を超え、年間約175件の学士・修士論文を指導する スイスの大学はスイスの水関連分野における若い世代の専門家 教育に貢献しています。

研究棟Nestにある「Water Hub」に設置された新しい家庭雑排水処理装置は、汚れた家庭雑排水を分散処理し、水洗トイレだけでは なくシャワーにも使えるようにすることを目指しています。 そのために、家庭雑排水は集められて、第1ステップで薄膜を通して送られ、汚れや病原菌が除去されます。そのあと、家庭雑排水は 活性炭の付いたフィルターでろ過され、活性炭によって残りの 有害物を吸着します。

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デジタル化は、経済と社会をこの数年で根本的に変えようとしています。 これは、スイスにとっても大きな挑戦です。この挑戦をうまく乗り切るには、必要とされる条件をクリアする必要があります。

特に重要なテーマが、仮想空間におけるリスクと安全性、つまり、サイバーリスクとサイバーセキュリティの問題です。ETHグループの研究機関は、すでに何年も前からサイバーセキュリティ分野の研究および教育を特に重要な課題と位置付け、 中心的な役割を果たす一方で、公的担当機関のパートナーとして活動しています。また民間機関と連係した活動も行っています。2003年に設立されたチューリッヒ情報セキュリティ研究所・プライバシーセンター（ZISC）では、4人の教授と12人の 准教授らが産業界のさまざまなパートナー企業（IBM、Google、クレディスイス、 NECなど）と緊密に連係しながら、複数の研究グループと一緒に「オープンラボ」で活動を行っています。たとえば、EPFLには「セキュリティ暗号法研究所（LASEC）」があります。サイバーセキュリティの問題は、「EPFLローザンヌ・イノベーションパーク」の活動においても重点課題の一つになっています。そのため、EPFLは2018年に 産業界のパートナー企業と共同で「デジタル・トラストセンター」を 開設することを計画しています。

デジタル化 - ETHグループの4つの戦略的重点分野の中心的テーマ

「エネルギー」は、エネルギー効率、再生可能エネルギー、インパクト調査、 エネルギー生成のための化学プロセスの利用（エネルギー貯蔵）といった問題だけでなく、個々のシステムの統合の問題にも関連します。これには高いレベルの デジタル化が前提条件となります。実現された研究プラットフォームには、 PSI傘下の「エネルギーシステム統合（ESI）」プラットフォームやEmpaの「ehub」などがあります。

重点研究分野：デジタル化及びセキュリティー

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「個別化医療と関連技術（PHRT）」は、利用可能な健康関連の膨大なデータを 相互に関連付けることで、よりターゲットを絞った治療を実現することを目指しています。これによって、例えば、大量の個人データを処理することができる技術的プラットフォームの構築が可能になります。このとき、データを臨床的な意思 決定に直ちに活用できるようにするため、共通の標準に準拠する必要があります。

デジタル化の中核となるのが「データサイエンス」です。これはビッグデータの よりよい理解とターゲットを絞った活用を促すだけでなく、データのより安全な 処理にも貢献します。ETHグループの多くの研究領域でデータサイエンスの 知見に基づいた活動が行われています。このため、EPFLとETHチューリッヒの 両大学は、アプリケーション分野のデータ関連科学者と専門家が集結する スイス・データサイエンス・センター（SDSC）を共同で開設しました。 SDSCは、スーパーコンピュータ「Piz Daint」を持つETHチューリッヒの スイス国立スーパーコンピューティング・センター（CSCS）を補完し、使用します。 「Piz Daint」は25ペタフロップスを誇る、世界で最も処理能力が高いコンピュータの うちの一つです。また、ETHチューリッヒとEPFLはデータサイエンスの修士課程を 開設し、2017年秋から開講しています。

「Advanced Manufacturing（高度な製造）」により、ETH理事会は、 ETHグループの中心的役割がスイスの産業界およびKMUのための高度な 製造技術領域であることを強調しています。この重点分野は、今では7件の プロジェクトを推進するまでになりました。いずれも実用化の可能性が大きく 期待できるもので、特に工業的な可用性に重点を置いて推し進められています。これには次の3つの重点課題があります。小型部品の高精密な自由形状製造、 プリンテッド・エレクトロニクス、およびデジタル生産プロセスの 持続可能な利用です。

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学生および博士課程在籍者数 2016 2017

学生および博士課程在籍者総数 30,351人 31,293人ETHチューリッヒの学生 19,815人 20,607人EPFLローザンヌの学生 10,536人 10,686人在籍者総数 24,217人 25,059人女性の割合（%） 29.7 30.6

博士課程在籍者総数 6,134人 6,234人女性の割合（%） 31.0 30.8

職員（雇用関係） 2016 2017

職員総数 21,054人 21,490人ETHチューリッヒ* 11,157人 11,445人EPFLローザンヌ* 5,870人 5,989人ポール・シェラー研究所（PSI） 2,049人 2,059人スイス連邦森林・雪氷・景観研究所（WSL） 495人 488人スイス連邦材料試験研究所（Empa） 936人 966人スイス連邦水科学技術研究所（Eawag） 497人 492人教授 829人 850人女性の割合（%） 13.9 14.8

学術職員 12,765人 12,970人技術職員および事務職員 6,996人 7,196人実習生 464人 474人

知識と技術の伝播と普及 2016 2017

特許申請 – 343

ソフトウェア開示 – 26

特許 230 206

ライセンス 353 297

スピンオフ 50 48

2017年からの特許及びソフトウェアの申請は追加的なWTT指数で調査されます。

* 博士課程在籍者含み

ETHグループ2017年度主要データ

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主要財務数値（単位：百万CHF） 2016 2017 Δ（%）

事業収益 3,598 3,696 +2.8

主要融資の割合（公私機関による融資）（%） 71.3 71.8 +0.5

研究への寄付、研究委託、学術的サービスの割合（%） 21.5 20.1 -1.4

その他の収益の割合（%） 7.2 8.1 +0.9

経営コスト 3,314 3,515 +6.1

人件費（%） 63.4 65.5 +2.1

ETH グループの不動産ポートフォリオ 2016 2017

価格（買入価格, 単位：百万CHF） 7,600 7,750

建物数 395 391

インフラ規模 70 69

敷地規模 125 133

ETH理事会Häldeliweg 15 8092 ZürichSwitzerland電話：+41 (0) 44 632 23 67ファックス：+41 (0) 44 632 11 90www.ethboard.ch

スイス連邦工科大学理事会

© ETH理事会、2018年4月写真：Kellenberger Kaminski Photographie

表紙：2017年の世界経済フォーラムで、ETHチューリッヒは最新の研究結果を紹介しました。 これは「Cubli」という名の不思議な立方体で、頂点のみでバランスをとって自立したり、跳ねたり、 バランスを取りながら自ら落下することができます。（Andreas Eggenberger/ETHチューリッヒ）

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