特 集 NTT R&Dフォーラム2014 基調講演 · ロールするか.これがNTTグループ...

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NTT技術ジャーナル 2014.4 4 新たなステージを目指して 2012年の秋に中期経営戦略をまと め,「新たなステージを目指して」と いう副題をつけました.幸いにして, 昨年,2020年のビッグイベント開催 が決まり, 「新たなステージ」が,イメー ジしやすくなったと考えています.ま た,時間的なターゲットも明確になっ たと思います. 中期経営戦略のキーワードは,「バ リューパートナー」でした.NTTも, B2Cで回線や端末を販売するというビ ジネスモデルから,クラウド系のビジ ネスに移行していく時期が来ました. その中で,企業のお客さまのビジネス モデルの変革をサポートし,また,個 人のお客さまのライフスタイルの創造 をサポートしていきたい.このような 意味を込めてこの言葉を使いました. ICT分野は,グローバル,クラウド, モバイルなど,いくつもの大きな潮流 があり,非常に多数,多様なプレイヤー がいます.大競争の時代にみえるかも しれませんが,私自身は,むしろ協業 の時代,コラボレーションの時代に 入ったと認識しています. クラウドの時代,グローバルな時代 には,お客さまは自由にサービスを選 ぶことができます.そうした時代の競 争力というのは,お客さまに選ばれ続 ける力ではないでしょうか.つまり, いったん物を買っておしまいではな く,ずっと利用していただける力が競 争力の本質だと思います. NTTが「バリューパートナー」と して選ばれ続けるには,さまざまなプ レイヤーと新しいビジネスを興し,協 業,コラボレーションする力が非常に 重要だと考えています. 2020年は 2020年にビッグイベントが開催さ れますが,2020年に関するいくつか の予測を図1 に示します.GDPは中 国や新興国が力をつけ,中央にある日 本は小さい円になっています.これは, オリンピック開催が決定する前のさま ざまな研究機関の予測です.ビッグイ ベントを機に,日本の円がもう少し大 きくなることを目指していきたいと 思っています. また,日本は世界に先駆けて高齢化 社会を迎えます.インターネットの接 続端末数は300億~ 500億,現在の10 倍になると予測されています.準天頂 衛星システムが本格運用されるのも, 2020年だといわれています.2010年 に第 1 号機が打ち上がっていますが, 2019年までにさらに 3 機を追加で打 NTT R&Dフォーラム2014 基調講演 加速するイノベーションとコラボレーション 本稿では2020年までに実現される新たなサービスのイメー ジ,およびそれらのサービスを黒子として支えるためのNTTグ ループのチャレンジについて紹介します.本記事は,2014年 2 月13~14日に開催された「NTT R&Dフォーラム2014」での,鵜 浦博夫NTT代表取締役社長の講演を基に構成したものです. うのうら NTT代表取締役社長

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新たなステージを目指して

2012年の秋に中期経営戦略をまとめ,「新たなステージを目指して」という副題をつけました.幸いにして,昨年,2020年のビッグイベント開催が決まり,「新たなステージ」が,イメージしやすくなったと考えています.また,時間的なターゲットも明確になったと思います.中期経営戦略のキーワードは,「バリューパートナー」でした.NTTも,B2Cで回線や端末を販売するというビジネスモデルから,クラウド系のビジネスに移行していく時期が来ました.その中で,企業のお客さまのビジネスモデルの変革をサポートし,また,個人のお客さまのライフスタイルの創造をサポートしていきたい.このような意味を込めてこの言葉を使いました.

ICT分野は,グローバル,クラウド,モバイルなど,いくつもの大きな潮流があり,非常に多数,多様なプレイヤーがいます.大競争の時代にみえるかもしれませんが,私自身は,むしろ協業の時代,コラボレーションの時代に入ったと認識しています.クラウドの時代,グローバルな時代には,お客さまは自由にサービスを選ぶことができます.そうした時代の競争力というのは,お客さまに選ばれ続ける力ではないでしょうか.つまり,いったん物を買っておしまいではなく,ずっと利用していただける力が競争力の本質だと思います.NTTが「バリューパートナー」として選ばれ続けるには,さまざまなプレイヤーと新しいビジネスを興し,協業,コラボレーションする力が非常に重要だと考えています.

2020年は

2020年にビッグイベントが開催されますが,2020年に関するいくつかの予測を図 1に示します.GDPは中国や新興国が力をつけ,中央にある日本は小さい円になっています.これは,オリンピック開催が決定する前のさまざまな研究機関の予測です.ビッグイベントを機に,日本の円がもう少し大きくなることを目指していきたいと思っています.また,日本は世界に先駆けて高齢化社会を迎えます.インターネットの接続端末数は300億~ 500億,現在の10倍になると予測されています.準天頂衛星システムが本格運用されるのも,2020年だといわれています.2010年に第 1号機が打ち上がっていますが,2019年までにさらに 3機を追加で打

特 集

NTT R&Dフォーラム2014 基調講演加速するイノベーションとコラボレーション

本稿では2020年までに実現される新たなサービスのイメージ,およびそれらのサービスを黒子として支えるためのNTTグループのチャレンジについて紹介します.本記事は,2014年 2月13~14日に開催された「NTT R&Dフォーラム2014」での,鵜浦博夫NTT代表取締役社長の講演を基に構成したものです.

鵜う の う ら

浦 博ひ ろ お

夫NTT代表取締役社長

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特集

ち上げる予定です.測位精度が高まり,数センチ単位の高精度測位が可能になります.今日は,こうしたさまざまな変化が,今後,ビジネスにどのような影響を及ぼしていくかということを皆様と一緒に考えてみたいと思います.

スマートライフ&ワーク2020

2020年の世界では,さまざまなサービスがクラウドをベースに成り立っています(図 2).そして,いくつかのモノが結び合う,連携し合うことで,新しいサービスやビジネスモデルが生まれるだろうと考えています.

例えば交通についてです.バス,地下鉄,飛行機,およびタクシー業界のクラウドが連携していくことで高度なITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)を実現することができます.このようにクラウドが連携することによって新しい世界が拓けますが,交通とほかの業界が結びついたらどうなるかを次に紹介します.■観光サービス「ナビ×翻訳」交通と観光,ナビ,翻訳,これらの技術が結びついた場合のサービスをご紹介します.駅の目印をスマートフォンで撮影し,次に行きたい場所,例えば観光雑誌等の写真を撮ります.初期登録した言語で駅から観光地までを案内するだけでなく,その際に観光スポットやレストラン等の情報も併せて提供されるサービスなどが可能になると思っています.最近のニュースによると,駅の案内板は多言語にするように,というガイドラインを政府が決めています.ひょっとしたら何カ国語も

図 1  2020年は…

GDP

インターネット接続端末数

300億~500億(日本10億~20億)

準天頂衛星システム本格運用

人口世界 ・100~ ・

・90~94・・80~84・・70~74・・60~64・・50~54・・40~44・・30~34・・20~24・・10~14・・ 0~ 4・

65歳以上1割

海外旅行者数 ・ 世界で18億人/年 ・ 訪日外国人 2000万人/年 (2013年の 2倍)

3 割

日本

図 2  スマートライフ&ワーク 2020

交通 環境 医療

ホームエンタテインメント 観光

球場・スタジアム

スマートハウス ・ スマートビルデマンドレスポンス

ITS(各種交通機関の連携)

遠隔医療,地域医療連携

高臨場・高精細映像パブリックビューイング

多言語対応,バリアフリー全天周映像(ヘッドマウントディスプレイ)

電車・地下鉄システムクラウド

航空システムクラウド

バス運行システムクラウド

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NTT R&Dフォーラム2014 基調講演

載っているような大きな看板が用意されるかもしれませんが,スマートフォンを使えば多言語看板は不要になり,撮影するだけで母国語で案内を行うことが可能になります.2020年にはそういった世界が来ると考えています.これに関連した,NTTグループですでに実現しているサービスを紹介します.NTTコムウェアが開発し商用化したPictuARです(図 3).PictuARというマークが出ている写真をスマートフォンで撮影すると,撮影した写真がスマートフォンの画面上で動画として動き出すサービスです.例えば,レストランの写真を撮れば,お薦めのメニューやお店の雰囲気を動画として表示するということが可能になります. ■エンタテインメント「映像×スポーツ」次に,スポーツと映像が結びついたエンタテインメントの世界を覗いてみたいと思います.サッカーや野球において,選手の視線で見る,監督・コーチの目線で見る,天井からプレーを見

る,個々の選手のデータを合わせて見る.このようなことが,スマートフォンやタブレットで可能になります.すでに米国では本サービスの実験が行われ,商用化も多少進んでいます.これまで「通信と放送の融合」という言い方がされていましたが,スタジアム,またはチーム・球団と放送事業者のコラボレーションと考えれば,また違った展開があるかもしれません.

■イノベーションbyサービスコラボレーションこのように,さまざまなサービスが結びつくことで新しいサービスが生まれる可能性があります(図 4).先日,発表させていただきましたが,東レとNTTで心電図の測定ができるシャツを共同開発しました.これはアパレルとITのコラボレーション事例ともいえますが,このように今まで考えたこ

図 3  PictuAR

図 4  イノベーションbyサービス コラボレーション

クラウドのコラボレーションにより実現

観光サービス

エンタテインメントサービス スポーツマネジメント

サービス

外国人向け医療サービス

健康サービス

ナビ 翻訳映像 スポーツ

アパレル スポーツ

翻訳医療医療アパレル

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特集

とのないような組み合わせ,コラボレーションが今後起こることを想像すると,非常に楽しい世界が描け,その中で日本型のビジネスモデルができるのではないかと思います.イノベーションという言葉で,時により日米の比較がなされます.米国では古いレガシーシステムを破壊していくことが比較的自由に行われますが,日本では米国に比べ難しい.そのような中,コラボレーションによるイノベーションが,日本型のイノベーション,サービス開発,ビジネスモデルの創出というテーマにとって近道であると考えています.今後,さまざまなサービスや企業がコラボレーションしていくためにはICT基盤の連携,クラウド間連携を支えるための技術やサービスが必要になります.そこにNTTのR&Dが貢献できる場所があり,NTTグループの新しいB2Bのビジネスモデルがあると考えています.

2020年に向けたNTTグループのチャレンジ

コラボレーションによる新しいビジネスモデルの創出の可能性について紹介してきました.もちろん,私どもは新しいマーケットへ自ら参画するプレイヤーとして,また,新しいマーケットを切り拓くバリューパートナーとして,チャレンジを続けていく考えです.ここからは2020年に向けて,通信キャリアとしてのNTTのチャレンジを 2つ紹介したいと思います.■チャレンジ 1 ~ネットワーク制御~いろいろな予測がありますが, 2020年には現在の数十倍の情報が,私どもやその他のプレイヤーのネットワークを通っていくことになると思います.ちなみに,ブリティッシュテレコムによる報告ですが,北京オリンピックの会場周辺のトラフィックと,その 4年後のロンドンオリンピックの会場周辺のトラフィックを比較すると 7倍に

増えたそうです.それがリオデジャネイロでどの程度になるか.さらにその4年後の東京ではどの程度になるか.単純に 7倍が続くならば,7× 7 =49倍の情報量になるということです.増大するトラフィックをどうコントロールするか.これがNTTグループの第一のチャレンジです.以下に関連技術を 4つ紹介します.(1) キャリアアグリゲーションキャリアアグリゲーションでは複数の周波数帯を同時利用します(図 5).時分割を使った無線通信,TDD(Time Division Duplex)と周波数分割を使った無線通信,FDD(Frequency Di vi-sion Duplex)の双方も展望できます.将来的には,Wi-Fiも含めていくつかの周波数帯を同時利用することによって,伝送速度の高速化を実現していきます.(2) 無線通信のソフトウェア制御前述した数十倍の情報量を単純なハードウェア増設で対応すると,莫大な設備が必要です.また,スタジアム

図 5  キャリアアグリゲーション

複数の周波数帯を同時利用(キャリアアグリゲーション)することで伝送速度を高速化

複数の周波数帯を同時利用することにより高速通信を実現

(分断された周波数帯域を有効利用)

連携

スモールセル

周波数帯をまとめて利用※

800 MHz等 800 MHz等

※FDD(周波数分割複信), TDD(時分割複信) の双方を同時利用可能

3.5GHz等

マクロセル

伝送速度

高速化

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NTT R&Dフォーラム2014 基調講演

などにおいてWi-Fi基地局を単純増設しようとしても,基地局の高密度化は,無線の相互干渉があるためハードウェアだけをみると限界があります.しかしながら,ソフトウェア制御により基地局間の連携を行うことで干渉を軽減し,快適な無線通信環境が提供可能になります(図 6).

(3) エッジコンピューティングエッジコンピューティングは,クラウドサーバをユーザの近くに置き,分散処理を実施することによって,中継網のトラフィックを軽減する技術です(図 7).また,端末との距離を短くすることで,通信遅延を小さくします.2020年のビッグイベントにおいて,メ

インスタジアムで約 8万人が,スマートフォンやタブレットを開会式場に持ち歩いたときのトラフィックの状態を想定すると,エッジコンピューティングによるトラフィックの分散処理や,端末に近い場所でストレージしてから流すといった取り組みが必要になると考えています.

図 7  エッジコンピューティング

クラウドサーバをユーザの近くに置き,分散処理(エッジコンピューティング)を実施することにより,中継網のトラフィックを軽減

トラフィックを軽減

ネットワークユーザに近い場所で処理

アプリ アプリアプリアプリ

アプリアプリ

アプリアプリ

アプリ

図 6  無線通信のソフトウェア制御

ハードウェアの単純増設(Hardware-intensive)からソフトウェアによる効果的なネットワーク制御(Software-defined)へ

無線の相互干渉がある中で,Wi-Fi基地局の高密度化は限界あり

ソフトウェア制御によりWi-Fi基地局間の連携を実現し,快適な無線通信環境を提供

干渉

協調

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特集

(4)  プロアクティブな広域トラフィックコントロール

広域トラフィックコントロールは,ネットワーク帯域を融通し,全体トラフィックをコントロールする技術です(図 8).例えば,企業のクラウドのデータセンタが札幌にあるとします.ビッグイベントの期間中は大変なトラフィック集中が予想されます.このようなときに札幌のデータセンタが輻輳してクラウドサービス全体に悪影響を及ぼす前に,輻輳を事前に予測し,プロアクティブな対応で,福岡のバックアップデータセンタで分散処理を自動的に行います.このような広域トラフィックコントロール技術も,ビッグイベントまでには間違いなく必要であると考えています.■チャレンジ 2 ~セキュリティ ・インテグレーション~2012年のロンドン五輪においては,公式ホームページを襲ったアタックの回数が 2億1000万回にもなりました.ブリティッシュテレコムはそれらを無事凌ぎましたが,2020年はもっと巧妙なアタックが行われると想定せざる

を得ません.スマートシティにしても,金融機関にしても,ほとんどのサービスがクラウド化される世界では,社会的なリスクも大きなものとなります(図 9).さまざまなネットワーク,クラウドの弱点を,アタッカーが襲ってくることを想定し,そういった社会的リスクの増加にどう対処していくか.これも私どもNTTグループの大きなチャレンジの 1つです.巧妙化するアタックに対しては,世界最先端の技術開発を行って防ぎます(図10).NTTコミュニケーションズでは,すでにグローバルでセキュリティオペレーションの連携をしていますが,海外の通信キャリアやITベンダも含めて,オペレーションの連携も必要になります.オペレーションのコラボレーションといっても良いと思います.今後クラウド間連携が進んでいくと,NTTグループだけでセキュリティ対策を完全に行うことは不可能です.そこで,さまざまなプレイヤー,必要に応じて同業他社ともオペレーション連携を行うことによって,巧妙

化するアタックを防御していく必要があります.これらの攻撃に対処するために,NTT研究所は強固なセキュリティチームを持っていますし,2013年 春 に 設 立 し たNTT I3(NTT Innovation Institute, Inc.)では,米国におけるセキュリティ技術の進歩を採り入れたプロダクトをつくる取り組みも行っています.

NTTグループの今後の取り組み

コラボレーションする力の大きな源は,パートナーどうしの信頼(Trust),トラステッドな関係です.一昨年まで使用していたTotalという言葉をTrusted Solutionsに変え「Next Value Partner for Transformation by Trusted Solutions」を掲げました.NTTグループは,これまでの単純なプロバイダとしての企業グループではなく,さまざまな企業や業界とコラボレーションをして,新しいビジネスモデルをつくるお手伝いをする.そういった意味でのB2Bに軸足を移していきたいと考えています.NTTのR&Dは,さまざまな業界,

図 8  広域トラフィックコントロール

・ネットワーク帯域を融通し,全体トラフィックをコントロール・さらに,ビッグデータ分析を活用したトラフィック予測により, 全体の通信キャパシティを最適化(プロアクティブ対応)

トラフィック予測+帯域コントロールにより,全体トラフィックをコントロール

福岡

大阪東京

札幌データセンタ

データセンタ

バックアップデータセンタ

福岡

札幌

大阪東京

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NTT技術ジャーナル 2014.410

NTT R&Dフォーラム2014 基調講演

企業,サービスがコラボレーションする触媒として,十分に機能するだけの力があると思っています.2020年は,ネットワークコントロール,セキュリティ ・マネジメントにおいて,NTTグループの底力が試される時期でもあります.今後は,R&Dの力とグルー

プ各社の事業の展開力でさまざまな試練を乗り越え,さらなるグループ全体の成長を図りたいと思います.

図 9  社会インフラへのサイバー攻撃

社会的リスク増加

対政府・ 公共機関

対企業

対個人

2000年 2020年2010年

スマートシティ社会インフラ(交通・電力等)の連携

行政の電子化(eガバメント)

2012年 ロンドン五輪期間中2.1億回のアタック

2012年 日本ハッカー集団による官公庁への一斉攻撃

2009年 米国・韓国 金融機関・政府機関への一斉攻撃

2000年ごろ個人Webページの書換え・乗っ取り

2005年ごろEC事業者からの個人情報搾取

対政府・ 公共機関

図10 セキュリティ・インテグレーション

・世界的規模でのサイバー攻撃・通信機能を持つさまざまな機器への セキュリティ脅威の拡大

・総合的セキュリティ確保(セキュリティ・ インテグレーション※)を実現

世界最先端の技術プロアクティブなセキュリティ対策

(SIEMエンジン,秘密分散,暗号化技術)

オペレーションの高度化グローバル連携

(インテリジェンス情報の収集 等)

監視情報 脅威情報

オペレーション連携

※「アプリケーション×クラウド×デバイス」全方位のセキュリティ確保